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春
告白
ザッと風が舞い上がって、淡いピンク色の花びらが舞い上がる。
「私、アマンド様と愛し合っているの。レイリア、本当にごめんなさい。罪深いことだとわかってる。でも、レイリアは彼を愛していないでしょう?どうかお願い。婚約者の座を私に譲ってほしいの」
親友のメイベルは、涙を流すその姿さえ、美しかった。
1枚の絵画を見ているようで、現実感がない。
でも、メイベルに告げられた内容は、確かな現実として受け止めるしかない。
・・ああ、やっぱり。
やっぱり彼は・・。
黒髪に、光が当たると金にも見える黄色の目。
美しく整った横顔が脳裏に過る。
この1年、いつも怒らせてばかりだったから、不機嫌そうな顔しか思い浮かばない。
彼が騎士となり、私がデビュタントを終えて1年。
まさか1年でこんなことになるなんて・・。
「いいのよ・・メイベル」
掠れた声で、私は曖昧に笑った。
「もしかしたらそうかもしれないって、実は思ってたの。・・お似合いの2人だし。」
「レイリア・・」
メイベルは瞳を潤ませて、ありがとう、と微笑む。
「ずっと気付いてあげられなくて、ごめんなさい。アマンド様は、私との婚約のことを何か言っていた?」
それが、とメイベルは表情を曇らせる。
「私と思い合っているのは確かなのに、婚約者の居る身だから一緒にはなれないって・・」
「・・そう」
真面目な彼のことだ。
私情よりも、家門同士の契約を重んじたのだろう。
「なら、今度のお茶会で、婚約の解消について彼に提案してみるわ」
それが、ダメなの・・とメイベルが首を横に振る。
「アマンド様は道理を通すお方だもの。レイリアが私とアマンド様のことに気づいて、だから婚約を解消するんだと知ったら・・・きっと私と一緒になる道は選ばないわ。だから、別の理由にしてほしいの・・下手したら、彼の経歴にも傷がつくし」
それは・・随分都合のいい話ではないかと思ったが、確かに、彼は筋を通す人間だから有りえない話ではない。
「でも・・急に婚約を解消するのに理由がないと・・」
私の家族も、彼の家族も、特にこの婚約に不満はないようだし、彼の両親からは「レイリアちゃん」と呼ばれ可愛がってもらっている。
心変わり以外で、婚約を解消するほどの理由が思いつかない。
私がメイベルにそう言うと、メイベルはいいことを思いついた、とばかりに胸の前で手を組んだ。
「それなら、本当に心変わりしてしまえばいいのよ!」
「え?」
「レイリアが他の殿方を好きになればいいいんだわ!」
生き生きと話し出すメイベルの目から、先ほどの涙は消えていた。
「そんな・・私にそんな相手はいないわ」
だって私が好きなのは・・
「何も本当に好きじゃなくても構わないじゃない。婚約解消するまでの間だけだもの」
「そんなわけにはいかないわ。婚約解消、なんて大それたことまでするのよ?そのお相手と本当に添い遂げるならまだしも・・お相手に失礼だし、家族を騙すような真似はしたくないわ」
そもそも、なぜ私が原因にならないといけないのだろう?
