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秋
計画当日となりました
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作戦決行の日。
私を誘拐した犯人達を餌にして、これから悪い貴族をおびき寄せ、捕まえるのだ。
この屋敷にいれば安全だと言われてはいるけれど、それでも肩に力が入る。
屋敷の中もずっと落ち着かない雰囲気だ。
おばさまもだけど、珍しくアマンド様まで、朝挨拶して以降ずっと姿を見せていない。
私もなんとなくそわそわしてしまって、無駄に部屋の中をうろうろしたり、窓の外を眺めたりしている。
今も窓に立ち、階下を眺めている。
それにしても、今日は見るたびに人が増えていく。
護衛の人なんて、今までの倍近くいるんじゃないだろうか?
いや、護衛の中に王宮騎士団も混じっているからそう見えるんだろう。
西の離宮の王宮騎士団が巡回してくれているとは聞いていたけれど、敷地内で見かけるのは初めてだった。
ほんと・・えらいことになってる・・!
そこまで考えて、ん?と首を傾げた。
王宮騎士団が、個人の邸宅を警護するなんてことあるだろうか。
それに、と私は視線を階下から門の方へ移動させる。
この警備の固めよう、不自然すぎやしないだろうか。
こんなに屋敷の警備を固めたら、襲撃されることをさも予想しているみたいで、計画が気づかれてしまうんじゃ・・
そこまで考えたところで、ドアがノックされた。
「お嬢様、奥様がお呼びです。応接間へどうぞ。」
「え、あ・・・はい。」
家令さんに案内されて、初めてこの部屋を出た。
廊下には深緑色の絨毯が張られ、落ち着いたカントリー調の内装で纏められている。
「こちらです」
少し緊張した面持ちの家令さんが連れてきてくれたドアの前にはまたも護衛・・じゃない。
一瞬、黒い騎士服なので王宮騎士団だと思った。
でも、王宮騎士団のマントは赤色のはず。
ドアの前にいる騎士は、騎士服だけでなく、金の縁飾りのついたマントまで黒一色だ。
あの騎士服は・・
(まさか・・近衛騎士?)
応接間のドアが開けられ、視界の隅に捉えた人物で瞬時に悟り、私は慌てて片腕で不格好なカーテンシーをした。
(エルバート王子殿下・・!)
「失礼」と断って、アマンド様が立ち上がり、私を席にエスコートしてくれる。
久々にお会いする王子殿下は正装で、この訪問は公式のものなのだろうと予想がついた。
殿下は立ち上がり、私が席に座るまで無言で待っていた。
「レイリアさん。急に呼び立ててすまなかった。まだ床に臥せっているだろうと思っていたの、先ほどアマンドからもう歩いていると聞いて、どうしてもこの目で確認したかったんだ。体調はどうだろうか」
「お気遣いいただき、ありがとうございます。私はもうこの通り、元気にしておりますわ」
元気アピールをしようと笑顔で声を張るけれど、殿下の視線は私の左腕にずっと注がれていた。
「まだ、痛むだろう・・腕については聞いていたが、右足も何か怪我を?わずかに庇った歩き方をしている。」
久々に長く歩いたせいでわずかに痛くなっただけなのに、殿下はよく見ていらっしゃる。
お見舞いの花束を頂いた後、殿下がここに来た理由をお話ししてくれた。
「君のお見舞いが一番の目的だけど、それを今日にしたのはね。この屋敷の警備を万全にして、間違ってもこちらを襲撃させる気すら起こさせないようにしたかったからなんだ。私がここにくれば、近衛も王宮騎士団も引き連れてこれるからね。」
「そんなことのためにご足労いただいたなんて・・・」
申し訳なさすぎる。
「いや、今日のこの計画は王家も注目しているんだ。事の成り行きを近場から確認しておきたかったのもある。レイリアさんが畏まる必要はないよ」
「ありがとうございます。でも私如きのお見舞いという名目は少し無理があるような・・」
恐る恐るそう言うと、殿下は首を横に振った。
「友人が怖い目に遭ったんだ。本当に、心配したよ。」
「・・ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」
「ジュディも、君が事故に遭ったと聞いてから随分弱ってしまっている。」
「ジュディ様が・・?」
「ジュディには今回の計画は漏らせないから、馬車が落ちて君が意識不明の重体だとしか伝えてないんだ」
「あ・・」
正直、弱気になったジュディ様なんて想像がつかないけれど、それはれとても心苦しい。
本当はこんなに元気なのに余計な心配をさせてしまって申し訳な・・ん?それは何というか、大丈夫だろうか。
「王子殿下・・私こんなにピンピンしてるんですが、大丈夫でしょうか?」
心ならずも、結果的にジュディ様を欺いているような・・?
