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第三章 冒険者になろう
34.やばい
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「次は戦闘試験だ。貴様らには今から一人ずつこちらが捕縛している魔物と順に戦ってもらう。会場はこっちだ。私についてこい。」
例の役人にそう告げられ、ガジュ達は彼の背中を追って歩いていた。
「冒険者協会って魔物を捕縛したりもしてるんだね。」
「ここは魔物の研究機関でもあるからな。小型の魔物は捕縛してその生態や弱点を研究する事も多い。多分俺らが今から戦わされるのも、そういった目的で捕縛され用済みになった個体だろう。」
はっきりいってガジュは先ほど自身が取った絶望的点数に悲観していない。合格点は平均三十点以上。ガジュが筆記試験で取ったのが二十八点だから、この後の戦闘試験で四十点近くを取れば一応合格は出来るのだ。
加えてこの試験は十八歳以下で冒険者を志す若者が受けるもの。戦闘試験といえど大した魔物は出てこないはず。荷物持ちとはいえ元金剛等級のガジュにかかれば百点を取って当然だろう。
ガジュがそう思い上がった時、役人の足が止まり彼にとって絶望的事実が告げられる。
「貴様らが今から戦うのはシャイニングフロッグだ。一人五匹、詳細な得点は後ほど公開するが……まぁ一分で倒せれば百点だな。」
「しゃ、シャイニングフロッグ!?」
「そこ、無駄に喋るな!よし、では最初の受験者から順に進め!」
討伐対象の魔物を聞いた瞬間、ガジュの口から今日一番の驚きが漏れる。いくら常識問題が分からないとはいえ、魔物の知識だけは有している。
少し沼地を歩けばいくらでも見つける事が出来るそこそこ強力な二足歩行の蛙。舌に毒性がありはするものの比較的温厚で人間を殺すような事は滅多にないから、試験で戦う魔物としてはぴったりだろう。
だがことガジュに関しては……天敵ともいうべき相手だ。
「ガジュ、もしかしてシャイニングフロッグというのは……光るんですか。」
「あぁ。それはもう爛々と。」
「ぷぷっ!もしかしてガジュだけ不合格になるかもね!がんば!」
一番手前にいたユンがヒラヒラと手を振りながら試験会場と思しき門をくぐっていく。ユンの言っている事はあながち間違いではない。体が常に光り続けているシャイニングフロッグを五体、たった一人で討伐するなど……ガジュにとって最悪とも言える試験内容だ。
希望があるとすれば採点基準だろうか。一分で百点、ガジュが取らなければならない四十点ほどが一体どれぐらいの討伐速度で得られるのか。そこに全てはかかっている。
そんな思案にガジュの頭が埋め尽くされていった時、役人の声と共にユンが帰還した。
「ユン・アザッド、記録三十二秒。百点だ。」
「うぇ~い!ユンちゃん最強~!」
バンザイしながら陽気に歩いてくるユン。その自信満々な表情がガジュの絶望を加速させていく。
「いつもはだらけているのに随分頑張りましたね。というかどうしてアザッドを名乗ってるんですか?」
「いや~ガジュが辛そうな表情してるから追い討ちかけたくなっちゃってさぁ!ちなみにアザッド名乗ってるのは僕だけじゃないよ。僕とキュキュちゃんは苗字ないというか知らないから筆記試験の時にアザッド姓で登録したんだ!」
ユンの発言に異議を挟む事も出来ずガジュは肩を落とす。よく考えればそうだ。ガジュ以外は戦闘試験も難なく突破できる奴らである。ユンには『魔拳』があるし、キュキュは獣人だから素の身体能力が高い、シャルルは二人に比べれば劣るものの【投獄】を上手く使えば蛙五匹倒すぐらい余裕なはずだ。
ガジュだけ不合格。
そんな最悪の未来が間近に近づき、ガジュの足はすくむ。
「次、ガジュ・アザッド。中に入れ。」
「さっ!頑張ってきてね~ガジュ!大丈夫、僕らはガジュが一人だけ冒険者になれなくても追放したりなんてしないから!」
励ましているのか煽っているのか。ユンがこれ以上ないほどの満面の笑みで背中を叩き、ガジュは門をくぐっていく。
