異世界でいっぱいH!

ゆめゆき

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19 ひと月ちょっとぶりの再会です!

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 朝日に照らされ現れたるは、銀糸のごとき髪を半分束ね、黒きくわがねを編み込んだ上衣を纏った、まれなる美丈夫。
 リューバの背に乗ったサユだった。

「さ、さ、サユーッ!!」
「タクト…!」

 サユはリューバから飛び降りて、駆け寄る俺を抱きとめてくれた。

「ロアに聞いたら、ここに越したと聞いて…」
「かくかくしかじかでそうなんだよお…!」

 れいによって、リューバの背には首が引っ掛けられている。
 俺はサユの胸に顔をうずめて言った。

「サユの匂いがする…」
「あ…血なまぐさいだろう…湯屋に寄ってくれば…」
「でも、サユの匂いする…」

 血の匂いの奥に、不快でない汗の匂いと、あの石鹸の匂いがした。

「お湯、沸かして体拭いてあげる」
「いや、しかし…」
「来て」

 生首片手にぶら下げたサユをひっぱって館に入ろうとすると、オーナーに止められた。

「朝から客とは…!景気がいいね!」
「えっ、いや、その客じゃなくて…」
「客じゃなきゃ部屋には入れられないよ」
「あの…友人…なんです…」

 サユがチャラチャラと音を立てる革袋をとり出した。

「一日…、いや、明日の朝まで買おう。いくらですか?」
「さ、サユ…」
「今から、明日の朝まで?そうだね…」

 結局、サユはいい値を出して俺を買った。
 部屋に入ると、俺はさっそく風呂場に行き、昨日の湯を捨てる。

「ちょっと、待ってて」
「うん」

 井戸から水を汲んで桶で運んでいると、階段の途中でサユが現れ、ひょいと片手でそれを持ち上げ持って行った。それから井戸まで行き、桶二つ持って二階へ。三往復くらいでたらいをいっぱいにしてしまった。

「わあ…すごい…」
「水くらい、運んでやるのに」
「でも、サユはお客さんなので、そういうわけには…」

 暖炉の石を水の中に入れて湯を作ると、サユの重い上衣と汚れた服を脱がせてやって、体を拭いた。
 血の匂いがすごい。小さいたらいで頭から湯を浴びせて、髪を梳く。

「サユは怪我してないの?」
「うん、無傷だ…それより…」
「うん?」
「タクトは平気か…仕事はつらくないか?」

 遠慮がちにサユは聞いてきた。

「うん、まあ…慣れたよ!」
「慣れたか…」

 平気なのを装ってみたが、サユは複雑そうな顔をした。
 体を拭いて終わると、サユは仮眠させてくれと言って、寝台に横になるとすぐに眠りに落ちた。
 隣に寝て、寝顔を見る。
 疲れのにじんだ顔だが、それでも、というかそれゆえに美しい。銀色のまつ毛が長くて見惚れてしまう。
 安らかな眠りには見えない。眉根が寄って、少し険しい寝顔だった。
 小一時間程した後、ふっとサユが目を覚ました。

「んん…どのくらい寝てた?」
「そんなに…まだ、昼前だよ」
「そうか…」

 サユが俺を抱き寄せて、ああ、キスをするのかなと思ったら、額にされた。

「タクト…していい?」
「いいよ…俺も…したい…」

 次は唇にされた。熱っぽいキスに体が熱くなる。
 
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