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引き受けるなんて御免です。
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オジさんがコホン、と勿体ぶったように咳をして、言葉を続ける。
「半年前、我が阿の国に、神獣様が出現されたのです!」
「・・・神獣?」
「そうです。神獣は古より我が国に伝わる神の遣い。阿の国には古来より、危機に陥りし時に神獣が現れるのです!」
そう言うオジさんは誇らしげだ。
「200年ぶりに神獣様が確認されて、我々は胸を撫で下ろしたのです。伝承では、神獣様は天候さえも操ることのできる力をお持ちとか。日照り続きのこの国に天のお恵みをもたらしてくださるだろう、と。しかし・・」
オジさんの顔が明らかに曇る。
「神獣様の番がいまだに見つからないのです。」
神獣は天から遣わされるのではなく、その地の主である獣(例えば大猪や大蛇など)に神が力を与えることによってなるらしい。
力を与えられた神獣は神力を得て、空を駆けて己の番を探し始める。
番がどのように選ばれるのかは諸説あるものの、わかっていることは人間の女であるということと、その神獣にとって唯一無二であるということだけだ。
番を探し当てるまで、神獣は人の姿にはなれない。そして神獣が人の姿になるまでは意思疎通を図ることはできず、近づけば最悪食い殺される恐れもある。
「女人にとって、神獣様の番となるのは最高の栄誉。自らがそうと信じて、直接神獣様の住む洞穴に行く女人も居りましたな・・結局喰わ・・コホン、いや、失礼。」
エフンエフンとわざとらしく咳をして、オジさんは話を続けた。
空を駆ける神獣が確認されて以降、国の重鎮たちは番発見の報を今か今かと待っていたのだそうだ。
通常であればひと月もすれば番を得られるはずなのに、半年経っても神獣は番を得られなかった。
「番のいない神獣は狂ってしまうんですよ。そうすると最悪の害獣となりますし、番様の捜索が我々の急務となりました。」
そして、高名な学者や神殿の偉い人も含めて色々と協議した結果。
「いつまでも見つからないのはもしや、この国に番様がいないからではないか、と学者たちが申しだしまして。その可能性に掛けた我々は、古より伝わる王家の召喚式を執り行いました。何度も失敗を繰り返しましたが・・」
オジさんは胸を張った。
「ようやく昨日!あなた様の召喚に成功したのです、番様!」
◇
「というわけでして、番様について、お分かりいただけたでしょうか」
お茶を飲みながらうんうんと頷く私に、オジさん(宰相だった)はホッと息をついた。
「ご理解頂けて何よりです。さすが番様だ、聡明でいらっしゃる。それでは改めまして・・」
オジさんは一歩下がって、胸の前で手を組んだ。
「番様、どうぞ我らをお助けください」
請い願う姿はヒロインのよう・・には見えなかった。うん、オジさんだからね。
持っていた湯呑みを卓に置く。
私もできるだけキリリとした顔で、一息に言ってやった。
「イヤです!」
「なっ!」
オジさんが固まっている。
「な、何故です番様!先ほど申した通り、神獣様の番は、女人にとって最高の栄誉ですぞ!」
私はゆっくりお茶を啜ってから、オジさんに微笑んだ。
「私がその番とやらという確証はないですよね。もし番じゃなかったら餌になるなんて、そんな命をかけた博打みたいなことしたくないです。」
「そんな!ご心配には及びません!間違いなくあなた様が番様です!」
「そもそも、人外と結婚するなんてごめんです。」
あまりにも不敬な物言いらしく、女官たちから悲鳴が上がったが、構うものか。
「勝手に連れてこられて・・これって拉致ですよね?私は元の場所に帰してもらえるんですか?」
「な、何を仰るんですか番様!せっかく召喚できたのに・・・!」
しどろもどろしてるオジさん。
「とにかく、私は番とやらにはなりたくないし、はやく元の世界に返してください!」
「おい、お前!黙っていれば何を好き勝手言ってるんだ!」
阿王が横から入ってきた。
「魯伯、どうせこいつは番様じゃない。男だしな。」
「陛下、男だなんてまさかそんな!」
「髪も短いし胸もない。男だ、男。」
「い、いえ、でも顔立ちはどちらかと言うと・・・」
「それに、歴代の番様は絶世の美女だったというではないか。こいつがそうとは到底思えん。」
そう言って、阿王は私を見て鼻で笑った。
・・・いちいちカチンとくる奴!!心の中での呼び名は、阿王ではなく阿呆にしよう。そうしよう。
「しかし陛下、せめて確認だけでも・・・!わざわざ召喚までしたのですぞ!?それに、違う世界から来たというのに、こうして言葉が通じるというのは、やはり神の思し召しがあるからでしょう」
阿王は肩をすくめた。
「まぁ、時間の無駄だとは思うが、番でなくても供物としての役には立つか。」
「供物・・・!こ、この際それでもいい!それでは今晩は予定通りということでよろしいですな?」
「ああ。」
「よし!ではお前たち!今晩に向けて番様の準備を頼む!」
(準備?)
宰相の号令と共に、女官たちに囲まれた。
さっきまで物腰柔らかで丁寧だった女官たちは一様に青筋を立てていて、表情は取り繕っているものの、私に向ける目は冷たい。
(こ、これは‥まずったかも?)
