オトコノコの性(さが)

ゆめゆき

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オトコノコの性 1

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 ぼくとせつなは無二の親友だ。

 親どうしが友人関係で、家も近くて、小さい時からずっと一緒。

 ある時、せつながこっそりあるものを見せてきた。

「ね、これ見て」

「ん…?」

 それは漫画雑誌だった。開かれたページには…。

「あ…」

 そこには男どうしでエッチなことをしている絵が描かれていた。

 黒い線が引かれて、隠されているけど、おちんちんがお尻に挿入っているみたいだった。

 少女漫画っぽい絵柄で、一人の男の子が寝ていて、その腰の上にもう一人の男の子が乗って、斜線で顔を赤らめているのが表現されている。汗も描かれている。"ハアハア"と言う書き文字。吹き出しのせりふは『俺、ずっとこうしたかった…!』『オレも…お前とつながれてうれしい…っ!』

 続くページにも、そういう絵がいっぱいあった。

 よくわからないけど、ものすごくエッチに感じて、ぼくはどきどきして、おちんちんがひりついた。

「すごくない?お姉ちゃんが一回捨てた雑誌なんだけど、おれ全部持って帰ってきちゃった」

「うん。すごい…」

 いわゆる、BLというやつだろう。

 せつなのお姉ちゃんにこんな趣味があったとは…。

「貸そうか?」

「うん。でも、親に見つかるとやばいよ」

 せつなはどこにかくしているのだろうか。せつなには一人部屋があるから、ベッドの下とかに隠せば平気なのかもしれない。

「けっこう、分厚いもんね。気に入ったの何ページか切り取ってもいいよ」

「いいの?」

「いいよ!その代わり. 天音あまねがこういうの見つけたら、おれにも見せて…」

 ぼくらはくすくす笑いあって二人で雑誌をめくり、見つけたエッチな絵を共有して、すげえ!とかエロ過ぎ!とか言ってこっそり盛り上がった。

 ぼくとせつなは、物心ついた頃から男の人が好きだった。

 お互いがその対象にはならなかったけど、仲のいい友達だった。

 ぼくは結局、三ページ選んでカッターでそのページを切り離すと、大事に折りたたんで家に持ち帰った。

 漫画の内容はピンと来ないし、少年漫画とちがって読みにくかったけど、エッチな絵は気に入った。

 家に帰ると、兄も両親もまだ帰ってないことをしっかり確認して、兄との共同の部屋で一人でじっくりと絵を見た。

 大きく描かれた男どうしのセックスのシーンだ。

 大人っぽいクールな男が、かわいく描かれた男の子のお尻におちんちんを挿れている。

 クールな男は汗をかきながらもキリッとしているが、かわいい男の子は顔を赤らめ、目をつむり、眉を八の字にしている。

 "ハアハア"、"ぐちゅぐちゅ"、"パンッパンッ"という書き文字、『かわいいよ…海斗』『ああん!気持ちいい…っ!好きです…好き…!』というせりふ。

「やばいよ~これ…」

 ぼくはオナニーしたくなってきた。

 今まではぼんやりと男の人と裸で抱き合う妄想をして、おちんちんをいじって射精してたけど、今日はその絵を見ながら、シコシコした。

「あ…あ…♡はあ…っ♡はあ…っ♡」

 その日のオナニーは今までで一番気持ちよかった。

 それからも、せつなに漫画の切りぬきを何度も借りた。

 ぼくはエッチな絵を見つけることは出来なかったけど、スマホを与えられてからは、せつなとエッチな画像や動画のURLを共有するようになった。

 せつなもぼくも、早く男の人とセックスしてみたいと切望していた。

 相手がいないけど…。

 これはせつなには言わないでいたけど、ぼくはアナニー、アナルオナニーをするようになっていた。

 それから…。

 数年のち、ぼくは唐突にせつなから衝撃の告白を受けた。

「おれ、初めてエッチ…しちゃったよ…」

「えっ!誰と?つきあってる人、いたの??」

「ううん。出会い系サイトで…相手を探して…」

「それって、危なくない?」

「危ないよね。変な人じゃなくて、ラッキーだったよ。でも、もう本当にムラムラして仕方なくてさ~!」

 それから、ぼくはせつなにどんな相手と、どんな風にエッチしたのか、気持ちよかったかを聞いた。

「う~ん…気持ちよかったよ…!すっごく興奮して…すっごいどきどきして…扱いてもらって、二回射精した」

 相手は一回り年上のサラリーマンで、スーパー銭湯で待ち合わせしたという。

 そこの男子トイレの個室で、お尻にペニスを挿れてもらい体を繋げたのだと。

「外に音とか声とか聞こえないかって、スリルがあったけど…もっとリラックスしてしたいねって…今度、ホテルに連れていってくれるって…連絡先交換したし、その人と…セフレになるかも…!」

