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第一章 心情のココロ!

第2話 「ヒーローの自覚」

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前回のあらすじ

成績や運動神経が悪くて集中力がないグータラだけどちょっとした正義感がある男佐東誠心がある日偶然かとメモリーパワーを浴びてしまい、シャイニングカクウになった。
誠心は大喜び。
一方、これに納得しない者がいた…













































__2022年1月22日__

しっかし昨日は凄い事が起きたなぁ。

なんてたってこの俺がスーパーヒーローになったんだよ?

こうゆうの夢だったんだぁ…

なんか部活では運動部がヒーローで文化部は地味ってなってたけど

そんなコンピューター部である俺はある意味本当のスーパーヒーローになってしまったんだ!

あぁ幸せと言うか光栄と言うか。

いや、幸せはありえないか。

だけど、これから次から次へと敵が現れて行く事になるなぁ。

いや、油断は禁物だ。

こうしちゃあ負けてしまうからな。

それにしても、未央さん、今日も可愛いなぁ。

誠心には今好きな人がいる。

それは坂本未央だ。

常に可愛いとゆうか優しい。

ファッションセンスだってあるし、成績や運動神経もいい方。

それに、女子からは愛されキャラだ。

話によると、坂本親衛隊がいたりして。

俺の手では届かない。

それでも付き合いたいなと思ってる。

彼女の裏があったとしても受け止めてみせる。

でも、急に告白してきたら向こうは困惑するに決まってる。

全く、応援してくれる人達はわかっちゃいないな。

ちゃんと相手の気持ちも考えなきゃ。

にしても美しい。

あぁ、欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい!

おっとつい乱れてしまった。

こう思ったって付き合える訳ではないし上手くいける訳が無い。

ひょっとしてこんな風に愛が、いや、付き合いたい欲が高まってしまうと振られる確率は高い?今年は受験生だし、受験に集中できなくなるかも。

それにあの人には俺よりも?友達がたくさんだ。

バイトしてる時なんか、そのバイト先の看板娘になってしまうかも。

そんなあの人の友達が裏で行動してたりして。

「今日も誠心未央ちゃんの事見てたよ」とか

「あぁ今日も可愛いぐふふふふふって言ってた」とか。

LINEでそんな事やりとりしてたりして。

俺は他人対してはちゃんと信じる。

深井勇治や山田良太郎や田中海斗が言った事だって信じたい。

普段から俺の事いじってくるけど信じたい。

そもそも俺文化部だよ?

あいつら3人とも運動部だよ?

それって完全にいじられても当然みたいな事じゃん。

別にあいつらは病んでるわけじゃないし…

ついつい自分の好きな人にはあの人と言ってしまう。

これってあるあるだよね?

