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5章 銀狐と星の愛子と大地の王冠
65話 星の愛子の村
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牙獣の王冠へ向かう前に、私は念の為自分の荷物を確認した。服は、霊峰の管理者御用達の登山服のように防寒対策がしっかりされながら、動きやすく丈夫な作業着。底が厚く、靴擦れを起こしにくいようしっかりとサイズ調整された登山靴。リュックの中には、三日間の使い回す為の衣類に、移動食や水の入った水筒、レインコート、ロープやナイフ、イエローダイヤの髪飾り入り化粧箱等、そして重要なのが私の千年樹の杖と〈朝焼けの杖〉だ。私の作った杖は、剣の様に腰へ専用のケースに入れて携え、朝焼けの杖は特殊な箱に収まっている。
「お嬢様。申し訳ありませんが、確認の為に朝焼けの杖を門番へ見せていただけますか?」
登山道入り口の硬く閉ざされた門の前に立つ騎士は、私に深々と頭を下げる。ニアギスがいる事で、アーダイン公爵家からの許可が下りているのは彼らも承知の上であるが、朝焼けの杖は所持必須だと念を押された。
「これが朝焼けの杖、です」
鍵付きの重厚な箱を開け、騎士に見せた。
中に収められているのは、まるで蛇の様に蜷局を巻いた手の平に収まる程の小さな球体。
素材は、立ち枯れた樹木が乾燥して白くなる〈白骨木〉に似ているが、私には種か卵のように思え、今にも動き出しそうに思えてしまう。
「確かに、朝焼けの杖ですね」
騎士が手をかざすと、少しだけ蜷局が緩んだ。魔力に反応したからだ。
朝焼けの杖は、術者の魔力を吸い上げる事で球体が一本の杖へ成長するが、それを完成させた人は現代にはいない。陛下がアーダイン公爵に頼み、全貌を見ようと試みたが、彼は途中で〈杖〉に拒絶されたと言って中断をした。知識のある彼が出した答えによって、魔術師ではなく魔法使いの杖であると判明した。
私が12歳になり城で朝焼けの杖を賜った際に、陛下が楽しそうに仰られていた。
魔法使いの資質が巡り巡って、朝焼けの杖を引き寄せたような、運命的な何かを感じるが、自分で作った杖と喧嘩をしないか心配だ。魔術の練習の過程で、全面的に杖は力を貸してくれるが、機嫌や気分によって威力に若干の差があると気づいた。完全に拒絶するような杖では無いと信頼できるが、いざという時を考えると不安になる。
「ちゃんと手入れされ、大事になさっている御様子で安心をしました。陛下もお喜びのことでしょう」
この人は陛下側の人か…………いや、風森の神殿は国が管理しているから、ここは協力体制なのだろう。それとも、この日の為だけに臨時でやって来て、分かり易く正体をバラしたのか。
国宝を渡した令嬢相手だから、人財の無駄使いとは言い難く、陛下は何を考えているのか本当に分からない。
「確認が済みましたので、参りましょうか」
私が朝焼けの杖が入った箱をリュックに入れるのを確認すると、ニアギスは私に尋ねて来た。
「うん。あなたが魔術を使う際は、私達は動かない様にしていれば良いかな?」
「はい。それともう一つ、目を閉じてください。谷底への落下の様に、急激な勢いで目に情報が送られる為、頭痛や吐き気などの症状に襲われる危険性があります。情報の一時的な排除の為、必ず行ってください」
他のゲームや小説で、瞬間移動でキャラによって体調不良になる原因を理解した。中には別の理由もあるが、視界から入る情報の急激な変化に脳がパニックを起こしそうだ。
別のところから違う所へ移動する瞬間は、どんな風に見えるのか興味が沸くが、遅刻の身なので我慢をする。
「それでは、目を閉じてください」
私はニアギスに言われた通り、目を閉じた。
そして、一瞬で鼻をくすぐる香りが、より土臭くなった。それでいて、花の様な甘い香りがほのかにする。
「もう大丈夫ですよ」
「うん」
瞼を開けると、洞窟の中に築き上げられた原住民の村に到着していた。周囲は灯りが灯されているので明るく、すぐに目が慣れることが出来た。
本当に空間移動を一瞬で行った。現実に起こった。驚いて言葉が出てこない。
「こちらが、妖精〈星の愛子〉様の村の1つになります。牙獣の王冠には、他に3つの村があります」
ニアギスの冷静な説明に、私は直ぐに我に返った。
村は、まるで絵本の世界のように可愛らしい。岩と土で作られた小さな家々が建ち並び、魔鉱石を利用した灯りの周りには可愛らしい花が植えられている。木彫りの鳥や猫の様な置物が各家の玄関先にあり、表札代わりになっているようだ。ダンジョンの中で文明があり、営みが今も続いている事に感動を覚える。
『星の愛子……良かった。居場所を見つけたのか』
(どういう妖精?)