 せつなは浮き足だった様子だった。

 せつなの生々しい体験談を聞いて、ぼくも、早くエッチしてみたいという気持ちが更に強くなった。

 だけど、見ず知らずの相手に身を委ねるというのは怖かった。

 せつなの相手も年上過ぎると思ったし、トイレで初体験なんてぼくは嫌だと思った。

 そんなぼくに思いもよらぬ僥倖が訪れる。

 それは同級生、しかもクラスメイトからの告白だった。

 相手はいつも教室の隅でぼんやりしているような目立たないやつだった。

 ぼくはそいつの下の名前も知らなかったし、ぱっとしないなあと思っていた。ぼくより背も低いし、ちょっと小太りだ。

 だけど、下校時に追いかけて来られて、ずっと、見てたんだ。好きなんだ。つきあってくれない?って言われて悪い気はしなかったし、ぼくは妥協することにしてしまった。

 告白されるなんてことも初めてだったし、そのこと自体にぼくは感動してしまったのもある。

 その日のうちに、ぼくはそいつの家に招かれた。

 ぼくの家よりずっと大きいモダンな雰囲気の家で、お屋敷といっても差し支えないような家だ。

 そして、そいつの広い部屋のでかいベッドに誘導され、強引に迫られた。

「ちょっと、待ってよ!」

 と、ぼくは言った。家に入る時、そいつ…. 西村栄光えいこうの母親に挨拶したのだ。

 家に親がいるのに、セックスするなんて…。

「大丈夫だよ~!ママは絶対に七時まで入ってこないし、鍵もかけたし!ねえ、チューしよう!ね…!」

「で、でも…」

「天音くん、かわいい!すごくかわいいよ~!」

 栄光は目を血走らせて、ぼくにブチュッブチュッとキスしてきた。

 もしかして、今のがファーストキスなのか?ときめきとか、そういうの何も感じなかったけど…。

 でも、濡れた感触に少しドキッとした。

 ぼくは戸惑いでいっぱいだった。

「ねえ、天音くんのせいでこんなんなんだよ!」

 栄光がせかせかと制服のスラックスと、下着を脱いでぼくに性器を見せてきた。

「あ……」

 他人の勃起したおちんちんを生で見るのは初めてだった。 

「ほら、さわってよ!」

 ぐいっと手首を捕まれて、ペニスに触らせられる。

 ぼくは思わず握ってしまった。脈打つ木のように硬い性器。

「あ…っ、すごい…」

「オレ、オレ…天音くんに挿れたいよ~!天音くんも、挿れて欲しいでしょ!」

「ん…うん……」

 ぼくはだんだんエッチな気分になってきた。 

「天音くんの裸、見たい!オレも脱ぐから、脱いで!」

「うん……」

 ぼくは言われるがまま、制服を脱いでいった。

 同性どうしだけど、これからそういうことをする相手を前に裸になるのは無性に恥ずかしかった。

 でも、栄光も脱いでいるし、思い切って下着まで全部脱いだ。

「天音くん、きれいだよ!すげえエロい…!」

「いや……」

 栄光は服の上からもわかる通り、やっぱりぽちゃっとしていた。

 ベルトの上にお腹の肉乗ってたし、予想通りだ。

「たまんない…!エロ過ぎ…!」

 栄光はぼくにむしゃぶりついてきた。ぼくのない胸を揉んで、乳首を舐め、吸う。

「んん…っ!」

 へんな声が漏れた。

「天音くん、胸がふっくらしておっぱいみたい!感じてるじゃん!」

「はぁ…う…ん…」

 そりゃ、それなりに胸筋は発達している。

「あ~っ!!すっごい、かわいい!挿れたいよ~っっ!いいでしょ?ねえ!天音くんにオレのちんこ挿れたい!」

「うん……」

 栄光はローションとコンドームを持ってきて、挿入の準備をした。

 ローションを塗りつけ、ぼくに足を抱えるポーズをさせて指でアナルを弄る。

「あ…ふ…」

「あー!お尻もすべすべ!お尻の穴、結構柔らかいね~っ!」

 アナルを弄られるのは気持ちよかった。

 栄光は手慣れていた。指を挿れて、ぐるりぐるりとアナルを広げるようにして、指の本数を三本まで増やしていく。

「もう、いいよね?!挿れるから…!」

「え、あ……っ!」

 栄光がぼくの足を広げて挿入ってきた。

「は…っ、うぅ……っ…ん…」

「あーーっ!気持ちいいー…っ!」

 痛くはなかった。異物感というのも違う。それより、空洞を埋められる充足感。

「あ、はぁ…はぁ…」

「おぅ~いい~~っ!」

 栄光がゆっくりピストンを始める。出したり挿れたりされて、中を擦られるのは、気持ちよかった。それに、たぶん前立腺だと思う場所に強く当たると快感が走った。

「ああ…っ!いいよ~!自分でちんこ扱いてみなよ…あう…はあ…」

「んっ…うん…っ…あっ、あっ…!」

 栄光のピストンが速まっていく。

 お尻を犯されながら、ぼくは自分でペニスを扱いた。

 ぼく、今すごくエッチなことしてる…。男どうしでセックスしてる…。