殿下の表情がわずかに翳ったように見えた。
「・・・なるべく穏便に済ませたいが、無理だろうね。心配をかけた君も多少責められるだろうが・・真実を伝えなかった私は、今回ばかりは無事では済まないだろうな」
ですよね。
これから確実に来るであろうジュディ様の報復。
私と殿下はそろって大きなため息をついた。
私を誘拐した犯人達を餌にして、これから悪い貴族をおびき寄せ、捕まえるのだ。
この屋敷にいれば安全だと言われてはいるけれど、それでも肩に力が入る。
屋敷の中もずっと落ち着かない雰囲気だ。
おばさまもだけど、珍しくアマンド様まで、朝挨拶して以降ずっと姿を見せていない。
私もなんとなくそわそわしてしまって、無駄に部屋の中をうろうろしたり、窓の外を眺めたりしている。
今も窓に立ち、階下を眺めている。
それにしても、今日は見るたびに人が増えていく。
護衛の人なんて、今までの倍近くいるんじゃないだろうか?
いや、護衛の中に王宮騎士団も混じっているからそう見えるんだろう。
西の離宮の王宮騎士団が巡回してくれているとは聞いていたけれど、敷地内で見かけるのは初めてだった。
ほんと・・えらいことになってる・・!
そこまで考えて、ん?と首を傾げた。
王宮騎士団が、個人の邸宅を警護するなんてことあるだろうか。
それに、と私は視線を階下から門の方へ移動させる。
この警備の固めよう、不自然すぎやしないだろうか。
こんなに屋敷の警備を固めたら、襲撃されることをさも予想しているみたいで、計画が気づかれてしまうんじゃ・・
そこまで考えたところで、ドアがノックされた。
「お嬢様、奥様がお呼びです。応接間へどうぞ。」
「え、あ・・・はい。」
家令さんに案内されて、初めてこの部屋を出た。
廊下には深緑色の絨毯が張られ、落ち着いたカントリー調の内装で纏められている。
「こちらです」
少し緊張した面持ちの家令さんが連れてきてくれたドアの前にはまたも護衛・・じゃない。
一瞬、黒い騎士服なので王宮騎士団だと思った。
でも、王宮騎士団のマントは赤色のはず。
ドアの前にいる騎士は、騎士服だけでなく、金の縁飾りのついたマントまで黒一色だ。
あの騎士服は・・
(まさか・・近衛騎士?)
応接間のドアが開けられ、視界の隅に捉えた人物で瞬時に悟り、私は慌てて片腕で不格好なカーテンシーをした。
(エルバート王子殿下・・!)
「失礼」と断って、アマンド様が立ち上がり、私を席にエスコートしてくれる。
久々にお会いする王子殿下は正装で、この訪問は公式のものなのだろうと予想がついた。
殿下は立ち上がり、私が席に座るまで無言で待っていた。
「レイリアさん。急に呼び立ててすまなかった。まだ床に臥せっているだろうと思っていたの、先ほどアマンドからもう歩いていると聞いて、どうしてもこの目で確認したかったんだ。体調はどうだろうか」
「お気遣いいただき、ありがとうございます。私はもうこの通り、元気にしておりますわ」
元気アピールをしようと笑顔で声を張るけれど、殿下の視線は私の左腕にずっと注がれていた。
「まだ、痛むだろう・・腕については聞いていたが、右足も何か怪我を?わずかに庇った歩き方をしている。」
久々に長く歩いたせいでわずかに痛くなっただけなのに、殿下はよく見ていらっしゃる。
お見舞いの花束を頂いた後、殿下がここに来た理由をお話ししてくれた。
「君のお見舞いが一番の目的だけど、それを今日にしたのはね。この屋敷の警備を万全にして、間違ってもこちらを襲撃させる気すら起こさせないようにしたかったからなんだ。私がここにくれば、近衛も王宮騎士団も引き連れてこれるからね。」
「そんなことのためにご足労いただいたなんて・・・」
申し訳なさすぎる。
「いや、今日のこの計画は王家も注目しているんだ。事の成り行きを近場から確認しておきたかったのもある。レイリアさんが畏まる必要はないよ」
「ありがとうございます。でも私如きのお見舞いという名目は少し無理があるような・・」
恐る恐るそう言うと、殿下は首を横に振った。
「友人が怖い目に遭ったんだ。本当に、心配したよ。」
「・・ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」
「ジュディも、君が事故に遭ったと聞いてから随分弱ってしまっている。」
「ジュディ様が・・?」
「ジュディには今回の計画は漏らせないから、馬車が落ちて君が意識不明の重体だとしか伝えてないんだ」
「あ・・」
正直、弱気になったジュディ様なんて想像がつかないけれど、それはれとても心苦しい。
本当はこんなに元気なのに余計な心配をさせてしまって申し訳な・・ん?それは何というか、大丈夫だろうか。
「王子殿下・・私こんなにピンピンしてるんですが、大丈夫でしょうか?」
心ならずも、結果的にジュディ様を欺いているような・・?
殿下の表情がわずかに翳ったように見えた。
「・・・なるべく穏便に済ませたいが、無理だろうね。心配をかけた君も多少責められるだろうが・・真実を伝えなかった私は、今回ばかりは無事では済まないだろうな」
ですよね。
これから確実に来るであろうジュディ様の報復。
私と殿下はそろって大きなため息をついた。
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