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第一章 アルカトラからの脱出
9.ゴミ箱からの脱出
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「すみませんすみません。私一応キュキュって名前があります。けど別に何と呼んでもらっても構いません。糞犬でも犬畜生でも大丈夫です。」
「よーしわかった。いけキュキュ!お前がこの戦いを終わらせるんだ!」
休息を終えガジュ達はようやく檻を脱出。指示通りキュキュが勢いよく走り始め、その背中を見送るようにガジュは立ち止まる。
ここでキュキュという存在に出会えた事は凄まじく幸福だ。
解決の目処が立たないなら新たな仲間を増やす、これ自体は当たり前の考えだがここは天下のアルカトラ。下手に囚人達を解放すれば暴れられ無駄な騒動が起こりかねない。ガジュはそんな思考から囚人の解放を躊躇っていたが、キュキュであれば話は違う。
あれほど自己肯定感が低い少女であれば絶対に裏切らないし無駄なこともしない。ガジュはそんな確信を抱きながら、駆けつけたシャルルと向き合っていた。
「脱獄は許しませーーーん!!!シャルは何度でも貴方を投獄しまーーーす!!!」
「上等だ。子供の追いかけっこに付き合ってやるよ!」
これまではこのフロアからの脱出が目標だった。それ故にシャルを倒すことに注力していたが、今回は違う。今やるべきは時間稼ぎ。とにかくシャルルの興味を引きながら走り続ける。ただそれだけで構わない。
「ユン!わざとあの子供に突撃して捕縛されろ!ここは出口からかなり遠い地点だ。ここで【投獄】されれば後から助けに行きやすい!」
「りょうかーい。疲れちゃったしありがたくお休みいただきまーす!」
「【投獄】!!!まずは一人目でーーーす!!!」
ここアルカトラのゴミ箱を平面の正方形と見立てた場合、右上が上層への階段で、左下が先ほど登ってきた階段。そして現在地点は丁度左下。
シャルルは現在地点と上層への階段のおおよそ中間地点に【投獄】するため、ユンが収監されたのは正方形の丁度真ん中辺りだろうか。ガジュはそんな見立てを立てながら、最下層を走り回り、さらに彼女の気を引くために煽り始めた。
「秩序だか何だか知らないが自分勝手なもんだよな!囚人看守、って肩書きならそっちだって何かしらの罪を犯してるんだろ!」
「ち、違いまーーーーーす!!!シャルは、シャルは正義を通しただけでーーーーーーす!!!」
「うるさっ、チッこの子供キレるとより一層声デカくなるのかよ!」
アルカトラにいる人間は誰しも罪を背負っている。キュキュに関しては種族的な罪だから別かもしれないが、ユンとシャルルは間違いなく犯罪者だ。ここで看守をやっていることからしてもシャルルはそこそこ長い間このアルカトラに収監されているはず。となればその罪もある程度重い。
こんな可愛い顔をしていても、シャルルは重大な罪を犯している。
その確定事項をかき消すかのようにシャルルの狂声が辺りに響く。
「シャルは、シャルは悪くありません!!!罪を犯した人は裁かれます!!!その当然の摂理が無視されるから!シャルは自分の手で裁くんです!!!」
「勝手に語り出して勝手に暴れ始めるな!」
どうやらガジュが尋ねた『シャルルの罪』というのはとんでもない地雷だったらしい。これまでただガジュを追いかけるだけだったシャルは目を血走らせながら棍棒を振り回し、捕らえるというよりも断罪するような勢いで迫ってくる。一見すればピンチ。だがガジュの視界には、荒れ狂うシャルルよりも重要なものが目に入っていた。
「言っておくがな、俺は別に何も悪いことはしていない。ただ無実の罪で牢に入れられたから脱出するだけだ!いけキュキュ!光を奪え!」
「すみませんすみません。私ごときが電気壊してすみません!」
遥か遠くに見える天井でキュキュが飛躍し、煌々と輝いていた照明が一つずつ壊されていく。流石は獣人の身体能力だ。ここでガジュがシャルルと戯れている束の間で最上層へ到達し、軽くジャンプする勢いでキュキュは照明を蹴り壊していく。