ニアギスの言葉に、今まで黙っていたレフィードが反応した。
『温厚で争いを好まない大人しい妖精だ。小人と呼ばれる亜人の類に似た小さな体をしている。彼らは洞窟に住む。800年前の戦火から逃げた人間達に、時代を経て採掘現場にする為に、小さな彼らは追い出され続けた。そうか……ここなら、近づく者は少ない』
魔物が闊歩するダンジョンの中で、生活するのは危険が伴うが、人間が入り難い領域だ。彷徨い続けた彼らにとって、ようやく見つけた安息の地だ。こうして家並みや、生活をしている空気を感じ取ると、彼らを追放した人間ではないのに、責任を感じてしまう。
「あ、ミューゼリアちゃん久しぶり!」
地面に座って小人の様な妖精達と話していたアンジェラさんは、私に気づいて手を振ってくれる。
「アンジェラさん!」
私が駆け寄ろうとした瞬間、周囲にいた妖精達が一斉に家の中へと入って行った。小さな村の広場は私達しか残っていない。
「ごめんね。あの子達は警戒心が強くて、知らない人が来ると、直ぐに家に籠っちゃうんだ」
きっと何代もかけて培った生存戦略なのだろう。どこの家も洞窟の壁に面している所を見ると、逃げ道を確保しているようだ。
「仕方ないですよ。山脈を超えて来る人なんて、滅多にいないでしょうから」
どんなにこちらが無害と言ったところで、彼らから見れば巨人が襲撃してきたようなものだ。上から突然襲われる恐怖は、私も充分知っている。だから、静かに適切な距離を保てるように努めよう。
「ペム!」
アンジェラさんの後ろから現れた星の愛子の一人が私に抱き着いて来た。
60㎝くらいの身長に、刺繍入りのローブの民族衣装。猫の耳の様にフードが尖っているので、角か耳が上にあるようだ。人間と決定的に違うのは、鼻や口が見当たらない緩やかな平らでいながら柔らかさのある顔だ。しかし不気味さは無く、つぶらな瞳と相まってマスコットの様な可愛らしさを持っている。
「キュイ」
「え? えと……」
「ムー………ペム!」
先程の子達と打って変わり、星の愛子さんが好奇の目で見つめてくる。私の作業着を軽く引っ張り、グルグルと周りを見ながらじっくりと観察され、困惑する。
「こちらは、グランドギア様。星の愛子の中で、唯一我々の言語の読み書きが出来る御方です。他の方々よりも好奇心と探求心が強く、アーダインからの使者に対しても積極的に対応してくださっています」
「フンニプニム!」
予想の斜め上を行く厳つい名前だ。隠れてしまった住民達もそんな名前なのだろうか。
「今発せられているのは彼らの言語ではありません。また、彼らの発声法は特殊な為、我々の言葉を話せません。グランドギア様の声には、我々に対して感情をより分かり易く伝える役割のみが付与されています。そのため〈ペム〉と喜びを表しても、次は違う感情を乗せている場合がありますので、ご注意ください」
「フンニ」
そうなんだよ、と言うかのようにグランドギアさんは、うんうんと頷いた。
「ぺ!」
自信満々の可愛い顔でグランギアさんは、懐から折り畳まれた紙を私に差し出した。
〈お初にお目にかかりまする。拙者グランドギアと申す。レンリオス子爵令嬢にお会いでき、光栄至極。拙者の名前は気軽にグランと呼んでいただけると、大変喜ばしく候。牙獣の王冠での調査に同行させていただきたく、よろしくお願いつかまつる〉
…………文章がおかしい所はあるが、こちらも予想の斜めを行っている。しかも達筆。
「最近の流行りのようですね」
「は、流行り……」
グランが読み書きを覚える過程で、一体どんな本を読んだのだろうか。
「ミュ?」
私の反応が悪かったからか、途端に不安そうな顔をするグランギアさん。
「よ、よろしくね。グラン」
「ミ!!」
満面の笑顔を浮かべて、私にギュッと抱き着いた後、ニアギスの元へ駆け寄って行った。トタトタと歩く後ろ姿が可愛らしく、保護欲が湧く。
