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第四章 犯罪者共は学をつける
85.作戦会議
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「ユン、お前が前に使ってたモヤモヤとかいう魔法はどの程度持続性があるんだ。」
「時間としては長く持つけど、範囲は精々人一人分ぐらいだし、動かしたりも出来ないかな。あれ、闇魔法の中でも初歩的な奴だし。」
「じゃあ取り敢えず俺の周りをそれで囲ってくれ。戦闘には役立たなそうだが、回復には使えるだろ。」
「おっけ~、モヤモヤ!」
「じゃあシャルは時間でも稼いでおきます。」
ユンが素早く魔法を唱え、ガジュの周りが黒煙に包まれていく。凍龍を倒した時はこの魔法でも十分だったが、今回はそうもいかないだろう。チャリオットは見るからに機動力が高いタイプ。固定型の煙から全力パンチを放ったとしても命中させること自体不可能だ。
だが回復用の魔法としては完璧。モヤモヤの中に入ったことでガジュの【闇の王】は最大級に効果を発揮し、胸に刻まれていた深い傷が瞬時に治癒されていく。
少し動かしやすくなった腕を回し、モヤの外に出た時には、チャリオットが猛威を奮っていた。
「復讐を邪魔する無粋の徒共め!我が甘美なる復讐の味を教えてやろう!!!」
「ガジュ!早く助けてください!シャルル達ではこいつを対処しきれません!」
刀を二本持つのが二刀流、なら槍を二本持つのはなんと呼ぶのだろうか。チャリオットはガジュの身の丈ほどはありそうな巨槍を二本振り回し、モヤモヤの外でシャルルとキュキュを追い回していた。
【投獄】があるから攻撃を当てられることはないのだろうが、あのスキルは事前に印を書いた場所にしか転移できない。あまり遠くへ逃げればガジュ達の支援が出来ないし、そんなに近い間隔で印を書いているわけでもないから、シャルルとしてはかなり苦しい状況だろう。
「助けてと言われても、特に出来ることはないがな……。まぁとにかく行くぞユン!お前サボってるだけだろ!」
「あ、バレた?」
魔法を使っただけで一仕事終えたような顔をしているユンを引っ張り出し、ガジュはチャリオットへ向かっていく。やはりチャリオットとしても一番関心があるのはガジュなのだろう。近くに寄ってきたガジュへ即座に標的を変え、槍を突いてくる。
モヤの外に出た以上、【闇の王】は役に立たないから、回避するのも命懸けだ。そしてその横では、同じ槍をユンが軽々と回避していた。
「おいユン。お前が本気を出しさえすればこいつも簡単に殺せるんじゃないのか。俺が小癪な作戦を考えるより、その方がずっと早そうだ。」
「まぁもう隠すのも面倒くさいから言っちゃうと、多分楽勝だね。けどそれをすると魔族討伐の功績は僕だけのものになっちゃうよ?」
「うっ……。確かにそれはそうだな。」
今回の相手は魔族。撃破すれば間違いなく冒険者協会に功績として認められる。例え認められなかったとしても、ハクア達という目撃者もいるし魔族出現の瞬間は中継されていたはずだ。
倒せば何かしらの利益が舞い降りることは確実。
それならば絶対に四人全員で協力した方がいい。ユン一人で倒せば、ユンの等級だけが上がり、ガジュ達は銀等級に取り残されてしまう。
「じゃあ全員で倒す方法を考えるか……。シャルとキュキュはこの一ヶ月でどれぐらい強くなったんだ。出来ることが増えてるなら全部教えてくれ。」
「シャルはただ体力が増えただけですから、代わりに印の位置を教えておきます。この山の中だけで三百個、今視界にある範囲だと五、六個ですね。」
「わ、私は別人格と喧嘩ができるようになりました。まだコントロールは出来ていませんが、別人格と今の人格を同時に発動できます。す、スキルも、どっちも使えます。」
「何とも微妙な成長具合だな……。ユン、一応聞いとくがお前の魔法はどれぐらい使える。」
「えー、大体のことは出来るけど、この空全てをモヤモヤで埋め尽くす!とかは無理だよ。」
「それが出来たらもっと早くやれって言葉と共にお前を殴ってる。」
周囲に寄ってきた三人から情報を集めながら、ガジュはチャリオットの槍を弾き返す。
何とも使えるのか使えないのかよくわからない手札達だが、これを使ってこの化け物に勝たなければならないと思うと中々の難題だ。こうして受け流している槍の一発一発が果てしなく重く、移動速度も耐久力も人間のレベルを軽く超えている。このレベルの敵を倒すとなると、かなりの小細工を必要とするだろう。
「シャルル、お前に一つ確認したい事があるんだが。」
「何ですか?シャルに出来ることなら何でもしますよ。」
