白銀の城の俺と僕

片海 鏡

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六章

登場人物 まとめ

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〈エンティー〉 17歳
 主人公。性別は男。第二の性はΩ。
 暴力を我慢し元気なふりをしていたが、勇気を振り絞れるしっかりした性格に成長した。白呪との混血であり、Ωらしく細身であるが回復能力が高い。寿命自体は、人間と同じ。
 彼の発情期がおだやかな理由は、長命である白呪の血が影響をしている。
 シャングアに対して、リュク以外で初めて殴って来ない人から、徐々に変化を遂げて恋に至った。両想いになっても、恋愛がよく分からず四苦八苦していた。
 白呪の話は本人にとっても衝撃的であり、父が存命なのも驚いた。今は程よい距離を保てるようになってきた。
 将来は、シャングアと身体を重ねるとは理解している。だが想像できない。キスですら緊張するし、意識して手を繋ぐと頬が真っ赤になる。こんな状態で、次に進めるのかと悩んでいる。

〈シャングア〉 19歳
 エンティーの番。性別は男。第二の性はα。
 約6年間不完全な洗脳下にあったが、祖母から貰った部屋の影響から虫や動物などの図鑑やその分野の学者達のエッセイを読み漁り、年相応に近い性格を形成した。
 行動派は面もあるが、やや控えめで奥手な所がある。
 エンティーとは小さな噴水のある場所で出会い、一目惚れに近い状態だった。洗脳が解けてから、しっかりと意識を持ち始める。
 奇蹟は思い描けば作り出せるものではなく、いとも簡単に操れる彼は相当な才がある。
 現在、カウンセリングを受けつつ、改めて勉学に励んでいる。
 シャングアの次の難題は、番で在るエンティーとの初夜。まだ成長途中のエンティーとの行為は、彼の成長を阻害すると考えている。周囲の期待もあり、エンティーとは話し合いたいと思うが、シャングア自身も性教育を改めて受ける必要があり、何かと苦難の道のり。

〈リュク〉 19歳
 エンティーの従属であり、兄のような親友。性別は男。第二の性はβ。
 洗脳を受けていたが、エンティーが頬を腫らした事件をきっかけに無意識に抵抗をするようになった。しかし、イルディナータ達から直接命令を受けては、それしか動けなくなってしまう。
 センテルシュアーデによって洗脳は解かれたが、エンティーの加害の一端を担っていた事に今も責任を感じている。
 現在は2人の関係をどう進展させる後押しをすべきか、シャングアの従属であるヴァンジュと相談している。

〈ヴァンジュ・デーゼル〉 21歳
 シャングアの従属。性別は女性。第二の性はβ。
 貴族の娘。元々はシャングアの誓約者に宛がわれる予定だったが、βとなった事をきっかけに従属になった。本人もシャングアを弟の様に思っていたので、都合が良かった。
 6年前の事件をきっかけに、半洗脳状態の彼を影から守り続けていた。エンティーとの出会いも知っており、彼に良い刺激を与えているとして黙認していた。
 現在はリュクと一緒に2人の後押しについて話し合いをしているが、策が思いつかない。下手に話題にしては意識し過ぎて遠ざかる2人なので、慎重に進めなくてはならない。
 
〈センテルシュアーデ・ルエンカーナ〉 27歳
 皇太子を名乗っていたが、本来はシャングアの親戚。性別は男。第二の性はα。
 いつも余裕を持った表情を見せているが、自分の出生から様々な事柄に負い目を感じている。美しい体は小さな傷は瞬時に治り、奇蹟や毒に対する異常なまでの耐性がある。本人はそれが嫌悪の対象であり、自傷行為を行っていた時期がある。トゥルーザに止められ、今は改善している。
 家族同然に聖皇の一族を愛している。シャングアの未来を守る為に、必死に立ち回り続けた。
 リルに関して嘘の噂を流しており、他の誓約者とも体の関係を持っていない。いずれはその関係を解消しようと考えているが、誓約者たちは断固として彼の傍に居ると言っている。
 遊び相手も務めていたトゥルーザに対して、幼少期に恋心を抱いていた。出生の真実を知ってからは諦めて、良き友であり主人として振舞っている。

〈トゥルーザ・アイゼン〉 29歳
 センテルシュアーデの誓約者兼護衛。性別は男。第二の性はΩ。
 真面目な性格。センテルシュアーデの良き理解者であり、彼が唯一素の自分を見せられる人。
 Ωとは思えない屈強さと成長はかなり稀な例。また、発情期は媚香と発情、巣作りが発生せず、動物の繁殖期に見られる攻撃性がかなり現れ、動くもの全てを敵とみなす程凶暴になる。十代の頃は度重なる器物の破損、負傷者多数発生させ、徹底的に管理するようになった。本人にとっては悩みの種である。特異な体質なので、研究者たちは興味津々である。
 センテルシュアーデに対して忠誠心以外に、恋とも愛とも言い切れない複雑な感情がある。Ωは子供を産むのが役目だが、彼は産めない体である。なので、彼は必要のない感情だと割り切っているが、ずっと心の隅に残っている。

〈フェルエンデ・ルエンカーナ〉 25歳
 シャングアの兄の一人。性別は男。第二の性はα。
 全盲ではあるが、それを悲観しないさっぱりとした性格の持ち主。
 センテルシュアーデと共に回帰を目指す貴族とイルディナータ達について調べ、白呪と情報共有をし続けた。
 神殿の価値観に捕らわれず、神殿の外に住んでいる薬剤師のΩと番になった。時々しか会えないが、文通を欠かさず行っている。子供が生まれた際の相談もしっかりと行っている。
 兄弟の中でも性格は若かりし頃のバルガディンとよく似ていると言われているが、本人としては母親似と言って欲しいらしい。
 現在は洗脳を受けていた聖徒達の治療に尽力している。またΩとαの抑制剤を一般で手軽に買えるように量産できないか、と模索している。Ωの発情から来る体調変化の苦悩、αの発情による加害欲求からくる苦悩、どちらも軽減しなければ社会は進展しないと考えている。


