【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。

airria

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サイドストーリー:フリージア

宝石伯爵の手回し

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晩餐会の翌朝、フリージアはまだ太陽が昇る前から目が覚めた。

うちのゲストハウスに、テオがいる…

そう思うと完全に目が冴えてしまい、フリージアは二度寝を諦めて、汚れてもいいワンピースに着替えて、支度を整えた。

約束の時間まで宝石辞典を読み進めて時間を潰す。

朝露に濡れた芝を踏みしめて裏庭を進むと、既にテオがカエル池で待っていた。

「おはよう、よく眠れた?」

「ああ」

「昨日の晩餐会で結構食べてたけど、お腹は大丈夫なの?」

「問題ない。」

それにしても、とテオはカエル池を見回す。

「すごい数だな」

「ね、すごいでしょ?これを全部捕るのはちょっと無理よ?」

「今日から毎日、同じ位の数のカエルを捕ろう。100匹と言いたいところだが…2人だし、50匹が限度だな…見ただけで雌雄がわかる君が捕ると、無差別データにならないから、どのカエルを捕るかは俺が決める」

「じゃあ私はあなたが網で捕ったカエルを入れていくわね。」

役割が決まり、カエルの捕獲が始まった。

網でひと掬いするだけで、一度に5、6匹のカエルが捕れる。

「フリージア!早くっ、早く捕ってくれ!柄のところ!登ってきてる!」

顔を青くしながら必死に助けを求めるテオに、いつもながらフリージアは笑いを堪えきれない。

わーきゃー言いながら捕獲していると、背後から芝を踏む音が聞こえた。

「随分楽しそうだな」

「兄様!」

息を弾ませて兄を見るフリージアの表情が輝いている。

「もうすぐ朝食だが、まだ捕るのか?」

「これで48匹目よ。最低でも50は欲しいの」

「じゃあ、朝食まで俺も手を貸そう」

腕をまくって兄が参戦すると、あっという間に78匹捕獲できた。

召使いが朝食ができたと呼びに来て、兄は屋敷に戻っていったが、まだ雌雄の判別ができていない。

テオの朝食はゲストハウスに準備してあると言う。

「私の分と、彼の分は、包めるものだけでいいから、ここに持ってきてくれる?ここで食べるわ」

カエルの雌雄の判別をして逃がしてから、裏庭のテラスで朝食を食べるのが2人の日課になった。







その日の午後、早速調査官を採掘現場へ案内しようと、ルーインは地学専門の天文官とともに馬車に乗り込んだ。

その際、担当の天文官が遠慮がちにルーインに尋ねた。

「今日はフリージア嬢は同席されないのでしょうか?」

「フリージアですか?ええっと・・同席した方がいいでしょうか?」

心中で「なぜ妹・・?」と訝しむルーインに担当の天文官がこう告げた。

「あの宝石伯爵からソーティングを認められていると伺って、是非ご一緒したいと思っていたのですが・・」

「宝石伯爵?」

「ご存知ないですか?『良質な宝石を求めるならば宝石伯爵の門をくぐれ』は?これも聞いたことがない?宝石伯爵のサインがつくかつかないかで宝石の信用性が全く違うのです。石だけでなく、伯爵の考案するジュエリーも実に人気でしてね。王族、高位貴族の御用達となっていて、この国のみならず、周辺諸国の王族からも高い人気を誇っているのです。」

熱く語る天文官に気圧されながら、ルーインは頷いた。

「宝石伯爵は社交的な方ではないのですが、先日お手紙をいただきまして・・」

これです、と天文官が懐から大事そうに封筒を出してきた。

「もう1人来ているあの天文官が、宝石伯爵と偶然つながりがありまして、彼が届けてくれました。ターナー伯爵領がご息女、フリージア嬢のソーティングは他と一線を画す稀有な才能である、と。領地に行く際には是非面会されるべし、と書いてあります。昨日の晩餐会ではお話する機会もなかったので、できれば・・」

「そ、そうなんですね。少しお待たせして宜しければ、今から呼んできましょうか」

「是非とも、よろしくお願いします」

その後、フリージアが加わると、車内では熱い鉱物トークが繰り広げられた。

大学出のエリートのはずの天文官と肩を並べて、話に夢中のフリージアに、ルーインは呆気に取られた。

インクルージョンについて話していたかと思えば、産地や歴史、スピネルやガーネットにまで話が及んでいる。

さすがに天文官ほど知識は及ばないが、質問の内容は的を得ているらしく、天文官も喜んで応じている。

採掘場に着くと、地質を調べる天文官に付いていき、フリージアが幾度となく質問している。

仕事の邪魔をしないように、と慌ててフリージアを制しようと近づくルーインだったが、天文官の楽しそうな表情を見れば、その気もなくなった。

原石の前では、寧ろフリージアの方が天文官から質問を受けている。

「いやー、ルーイン殿、ありがとうございました。ルビーが取れる上に、フリージア嬢のような才能溢れるお方が領におられるなど、ターナー伯爵領は本当に幸運ですな」




調査の1日目が終了し、ルーインは家に帰ると、フリージアを抱きしめた。

「フリージア、お前を信じなかった兄様を許してくれ。俺はお前が誇らしい。お前の力を貸してくれ。領地を一緒に盛り立ててほしい。」

「でもお父様が・・」

「父上には俺がちゃんと言ってやる。お前は心配するな」

「兄様・・ありがとう。」

フリージアはふわりと笑った。

まだまだ子どもだと思っていたのに、いつの間に、こんな頼りになるレディになっていたんだろう、とルーインは感慨深い。

「それで兄様、お給料の話なんだけど、ジョエルナ伯爵のところでは1刻500ルセで雇っていただいていたの。地方の相場は1刻320ルセと聞いているから、1刻450ルセでどうかしら?」

「お、おぅ…」

いつの間に、こんな金に詳しい令嬢になったのか…

ルーインは一気に現実に引き戻され、目を白黒させるのだった。
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