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第一章 陰謀はいつでもすぐそばに
1.目覚めし者達
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「俺は、おへはこの世界に来てほんほうによかった!!!いせかい、さいこーーーーー!!!」
狭いながらも人の詰まった賑やかな酒場。カラフルな髪の毛を生やし、白から黒まで様々な色の肌を持った周囲の人々とは似ても似つかない地味な風貌の男が、その中心で管を巻く。
「よく分かってんじゃねぇか異世界人!いやもうお前のことをそう呼んだりはしねぇ!お前は俺達の仲間だ!」
「そうだそうだ!我らがアベリアの一員たるセナに乾杯!」
「「「かんぱ~い!!!」」」
一人、二人、三人。酔い潰れた男の背を次々と周囲の客達が叩き、高らかに乾杯の音頭が響く。
汗と酒の匂いが充満した酒場の空気を不快に思う者は一人もおらず、ただ確かな興奮だけがこの場を包み込んでいる。
アベリア王国の王都。王城から伸びるメインストリートから数分歩き、路地を五回ほど曲がった街外れの小さな酒場。初めて訪れた際には「余所者」と罵られ、腐ったパイを投げつけられたが、その記憶も遠い昔の話。
セナ・アスハ。本名、葦原 瀬奈あしはら せながこの世界にやって来たのはかれこれ二年前のことである。
「いや~にしてもセナも喋りが上手くなったよなぁ。呂律こそ回ってねぇが、発音も文法も完璧じゃねぇか。初めて会った時は『コンニチハ』とか何とか言ってた癖によう。」
「はっ!舐めないでくれよ!俺は頭がいいからな、言語一つ習得するなど造作もない!元々俺は多言語話者なんだぞ!日本語、中国語、英語、フランス語!何でもござれだ!」
「おうおう!意味わかんねぇがすげぇ!『コンニチハー!!!』」
下手な外国語というのはどうしてこうも滑稽なのか。異世界人達がイントネーションの外れた日本語を叫びながら杯を掲げ、もう何度目かも分からない乾杯が行われる。
俗にいうテンプレというものに従うのであれば、異世界に転移してきた人間には幾つかの能力が備わっている。異言語理解にステータス閲覧、変わったところだとタイムリープやスキルコピー。
だが、セナには何も与えられていなかった。
言語も分からなければ便利なスキルも戦闘向きな力もない。一応この世界自体には魔法の類が存在しているそうだが、そういった才能も持ち合わせていなかった。
それ故に日々勉強を重ね、文化を学び、言語を学び、人と触れ合った。
極めて過酷で、極めて地味な異世界転移。それでも、セナにとってこの異世界転移は限りなく幸福なものである。
「うぅ……。そう!俺は優秀な人間なんだよ!私立幼稚園からエリート街道を突き進み、エスカレーターで入れるはずだった大学を蹴って日本最高峰の大学に進学!留年どころか単位すら落とさず首席で卒業したんだ!なのに!……なのにーーー!!!」
「いいぞいいぞ!泣け泣け!思いっきり泣いちまえ!お前は天才だ!優秀な男だ!」
「うぉぉぉぉぉぉ!!!日本は、いや地球は腐りきってるんだぁぁぁ!!!」
葦原瀬奈は、極めて優秀な人間である。勉学において肩を並べられる者はおらず、理系分野こそ多少苦手ではあるものの歴史や政治の知識は大学の教授すら凌駕すると評されていた。
だが、世界は彼を認めてくれなかった。
何十、何百という会社で面接を受けたが、どれも最終選考にさえ残らない。健闘を讃えるような言葉すら投げかけられず、呆れたような視線を最後にお祈りの言葉を飛ばされる。
ならば大学で研究でもしようかと思ったが、首席にも関わらずあらゆる研究室から爪弾き。
どうして自分のような優秀な人間がここまで拒絶されるのか。下宿先の四畳半を涙で埋め尽くした先に行き着いたのは、一人の結論だった。