 そう思うと、気分がよりいっそう高まった。

 ぼくと栄光の妖しい、かすれた息づかい、ローションのぐちゅぐちゅいう音が部屋中に響く。
 栄光の気持ちよさそうな呻きと、ぼくのいやらしいよがり声も。

 恥ずかしいけど、状況と自分の声に興奮する。

「あぁ…あぁん!あ、あ、あ、あ、あ…あぁ…っ!あん、どうしよう…どうしよう…あぁん…こんな…あ、あ、あ……っ!」

「思った通り、天音って淫乱だね…!あー…っ!ああー…っ!いい~っ!ちんこ好き?好きなんでしょ!」

「ん…好き…っ!あん!」

「これから、毎日オレのちんこ挿れてあげる…!」

「んん…っ!あぁ…!あっ、あっ、あっ!」

「ああ~…!ああ、イクイクイクイク…ッ!天音の中でイクよ~!ああーーーーっっ!!」

 栄光がピストンを止めた。射精したのだ。

 何度かぼくの中を突くと、ほぉーっと満足そうなため息をつき、脱力してぼくの上に倒れ込んできた。

「すっげえ、よかったよ…ねえ、天音がイクところ見せて!」

 体を起こすと、栄光はぼくの顔をまじまじと見た。

「うん…」

 まだ、ペニスが挿入っているのが気持ちいい。

 ぼくは栄光に見つめられながら、自分でペニスを扱いて達した。

 お腹にピュッ、ピュッ…と精液が飛ぶ。

「あぁ…っ!ハア、ハア、ハア……」

「天音ってめちゃくちゃエロいね~!でも、オレが初めてなんでしょ!ね!」

「うん…」

「これから、いっぱいやって天音をセックス中毒にするから!」

「ん?うん…」

 それから、栄光が満足するまで、ぼくは何度も抱かれた。ぼくも、そうされたかった。

 途中、何度も喉が渇いて、ペットボトルのコーラを飲んだ。

 栄光の部屋には冷蔵庫まであった。パソコンも、テレビもあった。

 七時近くなって、そろそろ帰らなくちゃとぼんやり思っていると、栄光が言った。

「ごはん、食べていきなよ」

「え、でも…いいよ…」

「今日、ステーキだよ!A5ランク和牛、食べたことある?どうせないでしょ!」

「ないけど…いや、ぼくの分用意させるなんて悪いから」

「天音の分もあるって!ママに言っておいたから!」

「そうなの??」

 お腹は空いていた。

 ぼくはよくわからないまま、とりあえず制服を着た。栄光も部屋着に着替えた。

 栄光に続いて、部屋を出て階下に下りる。

 言われるまま食卓につくと、母親がキッチンから顔を出した。

「栄光さん、下りてらしたのね!今、ステーキを焼きますからね。天音くん?ね、天音くんの分も」

 すぐに香ばしい香りがただよってきて、しばらくして料理が運ばれてきた。

 クレソン、キャロットグラッセ、ほうれん草が添えられたステーキ、ご飯、ポタージュスープ。

 ぼくは家族ラインに、夕食を食べて帰ると送った。

「食べよ食べよ!」

 栄光に促されて、いただきますと言い、ナイフとフォークを手にとった。

 家でステーキなんて食べたことない。

 一口食べると、そのジューシーさと牛肉の味の濃さに驚いた。

「美味しい!」

「あら、よかった…!」

 栄光の母は食べず、ぼくたちを見守った。もう自分の食事は済ませたらしい。

「運動したら、栄養をとらなきゃね。ね!栄光さん」

 彼女は腕を伸ばして、愛おしげに息子の腕をさするように撫でた。

「天音くん、栄光さんをよろしくね…!」

「は、はあ…」

「いずれ、お嫁さんをもらうとしても、おかしな女にひっかかったら困るわ。以前も…ほら、あの娘」

「やめてよ!ママ!その話!」

 栄光がキレたように言った。ガチギレという感じで、ぼくはびっくりした。

 教室ではもじもじした陰キャって感じなのに、母親には態度が大きい。

 それに、女の子とつきあったことがあるってこと?

 でも、それより、母親がぼくたちの関係をわかっている風なのが気になった。

「あの…ぼく……あの……」

 ぼくは何と言ったらいいかわからず、言い淀んだ。

 さっきまで、ぼくたちが男どうしでセックスしてたこと、知ってるの?よろしくってそういうこと?

 気持ち悪い…。ぼくは急に食欲がなくなった。

「天音くん。ヰタセクスアリスはお読みになったことある?それで言うと栄光さんは硬派なのよね。私はそういうことだと思って理解しているの」

「すみません。読んだことないです…」

「まあ、フフフ…栄光さんのおっしゃることをよく聞いてあげて下さいね。時々、ひどいわがままを言うけれど、とても優しくて繊細な子なの」

「もう!ママ、やめてよ!」

 奇妙な夕食だった。

 食べ終えると、外はすっかり暗い。

 ぼくはタクシー代をもらって、家に帰った。
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