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2.狭く、暗い場所。
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2.暗くて、狭い場所。
ーーー暗い場所が、嫌いだ。
理由は、幼少期に暗い場所に閉じ込められたから。
今でも、暗い場所に1人で居ると体が強ばって動けなくなる。
身体中痛くて、暗くて、怖くて。
出して、と泣く碧にきまってあの人は言う。
「お前が言うこと聞けるいい子になったら出してやる」
それを聞いた碧は、自分がいい子じゃないからこんな目にあうんだと、幼いながらにそう思った。
だってこの人が来るまでは、母とふたりで暮らしてた時はそんなことされた事がなかった。母に泣かれることはあったが急に叩かれるなんてことはなかった。…逆に何かを褒められたりすることも無かったが。
初めて会う男から怒鳴られた恐怖心と叩かれた痛みが癒える間もなく、その人は同じ家で暮らすことになっていた。
その態度が、その目が気に入らないと何度も癇癪を起こすように怒られていくうちに、碧は少しの変化も見逃さない様にあの人の声をよく聞くようになった。
少しでも怒らせないように、逆鱗に触れないように。蹴られたりしないように。
ーーー痛いのも怖いのも、もう嫌だったから。
碧が泣くと愉しそうに笑っていた。痛がって少しでも大きな声を出すと機嫌が悪くなる。お酒を飲むと機嫌が良くなる。飲んだ後に話しかけるのはだめ。朝は機嫌が悪い。仕事で帰りが夜遅い時は部屋に呼ばれて叩かれた。その時は直ぐに行かないと、遅いと蹴られる。母は助けてはくれない。スーツを着た人が来た時に勝手にかおを出すとすごく怒られる。勝手に外に出たりしない。碧には目が合ってるかさえわからなかったけれど、かおを見ると怒った声になっていくことはわかっていた。だから自分からかおは見ないようにした。スーツの人の前に呼ばれた時だけは笑っていないと怒られる。お酒がなくなるとこわくなる。痛い、と声を上げるともっと酷くなる。静かにしないと。暗い場所も、泣かずに我慢して静かにしていたらいつもより少しだけ早く出してもらえた。碧がどれだけ叩かれても、母は怯えた顔で目を背けるだけだった。
母が、碧の事を見なくなったのはいつからだっただろうか。
何が原因なのかも、最後まで碧にはわからなかったけれど。
7歳になり、龍斗と奈那さんに引き取られるまでそんな生活が続いた。あの人はある事が理由で警察に捕まった。
手錠をかけられて警察に連れていかれる直前、「お前がいい子にしてたらこんなことにはならなかったのに」と、あの人はそう言っていた。
母はただ、虚ろな目をして涙を零していた。
知らない人に腕をひかれながら白い車にフラフラとした足取りで乗り込んでいく母から目を離せない碧を、龍斗と奈那さんは何度もごめんねと言って泣きながら抱きしめてくれた。
その時の記憶は曖昧だけど、雨が降っていて、酷く寒くて息苦しかった事は今でも覚えている。
それから龍斗達に引き取られた碧の生活は一変し、初めてのことだらけだった。
幼稚園にも行かず、まともに外に出たことすらほとんど記憶にない碧は小学校に行って初めて自分と同い年の子供がたくさんいることを知った。
通い始めてすぐは本当に大変だった。
何せ今まで、一度にこんなに声を覚えなければいけない機会もなかった。子供特有の高い声は少し覚えづらかったが記憶力はいい方だった事と、龍斗達と過ごしていくうちに段々と“わかる”ようになった事ですんなりと覚えられるようになった。
碧にとって、学校は本当に良い参考だった。
今までは何が良くて何が悪いのかはあの人が怒るまでは分からなかったが、今はこんなに目の前に沢山のお手本がいる。
怒られた子がいればそれをしないように心に留め、褒められてる子を見ればそれを真似した。