「世界は一部の上流階級によって支配されているんだ!奴らが雇った工作員によって俺のような優秀な人間の行動は監視され、真実に気づき変革を起こそうとしないか常に警戒されている!」
「おっ、始まったぞセナの異世界話だ!」
「愚かな人民達はそれに気づきもしない!ありもしない疾病と理想国家に夢と絶望を支配され、人工地震と怪電波によって行動を制御されているんだ!隙を見せればマイクロチップを埋め込まれ、思考を盗聴される!あんな世界はクソ喰らえだ!」
ずっと机に突っ伏していたセナが勢いよく立ち上がり、金色の飲料を撒き散らしながら杯を振り回す。
「俺が死んだのもそう!あの貧乏大学生しか住んでいない貧民街のような場所にどうして大型トラックが来るんだ!?あの細い路地をあの日あの時間俺が通ることをどうして知っていた!?そう、全ては計算された暗殺計画!俺は不慮の事故で死んだんじゃない!国家に、世界に殺されたんだ!」
最早この酒場で定番の光景となった、セナの口上。日本でこんなことを言えば冷ややかな目で見られる、というか実際セナはそんな目を向けられていたがこの世界では違う。
セナの口から語られる異質で恐ろしい異世界の話は他の客達にとって非常にセンセーショナルであり、いい酒の肴にされている。
「だから、だから俺はこの世界に来れて本当に嬉しいんだ!この世界には集団ストーカーも5G電波もワクチンもない!現にこっちの世界に来てから良いことづくし!阻まれさえしなければ、俺の人生は上手くいくんだよ!何故ならそう!?」
「「「天才だからーーー!!!」」」
コール&レスポンスと共にセナが立っていた椅子から転げ落ち、客達が彼の体を持ち上げて胴上げが始まる。
言語がわからなかった頃は苦労したが、こちらの世界に来てからセナの人生は鰻登りだ。こうして酒を酌み交わす友も出来、近頃は王城の事務というまともな職にもありつけた。職場での評価も好調、後一年働けば国政に携われる可能性だって見えて来ている。
本来、自分の人生はこうあるべき。
酒でぼやけた脳みその興奮が最高潮に達した時、入口扉の鈴が鳴る。
「ちょっとそこの酔っ払い。楽しそうな話をしてるじゃない。」
「あ?おい、誰だこのガキ。見慣れない顔だな。」
「モブ共は黙ってなさい。私はそこの異世界人に用があるのよ。」
長い金髪を少し高い位置で一つにまとめ、細く小さな体はローブによって一切の露出を封じられている。雰囲気や声からすれば十代半ば程のうら若き乙女、という印象だが、肝心な顔が見えない。
地球でいう鬼、こちらの世界では魔物と呼ぶべきなのだろうか。どうにも見覚えのない、禍々しい牙とギラついた目付きが鮮やかな仮面によって顔を隠した少女はツカツカと勇ましくセナの元へと近づいてきた。
「上流階級による支配、だったかしら?その話、もっと聞かせてくれない?」
「ん~。良かろう聡明な少女よ!いいか、古くは弥生時代、いや世界に目を向ければもっと前から!世界では上流階級による情報操作が当たり前のように行われている!卑弥呼の呪術も中世の魔女狩りも、人民を騙し動かすための大嘘だ!これらの真実に気づかれぬよう、奴らは俺達の会話や思考を盗聴し、行動を監視しているんだ!」
「ふぅん。どうやって?」
「工作員を雇ってるんだよ。不自然に背後を付いてくる人間や、飲食店でスマホを終始弄っている人間に遭遇したことはないか?奴らこそ工作員。集団ストーカーは立派な犯罪だ!後は電子機器に盗聴器を仕込んだり、電磁波で脳みその信号を傍受したり!!!」
「細かい意味は分からないけど……。的は得てるわね。どこの世界も同じってことかしら。よしっ!」
酔いどれながらセナが質問に答えると、少女はローブの中から一本の細い剣を取り出す。
市街地での武器の携帯は違法。一瞬のざわめきが酒場を支配した数秒後、少女は動き出した。
「省エネでいかないとこの後が辛いから。首を切り落としたら悪いわね。」
「……この女、アルルか!」
「ご名答。」
少女がセナの横にいた酔っ払いの腹部を切り裂き、杯の金色に赤が混じる。
