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幕間Ⅱ
悩めるミレッタ
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マリアがターシャの店で働いてから何度目かの休みがやってきた。
今日もマリアはターシャの店で魔道具作りの基礎を教えられていたり、いなかったり。
その最中のミレッタ達の模様である。
彼女たちはマリアの繋がりで仲良くなり、小心者のミレッタでも二人にはある程度言いたいことは言えるように成長していた。
「はぁ……」
無自覚の深い溜め息が何処からか聞こえてくる。
「どうなさいましたか? そんなに深い溜め息をなさって」
「最近、マリアの様子がおかしいんです」
緑色の髪をした三つ編みのミレッタ、輝くほどの金髪をした縦ロールのセシリー、青髪ショートにトレードマークのピンク色のカチューシャをしたミオがカフェのテラスにてティータイムを楽しんでいる。
だがミレッタは楽しいひとときにも関わらず気分は沈み溜め息までしてしまい、二人は何かあったのか心配をし、ミレッタは誤魔化すことは無理だと諦め、正面に座る二人に心の内を打ち明けようとしていた。
「今日も断られたんですってね。でもマリアは編入したばかりですからやることがあるのではなくて?」
王族であるセシリーは自分も入学してからも必要なものがいくつも出てきたのでその度に街に繰り出し必需品を買い備えていた。
中には他人に見られたくないような物もあるので、きっとマリアもそうなのだと思っていた。
「確かに、それもあるとは思うんですけど……」
彼女の言葉に納得をするミレッタだが、完全には納得をしていなそうだった。
それは少しばかり理由を知っているからだ。
「親衛隊の子から聞いたけど、ラウンジで待機してたけど出てこなかったって」
ミオは今朝聞いたことを口にした。
親衛隊の人達はマリアを出待ちしていたが、待てど暮らせど現れなかったのでたまたま廊下を歩いていたミオにどうしてマリアが現れないのか訊ねていたのだ。
「マリアのお話では習い事をしているようなんです。今朝自分の部屋の窓から飛んでいくのを見かけました。きっとマリア親衛隊に後を付けられたくなかったんだと思います」
飛び降りた瞬間のマリアを目撃し、彼女に駆け寄ろうと思ったがあまりの速さで一瞬のうちに姿を消してしまった。
なので本人には聞けず、今朝見たことと親衛隊に後を付けられたくなかったんだと言う予想をセシリーとミオへ伝える。
「さ、三階もありましてよ!?」
「それほどまでの危険を侵して行かなきゃいけない大切な習い事?」
ゴウとの決闘で並々ならぬ跳躍力を見せつけていたマリアだったが三階はこの間飛んだよりももっと高さがあるのでセシリーは自慢の縦ロールを揺らして驚き、首を傾げたミオは深く考えた。
「本当に習い事なのでしょうか?」
友達を疑うのは良いことではない、と理解はしているミレッタだが王都に来たばかりの彼女が危険な目に遭ってしまうのではないかと不安を募らせているのだ。
「怪しいですわね」
「最近、授業中でもマリアはニコニコしてるし……彼氏が出来た?」
怪訝そうに顎に手を当ててセシリーとミオは考える。
「マリアにフィアンセが出来たかどうか聞いてみたんですけど、違ったみたいで強く否定されてしまいました。ですが、その際にマリアは故郷のことを思い出して寂しそうな顔になっていましたね」
だがミレッタも二人と同じように考えたので既に質問済みだった。
なのでマリアに強く否定されたこと伝え、その時の状況を二人に教える。
「怪しい、ですわね」
「故郷を思い出すなんて怪しい」
「お二人もそう思いますよね?」
三人は勘違いをした。
確かに強く否定すればするほど本当にそのことが違うのか怪しくなるのは人間の心理とも言えるだろう。
だがマリアはそんなことを考えずにいきなりミレッタに聞かれたもんだからビックリして強く否定し、グラダラスでエルとアルも習い事をしていたのをたまたま思い出し、元気にしているのか気になっていただけだった。
結果的に三人はマリアの故郷からマリアの恋人がやってきて遊んでいると早とちりをした。
故郷のことを思い出したのも恋人から故郷の話を聞いてしまったからだと思ってしまったのだ。