少しズレた時期の転校だったから珍しがられたが幸いに人見知りはあまりしない方だったのらしく友達はすぐに出来た。碧が小学校を卒業する頃にはたくさんの友達に囲まれ、大人達からはいい子だね、と褒められる子になっていた。
いつも笑顔でいよう。どんなに悲しくても腹が立っても、笑って許せる人になろう。
優しい人は、そう出来るのだから。周りもそれを良しとするのだから。
ーーきっと、それがいいことなのだ。
龍斗も奈那も碧を可愛がって大切にしてくれた。
龍斗は休みの日には必ず一緒に遊んでくれたし、奈那さんと一緒にご飯を龍斗に作ったりもした。
その時出した料理は所々焦げていたり野菜の形が歪だったけど、龍斗はそれはもう美味しそうに食べてくれて。こっちが照れてしまうほどたくさん褒めてくれた。
そんな生活が本当に楽しくて、幸せだと思った。
ただ、それと同じくらいに恐怖だった。
いい子で居なきゃきっともう一緒にはいられなくなる。
自分が笑うと嬉しそうに笑い返してくれる優しい人達。もし龍斗達に嫌われたらどうすればいい。嫌われないように、しなきゃ。
それは、男が碧に植え付けた呪いとも言えるモノだった。
中学で輝璃や雪と仲良くなってからその考えはさらに悪化した。
嫌われないために。少しでも長く、一緒に居られるように。
小鳥遊 碧は、“いい子”であろうとする。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「ん……」
見覚えのない天井だ。起き上がりながら寝ぼける頭をなんとか回転させ、昨夜あったことを思い出す。
「…っ!!そうだ俺、確か刺されて……?」
だとしたら、何故まだ自分は生きているのだろう。
記憶が正しければ致命傷だったはずだ。確かに胸を刺された。背中から剣で貫かれたのだ。バッと服をめくり刺された部分を確認すると綺麗に塞がった傷跡だけが残っていた。
「あ、起きたっすか?」
理解が出来ず本当に塞がっているのか確かめるようにぺたぺたと傷を触っていると、ガチャリと音を立てて扉が開かれた。
部屋の中に入ってきたのは紅い瞳をもつ白銀の髪の青年だった。碧より少し歳上に見える青年はこちらをじっと観察するように見ていた。
「君、森の前に倒れてたんすよ。こいつがいなかったら危なかったっす」
そう言いながら少年が指をさした先にいたのはスヤスヤと寝息をたてる青年の髪と同じ白銀の色のオオカミだった。話の流れと状況から察するにどうやら目の前の青年とこの子が自分を助けてくれたらしい。
「そっか、後でお礼言わないとな…ところで、君達の名前を聞いてもいいかな?」
「その前にひとつ、確認したいことがあるんすけど。ーー君は帝国人っすか?」
青年の目が細められ雰囲気が冷たいものへと変わる。
それは、こちらを訝るような視線で。
「…昨日 帝国にはいた、けど帝国人ではないよ」
その瞳に見つめられて、碧は無意識に息を止めていたことに気づく。
気付かれないようゆっくりと深呼吸をして青年にここまで来た経緯を掻い摘んで説明した。胸の刺傷については話すかどうか少し迷ったが、青年の言葉通り“治した”のならもう見られてるということだ。隠しても仕方が無いし助けてくれた相手に隠し事をするのも気が引けた。
「…そうだったっんすか。大変だったのに、疑ってごめんっす…僕の名前はフィーっていって、そっちのオオカミは名前はないんで白狼とでも呼ぶといいっすよ」
驚いた様子を見せた後申し訳なさそうに謝り、柔らかい雰囲気に変わった青年に少しホッとしながら碧も自己紹介をする。
「俺は名前は碧。本当に助かったよ、ありがとう」
「いいってことっす。それでミドリくんはこれからどうするんすか?」
「どうするって?」
「怪我自体はもう治したから問題なく動けるっすよ。帝国に仕返しにでも行くっすか?」
「え…いや、それはしない、かな」
「なんでっすか?殺されかけたんすよね?ムカついたりしないんすか?」
「それは、そうだけど…でもそれはいい事じゃないから」
「ーーーーー」
「なんすか?…それを伝えればいいんすね?ん、了解っす。白狼が“好きなように動けばいいと思う”だそうっすよ」
