紡がれし罪の血

風花薫

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第3章

背徳の幻想

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あの忌まわしい事件から数日経ったある日。

学校からの帰り道。

日が沈みかけている公園の遊歩道で久しぶりにハルに出逢った。

出逢ったというより、おそらく待ち伏せていたのだろう。
ハルは、自転車を引いていた。

「久しぶり」

照れくさそうに笑うハル。

敢えて歩みを止めることもしない私に構わず、ハルは一人言葉を続ける。

「一度、親父と話をしてくれにゃぁかな?」
「母ちゃんのことで、謝りてゃーて言ってるだよ。」

ハルの言う、親父は、あの肉屋のことだ。

「誰が、会うものか!」

私は、心の中でそう呟いた。

「母ちゃんが何処へ行ったか、心当たりもあるでよ」

ハルは、そんな私の心を察したのか、懐柔しようと必死になっている。

「センターの奥に倉庫があるら」
「明日は、午後から、親父とあそこで作業してるで絶対来てな」

明日は土曜日。

私には部活も無いし、早く帰れることをハルは知っているのだ。

「何も心配しにゃーでいい。」
「普通に、夜まで作業してるで」

自転車に乗ると踵を返し、
一方的にそう告げると、ハルは、走り去って行った。

「俺もいるで大丈夫だで」
「絶対やで、待ってるで」

ハルの声を背中に聞きながら、逃げるように私は走り出していた。

「誰が、行くものか!」

はっきり、声に出してそう叫けびながら・・・





家に帰ると、鞄を放り出し、床に臥せって泣きじゃくった。

「誰が行くものか!」

そう叫びながら・・・


いくら馬鹿な私にだって、あの男の魂胆くらい解っていた。

母とアイツの会話を聞いていたから、何をされるかも鮮明に・・・

「私は母とは違う。」
「あんなケダモノに、抱かれるくらいなら死んだ方がマシよ。」

口惜しさと、悲しさと、惨めさが入り交じり、やがて泣き疲れて深い眠りに堕ちていった。





目覚めると、私は、衣服を剥ぎ取られ、ビニールシートの貼られた床に転がされていた。

 バッシーン ❣

薄暗がりの中で、何かを叩きつけるような大きな音をたて、肉の塊が私の前で大きく揺れ動いた。

見上げると、天井から無数の金属製のフックが垂れ下がっている。

どうやら肉の塊は、そのフックに括りつけられた縄に縛り上げられているようだ。

 ビッシーン ❣

湿った空気を劈くような重い音を立て、振り下ろされたのは太く長くよくしなる一本鞭だった。

激しく撃ち込まれる鞭の痛みを堪えているのだろうか?
揺れる肉の塊はビクビクと震えながら、見上げる私の方を振り返った。

憂いに満ちた懐かしい瞳。

流れ落ちる一筋の涙が哀れを誘う。

そこには、泣きわめいた我儘な口を麻縄で塞がれ、くぐもった嗚咽を漏らし許しを請う、妖艶な母の姿があった。





 バッシーン❣


乾いた鞭の音が鳴り響き、倉庫に、あのケダモノの声が木霊する。

「もっと、鳴け、牝豚!」

鞭の柄で秘部を突かれ、逆らうことも出来ず、淫乱な涎を口元から垂らし、謝罪の嗚咽を漏らす醜い母…

「オミャーは、この母豚の娘」

耳元に走る悪寒に思わず私は激しく首を振り否定する。


 ピッシャ―ン ❣

ケダモノの大きな手が、私の頬を打ち
熱い痛みが私の思いを打ち砕く。


「この痛みが、欲しかったんだら?」
「だから、オミャーは、ココへ来た。」

「母親と同じように、汚辱に塗れたくて…」

 ビッシーン、ピシャ―ン、ピッシーン ❣

理不尽に頬を襲う、痛みと屈辱、そして怒りが、涙となって飛び散り、私は朦朧とする意識の中で、必死でカブリを振っていた。

それほど耐え難く、受け入れ難い屈辱なのに、不思議なもので何度も何度も頬を打たれていると、次第に逆らってはいけないのだという思いに駆られ、心が支配されて行く。

何故か、痛みに浄化されていくようで心地良い。

「どうか、罰して下さい。罪深き身体を・・・」
「本当は、この感触を求めていたんです。」
「ずうっと、昔から・・・母と同じように貴方に支配されたかった。」





やがて、肉屋は、さんざん弄った私の頬を撫で、怯える身体を抱きすくめながら、耳に悍ましい舌を這わせて呟いた。

「やっぱ、若い娘はええのう。肌がけっこい。すべすべしとる。」
「オミャーは、今日から、儂のもんになるだ。ええな」

私は何も答えず、勝ち誇ったように私を見つめる頭の禿げあがった初老の男に自ら口付けた。

唇に唇を重ね、敢えて、煙草臭い舌を受け入れ自分の舌を絡めることで、私は、この男のモノになることを承諾したのだ。

まるで、あの淫乱な母と同じように・・・

肉屋は、そんな私の唇を貪るように吸い尽くすと、傍らで立ち尽くしていたハルを呼びつけ厳しい口調で命じた。

「今日から、その年増の母豚はオミャーにやらざぁ」
「娘の前でたんとせせくったれ」

肉屋に抱かれ、口の中に残る煙草臭い唾液を飲み込みながら、私は、傍らで食肉のように吊り上げられた身体をハルに鞭で小突かれ、尻を犯されている母をみていた。

そう、私は、本当はこんな母が好きなの。
ずうっと、憧れて来たわ...