「それでは失礼いたします」
「お覚悟なさいませ」
「半年前、我が阿の国に、神獣様が出現されたのです!」
「・・・神獣?」
「そうです。神獣は古より我が国に伝わる神の遣い。阿の国には古来より、危機に陥りし時に神獣が現れるのです!」
そう言うオジさんは誇らしげだ。
「200年ぶりに神獣様が確認されて、我々は胸を撫で下ろしたのです。伝承では、神獣様は天候さえも操ることのできる力をお持ちとか。日照り続きのこの国に天のお恵みをもたらしてくださるだろう、と。しかし・・」
オジさんの顔が明らかに曇る。
「神獣様の番がいまだに見つからないのです。」
神獣は天から遣わされるのではなく、その地の主である獣(例えば大猪や大蛇など)に神が力を与えることによってなるらしい。
力を与えられた神獣は神力を得て、空を駆けて己の番を探し始める。
番がどのように選ばれるのかは諸説あるものの、わかっていることは人間の女であるということと、その神獣にとって唯一無二であるということだけだ。
番を探し当てるまで、神獣は人の姿にはなれない。そして神獣が人の姿になるまでは意思疎通を図ることはできず、近づけば最悪食い殺される恐れもある。
「女人にとって、神獣様の番となるのは最高の栄誉。自らがそうと信じて、直接神獣様の住む洞穴に行く女人も居りましたな・・結局喰わ・・コホン、いや、失礼。」
エフンエフンとわざとらしく咳をして、オジさんは話を続けた。
空を駆ける神獣が確認されて以降、国の重鎮たちは番発見の報を今か今かと待っていたのだそうだ。
通常であればひと月もすれば番を得られるはずなのに、半年経っても神獣は番を得られなかった。
「番のいない神獣は狂ってしまうんですよ。そうすると最悪の害獣となりますし、番様の捜索が我々の急務となりました。」
そして、高名な学者や神殿の偉い人も含めて色々と協議した結果。
「いつまでも見つからないのはもしや、この国に番様がいないからではないか、と学者たちが申しだしまして。その可能性に掛けた我々は、古より伝わる王家の召喚式を執り行いました。何度も失敗を繰り返しましたが・・」
オジさんは胸を張った。
「ようやく昨日!あなた様の召喚に成功したのです、番様!」
◇
「というわけでして、番様について、お分かりいただけたでしょうか」
お茶を飲みながらうんうんと頷く私に、オジさん(宰相だった)はホッと息をついた。
「ご理解頂けて何よりです。さすが番様だ、聡明でいらっしゃる。それでは改めまして・・」
オジさんは一歩下がって、胸の前で手を組んだ。
「番様、どうぞ我らをお助けください」
請い願う姿はヒロインのよう・・には見えなかった。うん、オジさんだからね。
持っていた湯呑みを卓に置く。
私もできるだけキリリとした顔で、一息に言ってやった。
「イヤです!」
「なっ!」
オジさんが固まっている。
「な、何故です番様!先ほど申した通り、神獣様の番は、女人にとって最高の栄誉ですぞ!」
私はゆっくりお茶を啜ってから、オジさんに微笑んだ。
「私がその番とやらという確証はないですよね。もし番じゃなかったら餌になるなんて、そんな命をかけた博打みたいなことしたくないです。」
「そんな!ご心配には及びません!間違いなくあなた様が番様です!」
「そもそも、人外と結婚するなんてごめんです。」
あまりにも不敬な物言いらしく、女官たちから悲鳴が上がったが、構うものか。
「勝手に連れてこられて・・これって拉致ですよね?私は元の場所に帰してもらえるんですか?」
「な、何を仰るんですか番様!せっかく召喚できたのに・・・!」
しどろもどろしてるオジさん。
「とにかく、私は番とやらにはなりたくないし、はやく元の世界に返してください!」
「おい、お前!黙っていれば何を好き勝手言ってるんだ!」
阿王が横から入ってきた。
「魯伯、どうせこいつは番様じゃない。男だしな。」
「陛下、男だなんてまさかそんな!」
「髪も短いし胸もない。男だ、男。」
「い、いえ、でも顔立ちはどちらかと言うと・・・」
「それに、歴代の番様は絶世の美女だったというではないか。こいつがそうとは到底思えん。」
そう言って、阿王は私を見て鼻で笑った。
・・・いちいちカチンとくる奴!!心の中での呼び名は、阿王ではなく阿呆にしよう。そうしよう。
「しかし陛下、せめて確認だけでも・・・!わざわざ召喚までしたのですぞ!?それに、違う世界から来たというのに、こうして言葉が通じるというのは、やはり神の思し召しがあるからでしょう」
阿王は肩をすくめた。
「まぁ、時間の無駄だとは思うが、番でなくても供物としての役には立つか。」
「供物・・・!こ、この際それでもいい!それでは今晩は予定通りということでよろしいですな?」
「ああ。」
「よし!ではお前たち!今晩に向けて番様の準備を頼む!」
(準備?)
宰相の号令と共に、女官たちに囲まれた。
さっきまで物腰柔らかで丁寧だった女官たちは一様に青筋を立てていて、表情は取り繕っているものの、私に向ける目は冷たい。
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