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秋
接近
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その日、私は御前試合以来のクラブ活動に来ていた。
御前試合のチャリティーで得られた莫大な収益で、王都にある孤児院には鍵付きの鶏小屋が、そして北方にある孤児院には最新のストーブと冬用寝具が進呈されることがビシュヌ様から報告され、皆から歓声が上がる。
次年度からは私たちの手を離れて、教会主導の事業となる。
毎年違うデザインにすれば、きっと毎年買ってもらえる。
事業が定着して、安定した収入を得られれば、孤児院の運営も潤っていくだろう。
冬の教会バザーに向けた話し合いを終え、帰り支度をしている時だった。
「レイリア様、あの・・よろしいですか?」
声をかけてきたのは、ブレンデン伯爵家のヘレン様だ。
「はい?」
「実は私、レイリア様に相談にのっていただきたいことがあって・・」
「私に、ですか?」
ヘレン様とは顔見知りではあるが、相談事を打ち明けるほど親しいわけではないので少し驚いて聞き返した。
「ええ、不躾に申し訳ありません。ですがレイリア様しか頼れないのです・・この後、お時間をいただけませんか?」
断る理由もなく、「2人きりで話したいから」と促されるままにブレンデン家の馬車に案内される。
乗り込んだ瞬間に抱きついてきた人物を見て、ようやく疑問が解けた。
「レイリア・・レイリア・・!」
そこに居たのは、クラブを辞めたメイベルだった。
髪を乱したメイベルが、必死に縋り付いてくる。
「メイベル・・!?」
「・・ごめんなさい!ごめんなさい、レイリア!」
後ろを振り返ってもヘレン様は居らず、すでに馬車のドアは閉じられている。
(最初から、このつもりで・・・!)
まんまと引っかかってしまったことに気づいて、「ごめんなさい」を繰り返すメイベルを、言葉も無く見下ろした。
この様子では、無理に引き剥がすこともできない。
逡巡し、まずは落ち着いてもらおうと声をかける。
「メイベル、落ち着いて?ね?そんなに泣いていたら話もできないわ?」
何度も呼びかけて背中を撫でてやると、ようやくメイベルは顔を上げた。
化粧っ気のないその顔は、いつもより随分血色が悪く見える。
視線が合うと、堪えきれない様子でメイベルが肩を震わせた。
「ずっと・・ずっと謝りたくて、レイリアに会おうとしたのに誰も彼も駄目って言って助けてくれなくて・・クラブで会うまでの辛抱だと思って耐えていたのに・・・お父様からクラブはもう辞めてあるって言われて・・!」
そう言って、顔を覆ってワッと泣き出した。
「でも・・私と会ってはいけないことになったでしょう?こうして会っているのが見つかったら、それこそ大変なことになるの。」
「だから!悪いことをしたから、レイリアに謝ろうとしたの。だっておかしいもの!レイリアに会ってはいけないなんて!私たちは親友なのに!なぜお父様に決められなければいけないの?」
「おかしい」「酷い」そんな不満ばかりまくし立てるメイベルに、私は益々困惑する。
その、被害者のような口ぶりに。
「でも・・その、”悪いこと”をしたから、もう会えないことになったのよ?」
「だから謝ろうとしてるのに!すぐに謝ろうとしたのよ?なのにずっと家から出してもらえなくて—」
・・これでは堂々巡りだ。
「・・じゃあメイベルは・・私に何を謝ろうとしているの?何が悪いことだと思ってるの・・?」
「それは・・」とシュンとした様子でメイベルが続ける。
「貴族同士の婚約が、そんなに重い意味を持つなんて、私知らなかったの。無理なお願いをしてごめんなさい、レイリア。私が間違っていたわ。アマンド様と結婚したいなんてもう言わないわ!もうあれはいいの。だから・・また仲良くしましょう?」
