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第一章 アルカトラからの脱出
12.決意表明
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「くそっ!あの野郎扉を封じやがった!これじゃもう戻れない!」
三十九層。カナンによって送られたその場所で、ガジュは下階への扉を叩いていた。恐らく魔法で固定されているのだろう。どれだけ力を込めても扉はびくともせず、後戻りという選択肢を完全に抹消されていた。
「あいつが言ってた通り、僕らはさっさと逃げろって事なんだろうね。本当最悪のサディストだ。」
「看守長のくせに脱獄囚を放置するなよな……。」
「で、どうするの?前に進む以外許されてなさそうだけど。」
ユンの言葉を聞きながらガジュは順路に目を向ける。
地下監獄という肩書きにふさわしくない程生い茂った草木と、その隙間から散見される蛇や鼠などの小動物。誰がどうみてもここはこれまでのように檻が並んだフロアではない。『地下監獄アルカトラ』が持つもう一つの顔、始祖の冒険者ユノが踏破した『ダンジョンアルカトラ』としての側面が顔を覗かせ、ガジュは事情通に説明を求める。
「ここ、ダンジョンだよな。」
「そうだね。この階層、というかここから先の階層全てはダンジョンの姿を残してるんだよ。脱獄囚を逃さないためには下手に看守を増やすより、天然の要塞であるダンジョンを利用した方がいいって判断なんだろうね。」
「なるほどな……カナンが俺達を逃したのは何もしなくてもここを突破出来ずに死ぬからって理由もあるわけか。」
ガジュは元金剛等級冒険者、冒険者たるもの監獄としてのアルカトラはともかくダンジョンとしてのアルカトラの知識はある程度蓄えている。
アルカトラはユノが試練の迷宮を製作した際最も参考にしたとまで言われる高難易度ダンジョン。その内部では魔物達による独自の生態系が築かれ、迫り来る外・敵・へ容赦なく襲い掛かる。
三十九層から地上までそんなものが続いているとすれば、流石のガジュといえどかなりの苦戦を強いられるはずだ。しかし、ガジュの心は既に決まっていた。
「まずは急いでここを突破するぞ。ここは地下監獄、俺が運ばれた時もそうだが下の階層まで囚人を運ぶのにわざわざダンジョンを通るってことはないはずだ。つまり地上まで行けば各階層に囚人を送る装置がきっとある。それを使ってシャルルを助けに行こう。」
「本当に助けに行くの?あの子確かに可愛いけど、そこまでしてあげる義理はないんじゃない?」
「あいつを助ける理由は半分感情論だが、俺はその先を見据えてこの発言をしている。」
そう言ってガジュは横で相変わらず怯えているキュキュと、アホ面でダンジョンの草を弄っているユンに目を向ける。アルカトラから脱獄することはガジュにとって序章にすぎない。真の目的はハクア達への復讐。そしてそれを果たすための計画も、ガジュの頭の中ではしっかりと固まっていた。
「二人は脱獄してから行く宛はあるのか。」
「いやー僕は特に。面白そうだから勝手にガジュについて行こうかなとは思ってるけど。」
「すみませんすみません私も特にありません。家族もいなければ友人もいないので、適当にドブ漁りでもして生きていきます。あ、どうせ犬なんですしお金持ちの家で飼い犬にでもなった方がいいですかね。あはははは。」
「よし、それなら二人とも。脱獄したら俺と一緒に冒険者になろう。」
その言葉に、二人の目が丸くなる。
脱獄を果たした頃、ハクア達は新しい仲間と共に黒曜等級になっているはずだ。黒曜等級ともなれば冒険者協会の最等級。待遇も他の冒険者とは比べ物にならず、一介の市民、それも脱獄者が会える機会など早々訪れない。
ならば自分も再び冒険者となり、黒曜等級となって肩を並べ叩き殺す。ガジュとハクア、開いた二人の距離を埋めるのは、こうする他ないのである。
そしてその同胞として最適なのは間違いなくこの二人。どうせ火力面はガジュの【闇の王】でどうにでもできるのだ。多種多様な魔法を使って柔軟に支援を行えるユンと、基礎能力の高さを生かして状況問わず戦えるキュキュ。相性はかなり良い、そして最後の一人が加われば連携は完璧だ。
「僕は別に良いけど……冒険者協会に登録できるパーティは四人でしょ?後一人は……もしかしてそういうこと?」
「あぁ。俺はあの幼女、シャルルを救出してパーティに加える。拒否されようと構わない、効率的に復讐を行う為に最適なピースは間違いなくあいつだ。」