そこから先は、語りようもなかった。
一人、また一人と地面に伏していく客達。その中心で踊るように剣を振る少女は悪鬼羅刹よりも恐ろしく、華々しい。
営業開始時刻以来数時間ぶりに静寂の訪れた酒場で、少女はゆっくりとセナに語りかける。
「改めてこんにちは。異世界の目覚めし者さん。私はアルル。この世界における、目覚めし者。」
「……目覚めし者?」
「えぇ。この世界の真の構造に気づき行動を起こし始めた、かつての貴方と同じような存在よ。残念なことに、この世界も貴方の世界と大して変わらないの。」
そう言ってアルルは血に染まったシャンデリアを指差し、右に握った剣を軽く振って血を吹き飛ばす。
「私達は常に監視され、全ての会話は聞かれてる。あらゆるものは作り物で、私達は間接的に操られてるの。」
「う、嘘だろ……?この世界は、この世界は違うはずだ。俺は、俺はこの世界で上手くいってる!」
「それは貴方の生活が上手くいっていた方が好都合だからよ。ここにいる客達も、貴方の職場も全ては作り物。証拠を見せてあげるわ。今からこの酒場に大量の魔物が攻めてくる。目覚めてしまった私達を始末する為にね。」
この世界に魔物がいるのは知っている。陰謀などではなく、セナもこの目で何度か目にした異形の化け物達だ。だがそれはあくまで街の外の話。アベリア王国などという大国の仮にも首都であるこの場所、しかも民間人がたむろするこの酒場に現れるはずはない。
アルルの話をそう一蹴しようとした時、酒場の窓ガラスは一斉に砕け散る。
「後ろに隠れてなさい。貴方はとっくに、私達の仲間なんだから。」
アルルの上空に魔法陣のような図形が現れ、上空から飛びかかってくる鳥や狼に近い形をした黒色のモヤがかった化け物達の接近と共に六芒星が輝いていく。
魔物達が紋に飛び込み、その先のアルルとセナへ牙を剥こうとした時、魔物の体と酒場の屋根は炎に包まれていた。
「私達はリバタリア。全ての陰謀を打破する者達よ。」
地球も異世界も。人間がいる限り、そこに陰謀は存在する。
この日、セナはその事実に目覚めてしまった。
狭いながらも人の詰まった賑やかな酒場。カラフルな髪の毛を生やし、白から黒まで様々な色の肌を持った周囲の人々とは似ても似つかない地味な風貌の男が、その中心で管を巻く。
「よく分かってんじゃねぇか異世界人!いやもうお前のことをそう呼んだりはしねぇ!お前は俺達の仲間だ!」
「そうだそうだ!我らがアベリアの一員たるセナに乾杯!」
「「「かんぱ~い!!!」」」
一人、二人、三人。酔い潰れた男の背を次々と周囲の客達が叩き、高らかに乾杯の音頭が響く。
汗と酒の匂いが充満した酒場の空気を不快に思う者は一人もおらず、ただ確かな興奮だけがこの場を包み込んでいる。
アベリア王国の王都。王城から伸びるメインストリートから数分歩き、路地を五回ほど曲がった街外れの小さな酒場。初めて訪れた際には「余所者」と罵られ、腐ったパイを投げつけられたが、その記憶も遠い昔の話。
セナ・アスハ。本名、葦原 瀬奈あしはら せながこの世界にやって来たのはかれこれ二年前のことである。
「いや~にしてもセナも喋りが上手くなったよなぁ。呂律こそ回ってねぇが、発音も文法も完璧じゃねぇか。初めて会った時は『コンニチハ』とか何とか言ってた癖によう。」
「はっ!舐めないでくれよ!俺は頭がいいからな、言語一つ習得するなど造作もない!元々俺は多言語話者なんだぞ!日本語、中国語、英語、フランス語!何でもござれだ!」
「おうおう!意味わかんねぇがすげぇ!『コンニチハー!!!』」
下手な外国語というのはどうしてこうも滑稽なのか。異世界人達がイントネーションの外れた日本語を叫びながら杯を掲げ、もう何度目かも分からない乾杯が行われる。
俗にいうテンプレというものに従うのであれば、異世界に転移してきた人間には幾つかの能力が備わっている。異言語理解にステータス閲覧、変わったところだとタイムリープやスキルコピー。
