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夏
恋はするものではなく落ちるもの。
私の膝にニンジンちゃんを置いてから、店員がケトルピーラットの愛で方や注意点など一通り説明してくれる。
アマンド様が店員に注文してくれている間も、私の目はニンジンちゃんに釘付けだ。
「こちらは、ご予約いただいていたセットパックの『ケトピちゃん大満足セット』です。使い方は中に書いてあるのでご覧ください。この後、ドリンクをお持ちします。」
「ああ、よろしく頼む」
朱色の毛に緑の目。
色合いはまさしくニンジンだ。
丸く小さな耳にキラキラした丸い目。
子ウサギほどの大きさで、丸い尻尾。
手足は小さく短い。
ふわふわの毛が気持ち良い。
撫でると、ニンジンちゃんは鼻をピスピスさせながらコロンとお腹を見せた。
か…可愛い!
ラット、と名が付いているが、一般的なネズミとはまた別の種類になるらしい。
今までネズミだと思って敬遠していたけれど、こんなに可愛い生き物だとは知らなかった。
「アマンド様は、ケトルピーラットが好きなんですか?」
「大好きだ」
アマンド様が真顔だ。
よっぽどここに来たかったに違いない。
「メイベルとくればよかったのに」と思ったが、そういう騎士らしくない一面は好きな人には見せたくないのかもしれない。
「レイリアは?」
「私は今好きになりましたわ!こんなに可愛い生き物だと知らなかったから…!早速、次の刺繍バッジの題材に…あ…」
しまった。
クラブ活動の話をすると、いつも不機嫌な顔をされていたから、アマンド様の前で話すのは控えていたのだった。
チラッとアマンド様を見る。
「刺繍バッジって、クラブの?」
優しく促され、慌てて頷く。
「ええ、子ども用に動物の顔の刺繍バッジも作ってて、今まではうさぎとか犬とか猫とかを刺繍していたんです」
「ケトルピーラットはペットとしても人気があるし、欲しがる子どもは多いんじゃないか?毛色も色々あるから、バリエーションも作りやすいだろう」
「は、はい!」
好きという割に、触るのは私ばかりで、アマンド様は見る専門だ。
『ケトピちゃん大満足セット』には、ケトルピーラットの餌に加え、おもちゃやブラシも入っている。
ひまわりの種を与えると、殻ごと頬袋に収納して、両腕をバンザイさせながら次をせがむ。
可愛すぎて目眩がしそうだ。
「かわいいっ・・!アマンド様、見てください!」
短い手足を必死に伸ばしている、この可愛い姿を!
この時の私は、ニンジンちゃんの可愛さに夢中で、完全に油断していたのだ。
「ああ、本当に可愛いな」
耳元で声がして思わず振り向くと、目の前にアマンド様の顔があった。
私を見ながら再度呟く。
「誰よりも可愛い」
思考が停止した私とアマンド様との間に妙な間が空く。
「なんでこの子を選んだと思う?」
「えっと・・あの近い・・え?」
アマンド様が近すぎることが気になって、思考がうまくまとまらない。
この子って・・
「・・・ニンジンちゃん?」
「そう」
「あの、さあ私には・・」
「レイリアみたいだったから」
「え?」
アマンド様が手を伸ばし、私のオレンジ色の髪に触れ、そのまま頭を撫でた。
「この子、レイリアみたいだろ?だから・・」
頭を撫で撫でされながら、まっすぐ見つめられ、私はピクリとも動けない。
「可愛がるのはこの子だけって決めてるんだ」
そう言って、満足気に微笑みかけるアマンド様に目が奪われる。
その瞬間、私はストンと後戻りできない穴に落ちてしまったことを自覚した。
このまま、撫でていてほしい。
もっと、私に触れてほしい。
このまま永遠に、2人だけの時間が続けばいい。
切なくて、目が潤む。
それまで抱いていたのとは比較にならないほどの、深く鮮烈な恋の穴に、私はなす術もなく落ちていった。
アマンド様が店員に注文してくれている間も、私の目はニンジンちゃんに釘付けだ。
「こちらは、ご予約いただいていたセットパックの『ケトピちゃん大満足セット』です。使い方は中に書いてあるのでご覧ください。この後、ドリンクをお持ちします。」
「ああ、よろしく頼む」
朱色の毛に緑の目。
色合いはまさしくニンジンだ。
丸く小さな耳にキラキラした丸い目。
子ウサギほどの大きさで、丸い尻尾。
手足は小さく短い。
ふわふわの毛が気持ち良い。
撫でると、ニンジンちゃんは鼻をピスピスさせながらコロンとお腹を見せた。
か…可愛い!
