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巻き込まれそうです。

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ルチア(仮)が裏門の方へ向かうのを見やってから、2人並んで、白いテントの会場に歩き出す。

「何と話しかけられたんだ?」

「ジュディ様絡みで、私と話してみたかったと言われましたわ。ご親戚ではなさそうでしたが・・あ、でもディフィート様とはお知り合いのようでした」

少し考えてから、またルチア(仮)の方を振り返ったアマンド様だったが、そこにはもう聖ジルチア像しか立っていない。

「どなたか、思いつかれますか?」

「いや・・・もしまた現れたら、教えてくれないか?」

「はい。アマンド様は、私に御用でしたの?」

私がアマンド様の元へ向かおうとしていたのに、ちょうどいいタイミングで現れてくれた。

「迷って戻ってこれないのかと思って、迎えに行った」

相変わらずの子ども扱い…

「足は、痛く無いか?」

「はい、そんなには」

靴の形が合っているので靴擦れは無いが、いつもよりも高いヒールのせいか、そういえば脛のあたりに違和感がある。

「俺は腹が減った。少し座って休もう。」





会場の一角に準備してあった椅子に腰掛けてお茶を飲み、ふう、と一息つく。

少し離れたところに、こちらに背を向けて、軽食コーナーを物色するアマンド様が見える。

やはり1プレートでは足りなかったらしく、ローストビーフのサンドイッチのお代わりを求めて行ったのだ。

私はジュディ様のところで美味しいお菓子をいただいたので、ほとんどお腹は減っていない。

ジュディ様にも会えたし、アマンド様のお腹が満たせたら帰ろう。彼は明日も仕事だ。

マルグリット侯爵夫人にご挨拶できなかったのが心残りだけれど、今日はこの人数だもの、きっとお許しいただけるんじゃないかしら。

会場にあった、氷でできた白鳥の彫刻も見ることができたし。

そう思いながら周囲を見回していると、早足で会場を横切ろうとするディフィート様が目にはいった。

ディフィート様の茶席は解散したのか。

後ろから令嬢が数名追いかけようとしているようだが、どんどん進むディフィート様には追いつけなさそうだ。

ディフィート様、難儀ですねぇ。

急いでるというよりは、それとなく逃げてる感じかなぁ・・・騎士だけあって、やはり身のこなしがいい。

そんなディフィート様の進行方向から夜会並みに着飾っているご令嬢が現れた。

今の時代のご令嬢は強かだ。

人はあれをはさみ打ちと呼ぶ。

しかしディフィート様もそれを見越して進行方向を修正した。

その瞬間、バチッと目が合う。

「ヒェッ!」

令嬢らしからぬ声が漏れてしまった。

ディフィート様が、文字どおりズンズンとこちらへやってくる。

引き連れてる!引き連れてます!

やめて!来ないで!

巻き込まないで!

願い虚しく、ディフィート様が声を張る。

「君!ディセンシア家の!久しぶりだね!」

ああー。

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