不意にフィーの視線がいつの間にか起きていたらしいオオカミの方に向く。オオカミは鳴き声もあげていないというのにフィーはまるで話しているかのようにうんうんと何度か頷くと、碧にそう告げた。
不思議な状況についていけずに目を白黒させていると白狼の頭を撫でながらフィーがニコリと笑う。
「僕、白狼の言葉わかるんすよ。白狼って少しだけっすけど心を視る不思議な目を持ってて…だからたぶんミドリくんの事を視て心配してるんだと思うんすよ」
そう言われ白狼の方を見ると、紅い瞳がじぃっと碧のことを見ていた。
「ーーーーー」
「“だってもう大丈夫でしょう?”だそうっす」
その言葉はストン、と胸に落ちた。
「…うん。そう、だね」
本当は、ずっと前から分かっていた。
龍斗と奈那が碧のことを実の子の様に可愛がってくれていることも。
輝璃や雪だって、碧がいい子だから友達になった訳じゃない。
あの2人がただ純粋に碧の事を好いてくれていることも。
全部全部、知っていた。ただ怖かったのだ。
もう要らないと、あの人のような声で言われたら思うと恐ろしかった。碧にとって初めてできた温かな居場所で。失いたくないと、少しでも長く居たいとただそれだけを願って。
そんな事をする人達じゃないと、他でもない碧自身が1番知っていたはずだったのに。
力が抜けてゆるゆると床に座り込む碧に、白狼が擦り寄ってくる。
そのまま抱きしめると温かくて、安心して。嬉しいはずなのになんだか涙が止まらなくて、子供みたいに泣く碧を フィーも白狼も何も言わずに泣き止むまで待っていてくれた。
「ーーーー」
「“もう落ち着いた?”って言ってるっす」
「…ん。も、だいじょうぶ」
「…ミドリくん、僕らとここに住んだらいいっすよ。ここには僕と白狼しか居ないっすし」
「や、それは」
「ーーーー」
白狼が いいから!と言うようにペシペシと碧の腕を叩いてくる。
「ほら。白狼もこう言ってるっす」
「…うん、ありがとう」
碧が頷くと、フィーは満足そうに笑う。
「はいっす!あ、でもこれから一緒に暮らすならちゃんと自己紹介しないとっすね。名前はさっき言ったっすけどフィーっす。…種族は白銀狼っす。白銀の髪に紅い瞳はフェンリルの証なんすよ」
「フェンリル??」
「はいっす。僕らこれでも最強種って言われてたんすよ?」
えっへん、と誇らしげに胸を張るフィーの言葉に碧は違和感を感じる。
「言われてたって…」
不意に、それまで大人しく座っていた白狼が碧から離れていき扉から外に出ていった。
それを申し訳なさそうに見届けてからフィーは眉を下げて力なく笑う。
「…帝国に裏切られて僕ら以外の家族はみんな殺されちゃったんすよ。フェンリルと帝国は元々協定関係にあったんす。僕らフェンリルは帝国にある災厄の森から出ようとする魔物を倒して帝国を守り、帝国は僕らが森に住むことを許可する。災厄の森は人に危害を与える魔物が時々湧き出してくる森なんす。フェンリルにとっては害にすらならない相手で、その協定はお互いにとって都合がいいからとずっと前の代の王の時代に結ばれたんすけど…。十何年か前に先代の王が崩御して、今の王になってからいきなり帝国が森に攻めて来たんす。『フェンリルが帝国に戦争を仕掛けようとしているからその前に殺せ』…攻め込んできたヤツらはそう言ってたっす。集落に住むフェンリルに対して、あいつら帝国人はたったの十数人で攻めてきたんすよ?」
「フェンリルは本当に、帝国に仕掛けようとしてたの?」
「それは絶対にないっす。長はそんなことを考える人じゃない。あいつらは攻め込めれば理由は別になんだって良かったんすよ。あいつらはただ僕らの力を奪い取りたかっただけなんすから」
碧の疑問に、フィーは少しも迷うことなく首を横に振り、有り得ないと断言した。
「最強種って言われるくらいだからフェンリルはすごく強いんでしょう?それなのに、帝国はどうやって?」
「それは、」
