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秋
お披露目会。
私はメイベルとの望まぬ遭遇を、結局誰にも言わなかった。
いや、誰にも言えなかった。
もう、そっとしておきたかったのだ。
胸にしまってさえおけば立たない波風は、起こしたくなかった。
またあんなことがあったら、メイベルに会ってしまったら、と思うと、外出する気も起きない。
目を閉じると、あの時のメイベルの嗚咽混じりの泣き声が蘇り、その後しばらく続いた寝つきの悪さは私を悩ませた。
その後間もなくして、アマンド様は本当にガーナー家の別荘に誘ってくれた。
しかも2週間もお休みを取って。
去年の繰越分もまとめて一気に使うからと言っていたけれど、そんなに休んで、仕事は大丈夫なのだろうか。
そう思いつつ、2週間も王都から離れて、アマンド様と過ごせるのだと思う間は、暗く沈みがちな気持ちも忘れられた。
ただ、予想取り、うちの両親はいい顔をしなかった。
結婚前の令嬢が異性の別荘に滞在するのは許可できない、とお父様から言われた時には、私にしては珍しく泣いてしまって、両親を慌てさせた。
自分でも気付かないうちに、気持ちが参ってしまっていたのかもしれない。
両親はその後も私がずっと落ち込んでいるのを、別荘にいくのを反対されたせいだと結論づけたらしい。
私の様子を見かねて、他に誰か家族が一緒なら、と別荘に行くのも許可してくれた。
「あなた、なんだかまた痩せたんじゃない?」
じっとこちらを見つめてジュディ様が言う。
「来週には婚前旅行に行くんでしょ?そんな調子で大丈夫なの?」
「婚前旅行って・・。違います。ガーナー伯爵家の別荘にお邪魔するだけです。」
「実質、婚前旅行じゃない。」
「違いますよ。アマンド様のお母様も一緒です。その後は弟も来るし・・」
「ああ、お目付役ね。」
興味なさそうにそう言って、ジュディ様は馬車の窓にまた目を移した。
久々に、ジュディ様のお屋敷にお呼ばれしている。
結局、ジュディ様は競馬場でジョナスさんから聞いたコックスウェルの子馬を翌日には見に行き、お迎えすることに決めた。
迎えいれるのに2週間かかり、お屋敷に馬が来たと喜びの手紙を受け取ったのが先週のこと。
今日は初めてジュディ様が乗馬をするというので、子馬のお披露目も兼ねてご招待されたのだ。
乗馬服のジュディ様に出迎えられた後、馬房まで馬車で向かっている。
ジュディ様は髪を後ろで一本にまとめている。凛とした雰囲気で普段より大人びて見えた。
「それにしても、思ったより早く夢が叶いましたね。ポイントが貯まるまでまだかかると思いました。」
「そうね。ポイントはまだ貯まりきってなかったけど、お父様にあの馬の素晴らしさを熱弁したら意外にあっさり許可してくれたわ。こういうのは縁もあるし。あの馬をくれたら、お父様のことも水に流してあげるって言ったのも良かったのかもしれないわ」
ふふん、と鼻で笑ってジュディ様が機嫌よく話している。
どうやらジュディ様はお父様を無視するのをやめたらしい。
「それは・・良かったですね、お父様も。」
あの御前試合の日からの、マルグリット侯爵の長きに渡る苦難も解決したようで何よりだ。
いや、誰にも言えなかった。
もう、そっとしておきたかったのだ。
胸にしまってさえおけば立たない波風は、起こしたくなかった。
またあんなことがあったら、メイベルに会ってしまったら、と思うと、外出する気も起きない。
目を閉じると、あの時のメイベルの嗚咽混じりの泣き声が蘇り、その後しばらく続いた寝つきの悪さは私を悩ませた。
その後間もなくして、アマンド様は本当にガーナー家の別荘に誘ってくれた。
しかも2週間もお休みを取って。
去年の繰越分もまとめて一気に使うからと言っていたけれど、そんなに休んで、仕事は大丈夫なのだろうか。
そう思いつつ、2週間も王都から離れて、アマンド様と過ごせるのだと思う間は、暗く沈みがちな気持ちも忘れられた。
ただ、予想取り、うちの両親はいい顔をしなかった。
結婚前の令嬢が異性の別荘に滞在するのは許可できない、とお父様から言われた時には、私にしては珍しく泣いてしまって、両親を慌てさせた。
自分でも気付かないうちに、気持ちが参ってしまっていたのかもしれない。
両親はその後も私がずっと落ち込んでいるのを、別荘にいくのを反対されたせいだと結論づけたらしい。
私の様子を見かねて、他に誰か家族が一緒なら、と別荘に行くのも許可してくれた。
「あなた、なんだかまた痩せたんじゃない?」
じっとこちらを見つめてジュディ様が言う。
「来週には婚前旅行に行くんでしょ?そんな調子で大丈夫なの?」
「婚前旅行って・・。違います。ガーナー伯爵家の別荘にお邪魔するだけです。」
「実質、婚前旅行じゃない。」
「違いますよ。アマンド様のお母様も一緒です。その後は弟も来るし・・」
「ああ、お目付役ね。」
興味なさそうにそう言って、ジュディ様は馬車の窓にまた目を移した。
久々に、ジュディ様のお屋敷にお呼ばれしている。
結局、ジュディ様は競馬場でジョナスさんから聞いたコックスウェルの子馬を翌日には見に行き、お迎えすることに決めた。
迎えいれるのに2週間かかり、お屋敷に馬が来たと喜びの手紙を受け取ったのが先週のこと。
今日は初めてジュディ様が乗馬をするというので、子馬のお披露目も兼ねてご招待されたのだ。
乗馬服のジュディ様に出迎えられた後、馬房まで馬車で向かっている。
ジュディ様は髪を後ろで一本にまとめている。凛とした雰囲気で普段より大人びて見えた。
「それにしても、思ったより早く夢が叶いましたね。ポイントが貯まるまでまだかかると思いました。」
「そうね。ポイントはまだ貯まりきってなかったけど、お父様にあの馬の素晴らしさを熱弁したら意外にあっさり許可してくれたわ。こういうのは縁もあるし。あの馬をくれたら、お父様のことも水に流してあげるって言ったのも良かったのかもしれないわ」
ふふん、と鼻で笑ってジュディ様が機嫌よく話している。
どうやらジュディ様はお父様を無視するのをやめたらしい。
「それは・・良かったですね、お父様も。」
あの御前試合の日からの、マルグリット侯爵の長きに渡る苦難も解決したようで何よりだ。
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