「あれはいいって・・メイベルもアマンド様が好きなんでしょう?それなのに、私とまた仲良くできるなんて思ってるの?」
「私は大丈夫!2人の結婚を祝福するし、もちろん邪魔なんてしないわ?それで全部、元通り!でしょう?」
目を潤ませてこちらを見上げるメイベルに、私は言葉を発することができない。
(ああ・・メイベルは、何もわかっていないのだ・・)
感じていた困惑が、一気に落胆に変わる。
「メイベル・・元通りには・・ならないわ」
それは自分の声なのに、やけに掠れて、遠くに聞こえた。
「アマンド様とあなたが想いあってるって聞かされて、あなたがついたその嘘で、私が傷つかなかったと思う?」
「でも・・嘘じゃないわ!だってアマンド様が・・口には出せないけれど私を想ってくださっているって感じたことは何度もあったもの!」
「去年の御前試合の時は?私が試合を観に来ていたって、アマンド様に言ったでしょう?あれは、嘘じゃなかったって言うの・・!?」
「それは違うの・・違くて、その、レイリアになれたみたいで、嬉しくて、本当だったらいいなってことを言ってしまっただけなの。悪気があったわけじゃないのよ」
「悪気がないって・・それで私とアマンド様はずっとすれ違っていたのよ!?」
思わず言葉に力が入った私に、一瞬レイリアが怯む。
「でも・・でも!レイリアはアマンド様のことが好きじゃなかったじゃない!本当に好きだったら、毎日会いたいし、少しでも一緒にいたいと思うはずよ?でも、離れようとしていた、そうでしょう!?」
私は首を振る。
「私は好きだったわ」
え?とメイベルがこちらを見る。
「好きだったから、あなたに打ち明けられた時、別れなければと思ったの。」
「そ・・それならそう言ってくれたら良かったのに!それは!・・・それは、謝るわ。だから・・私はアマンド様はもういいの。レイリアさえいてくれれば・・!ね?わかって?ちゃんとできるから・・!」
埒があかなくて、私は俯いて押し黙った。
メイベルにとって、これまでの出来事は物のやり取りに似たことなのかもしれない。
だから、自分が手放せば、すべて元通りだと、そう信じている。
でも実際は違う。
それはゆで卵を生卵に戻せ、と言うようなものなのだ。
外見ではわからなくても、中身はもう変化してしまっていて、どうやっても、もう元には戻せない。
彼女の見ているものは、私とあまりにも違う。
「・・・メイベル、聞いて?」
私は自分の手に重ねられたメイベルの手をゆっくりとほどき、彼女の膝の上に置いた。
「私ね、アマンド様が好きなの。彼とこのまま結婚したいと思ってる。・・・だからメイベル、あなたとは一緒に居られない。」
メイベルが、その瞳を大きく見開いた。唇が小刻みに震える。
「もう、私と会ってはいけないわ。ここでこうしていることが見つかれば、あなたの家は違約金を支払わねばならないし・・国へ報告するようなことにはしたくないのよ・・・今日のことは秘密にしておくから、だからこれで、最後にしましょう・・」
見ていられなくて、俯いて彼女に別れを告げ、馬車を出た。
パタン、と馬車のドアを閉めると、中から嗚咽する声が漏れ聞こえてくる。
それには構わず、途中投げかけられた「仲直り、できました?」というヘレン様の声にも振り返らず、ただ前だけを見て、早足で自邸の馬車へ向かう。
乗り込んだ馬車が動き出すと、ずるずると椅子からずり落ちた。
涙が、後から後から頬を伝う。
誰かを傷つけることなんて、したくなかった。
たとえそれが、私を傷つけた人であろうと。
目の前の誰かを悲しませることなんて、望んでいなかったのに。
彼女の生温い考えを受け入れる余地はないし、彼女に告げた言葉は間違いではないとわかっている。
それでも、心が痛むのは、苦しいのは、理屈ではないのだ。
自分が相手を傷つけたという事実が、そこにあるから。