「この方が協力者なのは、わかりましたが、場所を変えることは出来ますか?」
リュカオンは一歩離れた場所から、私達へ提案してきた。
「ここは彼らの居場所です。長居するのは良くありません」
「うん。そうだね。行こうか」
アンジェラさんもその提案に乗り、立ち上がった。
村は私達にとっても安全な場所ではあるが、彼らの生活を阻害してしまうのは良くない。
「半壊しちゃってるけど、アーダイン公爵が設置してくれた家があるから、そこへ移動しよう」
「えっ、何かあったのですか?」
牙獣の王冠の魔物調査の為の拠点となる小さな家が建っている。私も事前に聞いてはいたが、半壊しているとは思わなかった。そういえば、ゲームでも見た覚えがない。再度破壊されて、建てる場所を移動させたのだろうか。
「3日前に、若い飛竜2匹が空中でじゃれ合って、小屋に落下してきたんだ。ボクや伝達の為に来てた銀狐さんは、たまたま外にいたから無傷だったよ」
飛竜は高い山や岩壁に巣を作る。ゲーム上でも、牙獣の王冠のバトルで稀に出現していたのでその点は驚かないが、そういう事故も発生すると思うと、危険地帯なのだと改めて実感する。
「建て直しの準備の為に、壊れて落下しそうな部分は取り除いたし、強めの結界魔術の魔方陣を広めに張ったから魔物が来る心配はないよ」
「承知致しました。私が皆様を移動させます。よろしいでしょうか?」
アンジェラさんを信頼している様子でニアギスは私へ確認を取る。
「うん。まだ昼だから、早めに調査拠点を見て整備しよう」
「はい。それでは、まずお嬢様とシング様、リュカオン殿の3人、その後で私とグランドギア様と移動させていただきます」
私達は再度、空間を移動する。
「お嬢様。申し訳ありませんが、確認の為に朝焼けの杖を門番へ見せていただけますか?」
登山道入り口の硬く閉ざされた門の前に立つ騎士は、私に深々と頭を下げる。ニアギスがいる事で、アーダイン公爵家からの許可が下りているのは彼らも承知の上であるが、朝焼けの杖は所持必須だと念を押された。
「これが朝焼けの杖、です」
鍵付きの重厚な箱を開け、騎士に見せた。
中に収められているのは、まるで蛇の様に蜷局を巻いた手の平に収まる程の小さな球体。
素材は、立ち枯れた樹木が乾燥して白くなる〈白骨木〉に似ているが、私には種か卵のように思え、今にも動き出しそうに思えてしまう。
「確かに、朝焼けの杖ですね」
騎士が手をかざすと、少しだけ蜷局が緩んだ。魔力に反応したからだ。
朝焼けの杖は、術者の魔力を吸い上げる事で球体が一本の杖へ成長するが、それを完成させた人は現代にはいない。陛下がアーダイン公爵に頼み、全貌を見ようと試みたが、彼は途中で〈杖〉に拒絶されたと言って中断をした。知識のある彼が出した答えによって、魔術師ではなく魔法使いの杖であると判明した。
私が12歳になり城で朝焼けの杖を賜った際に、陛下が楽しそうに仰られていた。
魔法使いの資質が巡り巡って、朝焼けの杖を引き寄せたような、運命的な何かを感じるが、自分で作った杖と喧嘩をしないか心配だ。魔術の練習の過程で、全面的に杖は力を貸してくれるが、機嫌や気分によって威力に若干の差があると気づいた。完全に拒絶するような杖では無いと信頼できるが、いざという時を考えると不安になる。
「ちゃんと手入れされ、大事になさっている御様子で安心をしました。陛下もお喜びのことでしょう」
この人は陛下側の人か…………いや、風森の神殿は国が管理しているから、ここは協力体制なのだろう。それとも、この日の為だけに臨時でやって来て、分かり易く正体をバラしたのか。
国宝を渡した令嬢相手だから、人財の無駄使いとは言い難く、陛下は何を考えているのか本当に分からない。