「そうと決まれば行くしかありませんわね!」
バンっとテーブルを叩きセシリーは立ち上がり、何かを決心する。
「何処へですか?」
いきなり立ち上がるセシリーをミレッタは首を傾げて不思議そうに見つめる。
だがセシリーの隣に居たミオは理解をして音もなく立ち上がっていた。
「マリアの習い事をしている所へですわ!」
「えええっーー!?」
ビシッとミレッタのことを指差し、差されたミレッタは驚くがそんなのお構い無しに二人はミレッタを掴みマリアの習い事をしていそうな場所を血眼になって探した。
だがそれは建前でマリアが恋人と楽しく遊んでいる瞬間を目撃したい、言わば野次馬根性だった。
──そうして時は進んでいき、初日のマリア探しは失敗に終わり、次も失敗をし、その次も失敗に終わると思い、三人の戦意は喪失しかけ気付けば日は落ち夜になっていた。
「あっ、マリアで──んぐぐっ!」」
「ミレッタ、静かに」
ミレッタはマリアの姿を見つけ大声を出しマリアの元へと向かおうとしたが探していることがバレてしまうと思ったミオはミレッタを掴み口を塞ぐ。
「何をしているのかしら」
「大切そうに布を抱きしめてる。指輪……も」
二人は建物の影に隠れたままマリアを観察していた。
マリアが大切そうに抱きしめているのはターシャがマリアのために作ったローブだ。
ミオはローブに包まれたキラキラと光る物を目にし、瞬時に指輪と見抜いた。
「んぐっ、んぐぐぐぐ──!」
その際、ミオはずっとミレッタの口を塞ぎ息が出来ないでいた。
「あ、ごめん」
「ぷ、ぷはー! し、死んでしまうかと思いました」
やっと息が出来るようになったミレッタは思いっきり呼吸をして苦しそうだ。
そうこうしているうちにマリアは寮の方向へと歩いていってしまう。
「今見たことは三人の秘密にいたしますわ」
「そうだね」
「わ、分かりました」
三人はマリアがあそこで何をしていたのか帰る最中でも口にすることはなく、頭の中で各々思考を巡らせるだけ。
結局マリアのことは明日になれば聞けたので無駄足に終わってしまったが、三人はマリアという繋がりを経てまた少し仲良くなったので全てが無駄足だったとは言えないだろう。
果たしてマリアに恋人が出来るのはいつになるのやら。
今日もマリアはターシャの店で魔道具作りの基礎を教えられていたり、いなかったり。
その最中のミレッタ達の模様である。
彼女たちはマリアの繋がりで仲良くなり、小心者のミレッタでも二人にはある程度言いたいことは言えるように成長していた。
「はぁ……」
無自覚の深い溜め息が何処からか聞こえてくる。
「どうなさいましたか? そんなに深い溜め息をなさって」
「最近、マリアの様子がおかしいんです」
緑色の髪をした三つ編みのミレッタ、輝くほどの金髪をした縦ロールのセシリー、青髪ショートにトレードマークのピンク色のカチューシャをしたミオがカフェのテラスにてティータイムを楽しんでいる。
だがミレッタは楽しいひとときにも関わらず気分は沈み溜め息までしてしまい、二人は何かあったのか心配をし、ミレッタは誤魔化すことは無理だと諦め、正面に座る二人に心の内を打ち明けようとしていた。
「今日も断られたんですってね。でもマリアは編入したばかりですからやることがあるのではなくて?」
王族であるセシリーは自分も入学してからも必要なものがいくつも出てきたのでその度に街に繰り出し必需品を買い備えていた。
中には他人に見られたくないような物もあるので、きっとマリアもそうなのだと思っていた。
「確かに、それもあるとは思うんですけど……」
彼女の言葉に納得をするミレッタだが、完全には納得をしていなそうだった。
それは少しばかり理由を知っているからだ。
「親衛隊の子から聞いたけど、ラウンジで待機してたけど出てこなかったって」
ミオは今朝聞いたことを口にした。
親衛隊の人達はマリアを出待ちしていたが、待てど暮らせど現れなかったのでたまたま廊下を歩いていたミオにどうしてマリアが現れないのか訊ねていたのだ。
「マリアのお話では習い事をしているようなんです。今朝自分の部屋の窓から飛んでいくのを見かけました。きっとマリア親衛隊に後を付けられたくなかったんだと思います」
飛び降りた瞬間のマリアを目撃し、彼女に駆け寄ろうと思ったがあまりの速さで一瞬のうちに姿を消してしまった。