高い柵だけに囲まれた野晒しの訓練場。そしてこちらを見つめる五匹の神々しい蛙達。つい先日凍龍を一発で倒した男が挑むにはあまりにも稚拙で、高難易度な戦いが幕を開けようとしていた。
例の役人にそう告げられ、ガジュ達は彼の背中を追って歩いていた。
「冒険者協会って魔物を捕縛したりもしてるんだね。」
「ここは魔物の研究機関でもあるからな。小型の魔物は捕縛してその生態や弱点を研究する事も多い。多分俺らが今から戦わされるのも、そういった目的で捕縛され用済みになった個体だろう。」
はっきりいってガジュは先ほど自身が取った絶望的点数に悲観していない。合格点は平均三十点以上。ガジュが筆記試験で取ったのが二十八点だから、この後の戦闘試験で四十点近くを取れば一応合格は出来るのだ。
加えてこの試験は十八歳以下で冒険者を志す若者が受けるもの。戦闘試験といえど大した魔物は出てこないはず。荷物持ちとはいえ元金剛等級のガジュにかかれば百点を取って当然だろう。
ガジュがそう思い上がった時、役人の足が止まり彼にとって絶望的事実が告げられる。
「貴様らが今から戦うのはシャイニングフロッグだ。一人五匹、詳細な得点は後ほど公開するが……まぁ一分で倒せれば百点だな。」
「しゃ、シャイニングフロッグ!?」
「そこ、無駄に喋るな!よし、では最初の受験者から順に進め!」
討伐対象の魔物を聞いた瞬間、ガジュの口から今日一番の驚きが漏れる。いくら常識問題が分からないとはいえ、魔物の知識だけは有している。
少し沼地を歩けばいくらでも見つける事が出来るそこそこ強力な二足歩行の蛙。舌に毒性がありはするものの比較的温厚で人間を殺すような事は滅多にないから、試験で戦う魔物としてはぴったりだろう。
だがことガジュに関しては……天敵ともいうべき相手だ。
「ガジュ、もしかしてシャイニングフロッグというのは……光るんですか。」
「あぁ。それはもう爛々と。」
「ぷぷっ!もしかしてガジュだけ不合格になるかもね!がんば!」
一番手前にいたユンがヒラヒラと手を振りながら試験会場と思しき門をくぐっていく。ユンの言っている事はあながち間違いではない。体が常に光り続けているシャイニングフロッグを五体、たった一人で討伐するなど……ガジュにとって最悪とも言える試験内容だ。
希望があるとすれば採点基準だろうか。一分で百点、ガジュが取らなければならない四十点ほどが一体どれぐらいの討伐速度で得られるのか。そこに全てはかかっている。
そんな思案にガジュの頭が埋め尽くされていった時、役人の声と共にユンが帰還した。
「ユン・アザッド、記録三十二秒。百点だ。」
「うぇ~い!ユンちゃん最強~!」
バンザイしながら陽気に歩いてくるユン。その自信満々な表情がガジュの絶望を加速させていく。
「いつもはだらけているのに随分頑張りましたね。というかどうしてアザッドを名乗ってるんですか?」
「いや~ガジュが辛そうな表情してるから追い討ちかけたくなっちゃってさぁ!ちなみにアザッド名乗ってるのは僕だけじゃないよ。僕とキュキュちゃんは苗字ないというか知らないから筆記試験の時にアザッド姓で登録したんだ!」
ユンの発言に異議を挟む事も出来ずガジュは肩を落とす。よく考えればそうだ。ガジュ以外は戦闘試験も難なく突破できる奴らである。ユンには『魔拳』があるし、キュキュは獣人だから素の身体能力が高い、シャルルは二人に比べれば劣るものの【投獄】を上手く使えば蛙五匹倒すぐらい余裕なはずだ。
ガジュだけ不合格。
そんな最悪の未来が間近に近づき、ガジュの足はすくむ。
「次、ガジュ・アザッド。中に入れ。」
「さっ!頑張ってきてね~ガジュ!大丈夫、僕らはガジュが一人だけ冒険者になれなくても追放したりなんてしないから!」
励ましているのか煽っているのか。ユンがこれ以上ないほどの満面の笑みで背中を叩き、ガジュは門をくぐっていく。
高い柵だけに囲まれた野晒しの訓練場。そしてこちらを見つめる五匹の神々しい蛙達。つい先日凍龍を一発で倒した男が挑むにはあまりにも稚拙で、高難易度な戦いが幕を開けようとしていた。
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