「メイベル・・・酷いよ・・」
メイベルの泣き声が、いつまでも追いすがって来るようで、耳を塞ぎながら、私はしばらくの間、泣いていた。
御前試合のチャリティーで得られた莫大な収益で、王都にある孤児院には鍵付きの鶏小屋が、そして北方にある孤児院には最新のストーブと冬用寝具が進呈されることがビシュヌ様から報告され、皆から歓声が上がる。
次年度からは私たちの手を離れて、教会主導の事業となる。
毎年違うデザインにすれば、きっと毎年買ってもらえる。
事業が定着して、安定した収入を得られれば、孤児院の運営も潤っていくだろう。
冬の教会バザーに向けた話し合いを終え、帰り支度をしている時だった。
「レイリア様、あの・・よろしいですか?」
声をかけてきたのは、ブレンデン伯爵家のヘレン様だ。
「はい?」
「実は私、レイリア様に相談にのっていただきたいことがあって・・」
「私に、ですか?」
ヘレン様とは顔見知りではあるが、相談事を打ち明けるほど親しいわけではないので少し驚いて聞き返した。
「ええ、不躾に申し訳ありません。ですがレイリア様しか頼れないのです・・この後、お時間をいただけませんか?」
断る理由もなく、「2人きりで話したいから」と促されるままにブレンデン家の馬車に案内される。
乗り込んだ瞬間に抱きついてきた人物を見て、ようやく疑問が解けた。
「レイリア・・レイリア・・!」
そこに居たのは、クラブを辞めたメイベルだった。
髪を乱したメイベルが、必死に縋り付いてくる。
「メイベル・・!?」
「・・ごめんなさい!ごめんなさい、レイリア!」
後ろを振り返ってもヘレン様は居らず、すでに馬車のドアは閉じられている。
(最初から、このつもりで・・・!)
まんまと引っかかってしまったことに気づいて、「ごめんなさい」を繰り返すメイベルを、言葉も無く見下ろした。
この様子では、無理に引き剥がすこともできない。
逡巡し、まずは落ち着いてもらおうと声をかける。
「メイベル、落ち着いて?ね?そんなに泣いていたら話もできないわ?」
何度も呼びかけて背中を撫でてやると、ようやくメイベルは顔を上げた。
化粧っ気のないその顔は、いつもより随分血色が悪く見える。
視線が合うと、堪えきれない様子でメイベルが肩を震わせた。
「ずっと・・ずっと謝りたくて、レイリアに会おうとしたのに誰も彼も駄目って言って助けてくれなくて・・クラブで会うまでの辛抱だと思って耐えていたのに・・・お父様からクラブはもう辞めてあるって言われて・・!」
そう言って、顔を覆ってワッと泣き出した。
「でも・・私と会ってはいけないことになったでしょう?こうして会っているのが見つかったら、それこそ大変なことになるの。」
「だから!悪いことをしたから、レイリアに謝ろうとしたの。だっておかしいもの!レイリアに会ってはいけないなんて!私たちは親友なのに!なぜお父様に決められなければいけないの?」
「おかしい」「酷い」そんな不満ばかりまくし立てるメイベルに、私は益々困惑する。
その、被害者のような口ぶりに。
「でも・・その、”悪いこと”をしたから、もう会えないことになったのよ?」
「だから謝ろうとしてるのに!すぐに謝ろうとしたのよ?なのにずっと家から出してもらえなくて—」
・・これでは堂々巡りだ。
「・・じゃあメイベルは・・私に何を謝ろうとしているの?何が悪いことだと思ってるの・・?」
「それは・・」とシュンとした様子でメイベルが続ける。
「貴族同士の婚約が、そんなに重い意味を持つなんて、私知らなかったの。無理なお願いをしてごめんなさい、レイリア。私が間違っていたわ。アマンド様と結婚したいなんてもう言わないわ!もうあれはいいの。だから・・また仲良くしましょう?」
「あれはいいって・・メイベルもアマンド様が好きなんでしょう?それなのに、私とまた仲良くできるなんて思ってるの?」