だからこそ、許せなかった。

あの日見た光景が、あまりにも悲惨で美しかったから・・・





この日から、私達、母子は、肉屋の奴隷として、食肉センターの倉庫で飼われることになった。

「ありがとうございます。」

責められることに感謝の言葉を言うよう躾けられ、肉屋とハルに玩具のように弄ばれる。

母とお揃いの犬の首輪を嵌められ、性奴隷としての暮らしがはじまったのだ。


あの日、自宅の縁側からこっそり覗き見た悍ましい光景が、私の目の前で、生々しく展開されている。

来る日も、来る日も...

ケダモノの股間に顔を埋め、醜い肉塊を頬張る母。

頬張り方が悪いと、右の頬を張られ、舐め方が悪いと左の頬を張られる。

「申し訳ございません。」
「しっかりお舐めしますので、お許しください」

そう言いながら健気にしゃぶり続ける母の姿が愛おしい。

息つくことも許されず嗚咽に咽びながら、ケダモノの身体が大きく震え、白く濁った液体が母の口から溢れ出すまで舐め尽くす。

床に這いつくばって、零れ落ちた白濁液を舐めている母。

ケダモノは、その母の尻を蹴り上げ、自分の身体を舐めるよう命じると床に大の字になり、気持ち良さそうに身体を預けている。

やがて、股間の塊を母の身体に突き刺し、下から突きあげながら私を呼んだ。

「よく見にゃーといかんぞ」
「すぐに、オミャーもこうなるだから」

「ちゃんと見ておきなせゃー」

ハルに、頭を抑えられ、目を背ける私。





喘ぎ声を上げながら、必死で懇願する母の声が聞こえる。

「お願いだから、娘だけは、許してやって…」
「私は、なんでもしますから…」

「あっ、ああああ、、いや、、」

「お、お願い、です。」

母の願いも空しく、いつしか、私は、ケダモノの肉塊をしゃぶらされていた。

それも、母と二人で、寄り添うように・・・

「ほら、ちゃんとしゃぶらんか?」
「口より、オチョコに出いて欲しいか?」
「たっぷり注いでやらざぁ」

肉屋に命じられるまま、悍ましい肉の塊を喉の奥まで頬張り、異臭に耐えながら舌を絡め必死で首を振る。

母と競うようにケダモノの肉塊をほおばり、二人で尻を並べて、その悍ましい一物を受け入れる日々。

貫かれながら喜悦の声をあげる母を軽蔑しながら、自分も、また、同じ声で鳴いている。

「血は争えにゃーもんだにゃあ~」

肉屋の一言が心を抉る。





浅く、深く、花芯に出し入れされる淫らな陽物。

身体の奥を掻き回される快感に追われるように昇り詰めて逝く。

「あっ。あっ。ああああ、」
「いや、ああ、い、逝っちゃう、」
「いやああ、あう、あう、あああ、逝くぅううう」
「はぁあうううう、」

一瞬、目の前が暗くなり、身体を突き上げてくる大きなうねりに呑み込まれ、何もかも捧げたいという強い思いに支配されてゆく。

心も、そして身体も...そう、何もかも捧げたい...

「はううう、、もう、もう、どうにでもしてぇええ。」
「逝く、ああ、逝くぅぅううう、イッチャウウウうぅぅぅううう」

身体の奥にドクドクと注ぎ込まれる熱い液体・・・

その悍ましい生命の乱入に、逆らえず、腰を振って喜悦に震える淫乱な牝。

そんな私の頬に、母が、涙を流し、口づける。

「いいのよ、逝って、、」

「もう、我慢しなくていいの。」





長い、妄想から目覚めると、

いつの間にか、日が暮れていた。


身体、そして下着が、びっしょりと濡れている。

すべてを洗い流したくて熱いシャワーを浴びる。


背後から、ふと母に抱きしめられたような気がした。

振り向いても、何も見えない。

やはり、あれは、すべて夢だったんだわ…


 背徳の幻想・・・


その夜
仕事から帰って来た父に、来年、高校に進学したら寄宿舎に入ることを承諾した。
父と離れ離れになるのは辛かったけれど、この街から離れたかった。

あの悍ましい日の出来事を二度と思い出したく無かったから…

「それがいい」

父は、ポツリとそう呟くと、私が子供の頃の話を始めた。

おてんばで、工事現場でケガをして病院に運ばれた時の話。

市立公園の動物ふれあい広場が大好きで、私にせがまれ毎週のように親子三人で遊びに行っていた頃の話。

カピバラが大好きで、チョッカイを出し過ぎた私が追いかけ回されて泣き出した話。

楽しそうに話す父の笑顔が心なしか淋しそうに思えた。



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