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秋
魔女の夢見香
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約束の時間の10分前に、張っていた教会に小型の馬車が到着した。
ベールを被った小柄な人影が、中に入っていく。
「来ましたね。指示通り、護衛も遠ざけてます。」
「ふむ・・さて、正直に話してくれるかな?」
行くぞ、と腰を上げるベルナードに倣い、グルトも後に続いた。
少女の葬儀から、1週間が経っていた。
少女の姉シェリーから、大体のあらましは聴いている。
今日呼び出したのは、シェリーに薬を渡したというサラの方だ。
サラから”占い師”の情報を聞き出すため、日時を指定してこの教会の告解室に来るよう手紙を出した。
「キルシュナーは邪魔が入らないように見張っていろ。グルトは俺と一緒に来い」
教会の裏手口から入り、細いドアを開けて中に入る。
告解をする者の席と、神父の席の間には壁が設けられている。
着席すると顔が位置する辺りに、窓のように四角い穴が開いており、そこに薄いレースの幕が張ってあった。
仮面をつけたグルトが着席すると、レースの向こう、椅子を遠巻きにしてサラが立っていた。
その顔は、恐怖で歪んでいる。
「サラさん、来てくれてありがとう」
「あなた・・誰なの・・!来たわ、来たからもう、これでいいでしょう!?」
「名は明かせない。まずはそこに座ってほしい。何もしない。話を聞くだけだ。」
着席を促すと、サラは後手にしていた右手を前にかざした。
「何か乱暴をしたら、こ、これを使うわ」
ナイフを持つ、その手が震えている。
「話が終わったら、君はまた馬車に乗って家へ帰る。それだけだ。約束は守る。それを持ったままでいい。さあ、座って。座らないと始められない。早く終わらせよう」
サラがナイフを胸の前で握りしめながら、ようやく着席し、本題に入る。
「手紙で知らせた通りだ。魔女の夢見香について、教えて欲しい」
「お、教えられないし・・あなたも聞かない方がいいわ!だって」
「知っているよ、それについて話すと、魔女に呪われるんだろう?」
サラが青い顔で頷いた。
「魔女の呪いなんて、信じてるの?それとも、本当に呪われた人がいる、とか?」
サラが話す内容は取り留めもなかった。
「部屋で大事に飼っていた小鳥が呪いで狂い死んだ。」「魔女の呪いで気を狂わされた令嬢がいて、今も家族に幽閉されている」「呪われたせいで不幸が続き、爵位取り潰しの上、一家離散になった貴族がいるらしい」など・・
出処の確かな話は一つもなく、世の怪談話と同じ類に思えた。
爵位の返上はあったかもしれないが、さすがに取り潰しとなった家なんて聞いたことがない。
そう指摘すると、でも、とサラが怯える。
「私の・・友人の妹が亡くなったもの・・!それもその話をした次の日に!」
「彼女の死因は、呪いなんかじゃない」
唐突に、ベルナードが会話に参加した。
グルトの他にもう1人いるとは思わなかったようで動揺するサラに構わず、ベルナードは淡々と告げる。
「彼女が亡くなったのは、持病の喘息発作によるもの、病死だ。」
「う・・嘘つかないで!そんな嘘つかれたって、私は話さないわよ!」
「君は”魔女の夢見香”をシェリーに2つ渡したんだろう?」
サラは口を噤んだ。
「あのお香を使えば、想い人が夢に現れる。そしてその中で恋仲になれば、現実でも両思いになれる。そう説明したら、彼女の妹はひどく欲しがって・・シェリーは妹に1個渡したそうだ。」
「お香を使った・・の?」
「ああ、妹は、その日の夜にお香を使っていた。彼女は元々喘息の気があったから・・催眠効果で寝始めたところで、煙の吸入が刺激になって、発作が出たんだろう。」
シェリーから話を聞いてすぐに、保安局の医師に埋葬直前の妹の遺体を診てもらった。
内因性の窒息による死亡が疑わしい、と結果が出ている。
「あのお香を調べた。予想通り、強力な幻覚剤が検出された。」
「幻覚剤・・!?」
「そう、巷では"グッドスリープ"とも呼ばれてる薬だよ。香の成分とグッドスリープを練り込んでつくったのが魔女の夢見香だ。」
サラは呆気にとられている。
「で、でも・・あの占い師は・・安全なものだって」
「安全じゃ無いなんて正直に言えば売れないからね。・・呪いじゃない。魔女も関係ない。君は騙されてるんだ」