俺はあの人に嫌われてしまう事が怖い。

怖くてたまらない。

でも嫌われちゃったなら嫌われないようにすればいい。

キモイって言われたらキモいって思われないようにすればいい。

いつもこんな心構えでいたい。

もしさ、付き合ったらさ、あの人が泣いていたら優しく抱きしめてさ、そして…そして…そしてあれを…いや、流石にそれはない。

はぁ…どうすれば…いいんだ…

「いつも長文でこんな風に思ってるんですね」

「はぁ!?」

急に声を掛けてきたのは妖精カリン。

聞いたところによるとフェイリー王国の王女だってさ。

この王女が俺にジェランバイザーを強引に付けて変身させて、ジェラサイドとか言うよくわからない怪物と戦わせたんだ。

でも、あの怪物と同じカリンは周りの人には見えないらしい。

「あなた恋をしてるんですね」

「誠心って呼んでくれよ」

「私にはわからないわ…恋とゆうものが…」

「え?」

「私はいつもお見合いされてばっかり…お母様が早く結婚相手を見つけるんだって…」

「へぇー」

俺は反抗期だから、カリンの気持ちがわかる気がする。

お嬢様って、やっぱりそんな感じなんだな…

「最近お母様が病気で亡くなったの…」

「え…」

流石にいくらなんでも…なんとも思えない…

「そういえばその未央ってあの人?」

「え?」

よくよく見たら別人だった。

「え?は?え?幻覚え?今日土曜日だった?」

「全く…」

カリンは少し呆れていた。

「キャー!」

「?今女子更衣室に覗かれたような悲鳴が聞こえたんだけど」

「例えが変ですわ…」

「あれは、ジェラサイドだっけ?」

「えぇ」

怪人アフェード

どうやら20代くらいの女性に憑依してたみたいだ。

「証拠隠滅?」

「そんな事はいいから戦って!」

「よっしゃあ行くぜ!」

誠心はがむしゃらにアフェードに突撃するが…

「うわっ!」

アフェードに殴られてしまい吹っ飛ぶ。

「いったぁ~」

吹っ飛んだ先に壁があったのでぶつかってしまった。

誠心はめちゃくちゃ痛む。

「痛い!めちゃくちゃ痛い!痛いよぉ…」

「何してるの戦って!」

カリンは誠心に拙速で戦えと言う。

「いや、ちょっと無理…痛い…いくらなんでも痛すぎる」

誠心は普段痛みは耐えてはいるが流石にこの痛みは耐えられない。

「キャー!」

「この女のエネルギーも悪くはない」

女性はエネルギーを吸い取られ倒れてしまった。

「あぁもう何してるの!あの人エネルギー吸い取られたじゃない!」

「それは気の毒だけど今痛いんだよ…」

「そんなに?…」

「そうだよ」

「情けないぞ!」

「?」

遠い所から男の声が聞こえた。

「お前、シャイニングカクウだろ!」

突然誠心の胸倉を掴む。

「お前は…」

彼の名は速水英二

ウチの学校にいたような気がする…

「確か、速水英二だっけ?」

「お前情けないぞ!それでもヒーローか!昨日はあんなに大喜びをしてたくせに、あれはただの威勢だったのか?」

「そうだよ…俺には異性の人がいる…」

「そっちじゃない!」

「ちょっ人の話し聞けって」

「それはこっちのセリフだ!」

誠心にはわからなかった。

なぜこの男が自分に対してブチ切れている事が。

「いきなりなんなんだよ、人の胸倉掴みやがって。なんでそんなに怒ってるんだよ」

「お前シャイニングカクウだろ!とぼけても無駄だ!」

「とぼけてなんかないよ。むしろ自慢したいさ。てか、なんで俺がシャイニングカクウって事知ってるんだ?」

「この人もジェラサイドやあなたが変身するシャイニングカクウが見えるのよ」

喧嘩なのか絡まれたのか、二人の話の間にカリンが入る。

「え?知り合い?」

「えぇ。あなたと出会う前からね。速水があんなに悔しがっているのは、速水が本来シャイニングカクウになるはずだったんですわ」

「えぇ?」

そう、本来速水はシャイニングカクウになるはずだったのだ…








__あれは3ヶ月前の出来事__

速水は誠心よりも先にメモリーパワーを浴びていたのだ。

彼は正義感が強く、成績や運動神経が抜群で部活は陸上部だ。

その時から、速水は妖精カリンに出会ったのだ。

「変身!ジェランバイザー!…あれ?」

ジェランバイザーを召喚しても出ない。

「変身!ジェランバイザー!…なんで!?」

2回目をやっても召喚ができなかった。

「どうゆう事?」

「わからないですわ…」





「はぁ?それって正義感ありすぎだからじゃない?」

「なんだと!正義さえあれば迷い無く戦えるだろうが!」

「うるさいなぁ、そうやって正義にごだわるといずれ闇に墜ちるぞ」

「はぁ?何言ってんだ?ぜってぇそんな風にはなんねぇよ!だいたいお前とは違って、シャイニングカクウは俺の方がいいに決まってる!」

「あぁ!その方がいいよ!」

「それはできません」

「え?」

また二人の喧嘩の間に入った。

「一度ジェランバイザーを装着して変身した者にしか使えないんですわ…」

「えぇーーーーーーーーーーーーー!」

同時に驚く。

「なっなんで?」

「そうゆうお決まりだから…あなたは戦士を継ぐものに選ばれたのです…」

「まっマジか…」

「わかったか?」

「わかんないよ!こんな痛い思いするより、まだ勉強した方がマシだよ~!」

そう言い誠心は逃げた。

「だらしない奴…」

カリンと速水は呆れた。









余談
第1話の冒頭の時系列は2021年の9月下旬に 起きた出来事。











誠心は家の部屋に考え事をした。

「たく、なんであんな事、俺がしなくちゃいけないんだよ」

誠心には悩みがたくさんだ。

そういえばあの時の事を思い出した。

体育の授業で真っ直ぐにスポーツに向き合い、友達と笑い合う事を。

やっぱあの人天使だ…

付き合いたい…

だいたいなんなんだよ速水!

あいつ陸上部だしさ!

未央さんと話せて羨ましいよ!

毎回毎回陸上部の事で俺の教室の前に話したりしてて羨ましいよぉ。

俺だって未央さんと話したいよ!

だけど自然的に話さなきゃ…

あまり好きってゆう思いは悟られたくない。

もしかしたら警戒される可能性があるから。

俺イケメンじゃないし…

でも…









グス、グス…(๑o̴̶̷᷄﹏o̴̶̷᷄๑)

「どうして…」

どうやら未央は中総体の試合で大会に出る権利を逃してしまったそうだ。

誠心は未央を優しく抱き締める。

「大丈夫だよ、また次があるから…」

「え、中学校生活最後の中総体だよ?」

「え?あ、えっあっいやっそのっあっえとあいやあっえええええええええ」

「まさむーなんか大嫌い」

ベシンとビンタされる。

「わぁあーーーーーーーーーーーーー!」

なぜかと川に変わっていた。

「わぁあーーーーーーーーーーーーー!」

バッシャーン!

水落ちした。










いや、そこは「君なりに頑張ったね。お疲れ様」って言うべきだろ!

このままじゃダメだ!

なんで俺はあんな痛みだけで逃げ出したんだろう…

あんな弱い俺じゃあの人を抱き締められない!

戻らなきゃ、いや、とりあえずカリンを探して、謝りに行かなくちゃ!

速水は…知らん。

行こう!