「私は大丈夫!2人の結婚を祝福するし、もちろん邪魔なんてしないわ?それで全部、元通り!でしょう?」
目を潤ませてこちらを見上げるメイベルに、私は言葉を発することができない。
(ああ・・メイベルは、何もわかっていないのだ・・)
感じていた困惑が、一気に落胆に変わる。
「メイベル・・元通りには・・ならないわ」
それは自分の声なのに、やけに掠れて、遠くに聞こえた。
「アマンド様とあなたが想いあってるって聞かされて、あなたがついたその嘘で、私が傷つかなかったと思う?」
「でも・・嘘じゃないわ!だってアマンド様が・・口には出せないけれど私を想ってくださっているって感じたことは何度もあったもの!」
「去年の御前試合の時は?私が試合を観に来ていたって、アマンド様に言ったでしょう?あれは、嘘じゃなかったって言うの・・!?」
「それは違うの・・違くて、その、レイリアになれたみたいで、嬉しくて、本当だったらいいなってことを言ってしまっただけなの。悪気があったわけじゃないのよ」
「悪気がないって・・それで私とアマンド様はずっとすれ違っていたのよ!?」
思わず言葉に力が入った私に、一瞬レイリアが怯む。
「でも・・でも!レイリアはアマンド様のことが好きじゃなかったじゃない!本当に好きだったら、毎日会いたいし、少しでも一緒にいたいと思うはずよ?でも、離れようとしていた、そうでしょう!?」
私は首を振る。
「私は好きだったわ」
え?とメイベルがこちらを見る。
「好きだったから、あなたに打ち明けられた時、別れなければと思ったの。」
「そ・・それならそう言ってくれたら良かったのに!それは!・・・それは、謝るわ。だから・・私はアマンド様はもういいの。レイリアさえいてくれれば・・!ね?わかって?ちゃんとできるから・・!」
埒があかなくて、私は俯いて押し黙った。
メイベルにとって、これまでの出来事は物のやり取りに似たことなのかもしれない。
だから、自分が手放せば、すべて元通りだと、そう信じている。
でも実際は違う。
それはゆで卵を生卵に戻せ、と言うようなものなのだ。
外見ではわからなくても、中身はもう変化してしまっていて、どうやっても、もう元には戻せない。
彼女の見ているものは、私とあまりにも違う。
「・・・メイベル、聞いて?」
私は自分の手に重ねられたメイベルの手をゆっくりとほどき、彼女の膝の上に置いた。
「私ね、アマンド様が好きなの。彼とこのまま結婚したいと思ってる。・・・だからメイベル、あなたとは一緒に居られない。」
メイベルが、その瞳を大きく見開いた。唇が小刻みに震える。
「もう、私と会ってはいけないわ。ここでこうしていることが見つかれば、あなたの家は違約金を支払わねばならないし・・国へ報告するようなことにはしたくないのよ・・・今日のことは秘密にしておくから、だからこれで、最後にしましょう・・」
見ていられなくて、俯いて彼女に別れを告げ、馬車を出た。
パタン、と馬車のドアを閉めると、中から嗚咽する声が漏れ聞こえてくる。
それには構わず、途中投げかけられた「仲直り、できました?」というヘレン様の声にも振り返らず、ただ前だけを見て、早足で自邸の馬車へ向かう。
乗り込んだ馬車が動き出すと、ずるずると椅子からずり落ちた。
涙が、後から後から頬を伝う。
誰かを傷つけることなんて、したくなかった。
たとえそれが、私を傷つけた人であろうと。
目の前の誰かを悲しませることなんて、望んでいなかったのに。
彼女の生温い考えを受け入れる余地はないし、彼女に告げた言葉は間違いではないとわかっている。
それでも、心が痛むのは、苦しいのは、理屈ではないのだ。
自分が相手を傷つけたという事実が、そこにあるから。
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