破壊力のガジュ、支援力のユン、万能力のキュキュ。これだけでも十分パーティはまとまっているが、これではあまりに機動力と対応力に欠けている。その点シャルルの【投獄】は好きな場所に対象を転送できる極めて便利なスキルだ。あの力が加われば黒曜等級にすら届きうる。元金剛等級冒険者であるガジュの胸にはそんな確信が抱かれていた。
「シャルルちゃん説得するの大変だと思うなぁ。それにあの子一応親殺しの大犯罪者だよ?仲間になんてしたら殺されるかも。断罪でーーーす!!!って叫ばれて。」
「ここに来た当初の俺なら確かにためらったかも知れないが、今更そんなこと気にしても仕方ないだろ。自称冤罪の怪しい女と、存在自体が犯罪の獣人と、監獄ぶち壊して脱獄を図る俺がいるんだ。ここに親殺しの幼女がいて大して問題にならない。」
脱獄囚が冒険者になる。この行為自体のハードルが凄まじく高いわけで、脱獄囚の罪状が何だろうとハードルの高さは変わらない。そんなものを気にするよりも、ハクアがガジュを叩き込んだこの場所で、ハクア達よりずっと強力な仲間を集め復讐する。その筋書きに感じる昂りの方がずっとずっと胸を躍らせる。
「というわけで、とっととここを脱出するぞ。ウダウダ考えるのはその後だ。何より急がないとシャルルがあの変態に痛ぶられる。仲間にする云々を抜きにしてもそれだけは回避したいからな。」
「オーケーオーケー!じゃ、新生パーティの初戦闘と行きますか!ガジュ!名前は何にする!?」
「そうだな……。昔読んだ異世界の本で見たが、俺達みたいな犯罪者の事をあっちの世界では『クリミナル』と呼ぶらしい。」
「二秒以内に良い案が出なければ僕が勝手にキラキラって命名しようと思ってたけど……まぁそれでいいや!」
そう言ってだらけていたユンが立ち上がり、横で黙っていたキュキュも無言のままガジュの背後につく。
「このふざけたダンジョンを突破し、シャルルを助けて地上へ躍り出る。そしたら復讐の時間だ。俺を追放しやがったハクアの野郎を絶対にぶっ殺す!」
「僕はこの世界を知れたら何でも良いかな!ずっとずっとあの檻に閉じ込められてたんだもん。知りたいことは色々あるんだよね♪」
「私は……故郷に行きたいです。って、すみませんすみません私なんかが願望を唱えてすみません!」
各々が各々の目標を唱え、三人はダンジョンの柔らかい土の大地を踏み締めていった
三十九層。カナンによって送られたその場所で、ガジュは下階への扉を叩いていた。恐らく魔法で固定されているのだろう。どれだけ力を込めても扉はびくともせず、後戻りという選択肢を完全に抹消されていた。
「あいつが言ってた通り、僕らはさっさと逃げろって事なんだろうね。本当最悪のサディストだ。」
「看守長のくせに脱獄囚を放置するなよな……。」
「で、どうするの?前に進む以外許されてなさそうだけど。」
ユンの言葉を聞きながらガジュは順路に目を向ける。
地下監獄という肩書きにふさわしくない程生い茂った草木と、その隙間から散見される蛇や鼠などの小動物。誰がどうみてもここはこれまでのように檻が並んだフロアではない。『地下監獄アルカトラ』が持つもう一つの顔、始祖の冒険者ユノが踏破した『ダンジョンアルカトラ』としての側面が顔を覗かせ、ガジュは事情通に説明を求める。
「ここ、ダンジョンだよな。」
「そうだね。この階層、というかここから先の階層全てはダンジョンの姿を残してるんだよ。脱獄囚を逃さないためには下手に看守を増やすより、天然の要塞であるダンジョンを利用した方がいいって判断なんだろうね。」
「なるほどな……カナンが俺達を逃したのは何もしなくてもここを突破出来ずに死ぬからって理由もあるわけか。」
ガジュは元金剛等級冒険者、冒険者たるもの監獄としてのアルカトラはともかくダンジョンとしてのアルカトラの知識はある程度蓄えている。
アルカトラはユノが試練の迷宮を製作した際最も参考にしたとまで言われる高難易度ダンジョン。その内部では魔物達による独自の生態系が築かれ、迫り来る外・敵・へ容赦なく襲い掛かる。
三十九層から地上までそんなものが続いているとすれば、流石のガジュといえどかなりの苦戦を強いられるはずだ。しかし、ガジュの心は既に決まっていた。
「まずは急いでここを突破するぞ。ここは地下監獄、俺が運ばれた時もそうだが下の階層まで囚人を運ぶのにわざわざダンジョンを通るってことはないはずだ。つまり地上まで行けば各階層に囚人を送る装置がきっとある。それを使ってシャルルを助けに行こう。」