誠心は家を出た。

どこだ、どこにいるんだカリンは?

「カリーーン!」

?あれは…

カリンだ!

あれ?速水はいない?

信号を通り渡っている。

なんかシュール。

俺は遠い所からカリンを呼び掛ける。

「カリーーン!」

「おや、貴様はカリン?」

「え?」

俺よりも先に話しかけたのはジェラサイド?

「はぁ!」

カリンはアフェードに気付く。

誠心は木がある所に隠れて見る。

「親父を置いてってここまで来たのか」

親父?お父さん?

「違う、お父様は…私を守ってくれた…きっとお父様は大丈夫ですわ!」

「死んだ」

「え?」

「てめぇの親父は死んだ」

「は?」

「は?」

カリンと密かに隠れている誠心はよくわからない表情になる。

「死んだんだよ…てめぇの親父は死んだんだよ!」

「違う…お父様はお父様はあの3人に打ち勝ったんだよ!」

「逆だよ。ランザー達が打ち勝ったんだ!」

「違う!違うよ…」

出会ったばかりなのに、あんなに否定するカリンは初めてみた。

今のカリンは涙が出そうだった。

「違う…違うよ…」

「やめろ!」

あっあれは速水?

「ふっ」

「ぐわぁ!」

速水はアフェードに突進するも突き飛ばされてしまう。

速水…

「カリンを…カリンを悲しませるなぁ!」

「バカめ」

速水は何度も何度もアフェードに押しかかったりしても突き飛ばされる。

拳で何度か殴っても

足で何度か蹴っても

それでも速水は諦めない。

「ぐはぁ!」

とうとう速水は立ち上がるなくなってしまう。

(速水は…俺とは違って…何度も耐えている。運動部にだって、苦しい事があっても耐えて乗り越えている。みんな誰だってそうだ。みんな辛くても乗り越えているんだ。それなのに俺は…俺は…)

誠心は拳を握り締める。

「こんなナイトに守らせているお前はバカで泣き虫な王女だな!そんなんだから王国が消えて亡くなっても仕方がないんじゃないのか?」

「違う…お父様は生きてるんだから…」

涙が溢れ出ていた。

「貴様は夢でも見てるのか?現実を見ろ!夢を見てるからお前の王国は亡くなる。お前も、あの親父もどいつもこいつも無能だよ!」

もう、許せない!

「夢は!現実にしなきゃ意味がないんだよ!」

「はぁ?」

「誠心!」

「誠心…」

誠心は木から出て速水達の前に現れた。

「夢を持つ者は、みんな現実にしようとしている。俺だって、坂本未央さんと付き合いたい。でも、彼氏がいるかいないかがわからない。例えいたとしても…例えいたとしても…なんなら奪ってやる!」

「欲が高まってるな」

「高まってるさ。常に」

「誠心…」

「カリン、俺戦うよ。そしてカリンのお父さんに会わせる。できるかどうかわからないけど」

「うん!」

カリンは泣き止む。

誠心はアフェードの方に振り向く。

「カリン、男の恋ってのはな、その女を守りたいってゆう気持ちが高まるんだよ」

「常に高まってるな!」

速水は突っ込む。

「あぁ、あんな痛み、カリンの涙より安いもんだぜ!」

誠心は変身ポーズの体勢を取る。

「変身!」

おでこを左手にかける。

「ジェランバイザー!」

左手から右にずらしジェランバイザーを召喚しセットする。

誠心は水色のクリスタルに燦然と輝くシャイニングカクウになった。

「ほう」

「行くぜ!」

戦闘が開始した。

シャイニングカクウはアフェードの攻撃を回避して行く。

「オラッ!」

シャイニングカクウの怒りの連続パンチがアフェードにお見舞いする。

「ぐっ!」

突進し殴ろうとしても先にシャイニングカクウの拳が当たる。

シャイニングカクウは必殺技の体勢を取る。

「メモリーアタック!」

シャイニングカクウの胸からエネルギー弾が出現し左手で強く押し込んだ形で前進する。

「グハッ!」

あまりの痛みなのか下に転び尻餅がつき大爆発した。

「決まったぜ!」

吸い取られていた20代の女性は元に戻った。























誠心はカリン達の方に向かう。

「カリン、あの時は逃げ出してごめん」

「私こそ、あなたの気持ちを知らずに強引な事言ってごめん」

「よし、二人とも仲直りしたな」

速水は感心したかのような態度をとる。

「どうだ速水?少しは戦士っぽくなっただろ?」

「あぁ、だが一人前とは言えない。」

「はぁ?なんだよそれ!」

「本当の事だ」

「さっきから偉そうに。変身できなかった奴なんかにそんな態度とられたくないんだよ!」

「何よぉ?本当は俺だって変身できたはずなんだ!」

「あぁそうですかぁ」

「お前煽ってんのか!やっぱお前は落ちこぼれだな!」

「お前がだろ!」

「違います~」

「ほぉらそれ!なんだよ!陸上部の分際で!」

「関係ないだろ!」

「あるわ!」

「なんでもかんでも断言するな!」

「はぁ…やれやれ」

カリンは二人の喧嘩に呆れていた。
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