「確認が済みましたので、参りましょうか」
私が朝焼けの杖が入った箱をリュックに入れるのを確認すると、ニアギスは私に尋ねて来た。
「うん。あなたが魔術を使う際は、私達は動かない様にしていれば良いかな?」
「はい。それともう一つ、目を閉じてください。谷底への落下の様に、急激な勢いで目に情報が送られる為、頭痛や吐き気などの症状に襲われる危険性があります。情報の一時的な排除の為、必ず行ってください」
他のゲームや小説で、瞬間移動でキャラによって体調不良になる原因を理解した。中には別の理由もあるが、視界から入る情報の急激な変化に脳がパニックを起こしそうだ。
別のところから違う所へ移動する瞬間は、どんな風に見えるのか興味が沸くが、遅刻の身なので我慢をする。
「それでは、目を閉じてください」
私はニアギスに言われた通り、目を閉じた。
そして、一瞬で鼻をくすぐる香りが、より土臭くなった。それでいて、花の様な甘い香りがほのかにする。
「もう大丈夫ですよ」
「うん」
瞼を開けると、洞窟の中に築き上げられた原住民の村に到着していた。周囲は灯りが灯されているので明るく、すぐに目が慣れることが出来た。
本当に空間移動を一瞬で行った。現実に起こった。驚いて言葉が出てこない。
「こちらが、妖精〈星の愛子〉様の村の1つになります。牙獣の王冠には、他に3つの村があります」
ニアギスの冷静な説明に、私は直ぐに我に返った。
村は、まるで絵本の世界のように可愛らしい。岩と土で作られた小さな家々が建ち並び、魔鉱石を利用した灯りの周りには可愛らしい花が植えられている。木彫りの鳥や猫の様な置物が各家の玄関先にあり、表札代わりになっているようだ。ダンジョンの中で文明があり、営みが今も続いている事に感動を覚える。
『星の愛子……良かった。居場所を見つけたのか』
(どういう妖精?)
ニアギスの言葉に、今まで黙っていたレフィードが反応した。
『温厚で争いを好まない大人しい妖精だ。小人と呼ばれる亜人の類に似た小さな体をしている。彼らは洞窟に住む。800年前の戦火から逃げた人間達に、時代を経て採掘現場にする為に、小さな彼らは追い出され続けた。そうか……ここなら、近づく者は少ない』
魔物が闊歩するダンジョンの中で、生活するのは危険が伴うが、人間が入り難い領域だ。彷徨い続けた彼らにとって、ようやく見つけた安息の地だ。こうして家並みや、生活をしている空気を感じ取ると、彼らを追放した人間ではないのに、責任を感じてしまう。
「あ、ミューゼリアちゃん久しぶり!」
地面に座って小人の様な妖精達と話していたアンジェラさんは、私に気づいて手を振ってくれる。
「アンジェラさん!」
私が駆け寄ろうとした瞬間、周囲にいた妖精達が一斉に家の中へと入って行った。小さな村の広場は私達しか残っていない。
「ごめんね。あの子達は警戒心が強くて、知らない人が来ると、直ぐに家に籠っちゃうんだ」
きっと何代もかけて培った生存戦略なのだろう。どこの家も洞窟の壁に面している所を見ると、逃げ道を確保しているようだ。
「仕方ないですよ。山脈を超えて来る人なんて、滅多にいないでしょうから」
どんなにこちらが無害と言ったところで、彼らから見れば巨人が襲撃してきたようなものだ。上から突然襲われる恐怖は、私も充分知っている。だから、静かに適切な距離を保てるように努めよう。
「ペム!」
アンジェラさんの後ろから現れた星の愛子の一人が私に抱き着いて来た。
60㎝くらいの身長に、刺繍入りのローブの民族衣装。猫の耳の様にフードが尖っているので、角か耳が上にあるようだ。人間と決定的に違うのは、鼻や口が見当たらない緩やかな平らでいながら柔らかさのある顔だ。しかし不気味さは無く、つぶらな瞳と相まってマスコットの様な可愛らしさを持っている。