サラはあまりのことにボロボロと涙を流し始めた。
グルトの脳裏に、助けを求めるシェリーの顔が浮かんだ。
妹の復活を願う、彼女の祈りは届かない。
ベルナードに代わり、グルトが語りかける。
「サラ、君は被害者だ。悪いのは、君たちみたいな年端もいかない令嬢たちを騙して幻覚剤を売り捌く奴らなんだ。協力してくれ・・被害を拡大させないために」
*******************
話を終えて、サラがいなくなった告解室に、キルシュナーが入ってきた。
「馬車に乗り込んだのを確認しました。・・・どうでした?」
腕を組んだベルナードがため息をつく。
「占い師の正体は女だそうだが、ベールで顔を覆っていたせいでサラも特徴はわからなかった。望めば誰でも会えるわけではなく、友人からの紹介制だそうだ。紹介にあたっては誓約を立てさせられて、魔女の呪い云々と言う話もそこでされるらしい。秘密を守らなかったら、紹介した側、紹介された側双方に呪いが降りかかる、と。お互いを人質に取られるようなものだな。」
「まさか若者に、幻覚作用の方で売り込んでいたとは・・怪しいと思わないんでしょうかね」
「超常的な力を隠れ蓑にすると途端に魅力的に見えるらしい。実際、”魔女の夢見香”を望むものは多いそうだぞ?その界隈では相当噂になっているようだ。」
「・・サラの紹介者はわかったんですか?」
「ああ。それだけじゃないぞ?誰にも話してはいけないはずの"魔女の夢見香"が、なぜこんなに噂になっているんだと思う?」
ベルナードがニッと笑う。
「噂を振り撒いている令嬢たちが居るんだ。そこを当たるぞ」
**************************************
久しぶりのシーリーウッド騎士団は活気に溢れていた。
「お、グルトじゃん!久しぶりだな!元気か?いつ戻ってくるんだよー!」
快活な同僚たちに囲まれ、グルトは頬を緩める。
「そのうちね!ね、アマンド知らない?」
「アマンドなら書類片付けるって言ってたから、部屋にいると思うぞ?もうすぐ長期休暇だから、張り切ってるんだよ」
「わかった、ありがと!」
教えてもらった通り、アマンドは部屋で書類仕事をしていた。
「グルト、どうした?」
「忙しい時にごめん。ちょっと話があって・・」
「ああ、そこに座ってくれ。」
わざわざ手を止めて、場所を移動して向かいに座ってくれる。
書類仕事するアマンドも、相変わらずかっこいい。
「今度、長期休暇取るの?」
「ああ、久々に別荘に行って、ゆっくりしようと思ってな。で、話ってなんだ?」
「うん・・・あのさ、俺、今日は保安局として来たんだ。アマンドに聞きたいことがあって・・」
「何だ?」
「去年くらいまでよくアマンドを訪ねてきてた女の子いたよね。メイベルっていう・・」
保安局は今、ボートウェル子爵家を重要視している。
張り込んでいるが、高い経済力と広い交友関係を持つボートウェル子爵はなかなか尻尾を出さなかった。
ただ、最近社交の場にほとんど娘が出てこないのは、ガーナー伯爵家との間で何かがあったかららしい、という情報が挙がり、グルトに白羽の矢が立ったのだ。
アマンドの眉間にグッと力が込められる。
あの女の子の名前を聞くだけでも不快みたいだ。何かあったことは間違いない。
「・・ああ。それがどうした?」
「実は、今やってる捜査で、ボートウェル子爵家を調べる必要が出てきたんだ。」
「あの家を?」
「うん。できれば家宅捜索に持って行きたくて・・それで捜査に使えそうなことがないか情報を集めてるんだけど・・」
「・・ああ、そういうことか・・。」
アマンドが、悩むような表情をしている。
何か思い当たることがあるんだろう。
話すべきか考えているみたいだった。
「あ、アマンド。いいんだ。特になければ別に。」
「・・力になれなくてすまない。・・何か思い出したら必ず連絡する。」
「ありがとう。こちらこそ、仕事の邪魔しちゃってごめんね」
そう言って席を立つと、アマンドに呼び止められた。
「グルト、お前少し変わったな」
「え、え?何か変、かな?」
もしかして保安局の嫌味たらしさがうつっちゃったとか?と焦っていると、アマンドがフッと笑った。
「いや、こう言われるとグルトは嫌がるかもしれないけど・・随分、保安局っぽい顔つきになってきた」
「え、どこが?顔のパーツのどの部分が?マジで嬉しくない。ほんとやめて!」