なので本人には聞けず、今朝見たことと親衛隊に後を付けられたくなかったんだと言う予想をセシリーとミオへ伝える。
「さ、三階もありましてよ!?」
「それほどまでの危険を侵して行かなきゃいけない大切な習い事?」
ゴウとの決闘で並々ならぬ跳躍力を見せつけていたマリアだったが三階はこの間飛んだよりももっと高さがあるのでセシリーは自慢の縦ロールを揺らして驚き、首を傾げたミオは深く考えた。
「本当に習い事なのでしょうか?」
友達を疑うのは良いことではない、と理解はしているミレッタだが王都に来たばかりの彼女が危険な目に遭ってしまうのではないかと不安を募らせているのだ。
「怪しいですわね」
「最近、授業中でもマリアはニコニコしてるし……彼氏が出来た?」
怪訝そうに顎に手を当ててセシリーとミオは考える。
「マリアにフィアンセが出来たかどうか聞いてみたんですけど、違ったみたいで強く否定されてしまいました。ですが、その際にマリアは故郷のことを思い出して寂しそうな顔になっていましたね」
だがミレッタも二人と同じように考えたので既に質問済みだった。
なのでマリアに強く否定されたこと伝え、その時の状況を二人に教える。
「怪しい、ですわね」
「故郷を思い出すなんて怪しい」
「お二人もそう思いますよね?」
三人は勘違いをした。
確かに強く否定すればするほど本当にそのことが違うのか怪しくなるのは人間の心理とも言えるだろう。
だがマリアはそんなことを考えずにいきなりミレッタに聞かれたもんだからビックリして強く否定し、グラダラスでエルとアルも習い事をしていたのをたまたま思い出し、元気にしているのか気になっていただけだった。
結果的に三人はマリアの故郷からマリアの恋人がやってきて遊んでいると早とちりをした。
故郷のことを思い出したのも恋人から故郷の話を聞いてしまったからだと思ってしまったのだ。
「そうと決まれば行くしかありませんわね!」
バンっとテーブルを叩きセシリーは立ち上がり、何かを決心する。
「何処へですか?」
いきなり立ち上がるセシリーをミレッタは首を傾げて不思議そうに見つめる。
だがセシリーの隣に居たミオは理解をして音もなく立ち上がっていた。
「マリアの習い事をしている所へですわ!」
「えええっーー!?」
ビシッとミレッタのことを指差し、差されたミレッタは驚くがそんなのお構い無しに二人はミレッタを掴みマリアの習い事をしていそうな場所を血眼になって探した。
だがそれは建前でマリアが恋人と楽しく遊んでいる瞬間を目撃したい、言わば野次馬根性だった。
──そうして時は進んでいき、初日のマリア探しは失敗に終わり、次も失敗をし、その次も失敗に終わると思い、三人の戦意は喪失しかけ気付けば日は落ち夜になっていた。
「あっ、マリアで──んぐぐっ!」」
「ミレッタ、静かに」
ミレッタはマリアの姿を見つけ大声を出しマリアの元へと向かおうとしたが探していることがバレてしまうと思ったミオはミレッタを掴み口を塞ぐ。
「何をしているのかしら」
「大切そうに布を抱きしめてる。指輪……も」
二人は建物の影に隠れたままマリアを観察していた。
マリアが大切そうに抱きしめているのはターシャがマリアのために作ったローブだ。
ミオはローブに包まれたキラキラと光る物を目にし、瞬時に指輪と見抜いた。
「んぐっ、んぐぐぐぐ──!」
その際、ミオはずっとミレッタの口を塞ぎ息が出来ないでいた。
「あ、ごめん」
「ぷ、ぷはー! し、死んでしまうかと思いました」
やっと息が出来るようになったミレッタは思いっきり呼吸をして苦しそうだ。
そうこうしているうちにマリアは寮の方向へと歩いていってしまう。
「今見たことは三人の秘密にいたしますわ」
「そうだね」
「わ、分かりました」
三人はマリアがあそこで何をしていたのか帰る最中でも口にすることはなく、頭の中で各々思考を巡らせるだけ。
結局マリアのことは明日になれば聞けたので無駄足に終わってしまったが、三人はマリアという繋がりを経てまた少し仲良くなったので全てが無駄足だったとは言えないだろう。
果たしてマリアに恋人が出来るのはいつになるのやら。
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