追放投獄全部乗り越えて復讐を、執着無双の脱獄者〜夜だけ最強?いえ闇の中ならいつでも最強です〜

鮎川重

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第四章 犯罪者共は学をつける

68.シャルルの解答

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「さて諸君。祭りは好きかね。」
「……。」
「祭りは好きかと聞いているんだぁ!好きだよな!?好きだよなお前らぁ!」
「おっ、おおー……!」
「いいかお前らぁ!我らベリオット冒険者学校昼コース、何が何でも創立祭に勝利するぞ!力こそパワー!パワーこそが正義!立ち上がれ野郎どもォォォォ!!!」

 ガジュが教壇の上に足をかけ、生徒達を激励する。そのあまりの迫力に生徒一同引き気味だが、そんなことは関係ない。対戦相手である夜コースを、というよりその助っ人のハクアを叩き潰す為には、自分は勿論生徒達も完璧に使いこなさなくては。軍隊指揮は不得手だが、絶対に成し遂げなくてはならない。

 張り切るガジュを他所に、教室の最後列ではユンとシャルルが冷めた目で荒ぶる仲間を見つめていた。

「シャルちゃん、あれ止めなくていいの?意味不明な正義を振りかざしてるけど、ただの職権濫用じゃない?」
「それはそうですが、あぁなったガジュを落ち着かせるのは不可能でしょう。それに今、シャルとガジュの関係は教師と生徒。生徒は教師の話を遮るべきではありません。ユンも諦めて静かにしてください。授業中は私語厳禁ですよ。」
「相変わらず真面目だなぁ。確かに授業時間中ではあるけど、多分ガジュは何も教える気ないと思うよ。あるとしたら、ハクアの悪辣さとか恨みつらみとかその程度でしょ。」

 ガジュとハクアが喧嘩している時、基本的にユン達は常に蚊帳の外だ。勝手に喧嘩に巻き込まれ、勝手にブレーキ役を任されてしまっている。もういっそ放っておいて、お茶でも飲みながらガジュの喧嘩を眺めていようか。ユンがそう思った時、ユギ村での一件が思い浮かぶ。

「そういえばさ、ハクアは何者かに操られているって話があったじゃん。あれって結局どうなったの?シャルちゃん、心当たりがあるからガジュには黙っておけ、って言ってたよね。」
「その件ですか。心当たりがあるというのは勿論バーゼのことでした。まさか自分が操られているとは思いませんでしたが、バーゼにそういった力があることは何となく知っていましたからね。ガジュに話さなかったのは、何ででしょうね。私にも分かりません。」
「分からない……。まぁ多分バーゼのスキルによる影響だろうね。シャルちゃんにはずっと記憶処理が施されてたみたいだし。」
「残念ながらそういうことでしょうね。しかし何にせよ、シャルの予想は外れていそうです。バーゼのスキルには距離制限がありますし、調べた限りバーゼは生まれてから一度もイリシテアを離れていません。どう足掻いても奴がハクアを操るのは不可能でしょう。」

 前の方の生徒達とガジュが熱く作戦会議をしている中、ユン達はただ淡々と状況を分析していく。シャルルの言う通り、ガジュ投獄事件に黒幕がいるとすればそれはバーゼではないだろう。シャルルの挙げた理由の他にも、バーゼがスキルを使用するには相手の名前、生年月日、年齢、血液型を知らなくてはならないが、あの引きこもりがそんな細かいことを知るはずがないという根拠もある。推察は結局、振り出しのままだ。

「バーゼじゃないとなると誰なんだ、って議論は置いとくとしてさ。僕的にはガジュに全部話しちゃう方が手っ取り早いと思うんだけど。そうすれば毎日寝不足になりながら黒曜等級を目指さなくてもいいわけじゃん?僕はのんびりとくつろぎたいんだよね。」
「それはそうですが……。そもそも操られている、という話自体かなり不確かなものですしね。ガジュとハクアの因縁もガジュから聞いただけですし、部外者であるシャル達がかき乱すのも違う気がします。」
「まぁそれもそうといえばそうだねぇ。じゃあまぁ、取り敢えず静観ということにしておこうか。何だかんだガジュが怒ってるのを見るのは面白いしね!」

 怠惰でありながら天邪鬼で悪辣。ユンはいつもの調子で軽やかに席を立ち、作戦会議をするガジュ達の元へ突撃していく。

「ちょっとちょっと!馬鹿のくせに小癪な策を立てるんじゃないよガジュ!いついかなる時でも一点突破!先陣はこのユンちゃんにお任せあれ!」
「おいこら、学校では呼び捨てすんなって言ってんだろ!だがまぁ作戦には賛成だ。殿は俺に任せろ!一ヶ月後の創立祭、暴れまくるぞ!!!」
「暴れることではなく勝つことを目標にしてください!学校行事には正義とモラルを持って臨むべきです!」

 ガジュに続いてユンまでも教壇に足をかけ、遂に耐えかねたシャルルから喝が飛ぶ。何はともあれ祭は一ヶ月後。それまでの期間、ガジュ達には大量にやることが残っている。
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