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始まり
貴賓室にて2
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ゼスオジは上座に座り、改めてみんなでご飯を食べながらお話をしていた。
と言ってもくそぽっちゃりはおじいちゃんが来たにも関わらず、見向きもせずにずっと食べ続けている。
私はゴルデスマンさんにあんなのと同じくらいだと思われていたのね……さっきまでだけだと思いたい。
そのゴルデスマンさんは部屋の隅で立ったままじっと待機をしていた。
小声で「アナスタシア……」と何度も呟いていたのは聞かなかったことにしておくよ。
話の内容は全て私のことで、記憶喪失と言うことになっているので記憶がある部分のこと……洞窟内のことやエルとの出会い、どうして耳と尻尾が生えているのか、プリティラビットとどのようにして戦ったか、事細かに訊ねられた。
途中で人間だと知らずに刺してしまったことを謝られたが、王様にそこまでされるとは思っていなかったので驚いた。
なので話題を戻し、今はプリティラビットの話をしている。
「ふむ。その歳でプリティラビットに二撃も与えられるとは中々のものじゃ」
「ど、どうも」
結局は倒せなかったから褒められたものじゃない。
でも普段から余り褒められていない私は少し嬉しくなり自分の後頭部を擦りながらペコペコと頭を下げる。
「どうじゃ、グラダラスの騎士になるつもりはないか?」
嬉々としてゼスオジは私に勧誘をしてきた。
断ったら怒ったりするんだろうな。
嫌だなー、入りたくないよー。
「おじいちゃん! マリアは女の子です! 騎士団に入れるだなんて許されませんよ!!!」
どう返事をしたものか悩んでると、エルが大声を出し怒鳴り散らかしていた。
今の見た目は十四、五歳ほどなので女の子って言われるとちょっと嬉しい。
大学生になった途端、高校生からはオバサン扱いだったからね。
「ちょいとした冗談じゃ。にしてもエルはマリアのことを随分気に入ったようじゃな」
ガハハ、と最後には高笑いを追加していた。
それを言われてエルは頬を赤らめた。
恋愛感情はないと思うけど、そう弄られると恥ずかしいお年頃だよね。
「にしても獣術とな……聞いたことがないのぉ」
「マリアが実際にこうなっているのは失った魔法が復活したからだと思うんです。おじいちゃん、どなたか獣術を使わせても問題のないお方はおりませんか?」
ゼスオジは過去の記憶を遡っているのか、顎に手を当て目を瞑り左右に首を傾げながら唸るように喋っていた。
エルが畳み掛けるかのように訊ねると更に渋い顔へと変貌する。
「と言われてものぉ…………居った!」
「どなたですか!?」
ゼスオジは目と口を開き嬉しそうになっていた。
「宮廷魔術師のヒックじゃ。彼なら魔獣と契約もしておるし、うちの者でもない。使って戻れなくても問題ないじゃろ」
「本当ですか! マリア!」
「うん! 食べ終わったら案内してね?」
エルはとっても嬉しがり、私を見て私の名前を叫んでいた。
かく言う私も嬉しい。これで少し進歩した訳だ。
でも戻れなくても問題ない、とかその発言自体問題なのではなかろうか。
それにしても宮廷魔術師かぁ。
助けてもらったんだしお礼も言いたかったので一度は会いたかった。
ヒックさん……どんな人なんだろう。
ゼスオジが彼って言ってたからきっと男の人だと思うけど、怖い人じゃないといいね。
ついでに解き方も分かれば教えて欲しい。
そんな淡い期待と不安を胸に私は自分の空腹を満たすのであった。
「ふむ」
食事をしながらゼスオジは私を見て何やら何度も頷いていたのがとても印象的だった。
と言ってもくそぽっちゃりはおじいちゃんが来たにも関わらず、見向きもせずにずっと食べ続けている。
私はゴルデスマンさんにあんなのと同じくらいだと思われていたのね……さっきまでだけだと思いたい。
そのゴルデスマンさんは部屋の隅で立ったままじっと待機をしていた。
小声で「アナスタシア……」と何度も呟いていたのは聞かなかったことにしておくよ。
話の内容は全て私のことで、記憶喪失と言うことになっているので記憶がある部分のこと……洞窟内のことやエルとの出会い、どうして耳と尻尾が生えているのか、プリティラビットとどのようにして戦ったか、事細かに訊ねられた。
途中で人間だと知らずに刺してしまったことを謝られたが、王様にそこまでされるとは思っていなかったので驚いた。
なので話題を戻し、今はプリティラビットの話をしている。
「ふむ。その歳でプリティラビットに二撃も与えられるとは中々のものじゃ」
「ど、どうも」
結局は倒せなかったから褒められたものじゃない。
でも普段から余り褒められていない私は少し嬉しくなり自分の後頭部を擦りながらペコペコと頭を下げる。
「どうじゃ、グラダラスの騎士になるつもりはないか?」
嬉々としてゼスオジは私に勧誘をしてきた。
断ったら怒ったりするんだろうな。
嫌だなー、入りたくないよー。
「おじいちゃん! マリアは女の子です! 騎士団に入れるだなんて許されませんよ!!!」
どう返事をしたものか悩んでると、エルが大声を出し怒鳴り散らかしていた。
今の見た目は十四、五歳ほどなので女の子って言われるとちょっと嬉しい。
大学生になった途端、高校生からはオバサン扱いだったからね。
「ちょいとした冗談じゃ。にしてもエルはマリアのことを随分気に入ったようじゃな」
ガハハ、と最後には高笑いを追加していた。
それを言われてエルは頬を赤らめた。
恋愛感情はないと思うけど、そう弄られると恥ずかしいお年頃だよね。
「にしても獣術とな……聞いたことがないのぉ」
「マリアが実際にこうなっているのは失った魔法が復活したからだと思うんです。おじいちゃん、どなたか獣術を使わせても問題のないお方はおりませんか?」
ゼスオジは過去の記憶を遡っているのか、顎に手を当て目を瞑り左右に首を傾げながら唸るように喋っていた。
エルが畳み掛けるかのように訊ねると更に渋い顔へと変貌する。
「と言われてものぉ…………居った!」
「どなたですか!?」
ゼスオジは目と口を開き嬉しそうになっていた。
「宮廷魔術師のヒックじゃ。彼なら魔獣と契約もしておるし、うちの者でもない。使って戻れなくても問題ないじゃろ」
「本当ですか! マリア!」
「うん! 食べ終わったら案内してね?」
エルはとっても嬉しがり、私を見て私の名前を叫んでいた。
かく言う私も嬉しい。これで少し進歩した訳だ。
でも戻れなくても問題ない、とかその発言自体問題なのではなかろうか。
それにしても宮廷魔術師かぁ。
助けてもらったんだしお礼も言いたかったので一度は会いたかった。
ヒックさん……どんな人なんだろう。
ゼスオジが彼って言ってたからきっと男の人だと思うけど、怖い人じゃないといいね。
ついでに解き方も分かれば教えて欲しい。
そんな淡い期待と不安を胸に私は自分の空腹を満たすのであった。
「ふむ」
食事をしながらゼスオジは私を見て何やら何度も頷いていたのがとても印象的だった。
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