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それぞれの春
アマンド ガーナーの邂逅①
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レイリア ディセンシア。
俺の婚約者だ。
赤や金の髪色はよく見かけるが、レイリアのような茜色の髪はおそらく王都では他にいないだろう。
初めて会ったのは、俺が7歳の頃だったと思う。
一目見たときから、俺の目はレイリアに釘付けだった。
ぷっくりとした唇、小ぶりの鼻、形の良い額、目尻の少し垂れた空色の目・・そのどれもが、生き生きと愛くるしい表情を形作る。
俺の黄色の瞳はよく月に例えられたが、それなら、この茜色の髪を持つこの子は太陽のようだ、とぼんやり思ったのを覚えている。
おっとりしていそうで、何にでも興味津々なレイリアは、ちょこまかと行ってしまうので目を離せない。
目が離せないと言えば、彼女が何かを食べる時もそうだ。
食事中のレイリアは、目を細めて本当に美味しそうに幸せそうに食べるので、見ていて飽きない。
後日、町でペット用に売られていたケトルピーマウスを見て、レイリアが思い浮かんだ。
そうだ、あの子、なんか小さな動物みたいなんだ。
それで目が離せなかったのか、と納得した。
母親同士、仲が良かったこともあり、レイリアはその後も何度もうちを訪れた。
母達の長いお喋りの間、彼女を連れ出して遊んでやると、次からは俺の名を呼んで俺を探すようになった。
毎回一緒に遊んでいたが、ある日、父と外出して、俺が屋敷にいないことがあった。
帰宅後に、レイリアが来ていた事、俺がいないと知るやその後、泣き通してしまい大変だった、と母が笑いながら教えてくれた。
俺はひどく怒った。
なぜ来ることを教えてくれなかったのか、なぜ自分が居る日にしてくれなかったのか、と母を詰った。
俺はどちらかと言うと物静かな子どもだったから、母が目を丸くして驚いていたのを覚えている。
成長するにつれて、他の子女と関わるうちに、違和感を覚え始めた。
他の令嬢と、レイリアとでは、抱く感情が全く違う。
何をされても許せるし、何より悲しませたくない相手。
こんなに大切に思う存在は、他にいなかった。
レイリアが特別だったのだ。
特別なレイリアと、ほんの子どもの頃に出会ってしまったから、今まで気づかなかっただけで。
恋と呼ぶには時間が経ちすぎていて、家族愛ともまた違う。
これを言葉にするなら、それはもう運命しかないじゃないか。
俺は唐突に理解した。
トントン拍子に婚約までこぎつけたのも、俺の直感を後押しした。
レイリアが、俺の運命だ。
婚約式で渡したイエローダイヤモンド。
まだ指輪にはしていないが、いつか大きくなったら、その石で婚約指輪を作るのだ。
レイリアと結ばれるその日を夢見て、父に倣って王国騎士団に入った。
だが、その入団が、長い苦難の道の入り口に繋がっていたとは、まさか思わなかった。
今日も仕事、明日も、明後日も、その次も次も次も・・
騎士団の1年目は、想像以上に過酷だった。
当時の休みは月に2日。
3日あればいい方だった。
夜通し仕事した次の日は、午前中だけ休みになったが、寝に帰るだけだった。
レイリアと会うための時間が取れない。
レイリアも遠慮して、あまり屋敷に来なくなった。
一番堪えたのは、レイリアのデビュタントにパートナーとして出れなかったことだ。
何度も何度も謝って、レイリアは「お父様が一緒に出てくれるから平気よ、お仕事なら仕方ないわ」と笑ってくれた。
パーティ会場の警備だったので、レイリアの姿を見ることはできた。
彼女の隣にいるのは、本当は俺だったはずなのに。
その時ばかりは、騎士団の仕事を選んだことを本気で後悔したのだった。
俺の婚約者だ。
赤や金の髪色はよく見かけるが、レイリアのような茜色の髪はおそらく王都では他にいないだろう。
初めて会ったのは、俺が7歳の頃だったと思う。
一目見たときから、俺の目はレイリアに釘付けだった。
ぷっくりとした唇、小ぶりの鼻、形の良い額、目尻の少し垂れた空色の目・・そのどれもが、生き生きと愛くるしい表情を形作る。
俺の黄色の瞳はよく月に例えられたが、それなら、この茜色の髪を持つこの子は太陽のようだ、とぼんやり思ったのを覚えている。
おっとりしていそうで、何にでも興味津々なレイリアは、ちょこまかと行ってしまうので目を離せない。
目が離せないと言えば、彼女が何かを食べる時もそうだ。
食事中のレイリアは、目を細めて本当に美味しそうに幸せそうに食べるので、見ていて飽きない。
後日、町でペット用に売られていたケトルピーマウスを見て、レイリアが思い浮かんだ。
そうだ、あの子、なんか小さな動物みたいなんだ。
それで目が離せなかったのか、と納得した。
母親同士、仲が良かったこともあり、レイリアはその後も何度もうちを訪れた。
母達の長いお喋りの間、彼女を連れ出して遊んでやると、次からは俺の名を呼んで俺を探すようになった。
毎回一緒に遊んでいたが、ある日、父と外出して、俺が屋敷にいないことがあった。
帰宅後に、レイリアが来ていた事、俺がいないと知るやその後、泣き通してしまい大変だった、と母が笑いながら教えてくれた。
俺はひどく怒った。
なぜ来ることを教えてくれなかったのか、なぜ自分が居る日にしてくれなかったのか、と母を詰った。
俺はどちらかと言うと物静かな子どもだったから、母が目を丸くして驚いていたのを覚えている。
成長するにつれて、他の子女と関わるうちに、違和感を覚え始めた。
他の令嬢と、レイリアとでは、抱く感情が全く違う。
何をされても許せるし、何より悲しませたくない相手。
こんなに大切に思う存在は、他にいなかった。
レイリアが特別だったのだ。
特別なレイリアと、ほんの子どもの頃に出会ってしまったから、今まで気づかなかっただけで。
恋と呼ぶには時間が経ちすぎていて、家族愛ともまた違う。
これを言葉にするなら、それはもう運命しかないじゃないか。
俺は唐突に理解した。
トントン拍子に婚約までこぎつけたのも、俺の直感を後押しした。
レイリアが、俺の運命だ。
婚約式で渡したイエローダイヤモンド。
まだ指輪にはしていないが、いつか大きくなったら、その石で婚約指輪を作るのだ。
レイリアと結ばれるその日を夢見て、父に倣って王国騎士団に入った。
だが、その入団が、長い苦難の道の入り口に繋がっていたとは、まさか思わなかった。
今日も仕事、明日も、明後日も、その次も次も次も・・
騎士団の1年目は、想像以上に過酷だった。
当時の休みは月に2日。
3日あればいい方だった。
夜通し仕事した次の日は、午前中だけ休みになったが、寝に帰るだけだった。
レイリアと会うための時間が取れない。
レイリアも遠慮して、あまり屋敷に来なくなった。
一番堪えたのは、レイリアのデビュタントにパートナーとして出れなかったことだ。
何度も何度も謝って、レイリアは「お父様が一緒に出てくれるから平気よ、お仕事なら仕方ないわ」と笑ってくれた。
パーティ会場の警備だったので、レイリアの姿を見ることはできた。
彼女の隣にいるのは、本当は俺だったはずなのに。
その時ばかりは、騎士団の仕事を選んだことを本気で後悔したのだった。
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