追放投獄全部乗り越えて復讐を、執着無双の脱獄者〜夜だけ最強?いえ闇の中ならいつでも最強です〜

鮎川重

文字の大きさ
35 / 124
第三章 冒険者になろう

34.やばい

しおりを挟む
「次は戦闘試験だ。貴様らには今から一人ずつこちらが捕縛している魔物と順に戦ってもらう。会場はこっちだ。私についてこい。」

 例の役人にそう告げられ、ガジュ達は彼の背中を追って歩いていた。

「冒険者協会って魔物を捕縛したりもしてるんだね。」
「ここは魔物の研究機関でもあるからな。小型の魔物は捕縛してその生態や弱点を研究する事も多い。多分俺らが今から戦わされるのも、そういった目的で捕縛され用済みになった個体だろう。」

 はっきりいってガジュは先ほど自身が取った絶望的点数に悲観していない。合格点は三十点以上。ガジュが筆記試験で取ったのが二十八点だから、この後の戦闘試験で四十点近くを取れば一応合格は出来るのだ。

 加えてこの試験は十八歳以下で冒険者を志す若者が受けるもの。戦闘試験といえど大した魔物は出てこないはず。荷物持ちとはいえ元金剛等級のガジュにかかれば百点を取って当然だろう。

 ガジュがそう思い上がった時、役人の足が止まり彼にとって絶望的事実が告げられる。

「貴様らが今から戦うのはシャイニングフロッグだ。一人五匹、詳細な得点は後ほど公開するが……まぁ一分で倒せれば百点だな。」
「しゃ、シャイニングフロッグ!?」
「そこ、無駄に喋るな!よし、では最初の受験者から順に進め!」

 討伐対象の魔物を聞いた瞬間、ガジュの口から今日一番の驚きが漏れる。いくら常識問題が分からないとはいえ、魔物の知識だけは有している。
 少し沼地を歩けばいくらでも見つける事が出来るそこそこ強力な二足歩行の蛙。舌に毒性がありはするものの比較的温厚で人間を殺すような事は滅多にないから、試験で戦う魔物としてはぴったりだろう。

 だがことガジュに関しては……天敵ともいうべき相手だ。

「ガジュ、もしかしてシャイニングフロッグというのは……光るんですか。」
「あぁ。それはもう爛々と。」
「ぷぷっ!もしかしてガジュだけ不合格になるかもね!がんば!」

 一番手前にいたユンがヒラヒラと手を振りながら試験会場と思しき門をくぐっていく。ユンの言っている事はあながち間違いではない。体が常に光り続けているシャイニングフロッグを五体、たった一人で討伐するなど……ガジュにとって最悪とも言える試験内容だ。

 希望があるとすれば採点基準だろうか。一分で百点、ガジュが取らなければならない四十点ほどが一体どれぐらいの討伐速度で得られるのか。そこに全てはかかっている。

 そんな思案にガジュの頭が埋め尽くされていった時、役人の声と共にユンが帰還した。

「ユン・アザッド、記録三十二秒。百点だ。」
「うぇ~い!ユンちゃん最強~!」

 バンザイしながら陽気に歩いてくるユン。その自信満々な表情がガジュの絶望を加速させていく。

「いつもはだらけているのに随分頑張りましたね。というかどうしてアザッドを名乗ってるんですか?」
「いや~ガジュが辛そうな表情してるから追い討ちかけたくなっちゃってさぁ!ちなみにアザッド名乗ってるのは僕だけじゃないよ。僕とキュキュちゃんは苗字ないというか知らないから筆記試験の時にアザッド姓で登録したんだ!」

 ユンの発言に異議を挟む事も出来ずガジュは肩を落とす。よく考えればそうだ。ガジュ以外は戦闘試験も難なく突破できる奴らである。ユンには『魔拳』があるし、キュキュは獣人だから素の身体能力が高い、シャルルは二人に比べれば劣るものの【投獄】を上手く使えば蛙五匹倒すぐらい余裕なはずだ。

 ガジュだけ不合格。

 そんな最悪の未来が間近に近づき、ガジュの足はすくむ。

「次、ガジュ・アザッド。中に入れ。」
「さっ!頑張ってきてね~ガジュ!大丈夫、僕らはガジュが一人だけ冒険者になれなくても追放したりなんてしないから!」

 励ましているのか煽っているのか。ユンがこれ以上ないほどの満面の笑みで背中を叩き、ガジュは門をくぐっていく。

 高い柵だけに囲まれた野晒しの訓練場。そしてこちらを見つめる五匹の神々しい蛙達。つい先日凍龍を一発で倒した男が挑むにはあまりにも稚拙で、高難易度な戦いが幕を開けようとしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

酔っぱらったせいで、勇者パーティーを洗脳してしまった

透けてるブランディシュカ
ファンタジー
悪友のせいで酔ったら。(※重複投稿しています)仲仁へび

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

処理中です...