大好きな彼の婚約者の座を譲るため、ワガママを言って嫌われようと思います。

airria

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王子殿下がR15にそぐわない話を始めたんだが。

「マルグリット侯爵令嬢が王妃となるというのは・・・決定事項ですか?」

「・・・そう思ってもらっていい。」

「しかしいまだに殿下もマルグリット侯爵令嬢も、婚約されておりませんが・・」

ギューっとしがみついてくるレイリアの頭を撫でながら、バランスを崩されないように、壁際に寄りかかった。

殿下が、しばらく黙った後に「聴くか?」と尋ねてくるので俺は頷いた。

王族の事情に立ち入るのは自分の首も締めかねないので本意ではないが、レイリアの友人が次期王妃候補なのであれば、こちらもそれなりの心づもりで付き合っていく必要がある。

「殿下、レディは外にお連れしましょうか?」

ずっとそばで控えていた殿下の侍従が申し出て、殿下は俺を見た。

「アマンド、どうする?」

機密に関わる話、ということか。 

さっきの侍女ももう居ないし、この状態のレイリアを近衛に預けるのは、いささか心配だ。

「いえ、大丈夫です。」

必要ならば、また耳を塞げばいい。

殿下が凪いだ目で話し始める。

「ジュディは元々、私の婚約者に内定していた。本当なら、去年の今頃には婚約しているはずだった」

「ジュディ様のお話?」

レイリアが振り返り、俺に背を預けて王子殿下に向き直った。

「何があったんですか?」

「若さ故の過ち、というやつだ」

若さ故の・・?

「ジュディは私が見初めたんだ。家柄的にも婚約するのに問題はなかった。ただ、マルグリット家から、ジュディは選り好みが激しいから少し相性を見させて欲しいと注文がついてね。それで、友のディフィートの家に遊びに行くという名目で、何度もマルグリット家に遊びに行った。ジュディとも順調に関係を築けて、婚約が内定したのは3年前のことだ。」

つまり、その後に何かが起こったと言うことか。

「私は早熟でね・・ジュディへの熱が高まりすぎて、時々どうしても熱を発散させずにはいられなくて・・」

しもの話だと気づき、俺は光の速さでレイリアの耳を塞いだ。

「それである日、侯爵家に遊びに行った時に、ジュディの部屋に忍び込んで、彼女の部屋で熱を逃がしていたんだが・・見つかってしまった。もちろんジュディ自身に何かしたわけじゃないんだ。あくまで場所を借りただけで。」

俺は何を聴かせられているんだ?

てっきり浮気とかそう言う話かと思っていたのに、それより遥かにヤバい話じゃないか!

耳を塞がれたレイリアが「あら?王子殿下が口パクしてる・・」と不思議そうにしている。

レイリアには絶対に聴かせてはいけない。

「それで侯爵家を出禁になってしまってね。婚約もほぼほぼ内定していたところが、消滅する危機で・・なんとかそれは阻止して一旦保留という形にはしたんだが、ジュディには不潔だと泣かれて罵られて嫌われて・・あの時は流石に落ち込んだものだ。厄年だったよ」

厄年の一言で片付けられる問題ではないと思う。

「ジュディの中で私は変態まで成り下がったかもしれないが・・あの時は生まれて初めての強い衝動で抗えなかったんだ。あれから丸々2年経つし、私も成長した。今はもう大丈夫だ。」

後ろで殿下の侍従が頷いている。

ホントか?信じていいのか?

「今はまだ、婚約は保留の状態ですか」

「ああ。マルグリット侯爵家からは、2年間ジュディとの接触を一切断って、それでも私が婚約を望むのであれば検討すると言われている。ようやく2年経ったんだ。2人きりでなければ会っていいと許しももらったから、これからは婚約に向けて動くのみだ。そういう訳で、これからもジュディの行くところに私が現れる可能性がある。友人として応援よろしく頼む。」

遠慮したい。

激しく遠慮したい。

あぁ・・俺が耳を塞いでいることにレイリアが気づいて嫌がり出した・・ここまでか・・。

俺は大きく息をつく。

「応援と言っても大したことは出来ませんが・・条件があります。」

「何だ?」

「絶対にレイリアと2人きりにならないと、約束してください。」

ブホッと殿下の侍従が吹き出した。

「・・レイダン、不敬だぞ」

「クハハハハ!だって殿下、全然信用されて無いじゃないですか・・あー可笑しい」

ひとしきり笑うと、侍従が一歩進みでて礼をした。

「失礼いたしました。侍従のレイダン バーナードと申します。お疑いかもしれませんが、殿下は今はまともですよ。元々欲のない方だったので、その反動もあって思春期の熱を御しきれなかったのだと思います。淡々とお話されていますが、この2年間、とても反省されていたんですよ。あ、この話を知っているのは極々限られた人間のみですので、どうかご内密にお願いします」

言われなくてもこんな話、墓場まで持っていくしかないないんだが?

「それでは皆さま、そろそろ広間へ戻られた方が。」

侍従に促され、ようやくその場は解散となった。










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