だが、セナには何も与えられていなかった。
言語も分からなければ便利なスキルも戦闘向きな力もない。一応この世界自体には魔法の類が存在しているそうだが、そういった才能も持ち合わせていなかった。
それ故に日々勉強を重ね、文化を学び、言語を学び、人と触れ合った。
極めて過酷で、極めて地味な異世界転移。それでも、セナにとってこの異世界転移は限りなく幸福なものである。
「うぅ……。そう!俺は優秀な人間なんだよ!私立幼稚園からエリート街道を突き進み、エスカレーターで入れるはずだった大学を蹴って日本最高峰の大学に進学!留年どころか単位すら落とさず首席で卒業したんだ!なのに!……なのにーーー!!!」
「いいぞいいぞ!泣け泣け!思いっきり泣いちまえ!お前は天才だ!優秀な男だ!」
「うぉぉぉぉぉぉ!!!日本は、いや地球は腐りきってるんだぁぁぁ!!!」
葦原瀬奈は、極めて優秀な人間である。勉学において肩を並べられる者はおらず、理系分野こそ多少苦手ではあるものの歴史や政治の知識は大学の教授すら凌駕すると評されていた。
だが、世界は彼を認めてくれなかった。
何十、何百という会社で面接を受けたが、どれも最終選考にさえ残らない。健闘を讃えるような言葉すら投げかけられず、呆れたような視線を最後にお祈りの言葉を飛ばされる。
ならば大学で研究でもしようかと思ったが、首席にも関わらずあらゆる研究室から爪弾き。
どうして自分のような優秀な人間がここまで拒絶されるのか。下宿先の四畳半を涙で埋め尽くした先に行き着いたのは、一人の結論だった。
「世界は一部の上流階級によって支配されているんだ!奴らが雇った工作員によって俺のような優秀な人間の行動は監視され、真実に気づき変革を起こそうとしないか常に警戒されている!」
「おっ、始まったぞセナの異世界話だ!」
「愚かな人民達はそれに気づきもしない!ありもしない疾病と理想国家に夢と絶望を支配され、人工地震と怪電波によって行動を制御されているんだ!隙を見せればマイクロチップを埋め込まれ、思考を盗聴される!あんな世界はクソ喰らえだ!」
ずっと机に突っ伏していたセナが勢いよく立ち上がり、金色の飲料を撒き散らしながら杯を振り回す。
「俺が死んだのもそう!あの貧乏大学生しか住んでいない貧民街のような場所にどうして大型トラックが来るんだ!?あの細い路地をあの日あの時間俺が通ることをどうして知っていた!?そう、全ては計算された暗殺計画!俺は不慮の事故で死んだんじゃない!国家に、世界に殺されたんだ!」
最早この酒場で定番の光景となった、セナの口上。日本でこんなことを言えば冷ややかな目で見られる、というか実際セナはそんな目を向けられていたがこの世界では違う。
セナの口から語られる異質で恐ろしい異世界の話は他の客達にとって非常にセンセーショナルであり、いい酒の肴にされている。
「だから、だから俺はこの世界に来れて本当に嬉しいんだ!この世界には集団ストーカーも5G電波もワクチンもない!現にこっちの世界に来てから良いことづくし!阻まれさえしなければ、俺の人生は上手くいくんだよ!何故ならそう!?」
「「「天才だからーーー!!!」」」
コール&レスポンスと共にセナが立っていた椅子から転げ落ち、客達が彼の体を持ち上げて胴上げが始まる。
言語がわからなかった頃は苦労したが、こちらの世界に来てからセナの人生は鰻登りだ。こうして酒を酌み交わす友も出来、近頃は王城の事務というまともな職にもありつけた。職場での評価も好調、後一年働けば国政に携われる可能性だって見えて来ている。
本来、自分の人生はこうあるべき。
酒でぼやけた脳みその興奮が最高潮に達した時、入口扉の鈴が鳴る。
「ちょっとそこの酔っ払い。楽しそうな話をしてるじゃない。」
「あ?おい、誰だこのガキ。見慣れない顔だな。」
「モブ共は黙ってなさい。私はそこの異世界人に用があるのよ。」
