大好きな彼の婚約者の座を譲るため、ワガママを言って嫌われようと思います。

airria

文字の大きさ
159 / 165

ジュディ様は再びお怒りモード

騎士服のアマンド様は応接室に入ると、ジュディ様に軽く会釈して、私の隣に腰を下ろした。

「アマンド様、どうされたんですか」

平日の昼間に彼が屋敷に来るなんて珍しい。

「今日マルグリット侯爵令嬢に会うと聞いて、警ら中に少し立ち寄らせてもらったんだ。」

そう言って、ジュディ様に向かって背筋を伸ばす。

「俺の不手際でレイリアを危険に晒し、あなたにも大変なご心配をおかけしたことを謝罪します」

「ふん、許さないわよ」

ジュディ様はそっぽを向いた。

その様子に、アマンド様が苦笑する。

「ここに来た理由がもうひとつ、あるんですが。」

もうひとつ?

きょとんと見上げる私に微笑みかけて、アマンド様は再びジュディ様に向き合った。

「レイリアに結婚の了承をもらったので、ご報告を」

ボボボと顔が熱くなる私の向かいで、ジュディ様は盛大に顔をしかめた。

「レイリアが婚約指輪を受け取ったからって、私は認めてないわよ!大体、こんな失態を犯した時点で、レイリアにはもっといい相手を探そうかと思っていたのに・・・」

「お気持ちはわかりましたから、それに関してはもう諦めてください。」

キッ!とジュディ様が私を睨む。

「レイリア!」

「は、はい?」

「その指輪を受け取る前に何で私に報告しなかったの!」

「えっ!」

報告案件だったのか!

「レイリアの結婚相手をうちのお兄様にすげ替えてやろうかと思ってたのに!」

「えぇっ!?」

焦る私の隣で、アマンド様が「指輪を渡しておいてよかった」と胸を撫でおろしている。

「では、ご報告も終わったので警らに戻ります。歓談中に失礼しました。」

いい笑顔のアマンド様が腰を浮かしたが、ジュディ様は目を細めながら、ツ、と閉じた扇子でソファを指さした。

「私の話はまだ終わっていないわ。ガーナー卿、おかけになって」

お怒りモードが再燃したジュディ様は強い。

立ち上がりかけていたアマンド様が、神妙な顔で再び着席した。

「レイリアがあなたとの結婚を決めたとしても、よ。だからってあなたを許すとは言っていないわ?…レイリアを危険に晒したあなたにも、私に虚偽の報告をした殿下にも、罰を与えないと私の気が済まなくてよ?さて」

閉じた扇子をパチン、と叩いてジュディ様が侍従に声をかけた。

マルグリット侯爵家の侍従さんが、テーブルの上に色とりどりのペーパーを広げていく。

上質なそれは、招待状に使うカードだろう。

「レイリア、どれがいい?」

「?」

くれるんだろうか?

「どれも綺麗ですが‥何に使うんですか?」

ジュディ様はにっこりと笑った。

「私たちの誕生日パーティの招待状よ」

「「私?」」

私とアマンド様が、ぴったり同じタイミングで聞き返した。

「レイリア、あなたの誕生日は?」

「2月10日ですが…え?ジュディ様は?」

「私も、2月10日なの」

ええ!

「同じ誕生日なんですか!?」

「そう!だから、今年はうちであなたと私の誕生日パーティを一緒にやろうと思って」

驚きと喜びが一緒に来て、一気に気持ちが高揚する。

「とっても嬉しいです!」

そうでしょう、とジュディ様は満足げに頷くと、アマンド様に顔を向けた。

「というわけで、あなたの参加はご遠慮いただくわ。あと殿下も」

「は!?」

「今年のお誕生日は、私とレイリアと私たちの友人と、水入らずでパーティをすることにしたわ」

「そんな横暴なっ!」

そう言いかけたアマンド様だが、ジュディ様の冷ややかな視線を受けて押し黙った。

「この話はこれでおしまいよ。さ、はやく警らにお戻りになって?殿下ともども、悔い改めるのね!」


あなたにおすすめの小説

お飾りな妻は何を思う

湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。 彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。 次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。 そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。

