神様の錬金術

ぽりんここりんこぷりぷりのえび

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ベッド

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「こ、こんなものでしょうか?」
「もう少しこっちに置いた方がいいんじゃないの?」

 今日も相変わらず天気が良く、快晴という言葉しか知らなそうなこの島に住むルリとルビィは何やら家の中に何かを置こうとしていた。

 俺は朝からみかんの実と麻の採取に精を出し、腹が減ったので家に戻っている最中だった。
 あと少し、家のドアを開けるだけ。

「んじゃこりゃ──!?」

 昨日までルビィが使ってたベッドは消え去っている。
 代わりに大きなベッドがその場に顕現していた。
 キングサイズはあるかもしれない。
 お陰で場所を結構占領してしまっている。
 だが家はまだ余裕があるので大したことはない。

「あ、おかえりなさい。つ、ついにベッドが完成しました!」

 俺が帰ってきたのに気付き、俺の元に駆け寄ってくる。
 それはもう合図みたいなものだ。

「そうか。頑張ったな、偉いぞ」
「えへへ……」

 頭を撫でる合図だ。
 ルリは俺に褒めて欲しかったみたい。
 撫でられたルリも嬉しそうで褒め甲斐がある。

「私も手伝ったんだからね!」

 ルビィも対抗して俺に駆け寄ってくる。

「そうか。もう足は大丈夫なのか?」
「足? そんなのもう……痛っ!?」

 足を上げて何ともないことをアピールしたかったのか俺が指摘したから思い出してしまったのかルビィは痛がり、俺に抱きついてきた。

「言わんこっちゃない。見せてみろ」
「だ、大丈夫! もう治ったから!」

 俺はルビィが痛がっている右足を見ようとするが、頑なに見せようとはしない。

「る、ルビィちゃんが怪我をしてたのは、ひ、左足じゃなかったです?」

 ルリの指摘に俺は驚かされる。
 確かにルビィが怪我をしていたのは左足だ。
 洞穴でも家でも湿布を張り替えたりしていたのにどうして分からなかったのか。

「もしかして、左を庇うようにして生活してたから右も痛くなったのか!?」
「ち、違う……ばかっ……」

 俺の胸に抱きつきながらギュッと服を掴んでいた。

「まぁ違うならいいか。二人のベッドが完成してよかったな」

 これで俺は悠々自適に床で寝ることが出来る。
 朝の自分に言い聞かせることもなくなりそうだ。

「ぴぇい? な、何を言っているんですか?」
「アンタもこのベッドを使って寝るに決まってるでしょ」

 そんなことを言われた。
 ベットをよく見る。
 確かに二人にしては大きいサイズのベッドだ。
 しかし、俺も寝るとなると寝返りなり何なりの問題で少しだけ小さいのではなかろうか。

 ん? 俺も寝る???

 さも同然に言われてしまったので一瞬、普通に考えてしまった。

「えええっー!?」

 大分遅れて俺は驚いた。
 驚きついでに持っていた、みかんの実と麻を落としてしまう。

「お、落としてます」
「もう何やってるのよ」

 ルリはみかんの実を、ルビィは麻を拾ってくれる。

「済まない。三人で寝ると聞き間違えたようだ」
「そ、そうですけど?」
「何を寝ぼけたことを聞いてるんだか」

 どうやら聞き間違いではないようで、俺は二人と一緒に寝ることになってしまった。
 果たして俺は大丈夫なのだろうか。
 それより朝起きた時にあれがあんなことになって二人に引かれたりしたら俺はこの家に住みづらくなる。

 ……覚悟はしておかないといけないよな。

 ☆

 三人で一緒に寝ると宣言されてからお昼は何を食べたのか、それから何をしていたのかぼんやりと覚えているだけでほとんどは覚えていない。
 唯一ちゃんと覚えているのはシャワーを浴びたことくらいだ。
 臭いと言われたら困るのでそれはもう念入りにゴシゴシした。

「つ、ツバサお兄ちゃんはこっちです」
「早く行きなさいよ。私が寝れないじゃない」

 右にはルリがベッドに入ってスタンバイしており、俺が真ん中で寝るよう促してくる。
 左にはルビィが寝るようで早く俺にベッドへ行けと促される。

「ルビィはいいのか?」

 ルリとは何度も一緒に寝た……と言うか隣に来ていたり引っ張られたりして無理やり一緒寝ていたが別に朝が大変なだけで一緒寝ること自体は嬉しかった。
 だがルビィは俺と寝るのは嫌がるのではなかろうか。

「ルリと決めたから……それにアンタには感謝してるんだから。だからって変なとこ触ったらどうなるか分かってるわよね!」

 自慢のツインテを揺らしながら言い放つ。

 少しでもルビィに触れようものなら命はない……寝ている間でも肝に銘じておかないと。
 だが一緒に寝ること自体は反対ではなかった。

「わ、分かった」

 ニコニコ笑顔で待ち構えているルリの隣へ向かう。
 するといつものように俺にくっつき嬉しそうな顔をしている。
 新しいベッドで寝れるからか尚更嬉しそうだ。

 ベッドの感触も悪くない。
 フカフカしていて雲にでも乗っているような間隔だ。
 これなら硬い床より快適でその日の疲れを取り尽くしてしまうだろう。

「よいっしょ、と……ルリ、もう少しそっちに行ってくれない?」
「わ、私もギリギリ、です」

 右を見ると全然ギリギリではない。
 左を見るとこっちも余裕はある。

 俺は左右の腕を掴まれて左右から押されると言う幸せな状況。
 どちらも甘い匂いがして俺の理性がどうにかなってしまいそうだぜ。

 押して押されてを繰り返していると、ルリは疲れたのか隣でスヤスヤと寝息を立てて眠ってしまう。

 月夜がちょうど俺とルビィを照らしている。

「返す。勝手に奪っちゃってごめんなさい。ツバサが居ない時に手帳の話になったらルリにめちゃくちゃ怒られたわ。"これはツバサお兄ちゃんの大切なものだー"って」

 ズボンのポケットから手帳を出し、横になっている俺の腹の上に置く。

「ルリがそんなことを……」

 手帳は俺の記憶を取り戻せるかもしれない唯一の存在だ。
 それを知っているからこそ怒ってくれたのだろう。
 寝ているけど頭を撫でる。
 寝ていても嬉しそうな顔は変わらない。

「錬金術って言うんでしょ? ルリのおばあちゃんもやってたんだってね」
「らしいな。そうだ、虫除けスプレーと肥料を作りたいんだけど、この素材って島にあったりするのか?」
 
 返してもらった手帳を開き、この前作りたかった物を見せながら話す。
  
「んー、この草に似たやつなら高台に生えてたような気がするけど、実際に行ってみないと分からないわね」

 真剣な眼差しで手帳を見つめ、書いてある草に指を差した。
 その初めて見せる真剣な横顔に俺はドキドキしてしまう。
 こんな顔をするのだと関心もした。
 アレも反応しかける……だがグッと堪え、平常心で口を開く。

「そっか。早速明日探してみるよ、ありがとな」
「べ、別に感謝なんてされるようなことは言ってないわよ」
 
 これ以上話していると、隣で寝ているルリを起こしかねないのでここまでにして眠りにつくことにした。

 目は瞑って寝ているフリをしているが、両側からスースーと可愛い寝息を立てられるので俺は煩悩を振り払うので精一杯だった。
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