ラット、と名が付いているが、一般的なネズミとはまた別の種類になるらしい。
今までネズミだと思って敬遠していたけれど、こんなに可愛い生き物だとは知らなかった。
「アマンド様は、ケトルピーラットが好きなんですか?」
「大好きだ」
アマンド様が真顔だ。
よっぽどここに来たかったに違いない。
「メイベルとくればよかったのに」と思ったが、そういう騎士らしくない一面は好きな人には見せたくないのかもしれない。
「レイリアは?」
「私は今好きになりましたわ!こんなに可愛い生き物だと知らなかったから…!早速、次の刺繍バッジの題材に…あ…」
しまった。
クラブ活動の話をすると、いつも不機嫌な顔をされていたから、アマンド様の前で話すのは控えていたのだった。
チラッとアマンド様を見る。
「刺繍バッジって、クラブの?」
優しく促され、慌てて頷く。
「ええ、子ども用に動物の顔の刺繍バッジも作ってて、今まではうさぎとか犬とか猫とかを刺繍していたんです」
「ケトルピーラットはペットとしても人気があるし、欲しがる子どもは多いんじゃないか?毛色も色々あるから、バリエーションも作りやすいだろう」
「は、はい!」
好きという割に、触るのは私ばかりで、アマンド様は見る専門だ。
『ケトピちゃん大満足セット』には、ケトルピーラットの餌に加え、おもちゃやブラシも入っている。
ひまわりの種を与えると、殻ごと頬袋に収納して、両腕をバンザイさせながら次をせがむ。
可愛すぎて目眩がしそうだ。
「かわいいっ・・!アマンド様、見てください!」
短い手足を必死に伸ばしている、この可愛い姿を!
この時の私は、ニンジンちゃんの可愛さに夢中で、完全に油断していたのだ。
「ああ、本当に可愛いな」
耳元で声がして思わず振り向くと、目の前にアマンド様の顔があった。
私を見ながら再度呟く。
「誰よりも可愛い」
思考が停止した私とアマンド様との間に妙な間が空く。
「なんでこの子を選んだと思う?」
「えっと・・あの近い・・え?」
アマンド様が近すぎることが気になって、思考がうまくまとまらない。
この子って・・
「・・・ニンジンちゃん?」
「そう」
「あの、さあ私には・・」
「レイリアみたいだったから」
「え?」
アマンド様が手を伸ばし、私のオレンジ色の髪に触れ、そのまま頭を撫でた。
「この子、レイリアみたいだろ?だから・・」
頭を撫で撫でされながら、まっすぐ見つめられ、私はピクリとも動けない。
「可愛がるのはこの子だけって決めてるんだ」
そう言って、満足気に微笑みかけるアマンド様に目が奪われる。
その瞬間、私はストンと後戻りできない穴に落ちてしまったことを自覚した。
このまま、撫でていてほしい。
もっと、私に触れてほしい。
このまま永遠に、2人だけの時間が続けばいい。
切なくて、目が潤む。
それまで抱いていたのとは比較にならないほどの、深く鮮烈な恋の穴に、私はなす術もなく落ちていった。
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