尚も笑うアマンドに、抗議をし続けるグルトだった。
ベールを被った小柄な人影が、中に入っていく。
「来ましたね。指示通り、護衛も遠ざけてます。」
「ふむ・・さて、正直に話してくれるかな?」
行くぞ、と腰を上げるベルナードに倣い、グルトも後に続いた。
少女の葬儀から、1週間が経っていた。
少女の姉シェリーから、大体のあらましは聴いている。
今日呼び出したのは、シェリーに薬を渡したというサラの方だ。
サラから”占い師”の情報を聞き出すため、日時を指定してこの教会の告解室に来るよう手紙を出した。
「キルシュナーは邪魔が入らないように見張っていろ。グルトは俺と一緒に来い」
教会の裏手口から入り、細いドアを開けて中に入る。
告解をする者の席と、神父の席の間には壁が設けられている。
着席すると顔が位置する辺りに、窓のように四角い穴が開いており、そこに薄いレースの幕が張ってあった。
仮面をつけたグルトが着席すると、レースの向こう、椅子を遠巻きにしてサラが立っていた。
その顔は、恐怖で歪んでいる。
「サラさん、来てくれてありがとう」
「あなた・・誰なの・・!来たわ、来たからもう、これでいいでしょう!?」
「名は明かせない。まずはそこに座ってほしい。何もしない。話を聞くだけだ。」
着席を促すと、サラは後手にしていた右手を前にかざした。
「何か乱暴をしたら、こ、これを使うわ」
ナイフを持つ、その手が震えている。
「話が終わったら、君はまた馬車に乗って家へ帰る。それだけだ。約束は守る。それを持ったままでいい。さあ、座って。座らないと始められない。早く終わらせよう」
サラがナイフを胸の前で握りしめながら、ようやく着席し、本題に入る。
「手紙で知らせた通りだ。魔女の夢見香について、教えて欲しい」
「お、教えられないし・・あなたも聞かない方がいいわ!だって」
「知っているよ、それについて話すと、魔女に呪われるんだろう?」
サラが青い顔で頷いた。
「魔女の呪いなんて、信じてるの?それとも、本当に呪われた人がいる、とか?」
サラが話す内容は取り留めもなかった。
「部屋で大事に飼っていた小鳥が呪いで狂い死んだ。」「魔女の呪いで気を狂わされた令嬢がいて、今も家族に幽閉されている」「呪われたせいで不幸が続き、爵位取り潰しの上、一家離散になった貴族がいるらしい」など・・
出処の確かな話は一つもなく、世の怪談話と同じ類に思えた。
爵位の返上はあったかもしれないが、さすがに取り潰しとなった家なんて聞いたことがない。
そう指摘すると、でも、とサラが怯える。
「私の・・友人の妹が亡くなったもの・・!それもその話をした次の日に!」
「彼女の死因は、呪いなんかじゃない」
唐突に、ベルナードが会話に参加した。
グルトの他にもう1人いるとは思わなかったようで動揺するサラに構わず、ベルナードは淡々と告げる。
「彼女が亡くなったのは、持病の喘息発作によるもの、病死だ。」
「う・・嘘つかないで!そんな嘘つかれたって、私は話さないわよ!」
「君は”魔女の夢見香”をシェリーに2つ渡したんだろう?」
サラは口を噤んだ。
「あのお香を使えば、想い人が夢に現れる。そしてその中で恋仲になれば、現実でも両思いになれる。そう説明したら、彼女の妹はひどく欲しがって・・シェリーは妹に1個渡したそうだ。」
「お香を使った・・の?」
「ああ、妹は、その日の夜にお香を使っていた。彼女は元々喘息の気があったから・・催眠効果で寝始めたところで、煙の吸入が刺激になって、発作が出たんだろう。」
シェリーから話を聞いてすぐに、保安局の医師に埋葬直前の妹の遺体を診てもらった。
内因性の窒息による死亡が疑わしい、と結果が出ている。
「あのお香を調べた。予想通り、強力な幻覚剤が検出された。」
「幻覚剤・・!?」
「そう、巷では"グッドスリープ"とも呼ばれてる薬だよ。香の成分とグッドスリープを練り込んでつくったのが魔女の夢見香だ。」
サラは呆気にとられている。
「で、でも・・あの占い師は・・安全なものだって」
「安全じゃ無いなんて正直に言えば売れないからね。・・呪いじゃない。魔女も関係ない。君は騙されてるんだ」
サラはあまりのことにボロボロと涙を流し始めた。
グルトの脳裏に、助けを求めるシェリーの顔が浮かんだ。
妹の復活を願う、彼女の祈りは届かない。
ベルナードに代わり、グルトが語りかける。