それからの話は、聞いてるだけでも胸が苦しくなるものだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
フィーと白狼はその日、朝ごはんを食べている時に長から“今日はお客人が来るから、その間にいつもの薬草を取りに行ってきてくれ。終わったら迎えに行く“と言われた。
長とは言っても、フェンリルは一定の年齢から外見はあまり変わらなくなるので見た目は若いままなのだが。
普段誰も足を踏み入れないこんな森にまで尋ねてきて、長が「友人」ではなく、「客人」と呼ぶのは帝国の人達だけだった。
前にそいつらが来た時は話が長いし難しくて、フェンリルの中ではまだ幼いフィーや白狼にとっては物凄くつまらないものだった。
長はそれに気づいていて、“お客人が来てる間外で遊んでおいで”と暗にそう言っているのだ。
フィーはその長の優しさに元気よく返事をして集落を出た。
薬草が植えてある場所につき、薬草を取っては白狼の咥えている籠に入れていく。そう言えばおばばの薬に使う薬草も無くなりそうだったことを思い出し、いつもより多めにとって帰ろう、と薬草をプチプチ引っこ抜きながら考える。
1箇所から採りすぎると今後の収穫に影響がでてくるので少しずつ移動しながら薬草を採っていく内に、気づけば時間が経って辺りはもう暗くなり始めていて、集落からもかなり離れたところまで来てしまっていた。
薬草取りに飽きて近くで遊んでいた白狼を呼び戻し、そろそろ帰ろうと声をかける。
2人で集落に向かいながら今日のご飯は何かと話したり、薬草いっぱい採ったからきっとみんな褒めてくれるかも、と笑いながら話していると、いつの間にかもうすぐ集落が見えてくる場所まで進んでいた。
ーーその時フィーは、あれ?と違和感を感じた。
…そういえば長は終わったら迎えに行くと、そう言ってたのにこなかった。今までにも何度か帝国の人たちが訪ねてきた事があったがこんなに時間がかかったことは無かったのに。
それにいつもなら暗くなって帰ってこないと心配して2人を迎えに来てくれるおばばも兄達も、迎えにこなかった。
なにか、様子がおかしいと思ったフィーは白狼に安全な場所で待つように言い聞かせて1人で集落に向かった。
「ーーーーえ?」
辿り着いた先は、狂ってしまいそうな程の血の匂いがしていた。
そこでフィーが見たものは目を抉り取られ、四肢を切り落とされ血の気の失せた仲間達の、家族の亡骸だった。
つい数時間前に、自分達に行ってらっしゃいと笑って送り出した家族が、捨て置かれるように積み上げられていた。
あまりにも凄惨な光景に、脳が理解する事を拒んでいるかのようだった。
「……な、んで」
いつもフィーと白狼の事を可愛がって笑顔を絶やした所を見たことがないマーシャも。料理上手でいつも皆から頼られて姐さん気質なサフィも。優柔不断で泣き虫で、でも場を和ませるのが上手いリヤンも。心配性で過保護なユミルも。力仕事が得意で細かい作業はからっきしなダンも。魔法が得意で狩の腕が1番だったヴァルも。いつも気づくと狩りをサボって木の上で寝て怒られてたカナンも。料理が驚く程に下手でいつもこっそり厨房に忍び込んでは爆発をおこしてサフィに説教をくらってたニーナも。面倒見が良くて、いつも自分達と遊んでくれていたエドも。
ーーみんなみんな、足りない。足りないのだ。あったはずのものが、なければいけないものがない。男には四肢が、女には手が、腕が。積み上げられる亡骸には瞳が。血が。足りない。足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りていない。
壊れた人形のように呆然と佇むフィーの耳に今にも消え入りそうな、小さな呻き声が聞こえた。
我に返り動き出し、たどり着いた場所に居たのは1番損傷の酷い血塗れになった長だった。
長だけはまだ息がある。まだ、間に合うかもしれない。真っ青になって急いで治癒魔法をかけようと駆け寄ったフィーの手を掴み長は何処か安堵した様な表情を浮かべて、“はくろうと、逃げろ…”と、それだけ言い残して、死んだ。フィーをおいて、逝ってしまった。
