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第三章 冒険者になろう
43.チョココロネが美味しすぎる
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「なぁユン。あんな馬鹿がリーダーでお前達は大丈夫なのか?吾輩、不安で仕方ないんだが。」
「今更気にしても無駄だよ。ガジュは暴れる以外の選択肢を知らないからね。あ、美味しいねクルちゃんのチョココロネ。」
「ふっふっふ!そうであろうそうであろう!吾輩達が作るパンは天下一だからな!」
「すみませんすみません!食べる手が止まりません!すみませんすみません!」
「おっおう……。何なんだ?この獣人は。全く喋らんから口が聞けないのかと思ったら、急に元気じゃないか。」
「キュキュちゃん甘いものにだけは目が無いからね。僕らのパーティ、皆変わってるから仕方ないよ。」
「お前が一番狂ってるだろうが……。」
翌朝。取り敢えずクルト宅に宿泊させてもらっていたガジュ達は、クルトの僕の子供達も含めた大勢で机を囲んでいた。何かこう、誰かの家にお世話になると甘いものをご馳走になるジンクスでもあるのだろうか。ダラの家ではハニカムシチュー、ここではチョココロネ。妙な偶然である。
「で、昨日の『秩序と混沌の鬼ごっこ大作戦』とかいうのは何なのさ。およそ人が考えたとは思えないほど馬鹿っぽかったけど。」
「説明しただろ。俺達で分担して魔物をこの街に集め、襲わせるんだ。住民の避難さえしておけば、誰も傷つけることなく俺らに汚名が着せられることもなく、イリシテアを混乱の渦に落とし込める。俺達はあくまで『魔物に襲われて逃げてきた迷惑な奴ら』になればいいだけだからな。」
「住民の避難なんてそう簡単に出来るのか?イリシテアの住民はバーゼに躾けられてるから、命令なしでは避難に応じないぞ。」
「そこはまぁでっちあげるしかないだろうな。バーゼの命令による避難訓練とでも称すれば言うこと聞くだろ。」
「それ結局何かしらの罪を背負うことにならない?イリシテアのトップの名を騙るのはどうかと思うんだけど。」
「それぐらい気にするな。勝てば官軍負ければ賊軍。シャルルを奪還してバーゼを打ち倒しさえすれば、それぐらいの罪はかき消せる。」
緻密なんだか雑なんだかよく分からない作戦の概要が伝えられ、ガジュ以外の全員の顔がどんどんと引き攣っていく。当のガジュはというと、手早くチョココロネを食べ終え、今回の主戦力の顔を見回していた。
「幸いなことに俺達はもれなく機動力が高いからな。俺は夜に活動しさえすれば魔物に追い付かれない程度の速度は簡単に出せる。キュキュは元の身体能力があるし、ユンも死ぬ気で走れば問題ないだろ。」
「げ……僕も囮として走り回るの……。勘弁してよ、僕はクルちゃんと一緒に住民の避難を助けるからさぁ……。」
「却下だ。なんならお前が俺達の中で一番強いからな。全力で働いてもらう。」
「なぁ、吾輩も囮側に回っては駄目か?住民の避難は僕達に任せれば良いし、吾輩は仮にも悪の覇王だ。前線で辣腕を振るってこその覇王だろう。」
「それは構わないが……お前戦えるのか?」
やけに自信満々な顔でガジュを見つめるクルト。ガジュがこんな無謀な作戦を提示しているのは、あくまで仲間達を信頼しているからだ。キュキュもユンも、この場にはいないがシャルルも、並の魔物に追いかけ回された程度では死なないだろうという確信が持てる戦闘力を有している。
だが目の前の少女はどうだろうか。肩書きは悪の覇王(自称)、体格はシャルル並みの幼児体型、そもそも服装が動きづらそなうな着ぐるみであるし、彼女の部屋どころかこの家には目立った武器すらない。
「勿論戦えるとも!シャルルとはよくチャンバラごっこをしていたからな!」
「五歳の時の話を持ち出されてもな……。スキルは?シャルルみたいな便利スキルがあるなら大歓迎だ。」
「スキル……。思い当たる節はないがパンを作るのだけは得意だぞ!【小麦粉の魔術師】とかどうだ!?」
「はぁ……。ユン、こいつの面倒はお前に任せたぞ。」
シャルルやガジュのように特殊なスキルを持っている人間は世界の中でもごく一握りだ。多くは少し足が速いとか、少し耳がいいとかその程度。そして稀に、この悪の覇王のように自分のスキルを知らない人間もいる。
神殿で神が教えてくれたりそういった仕組みがあればまた違うのだろうが、人が自身のスキルに気がつくのはほとんどの場合偶々だ。故にガジュのようにスキルの仕様を誤解した人間や、ハクアのように剣を握るまでスキルに気づかない人間もいるのである。
何にせよ、運動能力もなくスキルも知らない少女の面倒を見るのは大変に面倒。ガジュは一旦クルトを無視し、話を戻す。
「いいか、作戦の決行は今日の夜。それまでにしっかり英気を養っておけよ。キュキュの場合は……その辺で食べるのをやめておけ。」
「ふがっ……すみませんすみません!犬っころの癖に食べるのをやめられなくて!私チョコ食べても死なないんです、獣人なので!すみませんすみません!」
