大好きな彼の婚約者の座を譲るため、ワガママを言って嫌われようと思います。

airria

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来てはいけない場所に来てしまったのかもしれません

日曜日のその後のことを手短に話そう。

カモメの襲撃に遭いながらも、ランチを食べ切ったあの日の午後のことだ。

ランチの後、アマンド様に「行ってみたいところがある」と言われ連れてこられた先は、パステルカラーに統一された、可愛らしいカフェだった。

ご飯を食べたばっかりなのにカフェ!?と内心焦りながらカフェの中に入る。

「予約したガーナーだ」

「お待ちしておりました。本日は休日のため2時間制となっておりますが、よろしいでしょうか?」

「ああ」

「ありがとうございます。それではご予約の確認ですが、5番人気のニンジンちゃんでよろしかったでしょうか?」

「ああ」

「今なら2番人気のスノウちゃんにも代えられますが?」

「いや、ニンジンちゃんで頼む。」

「わかりました。それではお部屋へご案内いたします」

部屋は半個室になっていて、二人がけのソファと小さなローテーブルが置いてあった。

並んで腰を下ろす。

「それでは注文がお決まりになる頃にお連れします。メニューをご覧になってお待ち下さい」

会釈して去る店員さんを見送ると、アマンド様がメニューを開く。

「レイリア、何がいい?」

「私、ちょっとお腹がいっぱいで・・食べられそうにありませんわ」

「1人1つは注文しないといけないんだ。ドリンクだけ頼もう。」

「では紅茶を。あの、アマンド様・・ここは一体?」

先ほどのアマンド様と店員さんの会話を聞いて、芽生えたたくさんの疑問符を、まずは解決せねば。

「俺も初めて来たから、勝手がよくわからないんだが・・・休日は予約しないと入れないらしい」

上機嫌で、少しワクワクした様子のアマンド様。

「ニンジンちゃん、がこれからここに来るんですの?」

「好きな子がいるなら予約しておいた方がいい、と予約の時に勧められたんだ。イラストと説明書きだけでニンジンちゃんに決めたから、俺も実際に会うのは初めてだが・・レイリアに聞かずに予約してしまってすまなかったな。」

スノウちゃんを断ったところを見るに、ニンジンちゃんに思い入れがありそうだから、てっきり常連さんなのかと思っていたのだけれど・・・。

イラストと説明書きだけで決めたということは、よっぽど好みの外見をしているんだろう。

「俺はコーヒーにしよう」とメニューを眺めるアマンド様を、複雑な思いで見つめる。

残念ながら、私の予想は当たってしまったようだ。

”スノウちゃん”はともかく、”ニンジンちゃん”はさすがに本名ではないだろう。

ここにはランクの付いた源氏名の女の子がいて、これから5番手のニンジンちゃんが来るらしい。

半個室という部屋の作りも、私の予想に拍車をかける。

「アマンド様、ここは私が来ても大丈夫なお店ですの?」

ここはおそらく、肌を露出させたお色気たっぷりの女性が接客するという、そういうお店だ。

いかがわしいお店、とか言う友人もいるが、私はそういった職業に偏見を持っているわけではない。

持っているわけではないが、男女で連れ立ってくるような場所ではないだろうし、ましてや婚約者とのデートに選ぶような場所では決してな・・

「はいお待たせしましたー!ニンジンちゃんです!」

「ニンジンちゃん・・!!」

店員に抱きかかえられた朱色のケトルピーラットを見て、私のアドレナリンは一気に沸騰した。

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