彼女を信用して正解だった。
ガジュはそう思いながら拳を握り、手近な壁を殴りつける。訪れた漆黒と共に、ガジュは二度目の全力を発揮した。
「【闇の王】!!!」
崩れていく足場と壊れていく檻。あの地下牢で見た光景が繰り返され、ガジュは感覚を頼りに瓦礫をよじのぼる。ここは最下層と違って少しばかり窓があるからパワー的には八割程度だろうか。スキルの関係上夜目は効く方、ガジュはすぐさま壊れた檻の横で寝転がるユンを発見し、その手を引いて走り出す。
「ゴミ箱は壊した、いくぞユン!檻も半数以上は壊れてるからあの幼女もそう簡単に回り込めないはずだ!」
「そ、それはいいけど何なのこの状況!?超強力な魔法でも使ったの!?」
「言っただろ、俺はスキルで暗ければ暗ければ暗い程肉体が強化されるんだ。キュキュが照明を壊してくれたからな、無事会心の一撃が打てた!」
「えぇ……あまりにも規格外すぎるでしょってうわぁ!」
うだうだと話すユンを無視し、ガジュは落下する瓦礫を足場にして上の階段を目指していく。こんな空中浮遊のような芸当が出来るのも【闇の王】の影響であろう。体は羽のように軽く、パンチは爆弾のよう。闇の中の自分は間違いなく最強だ。
ガジュはそんな確信と共に次の階層への階段に到達し、その横に役目を果たしたキュキュが飛び込んでくる。
「すみませんすみません。どうしてわからないけど監獄が壊れてます、きっと私のせいです。本当にすみません。」
「心配しなくても壊したのはキュキュじゃなくて俺だ。それよりキュキュも行くぞ。お前も、ここから逃げたいだろ?」
「……逃げる?いえ私は生まれた時から犯罪者の穀潰しです。地上へ逃げるなんてとてもとても。この崩れた監獄で天涯孤独にその生涯を閉じますのでお気遣いなさらず。すみませんすみません。」
「あぁもう面倒くさい奴だな!いいか、俺は自分に少しでも貢献してくれた奴を見捨てるような真似はしない!どっかの銀髪野郎とは違ってな!」
「ひぇぇ……すみませんすみませーん!!!」
右手にキュキュ、左手にユンを掴み、ガジュはアルカトラのゴミ箱を脱出したのであった。
「よーしわかった。いけキュキュ!お前がこの戦いを終わらせるんだ!」
休息を終えガジュ達はようやく檻を脱出。指示通りキュキュが勢いよく走り始め、その背中を見送るようにガジュは立ち止まる。
ここでキュキュという存在に出会えた事は凄まじく幸福だ。
解決の目処が立たないなら新たな仲間を増やす、これ自体は当たり前の考えだがここは天下のアルカトラ。下手に囚人達を解放すれば暴れられ無駄な騒動が起こりかねない。ガジュはそんな思考から囚人の解放を躊躇っていたが、キュキュであれば話は違う。
あれほど自己肯定感が低い少女であれば絶対に裏切らないし無駄なこともしない。ガジュはそんな確信を抱きながら、駆けつけたシャルルと向き合っていた。
「脱獄は許しませーーーん!!!シャルは何度でも貴方を投獄しまーーーす!!!」
「上等だ。子供の追いかけっこに付き合ってやるよ!」
これまではこのフロアからの脱出が目標だった。それ故にシャルを倒すことに注力していたが、今回は違う。今やるべきは時間稼ぎ。とにかくシャルルの興味を引きながら走り続ける。ただそれだけで構わない。
「ユン!わざとあの子供に突撃して捕縛されろ!ここは出口からかなり遠い地点だ。ここで【投獄】されれば後から助けに行きやすい!」
「りょうかーい。疲れちゃったしありがたくお休みいただきまーす!」
「【投獄】!!!まずは一人目でーーーす!!!」
ここアルカトラのゴミ箱を平面の正方形と見立てた場合、右上が上層への階段で、左下が先ほど登ってきた階段。そして現在地点は丁度左下。
シャルルは現在地点と上層への階段のおおよそ中間地点に【投獄】するため、ユンが収監されたのは正方形の丁度真ん中辺りだろうか。ガジュはそんな見立てを立てながら、最下層を走り回り、さらに彼女の気を引くために煽り始めた。