メイベルはそんなこと何でもないことかのように唇に人差し指を当てて考える。
「それなら、アマンド様が婚約解消したくなるほど、レイリアのことを嫌いになるのはどうかしら?」
嫌われる、か。
もうすでに嫌われているんじゃないかと思うけれど、だからこそ、実現可能な気はする。
婚約を解消する理由としても、私が好きな相手を見つけるよりも無理がない。
それに、どうせ婚約を解消するなら・・
私のこの気持ちに区切りをつけるためにも、それがいいのかもしれない。
私は力なく微笑んだ。
「わかったわ・・その方向で、少し考えてみる」
「ありがとう!なんて友達想いなの!レイリアの友情に感激したわ!」
飛び上がらんばかりに喜び、私に感謝するメイベルに、何も返せなかった。
「私、アマンド様と愛し合っているの。レイリア、本当にごめんなさい。罪深いことだとわかってる。でも、レイリアは彼を愛していないでしょう?どうかお願い。婚約者の座を私に譲ってほしいの」
親友のメイベルは、涙を流すその姿さえ、美しかった。
1枚の絵画を見ているようで、現実感がない。
でも、メイベルに告げられた内容は、確かな現実として受け止めるしかない。
・・ああ、やっぱり。
やっぱり彼は・・。
黒髪に、光が当たると金にも見える黄色の目。
美しく整った横顔が脳裏に過る。
この1年、いつも怒らせてばかりだったから、不機嫌そうな顔しか思い浮かばない。
彼が騎士となり、私がデビュタントを終えて1年。
まさか1年でこんなことになるなんて・・。
「いいのよ・・メイベル」
掠れた声で、私は曖昧に笑った。
「もしかしたらそうかもしれないって、実は思ってたの。・・お似合いの2人だし。」
「レイリア・・」
メイベルは瞳を潤ませて、ありがとう、と微笑む。
「ずっと気付いてあげられなくて、ごめんなさい。アマンド様は、私との婚約のことを何か言っていた?」
それが、とメイベルは表情を曇らせる。
「私と思い合っているのは確かなのに、婚約者の居る身だから一緒にはなれないって・・」
「・・そう」
真面目な彼のことだ。
私情よりも、家門同士の契約を重んじたのだろう。
「なら、今度のお茶会で、婚約の解消について彼に提案してみるわ」
それが、ダメなの・・とメイベルが首を横に振る。
「アマンド様は道理を通すお方だもの。レイリアが私とアマンド様のことに気づいて、だから婚約を解消するんだと知ったら・・・きっと私と一緒になる道は選ばないわ。だから、別の理由にしてほしいの・・下手したら、彼の経歴にも傷がつくし」
それは・・随分都合のいい話ではないかと思ったが、確かに、彼は筋を通す人間だから有りえない話ではない。
「でも・・急に婚約を解消するのに理由がないと・・」
私の家族も、彼の家族も、特にこの婚約に不満はないようだし、彼の両親からは「レイリアちゃん」と呼ばれ可愛がってもらっている。
心変わり以外で、婚約を解消するほどの理由が思いつかない。
私がメイベルにそう言うと、メイベルはいいことを思いついた、とばかりに胸の前で手を組んだ。
「それなら、本当に心変わりしてしまえばいいのよ!」
「え?」
「レイリアが他の殿方を好きになればいいいんだわ!」
生き生きと話し出すメイベルの目から、先ほどの涙は消えていた。
「そんな・・私にそんな相手はいないわ」
だって私が好きなのは・・
「何も本当に好きじゃなくても構わないじゃない。婚約解消するまでの間だけだもの」
「そんなわけにはいかないわ。婚約解消、なんて大それたことまでするのよ?そのお相手と本当に添い遂げるならまだしも・・お相手に失礼だし、家族を騙すような真似はしたくないわ」
そもそも、なぜ私が原因にならないといけないのだろう?
メイベルはそんなこと何でもないことかのように唇に人差し指を当てて考える。
「それなら、アマンド様が婚約解消したくなるほど、レイリアのことを嫌いになるのはどうかしら?」
嫌われる、か。
もうすでに嫌われているんじゃないかと思うけれど、だからこそ、実現可能な気はする。
婚約を解消する理由としても、私が好きな相手を見つけるよりも無理がない。
それに、どうせ婚約を解消するなら・・
私のこの気持ちに区切りをつけるためにも、それがいいのかもしれない。
私は力なく微笑んだ。
「わかったわ・・その方向で、少し考えてみる」
「ありがとう!なんて友達想いなの!レイリアの友情に感激したわ!」
飛び上がらんばかりに喜び、私に感謝するメイベルに、何も返せなかった。
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