貴方に私は相応しくない【完結】

迷い人
恋愛
私との将来を求める公爵令息エドウィン・フォスター。 彼は初恋の人で学園入学をきっかけに再会を果たした。 天使のような無邪気な笑みで愛を語り。 彼は私の心を踏みにじる。 私は貴方の都合の良い子にはなれません。 私は貴方に相応しい女にはなれません。

あのひとのいちばん大切なひと

キムラましゅろう
恋愛
あのひとはわたしの大切なひと。 でも、あのひとにはわたしではない大切なひとがいる。 それでもいい。 あのひとの側にいられるなら。 あのひとの役にたてるなら。 でもそれも、もうすぐおしまい。 恋人を失ったアベルのために奮闘したリタ。 その恋人がアベルの元へ戻ると知り、リタは離れる決意をする。 一話完結の読み切りです。 読み切りゆえにいつも以上にご都合主義です。 誤字脱字ごめんなさい!最初に謝っておきます。 小説家になろうさんにも時差投稿します。 ※表紙はあさぎかな先生(@yatusiro1)にコラージュアートを作成していただいたものです。 (*´˘`*)シアワセデスッ

拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様

オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

【完結】私を裏切った前世の婚約者と再会しました。

Rohdea
恋愛
ファルージャ王国の男爵令嬢のレティシーナは、物心ついた時から自分の前世……200年前の記憶を持っていた。 そんなレティシーナは非公認だった婚約者の伯爵令息・アルマンドとの初めての顔合わせで、衝撃を受ける。 かつての自分は同じ大陸のこことは別の国…… レヴィアタン王国の王女シャロンとして生きていた。 そして今、初めて顔を合わせたアルマンドは、 シャロンの婚約者でもあった隣国ランドゥーニ王国の王太子エミリオを彷彿とさせたから。 しかし、思い出すのはシャロンとエミリオは結ばれる事が無かったという事実。 何故なら──シャロンはエミリオに捨てられた。 そんなかつての自分を裏切った婚約者の生まれ変わりと今世で再会したレティシーナ。 当然、アルマンドとなんてうまくやっていけるはずが無い! そう思うも、アルマンドとの婚約は正式に結ばれてしまう。 アルマンドに対して冷たく当たるも、当のアルマンドは前世の記憶があるのか無いのか分からないが、レティシーナの事をとにかく溺愛してきて……? 前世の記憶に囚われた2人が今世で手にする幸せとはーー?

さよなら、私の初恋の人

キムラましゅろう
恋愛
さよなら私のかわいい王子さま。 破天荒で常識外れで魔術バカの、私の優しくて愛しい王子さま。 出会いは10歳。 世話係に任命されたのも10歳。 それから5年間、リリシャは問題行動の多い末っ子王子ハロルドの世話を焼き続けてきた。 そんなリリシャにハロルドも信頼を寄せていて。 だけどいつまでも子供のままではいられない。 ハロルドの婚約者選定の話が上がり出し、リリシャは引き際を悟る。 いつもながらの完全ご都合主義。 作中「GGL」というBL要素のある本に触れる箇所があります。 直接的な描写はありませんが、地雷の方はご自衛をお願いいたします。 ※関連作品『懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい』 誤字脱字の宝庫です。温かい目でお読み頂けますと幸いです。 小説家になろうさんでも時差投稿します。

(完結)婚約者の勇者に忘れられた王女様――行方不明になった勇者は妻と子供を伴い戻って来た

青空一夏
恋愛
私はジョージア王国の王女でレイラ・ジョージア。護衛騎士のアルフィーは私の憧れの男性だった。彼はローガンナ男爵家の三男で到底私とは結婚できる身分ではない。 それでも私は彼にお嫁さんにしてほしいと告白し勇者になってくれるようにお願いした。勇者は望めば王女とも婚姻できるからだ。 彼は私の為に勇者になり私と婚約。その後、魔物討伐に向かった。 ところが彼は行方不明となりおよそ2年後やっと戻って来た。しかし、彼の横には子供を抱いた見知らぬ女性が立っており・・・・・・ ハッピーエンドではない悲恋になるかもしれません。もやもやエンドの追記あり。ちょっとしたざまぁになっています。