長い金髪を少し高い位置で一つにまとめ、細く小さな体はローブによって一切の露出を封じられている。雰囲気や声からすれば十代半ば程のうら若き乙女、という印象だが、肝心な顔が見えない。
地球でいう鬼、こちらの世界では魔物と呼ぶべきなのだろうか。どうにも見覚えのない、禍々しい牙とギラついた目付きが鮮やかな仮面によって顔を隠した少女はツカツカと勇ましくセナの元へと近づいてきた。
「上流階級による支配、だったかしら?その話、もっと聞かせてくれない?」
「ん~。良かろう聡明な少女よ!いいか、古くは弥生時代、いや世界に目を向ければもっと前から!世界では上流階級による情報操作が当たり前のように行われている!卑弥呼の呪術も中世の魔女狩りも、人民を騙し動かすための大嘘だ!これらの真実に気づかれぬよう、奴らは俺達の会話や思考を盗聴し、行動を監視しているんだ!」
「ふぅん。どうやって?」
「工作員を雇ってるんだよ。不自然に背後を付いてくる人間や、飲食店でスマホを終始弄っている人間に遭遇したことはないか?奴らこそ工作員。集団ストーカーは立派な犯罪だ!後は電子機器に盗聴器を仕込んだり、電磁波で脳みその信号を傍受したり!!!」
「細かい意味は分からないけど……。的は得てるわね。どこの世界も同じってことかしら。よしっ!」
酔いどれながらセナが質問に答えると、少女はローブの中から一本の細い剣を取り出す。
市街地での武器の携帯は違法。一瞬のざわめきが酒場を支配した数秒後、少女は動き出した。
「省エネでいかないとこの後が辛いから。首を切り落としたら悪いわね。」
「……この女、アルルか!」
「ご名答。」
少女がセナの横にいた酔っ払いの腹部を切り裂き、杯の金色に赤が混じる。
そこから先は、語りようもなかった。
一人、また一人と地面に伏していく客達。その中心で踊るように剣を振る少女は悪鬼羅刹よりも恐ろしく、華々しい。
営業開始時刻以来数時間ぶりに静寂の訪れた酒場で、少女はゆっくりとセナに語りかける。
「改めてこんにちは。異世界の目覚めし者さん。私はアルル。この世界における、目覚めし者。」
「……目覚めし者?」
「えぇ。この世界の真の構造に気づき行動を起こし始めた、かつての貴方と同じような存在よ。残念なことに、この世界も貴方の世界と大して変わらないの。」
そう言ってアルルは血に染まったシャンデリアを指差し、右に握った剣を軽く振って血を吹き飛ばす。
「私達は常に監視され、全ての会話は聞かれてる。あらゆるものは作り物で、私達は間接的に操られてるの。」
「う、嘘だろ……?この世界は、この世界は違うはずだ。俺は、俺はこの世界で上手くいってる!」
「それは貴方の生活が上手くいっていた方が好都合だからよ。ここにいる客達も、貴方の職場も全ては作り物。証拠を見せてあげるわ。今からこの酒場に大量の魔物が攻めてくる。目覚めてしまった私達を始末する為にね。」
この世界に魔物がいるのは知っている。陰謀などではなく、セナもこの目で何度か目にした異形の化け物達だ。だがそれはあくまで街の外の話。アベリア王国などという大国の仮にも首都であるこの場所、しかも民間人がたむろするこの酒場に現れるはずはない。
アルルの話をそう一蹴しようとした時、酒場の窓ガラスは一斉に砕け散る。
「後ろに隠れてなさい。貴方はとっくに、私達の仲間なんだから。」
アルルの上空に魔法陣のような図形が現れ、上空から飛びかかってくる鳥や狼に近い形をした黒色のモヤがかった化け物達の接近と共に六芒星が輝いていく。
魔物達が紋に飛び込み、その先のアルルとセナへ牙を剥こうとした時、魔物の体と酒場の屋根は炎に包まれていた。
「私達はリバタリア。全ての陰謀を打破する者達よ。」
地球も異世界も。人間がいる限り、そこに陰謀は存在する。
この日、セナはその事実に目覚めてしまった。
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