〈バルガディン・メルエディナ・ルエンカーナ〉 52歳
 現聖皇。性別は男。第二の性はα。
 大胆で大雑把、お祭り好きの性格にみせかけて、かなり冷静な面を持ち合わせている。多忙である故に番の変化に気づくのが遅れてしまい、深く後悔している。母の遺志を継ぎ、我が子と神殿を守る為に立ち回り、表向きは良き聖皇として動いていた。
 シャングアの誓約者が決まった時は、本気で喜んでいた。いても経っても居られず、エンティーの顔を覚えてもらう為に洗脳下にいない皇族を呼び寄せた。2人は健やかに育って欲しいと思っている。
 センテルシュアーデは、汚れ者がいてはいけないと思い皇族の籍から抜けたいと申し出たが、家族同然に愛しているバルガディンはそれにショックを受けて半泣きで止めた。結果彼は今も皇族のまま。現在は、シャングアとエンティーの番の公表の際の宴を計画しつつ、センテルシュアーデとトゥルーザの関係がどうなるか気になっている。

〈エンディリアム〉と〈エンティーの父ディザンカ〉 年齢不明
 白呪の民。性別はαに該当する。
 大きな罪と責任を背負って生きて来た龍の民。白呪の血によって変異した人を治す霊薬を発見したが、既に手遅れであった。
 エンディリアムは生涯を捧ぐ恋をし、ディザンカは愛を形にした。
 ディザンカは地下で何度も採血され暴力を受けながらもエンティーの生存を祈り続け、エンディリアムは彼の救出と神殿へ入る方法を探し続けていたところ、幼いフェルエンデと出会った。
 ディザンカは現在も龍のまま。人の姿にも戻れるようになったが、息子との距離が離れてしまうのではと躊躇っている。今は毎週のように妻の墓に通っている。
 エンディリアムは現在、白衣の医療団で弟子のテンテネと共に医者として働いている。誰かを助ける喜びを噛み締め、時折神殿の片隅の小さな噴水で1人静かに過ごしている。
 運命の番の概念は聖徒達が作った物であり、白呪には存在しない。αがΩを縛る為に作った作り話だと想定される。それをエンディリアムは、シャングアとエンティーに教えた。2人は驚いたが〈運命は存在する〉と彼は微笑んだ。

〈テンテネ〉 24歳
 白呪の新星。性別はΩ。
 エンディリアムの弟子であり、フェルエンデの働きかけでエンティーの主治医に抜擢された。エンティーを見た瞬間〈この人だ!!!!〉と彼女の直感が働いたらしく、彼のことを〈ご主人様〉と無許可で呼ぶようになった。
 現在もエンティーの主治医を務めつつ、性に関する相談を真摯に受け答えしている。妊娠出産そして育児が課題になって来るので、テンテネも勉強している。

〈ラニャ〉と〈ミースア〉 共に10歳
 エンティーを慕っている子供達。まだ第二の性は判明していない。
 白呪の青紫の血液を使用して作られた薬を飲まされていた。変異したのは2人がΩになる予定だったからではなく、身体が適応してしまったが故。
 現在、白呪の民達の薬を貰い、治療中。経過は良好で、少しずつ普段の生活に戻り始めている。

〈ガンザ〉 64歳
 メルエディナの従属を務めた。性別は男。第二の性はβ。
 平民出身であるが、その腕の良さをメルエディナが買い、従属にした。彼は輝かしいばかりの彼女に心酔し、忠誠を誓った。
 メルエディナはいずれ来る時に備え、ガンザを地下に隠した。彼女は予知の内容を彼に話し、証拠を集める様に命じた。エンティー達に関わる最新の内容は無理であったが、500~200年ほどの前の資料の一部を廃棄所から発見し、保管していた。
 現在はバルガディンの従属になり、地下と地上を行き来する生活を送っている。引退してはどうか、とバルガディンから提案を受けたが、動ける限りは働きたいと断った。

〈イルディナータ〉 76歳
 主犯格の一角。性別は男性。第二の性はα。
 誠実な人だった。真面目な人だった。人当たりが良く、聖皇に相応しい人だとも言われた。
 メルエディナの予知能力とその類稀なる才能から、玉座は遠のき、回帰を目指す貴族達に唆され、思想が偏り、妄信し、狂って行った。
 15年前に発生した流行り病の際に功績を上げ、その影でエンティーの父を捕獲した。次に襲い掛かった約10年前の感染症の際には指揮を取った。そして白呪の血で作った薬を治療薬として配給し、人々を苦しめ、地下の監獄へと収容された。しかし貴族達と自ら洗脳させていた看守たちを操り、奇蹟を無効化する拘束具を解き、地下で暗躍をし続けていた。
 現在も監獄にいる。拘束具を付けられ、センテルシュアーデによる洗脳の奇蹟によって、現実を見せられ苦しんでいる。
 また暗躍していた第二位の貴族2つは、赤子2名、13歳以下の子供3名、一族から逃げた14歳と20歳の若者、および聖皇に忠誠を誓う内通者1名除いて、合計26名が拘束された。罪状によって地下監獄の層をばらけさせ、主犯格はイルディナータと同じく最深部に投獄される。
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