一人パンを食べ続けるキュキュだけを残し、ガジュ達は一斉に席を立つ。
「今更気にしても無駄だよ。ガジュは暴れる以外の選択肢を知らないからね。あ、美味しいねクルちゃんのチョココロネ。」
「ふっふっふ!そうであろうそうであろう!吾輩達が作るパンは天下一だからな!」
「すみませんすみません!食べる手が止まりません!すみませんすみません!」
「おっおう……。何なんだ?この獣人は。全く喋らんから口が聞けないのかと思ったら、急に元気じゃないか。」
「キュキュちゃん甘いものにだけは目が無いからね。僕らのパーティ、皆変わってるから仕方ないよ。」
「お前が一番狂ってるだろうが……。」
翌朝。取り敢えずクルト宅に宿泊させてもらっていたガジュ達は、クルトの僕の子供達も含めた大勢で机を囲んでいた。何かこう、誰かの家にお世話になると甘いものをご馳走になるジンクスでもあるのだろうか。ダラの家ではハニカムシチュー、ここではチョココロネ。妙な偶然である。
「で、昨日の『秩序と混沌の鬼ごっこ大作戦』とかいうのは何なのさ。およそ人が考えたとは思えないほど馬鹿っぽかったけど。」
「説明しただろ。俺達で分担して魔物をこの街に集め、襲わせるんだ。住民の避難さえしておけば、誰も傷つけることなく俺らに汚名が着せられることもなく、イリシテアを混乱の渦に落とし込める。俺達はあくまで『魔物に襲われて逃げてきた迷惑な奴ら』になればいいだけだからな。」
「住民の避難なんてそう簡単に出来るのか?イリシテアの住民はバーゼに躾けられてるから、命令なしでは避難に応じないぞ。」
「そこはまぁでっちあげるしかないだろうな。バーゼの命令による避難訓練とでも称すれば言うこと聞くだろ。」
「それ結局何かしらの罪を背負うことにならない?イリシテアのトップの名を騙るのはどうかと思うんだけど。」
「それぐらい気にするな。勝てば官軍負ければ賊軍。シャルルを奪還してバーゼを打ち倒しさえすれば、それぐらいの罪はかき消せる。」
緻密なんだか雑なんだかよく分からない作戦の概要が伝えられ、ガジュ以外の全員の顔がどんどんと引き攣っていく。当のガジュはというと、手早くチョココロネを食べ終え、今回の主戦力の顔を見回していた。
「幸いなことに俺達はもれなく機動力が高いからな。俺は夜に活動しさえすれば魔物に追い付かれない程度の速度は簡単に出せる。キュキュは元の身体能力があるし、ユンも死ぬ気で走れば問題ないだろ。」
「げ……僕も囮として走り回るの……。勘弁してよ、僕はクルちゃんと一緒に住民の避難を助けるからさぁ……。」
「却下だ。なんならお前が俺達の中で一番強いからな。全力で働いてもらう。」
「なぁ、吾輩も囮側に回っては駄目か?住民の避難は僕達に任せれば良いし、吾輩は仮にも悪の覇王だ。前線で辣腕を振るってこその覇王だろう。」
「それは構わないが……お前戦えるのか?」
やけに自信満々な顔でガジュを見つめるクルト。ガジュがこんな無謀な作戦を提示しているのは、あくまで仲間達を信頼しているからだ。キュキュもユンも、この場にはいないがシャルルも、並の魔物に追いかけ回された程度では死なないだろうという確信が持てる戦闘力を有している。
だが目の前の少女はどうだろうか。肩書きは悪の覇王(自称)、体格はシャルル並みの幼児体型、そもそも服装が動きづらそなうな着ぐるみであるし、彼女の部屋どころかこの家には目立った武器すらない。
「勿論戦えるとも!シャルルとはよくチャンバラごっこをしていたからな!」
「五歳の時の話を持ち出されてもな……。スキルは?シャルルみたいな便利スキルがあるなら大歓迎だ。」
「スキル……。思い当たる節はないがパンを作るのだけは得意だぞ!【小麦粉の魔術師】とかどうだ!?」
「はぁ……。ユン、こいつの面倒はお前に任せたぞ。」
シャルルやガジュのように特殊なスキルを持っている人間は世界の中でもごく一握りだ。多くは少し足が速いとか、少し耳がいいとかその程度。そして稀に、この悪の覇王のように自分のスキルを知らない人間もいる。
神殿で神が教えてくれたりそういった仕組みがあればまた違うのだろうが、人が自身のスキルに気がつくのはほとんどの場合偶々だ。故にガジュのようにスキルの仕様を誤解した人間や、ハクアのように剣を握るまでスキルに気づかない人間もいるのである。
何にせよ、運動能力もなくスキルも知らない少女の面倒を見るのは大変に面倒。ガジュは一旦クルトを無視し、話を戻す。
「いいか、作戦の決行は今日の夜。それまでにしっかり英気を養っておけよ。キュキュの場合は……その辺で食べるのをやめておけ。」
「ふがっ……すみませんすみません!犬っころの癖に食べるのをやめられなくて!私チョコ食べても死なないんです、獣人なので!すみませんすみません!」
一人パンを食べ続けるキュキュだけを残し、ガジュ達は一斉に席を立つ。
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