「いやその……嘘をつくのは、正義に反するか?」
ガジュの頭に浮かんだ非道な作戦。その実現には、唖然とした表情でこちらを見つめる正義の化身の協力が、必要不可欠であった。
「時間としては長く持つけど、範囲は精々人一人分ぐらいだし、動かしたりも出来ないかな。あれ、闇魔法の中でも初歩的な奴だし。」
「じゃあ取り敢えず俺の周りをそれで囲ってくれ。戦闘には役立たなそうだが、回復には使えるだろ。」
「おっけ~、モヤモヤ!」
「じゃあシャルは時間でも稼いでおきます。」
ユンが素早く魔法を唱え、ガジュの周りが黒煙に包まれていく。凍龍を倒した時はこの魔法でも十分だったが、今回はそうもいかないだろう。チャリオットは見るからに機動力が高いタイプ。固定型の煙から全力パンチを放ったとしても命中させること自体不可能だ。
だが回復用の魔法としては完璧。モヤモヤの中に入ったことでガジュの【闇の王】は最大級に効果を発揮し、胸に刻まれていた深い傷が瞬時に治癒されていく。
少し動かしやすくなった腕を回し、モヤの外に出た時には、チャリオットが猛威を奮っていた。
「復讐を邪魔する無粋の徒共め!我が甘美なる復讐の味を教えてやろう!!!」
「ガジュ!早く助けてください!シャルル達ではこいつを対処しきれません!」
刀を二本持つのが二刀流、なら槍を二本持つのはなんと呼ぶのだろうか。チャリオットはガジュの身の丈ほどはありそうな巨槍を二本振り回し、モヤモヤの外でシャルルとキュキュを追い回していた。
【投獄】があるから攻撃を当てられることはないのだろうが、あのスキルは事前に印を書いた場所にしか転移できない。あまり遠くへ逃げればガジュ達の支援が出来ないし、そんなに近い間隔で印を書いているわけでもないから、シャルルとしてはかなり苦しい状況だろう。
「助けてと言われても、特に出来ることはないがな……。まぁとにかく行くぞユン!お前サボってるだけだろ!」
「あ、バレた?」
魔法を使っただけで一仕事終えたような顔をしているユンを引っ張り出し、ガジュはチャリオットへ向かっていく。やはりチャリオットとしても一番関心があるのはガジュなのだろう。近くに寄ってきたガジュへ即座に標的を変え、槍を突いてくる。
モヤの外に出た以上、【闇の王】は役に立たないから、回避するのも命懸けだ。そしてその横では、同じ槍をユンが軽々と回避していた。
「おいユン。お前が本気を出しさえすればこいつも簡単に殺せるんじゃないのか。俺が小癪な作戦を考えるより、その方がずっと早そうだ。」
「まぁもう隠すのも面倒くさいから言っちゃうと、多分楽勝だね。けどそれをすると魔族討伐の功績は僕だけのものになっちゃうよ?」
「うっ……。確かにそれはそうだな。」
今回の相手は魔族。撃破すれば間違いなく冒険者協会に功績として認められる。例え認められなかったとしても、ハクア達という目撃者もいるし魔族出現の瞬間は中継されていたはずだ。
倒せば何かしらの利益が舞い降りることは確実。
それならば絶対に四人全員で協力した方がいい。ユン一人で倒せば、ユンの等級だけが上がり、ガジュ達は銀等級に取り残されてしまう。
「じゃあ全員で倒す方法を考えるか……。シャルとキュキュはこの一ヶ月でどれぐらい強くなったんだ。出来ることが増えてるなら全部教えてくれ。」
「シャルはただ体力が増えただけですから、代わりに印の位置を教えておきます。この山の中だけで三百個、今視界にある範囲だと五、六個ですね。」
「わ、私は別人格と喧嘩ができるようになりました。まだコントロールは出来ていませんが、別人格と今の人格を同時に発動できます。す、スキルも、どっちも使えます。」
「何とも微妙な成長具合だな……。ユン、一応聞いとくがお前の魔法はどれぐらい使える。」
「えー、大体のことは出来るけど、この空全てをモヤモヤで埋め尽くす!とかは無理だよ。」
「それが出来たらもっと早くやれって言葉と共にお前を殴ってる。」
周囲に寄ってきた三人から情報を集めながら、ガジュはチャリオットの槍を弾き返す。
何とも使えるのか使えないのかよくわからない手札達だが、これを使ってこの化け物に勝たなければならないと思うと中々の難題だ。こうして受け流している槍の一発一発が果てしなく重く、移動速度も耐久力も人間のレベルを軽く超えている。このレベルの敵を倒すとなると、かなりの小細工を必要とするだろう。
「シャルル、お前に一つ確認したい事があるんだが。」
「何ですか?シャルに出来ることなら何でもしますよ。」
「いやその……嘘をつくのは、正義に反するか?」
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