大好きな彼の婚約者の座を譲るため、ワガママを言って嫌われようと思います。

airria

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ロイの正体

ロイリス ピートが、ここに!?

どういうことだ?

レイリアがロイリスといまだに親交があったことも驚きだが・・・ロイリスが俺に会いたがっている?

下心からレイリアに手を出そうとしているなら、寧ろ俺を避けようとするはずだ。

そうせずに、俺に会いに来たということはまさか・・・

まさか、ロイリスが・・レイリアに本気になったとか?

あり得る。

だってあんなに可愛いレイリアだぞ?

ロイリスが、俺からレイリアを奪おうとして・・・決闘を申し込む前に、俺の実力を見に来たんじゃないか?

ふざけやがって・・!

俺は木剣を持つ手に力をこめた。

舐められてなるものかっ!


「よし、組み手やめ!これから試合形式とする!対戦相手だが、2列に並んで、向かい合ったその相手と・・」

俺は、指示を出すゼノの肩に手を置いた。

「大丈夫だ、ゼノ。俺が全員の相手をする。」

「え、マジ?アマンド、ノッてんなー!よし、アマンド士官が相手をしてくれるそうなので、皆、心してかかるように!では1列に並んで順番に対戦をー」

説明を加えるゼノから目を離し、レイリアのいる方を窺う。

レイリアのいる木陰の周辺には、他にも数名の見物客がいた。

ロイリスの顔を知っているのは唯一グルトだが、あいにく今日はここに居ない。

保安局の上司に呼び出されてしまい今日の練習会に参加できない、と手紙で連絡があった。

手紙の中で、グルトは『日曜なのに上司にレストランに呼び出されてさ、ホント、嫌になる!しかも騎士服着てこいとか、意味わかんない!』と怒っていたが・・・

多分それ、こないだの決勝トーナメント進出を祝うサプライズパーティーじゃないだろうか。

まあ、グルトがいなくても、ロイリスの容姿については情報を得ている。

確か、髪はダークブラウンで、目はワインレッド、だったか。

演習場に戻ってきたカインの隣には金髪の少年がいるくらいで、周囲にロイリスらしき人物は見当たらない。

怖気付いて隠れて見てるのか?

チッ、それならそれでもいい。

俺の剣の腕を、見せつけてやるまでだ!

俺は前方を見据え、剣を構えた。

「はじめっ!」

カカカカン!ドゴッ!

「うぉお!アマンドが鬼気迫ってんぞー!」

ガキン!バシッ!バンッ!

「ヒイッ!鬼神が!」

ヒュンッ カカッ バシュッ ザンッ!

「複数だ!同時に複数で行けー!ゴフッ」

ドガガガガガガ!

「後ろから行けっ!騎士道とか言ってる場合か!殺るか殺られるかだぞ!グハッ」

ドガガガガガガガガガ ガカッ ガカンカン バシュッ!

シーン




***********************************



「アマンド様!すごかったです!」

練習会が終わり、レイリアがタオルと飲み物を持ってきてくれた。

「お疲れ様でした!」

手渡されたタオルで、汗を拭く。

思いの外、いい汗をかいた。

「サッパリするかと思って、レモン水を作ってまいりましたの」

「ありがとう、リア。美味しいよ」

「皆さん、すごい迫力でしたわ。やはり常に最前線で戦う王国騎士団たる者、練習でも死力を尽くして戦うのですね!」

「当然だ。」

喉を潤しながら、皆が倒れ伏した演習場を見回し、一息つく。

少し・・やり過ぎたか?

だが、今の試合を見て、ロイリスも決闘を挑もうなんて考えを改めるだろう。

「それでレイリア、今日俺に会いに来たっていうロイリスは」

どこに?と言いかけた俺の背後から、カインの声がかぶさる。

「アマンド!俺の友達に会ってくれよ!ほら、ロイ」

来た・・

「あ、あの・・初めまして!これにサインをお願いしますっ!」

サイン?決闘書の承諾のサインのことか?

命知らずもいいところだな。

「ロイー、そこは先に自己紹介だろ?」

「あ・・あ、あ!ご、ごめんなさい!僕、緊張してしまって・・!」

背後で繰り広げられる2人のやりとりを聞きながら、俺はわざとゆっくり振り返った。

「俺と剣を交える覚悟は・・できているんだな?」

そう言いながら、振り返ってまず目に飛び込んできたのは、金髪の少年だった。

俺の絵柄が描いてある騎士カードを両手で差し出している。

「え!僕が・・アマンド様と剣を!・・う、嬉しい!」

感激したように目を潤ませてこちらを見上げる少年。

カインが少年の肩を抱く。

「良かったな!ロイ!」

「嬉しい・・!!憧れのアマンド様と・・どうしよう!カッコ良すぎる・・!」

とうとう両手で顔を覆ってしまった少年。

まだ名は聞いてないが、俺は長きに渡るロイ違い勘違いを悟り、彼方を見つめながら心の中でグルトに語りかける。



グルト、お前が教えてくれた、ロイリス ピートだけどな。

身辺調査してくれて、それが元で、お前が保安局にまで出向する羽目になったあの男な。

人違いだったぞ。
















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