「秩序だか何だか知らないが自分勝手なもんだよな!囚人看守、って肩書きならそっちだって何かしらの罪を犯してるんだろ!」
「ち、違いまーーーーーす!!!シャルは、シャルは正義を通しただけでーーーーーーす!!!」
「うるさっ、チッこの子供キレるとより一層声デカくなるのかよ!」
アルカトラにいる人間は誰しも罪を背負っている。キュキュに関しては種族的な罪だから別かもしれないが、ユンとシャルルは間違いなく犯罪者だ。ここで看守をやっていることからしてもシャルルはそこそこ長い間このアルカトラに収監されているはず。となればその罪もある程度重い。
こんな可愛い顔をしていても、シャルルは重大な罪を犯している。
その確定事項をかき消すかのようにシャルルの狂声が辺りに響く。
「シャルは、シャルは悪くありません!!!罪を犯した人は裁かれます!!!その当然の摂理が無視されるから!シャルは自分の手で裁くんです!!!」
「勝手に語り出して勝手に暴れ始めるな!」
どうやらガジュが尋ねた『シャルルの罪』というのはとんでもない地雷だったらしい。これまでただガジュを追いかけるだけだったシャルは目を血走らせながら棍棒を振り回し、捕らえるというよりも断罪するような勢いで迫ってくる。一見すればピンチ。だがガジュの視界には、荒れ狂うシャルルよりも重要なものが目に入っていた。
「言っておくがな、俺は別に何も悪いことはしていない。ただ無実の罪で牢に入れられたから脱出するだけだ!いけキュキュ!光を奪え!」
「すみませんすみません。私ごときが電気壊してすみません!」
遥か遠くに見える天井でキュキュが飛躍し、煌々と輝いていた照明が一つずつ壊されていく。流石は獣人の身体能力だ。ここでガジュがシャルルと戯れている束の間で最上層へ到達し、軽くジャンプする勢いでキュキュは照明を蹴り壊していく。
彼女を信用して正解だった。
ガジュはそう思いながら拳を握り、手近な壁を殴りつける。訪れた漆黒と共に、ガジュは二度目の全力を発揮した。
「【闇の王】!!!」
崩れていく足場と壊れていく檻。あの地下牢で見た光景が繰り返され、ガジュは感覚を頼りに瓦礫をよじのぼる。ここは最下層と違って少しばかり窓があるからパワー的には八割程度だろうか。スキルの関係上夜目は効く方、ガジュはすぐさま壊れた檻の横で寝転がるユンを発見し、その手を引いて走り出す。
「ゴミ箱は壊した、いくぞユン!檻も半数以上は壊れてるからあの幼女もそう簡単に回り込めないはずだ!」
「そ、それはいいけど何なのこの状況!?超強力な魔法でも使ったの!?」
「言っただろ、俺はスキルで暗ければ暗ければ暗い程肉体が強化されるんだ。キュキュが照明を壊してくれたからな、無事会心の一撃が打てた!」
「えぇ……あまりにも規格外すぎるでしょってうわぁ!」
うだうだと話すユンを無視し、ガジュは落下する瓦礫を足場にして上の階段を目指していく。こんな空中浮遊のような芸当が出来るのも【闇の王】の影響であろう。体は羽のように軽く、パンチは爆弾のよう。闇の中の自分は間違いなく最強だ。
ガジュはそんな確信と共に次の階層への階段に到達し、その横に役目を果たしたキュキュが飛び込んでくる。
「すみませんすみません。どうしてわからないけど監獄が壊れてます、きっと私のせいです。本当にすみません。」
「心配しなくても壊したのはキュキュじゃなくて俺だ。それよりキュキュも行くぞ。お前も、ここから逃げたいだろ?」
「……逃げる?いえ私は生まれた時から犯罪者の穀潰しです。地上へ逃げるなんてとてもとても。この崩れた監獄で天涯孤独にその生涯を閉じますのでお気遣いなさらず。すみませんすみません。」
「あぁもう面倒くさい奴だな!いいか、俺は自分に少しでも貢献してくれた奴を見捨てるような真似はしない!どっかの銀髪野郎とは違ってな!」
「ひぇぇ……すみませんすみませーん!!!」
右手にキュキュ、左手にユンを掴み、ガジュはアルカトラのゴミ箱を脱出したのであった。
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