「本当に助けに行くの?あの子確かに可愛いけど、そこまでしてあげる義理はないんじゃない?」
「あいつを助ける理由は半分感情論だが、俺はその先を見据えてこの発言をしている。」
そう言ってガジュは横で相変わらず怯えているキュキュと、アホ面でダンジョンの草を弄っているユンに目を向ける。アルカトラから脱獄することはガジュにとって序章にすぎない。真の目的はハクア達への復讐。そしてそれを果たすための計画も、ガジュの頭の中ではしっかりと固まっていた。
「二人は脱獄してから行く宛はあるのか。」
「いやー僕は特に。面白そうだから勝手にガジュについて行こうかなとは思ってるけど。」
「すみませんすみません私も特にありません。家族もいなければ友人もいないので、適当にドブ漁りでもして生きていきます。あ、どうせ犬なんですしお金持ちの家で飼い犬にでもなった方がいいですかね。あはははは。」
「よし、それなら二人とも。脱獄したら俺と一緒に冒険者になろう。」
その言葉に、二人の目が丸くなる。
脱獄を果たした頃、ハクア達は新しい仲間と共に黒曜等級になっているはずだ。黒曜等級ともなれば冒険者協会の最等級。待遇も他の冒険者とは比べ物にならず、一介の市民、それも脱獄者が会える機会など早々訪れない。
ならば自分も再び冒険者となり、黒曜等級となって肩を並べ叩き殺す。ガジュとハクア、開いた二人の距離を埋めるのは、こうする他ないのである。
そしてその同胞として最適なのは間違いなくこの二人。どうせ火力面はガジュの【闇の王】でどうにでもできるのだ。多種多様な魔法を使って柔軟に支援を行えるユンと、基礎能力の高さを生かして状況問わず戦えるキュキュ。相性はかなり良い、そして最後の一人が加われば連携は完璧だ。
「僕は別に良いけど……冒険者協会に登録できるパーティは四人でしょ?後一人は……もしかしてそういうこと?」
「あぁ。俺はあの幼女、シャルルを救出してパーティに加える。拒否されようと構わない、効率的に復讐を行う為に最適なピースは間違いなくあいつだ。」
破壊力のガジュ、支援力のユン、万能力のキュキュ。これだけでも十分パーティはまとまっているが、これではあまりに機動力と対応力に欠けている。その点シャルルの【投獄】は好きな場所に対象を転送できる極めて便利なスキルだ。あの力が加われば黒曜等級にすら届きうる。元金剛等級冒険者であるガジュの胸にはそんな確信が抱かれていた。
「シャルルちゃん説得するの大変だと思うなぁ。それにあの子一応親殺しの大犯罪者だよ?仲間になんてしたら殺されるかも。断罪でーーーす!!!って叫ばれて。」
「ここに来た当初の俺なら確かにためらったかも知れないが、今更そんなこと気にしても仕方ないだろ。自称冤罪の怪しい女と、存在自体が犯罪の獣人と、監獄ぶち壊して脱獄を図る俺がいるんだ。ここに親殺しの幼女がいて大して問題にならない。」
脱獄囚が冒険者になる。この行為自体のハードルが凄まじく高いわけで、脱獄囚の罪状が何だろうとハードルの高さは変わらない。そんなものを気にするよりも、ハクアがガジュを叩き込んだこの場所で、ハクア達よりずっと強力な仲間を集め復讐する。その筋書きに感じる昂りの方がずっとずっと胸を躍らせる。
「というわけで、とっととここを脱出するぞ。ウダウダ考えるのはその後だ。何より急がないとシャルルがあの変態に痛ぶられる。仲間にする云々を抜きにしてもそれだけは回避したいからな。」
「オーケーオーケー!じゃ、新生パーティの初戦闘と行きますか!ガジュ!名前は何にする!?」
「そうだな……。昔読んだ異世界の本で見たが、俺達みたいな犯罪者の事をあっちの世界では『クリミナル』と呼ぶらしい。」
「二秒以内に良い案が出なければ僕が勝手にキラキラって命名しようと思ってたけど……まぁそれでいいや!」
そう言ってだらけていたユンが立ち上がり、横で黙っていたキュキュも無言のままガジュの背後につく。
「このふざけたダンジョンを突破し、シャルルを助けて地上へ躍り出る。そしたら復讐の時間だ。俺を追放しやがったハクアの野郎を絶対にぶっ殺す!」
「僕はこの世界を知れたら何でも良いかな!ずっとずっとあの檻に閉じ込められてたんだもん。知りたいことは色々あるんだよね♪」
「私は……故郷に行きたいです。って、すみませんすみません私なんかが願望を唱えてすみません!」
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