"番様"認定された私の複雑な宮ライフについて。

airria

文字の大きさ
3 / 17

私が番候補?

しおりを挟む
吐いた。

めっちゃ吐いた。

ようやく吐き切ったら、眩暈も落ち着いて、なにやら目の前で絶叫していた男から離された。

グッタリしている私は、あれよあれよという間にお風呂に入れられ、服も着替えさせられた。

そして今。

広い部屋の寝台で、大人しく横になっている。

何か入浴剤のようなものを使ってくれたらしく、自分の体から、仄かに花のようないい香りがして、ようやく人心地着いた気分だ。

はぁ、それにしてもここはどこなんだろう。

不調が解決したことで色々気になってくる。

お布団から目だけ出してキョロキョロと見回すけれど、広い寝室なので、ここからだと中華風の飾り窓と、置物らしき大きな壺しか目に入らない。

全体的に中華風なインテリアで、寝巻きもやはり着物みたいな形をしていた。

世話を焼いてくれる人たちに「つがい様」と呼ばれていたのも気になる。

「あの、ここどこですか。」

「今日は遅いのでゆっくりお休みください。明日また改めて・・おやすみなさいませ」

そう言われれば何も言えず、酔いも手伝って、そのうちグッスリ眠ってしまった。






翌朝。

どうやら夢ではなかったらしい。

「つがい様、こちらへ。」

朝、用意されていた服はまたもや中華風で、いわゆる中国の昔のお姫様のような服だった。

それに着替えて、朝食に出されたお粥を食べてお茶を啜っていると、ドスドスと足音が近づいてくる。

バンッ!と勢いよくドアが開き、昨日の失礼な男がこちらを睨みつけてきた。

昨日の真っ白な装束ではなく、今日は薄青色の漢服に似た服を着ていた。

私を世話してくれている女官達が男に向かって丁寧にお辞儀する。

それを見て、私もお茶を啜りながらペコッと軽く会釈したら男の眉間に皺が寄った。

「おぉい!貴様!ペコッじゃないんだよ!ペコッじゃあ!」

…朝から元気だな。

「なにスッキリした顔してるんだ!何か言うことがあるだろうが俺に!」

怒気をこめてこちらを睨む男。

(あー、やっぱ目が佑太に少し似てるな。)

そう思った瞬間、私はイラッとした。

失恋したばかりというのもあったし、初対面なのにこの人なんか失礼だし、あまり自制が効かなかった。

「…なんなんですか。っていうか誰なんですか、あなた」

「ぁあ!?何だお前は!国王に向かって、何だその口のきき方は!」

「え、国王?」

思い切り怪訝な顔をしてしまったようだ。

佑太似の男が「何だその納得いかないって顔は!」と、またわーわー騒いでいる。

「陛下!陛下!」

後ろに侍っていた、私と同じくらいの背の、小太りのオジさんがアタフタと前へ出てきた。

「どうぞお怒りをお収めください!つがい様ですぞ!折角、我々の呼びかけに応えて来てくださったのです。」

「しかし」

「これまでの苦難の道を挽回できるかもしれんのです!ここはどうぞ、私めにおまかせを!」

小太りのオジさんは「失礼つかまつる!」と前へ出ると、私に向かって、長い話を始めた。





まず、この国はくにといい、佑太似の男は本当に国王だった。

この国は今、窮地に陥っている。

それというのも、先の戦争によりほとんど蓄えもなく、民も疲弊しているこのタイミングで、雨が降らないのだ。

日照り続きで穀物は育たず飢饉の危機がある上に、生態系にまで影響し、里にまで獣が降りてしまい、獣被害が増えている。

昨年即位したばかりの阿王も色々と策を練ったものの、雨が降らないことにはもうどうしようもないらしい。

ふむふむ。

「それは大変ですねー」

「ありがとうございます。さすがつがい様・・・慈愛にあふれたお方だ」

オジさんがそっと目元を拭ったが、涙が出ているようには見えない。

「それでですね、なぜあなた様をお呼びしたかというと、ここからが本題で・・」



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

王太子殿下の想い人が騎士団長だと知った私は、張り切って王太子殿下と婚約することにしました!

奏音 美都
恋愛
 ソリティア男爵令嬢である私、イリアは舞踏会場を離れてバルコニーで涼んでいると、そこに王太子殿下の逢引き現場を目撃してしまいました。  そのお相手は……ロワール騎士団長様でした。  あぁ、なんてことでしょう……  こんな、こんなのって……尊すぎますわ!!

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

番は君なんだと言われ王宮で溺愛されています

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私ミーシャ・ラクリマ男爵令嬢は、家の借金の為コッソリと王宮でメイドとして働いています。基本は王宮内のお掃除ですが、人手が必要な時には色々な所へ行きお手伝いします。そんな中私を番だと言う人が現れた。えっ、あなたって!? 貧乏令嬢が番と幸せになるまでのすれ違いを書いていきます。 愛の花第2弾です。前の話を読んでいなくても、単体のお話として読んで頂けます。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」

まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05 仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。 私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。 王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。 冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。 本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です

くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」 身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。 期間は卒業まで。 彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。

処理中です...