「サラ、君は被害者だ。悪いのは、君たちみたいな年端もいかない令嬢たちを騙して幻覚剤を売り捌く奴らなんだ。協力してくれ・・被害を拡大させないために」
*******************
話を終えて、サラがいなくなった告解室に、キルシュナーが入ってきた。
「馬車に乗り込んだのを確認しました。・・・どうでした?」
腕を組んだベルナードがため息をつく。
「占い師の正体は女だそうだが、ベールで顔を覆っていたせいでサラも特徴はわからなかった。望めば誰でも会えるわけではなく、友人からの紹介制だそうだ。紹介にあたっては誓約を立てさせられて、魔女の呪い云々と言う話もそこでされるらしい。秘密を守らなかったら、紹介した側、紹介された側双方に呪いが降りかかる、と。お互いを人質に取られるようなものだな。」
「まさか若者に、幻覚作用の方で売り込んでいたとは・・怪しいと思わないんでしょうかね」
「超常的な力を隠れ蓑にすると途端に魅力的に見えるらしい。実際、”魔女の夢見香”を望むものは多いそうだぞ?その界隈では相当噂になっているようだ。」
「・・サラの紹介者はわかったんですか?」
「ああ。それだけじゃないぞ?誰にも話してはいけないはずの"魔女の夢見香"が、なぜこんなに噂になっているんだと思う?」
ベルナードがニッと笑う。
「噂を振り撒いている令嬢たちが居るんだ。そこを当たるぞ」
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久しぶりのシーリーウッド騎士団は活気に溢れていた。
「お、グルトじゃん!久しぶりだな!元気か?いつ戻ってくるんだよー!」
快活な同僚たちに囲まれ、グルトは頬を緩める。
「そのうちね!ね、アマンド知らない?」
「アマンドなら書類片付けるって言ってたから、部屋にいると思うぞ?もうすぐ長期休暇だから、張り切ってるんだよ」
「わかった、ありがと!」
教えてもらった通り、アマンドは部屋で書類仕事をしていた。
「グルト、どうした?」
「忙しい時にごめん。ちょっと話があって・・」
「ああ、そこに座ってくれ。」
わざわざ手を止めて、場所を移動して向かいに座ってくれる。
書類仕事するアマンドも、相変わらずかっこいい。
「今度、長期休暇取るの?」
「ああ、久々に別荘に行って、ゆっくりしようと思ってな。で、話ってなんだ?」
「うん・・・あのさ、俺、今日は保安局として来たんだ。アマンドに聞きたいことがあって・・」
「何だ?」
「去年くらいまでよくアマンドを訪ねてきてた女の子いたよね。メイベルっていう・・」
保安局は今、ボートウェル子爵家を重要視している。
張り込んでいるが、高い経済力と広い交友関係を持つボートウェル子爵はなかなか尻尾を出さなかった。
ただ、最近社交の場にほとんど娘が出てこないのは、ガーナー伯爵家との間で何かがあったかららしい、という情報が挙がり、グルトに白羽の矢が立ったのだ。
アマンドの眉間にグッと力が込められる。
あの女の子の名前を聞くだけでも不快みたいだ。何かあったことは間違いない。
「・・ああ。それがどうした?」
「実は、今やってる捜査で、ボートウェル子爵家を調べる必要が出てきたんだ。」
「あの家を?」
「うん。できれば家宅捜索に持って行きたくて・・それで捜査に使えそうなことがないか情報を集めてるんだけど・・」
「・・ああ、そういうことか・・。」
アマンドが、悩むような表情をしている。
何か思い当たることがあるんだろう。
話すべきか考えているみたいだった。
「あ、アマンド。いいんだ。特になければ別に。」
「・・力になれなくてすまない。・・何か思い出したら必ず連絡する。」
「ありがとう。こちらこそ、仕事の邪魔しちゃってごめんね」
そう言って席を立つと、アマンドに呼び止められた。
「グルト、お前少し変わったな」
「え、え?何か変、かな?」
もしかして保安局の嫌味たらしさがうつっちゃったとか?と焦っていると、アマンドがフッと笑った。
「いや、こう言われるとグルトは嫌がるかもしれないけど・・随分、保安局っぽい顔つきになってきた」
「え、どこが?顔のパーツのどの部分が?マジで嬉しくない。ほんとやめて!」
尚も笑うアマンドに、抗議をし続けるグルトだった。
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