「キュイ」
「え? えと……」
「ムー………ペム!」
先程の子達と打って変わり、星の愛子さんが好奇の目で見つめてくる。私の作業着を軽く引っ張り、グルグルと周りを見ながらじっくりと観察され、困惑する。
「こちらは、グランドギア様。星の愛子の中で、唯一我々の言語の読み書きが出来る御方です。他の方々よりも好奇心と探求心が強く、アーダインからの使者に対しても積極的に対応してくださっています」
「フンニプニム!」
予想の斜め上を行く厳つい名前だ。隠れてしまった住民達もそんな名前なのだろうか。
「今発せられているのは彼らの言語ではありません。また、彼らの発声法は特殊な為、我々の言葉を話せません。グランドギア様の声には、我々に対して感情をより分かり易く伝える役割のみが付与されています。そのため〈ペム〉と喜びを表しても、次は違う感情を乗せている場合がありますので、ご注意ください」
「フンニ」
そうなんだよ、と言うかのようにグランドギアさんは、うんうんと頷いた。
「ぺ!」
自信満々の可愛い顔でグランギアさんは、懐から折り畳まれた紙を私に差し出した。
〈お初にお目にかかりまする。拙者グランドギアと申す。レンリオス子爵令嬢にお会いでき、光栄至極。拙者の名前は気軽にグランと呼んでいただけると、大変喜ばしく候。牙獣の王冠での調査に同行させていただきたく、よろしくお願いつかまつる〉
…………文章がおかしい所はあるが、こちらも予想の斜めを行っている。しかも達筆。
「最近の流行りのようですね」
「は、流行り……」
グランが読み書きを覚える過程で、一体どんな本を読んだのだろうか。
「ミュ?」
私の反応が悪かったからか、途端に不安そうな顔をするグランギアさん。
「よ、よろしくね。グラン」
「ミ!!」
満面の笑顔を浮かべて、私にギュッと抱き着いた後、ニアギスの元へ駆け寄って行った。トタトタと歩く後ろ姿が可愛らしく、保護欲が湧く。
「この方が協力者なのは、わかりましたが、場所を変えることは出来ますか?」
リュカオンは一歩離れた場所から、私達へ提案してきた。
「ここは彼らの居場所です。長居するのは良くありません」
「うん。そうだね。行こうか」
アンジェラさんもその提案に乗り、立ち上がった。
村は私達にとっても安全な場所ではあるが、彼らの生活を阻害してしまうのは良くない。
「半壊しちゃってるけど、アーダイン公爵が設置してくれた家があるから、そこへ移動しよう」
「えっ、何かあったのですか?」
牙獣の王冠の魔物調査の為の拠点となる小さな家が建っている。私も事前に聞いてはいたが、半壊しているとは思わなかった。そういえば、ゲームでも見た覚えがない。再度破壊されて、建てる場所を移動させたのだろうか。
「3日前に、若い飛竜2匹が空中でじゃれ合って、小屋に落下してきたんだ。ボクや伝達の為に来てた銀狐さんは、たまたま外にいたから無傷だったよ」
飛竜は高い山や岩壁に巣を作る。ゲーム上でも、牙獣の王冠のバトルで稀に出現していたのでその点は驚かないが、そういう事故も発生すると思うと、危険地帯なのだと改めて実感する。
「建て直しの準備の為に、壊れて落下しそうな部分は取り除いたし、強めの結界魔術の魔方陣を広めに張ったから魔物が来る心配はないよ」
「承知致しました。私が皆様を移動させます。よろしいでしょうか?」
アンジェラさんを信頼している様子でニアギスは私へ確認を取る。
「うん。まだ昼だから、早めに調査拠点を見て整備しよう」
「はい。それでは、まずお嬢様とシング様、リュカオン殿の3人、その後で私とグランドギア様と移動させていただきます」
私達は再度、空間を移動する。
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