頭が真っ白になった。生きてさえいてくれれば、治せるのに。
しんでしまったら、もうなおせない。
ーーそこで狂えていたら、どれ程楽だっただろう。
もしも遺されたのがフィー1人だったら、何も考えずにこの激情に任せて動いていたかもしれない。でもフィーにはまだ白狼が居る。
言いつけを守りフィーが迎えに来るのを待っている、たった1人の妹をおいていけない。
「…白狼は、必ず。だから安心してーー父さん」
ずっと遠くの方から誰かがこちらに向かって近づいてくる気配がして、抱いていた長の身体をゆっくりと下ろした。
こちらに向かってくる“誰か”は目の前のこの惨状をつくりだした奴らな事は間違いない。
気づかれる前にこの場から離れようとして、立ち止まる。
こちらに向かう気配が辿り着くまではまだ距離があった。
それなら、だれにやられたのか…せめて、それだけでも。
フィーの持つ、“森の守護者”なら動物や植物の見た記憶や知識を視ることができる。森の中で起こったことなら植物たちの記憶から視れる。
それを使えば自分たちがいなくなってから仲間に何が起こったのかがわかる。
フィーが“その眼“で見たものは、地獄だった。
ーーー暗い場所が、嫌いだ。
理由は、幼少期に暗い場所に閉じ込められたから。
今でも、暗い場所に1人で居ると体が強ばって動けなくなる。
身体中痛くて、暗くて、怖くて。
出して、と泣く碧にきまってあの人は言う。
「お前が言うこと聞けるいい子になったら出してやる」
それを聞いた碧は、自分がいい子じゃないからこんな目にあうんだと、幼いながらにそう思った。
だってこの人が来るまでは、母とふたりで暮らしてた時はそんなことされた事がなかった。母に泣かれることはあったが急に叩かれるなんてことはなかった。…逆に何かを褒められたりすることも無かったが。
初めて会う男から怒鳴られた恐怖心と叩かれた痛みが癒える間もなく、その人は同じ家で暮らすことになっていた。
その態度が、その目が気に入らないと何度も癇癪を起こすように怒られていくうちに、碧は少しの変化も見逃さない様にあの人の声をよく聞くようになった。
少しでも怒らせないように、逆鱗に触れないように。蹴られたりしないように。
ーーー痛いのも怖いのも、もう嫌だったから。
碧が泣くと愉しそうに笑っていた。痛がって少しでも大きな声を出すと機嫌が悪くなる。お酒を飲むと機嫌が良くなる。飲んだ後に話しかけるのはだめ。朝は機嫌が悪い。仕事で帰りが夜遅い時は部屋に呼ばれて叩かれた。その時は直ぐに行かないと、遅いと蹴られる。母は助けてはくれない。スーツを着た人が来た時に勝手にかおを出すとすごく怒られる。勝手に外に出たりしない。碧には目が合ってるかさえわからなかったけれど、かおを見ると怒った声になっていくことはわかっていた。だから自分からかおは見ないようにした。スーツの人の前に呼ばれた時だけは笑っていないと怒られる。お酒がなくなるとこわくなる。痛い、と声を上げるともっと酷くなる。静かにしないと。暗い場所も、泣かずに我慢して静かにしていたらいつもより少しだけ早く出してもらえた。碧がどれだけ叩かれても、母は怯えた顔で目を背けるだけだった。
母が、碧の事を見なくなったのはいつからだっただろうか。
何が原因なのかも、最後まで碧にはわからなかったけれど。
7歳になり、龍斗と奈那さんに引き取られるまでそんな生活が続いた。あの人はある事が理由で警察に捕まった。
手錠をかけられて警察に連れていかれる直前、「お前がいい子にしてたらこんなことにはならなかったのに」と、あの人はそう言っていた。
母はただ、虚ろな目をして涙を零していた。
知らない人に腕をひかれながら白い車にフラフラとした足取りで乗り込んでいく母から目を離せない碧を、龍斗と奈那さんは何度もごめんねと言って泣きながら抱きしめてくれた。
その時の記憶は曖昧だけど、雨が降っていて、酷く寒くて息苦しかった事は今でも覚えている。
それから龍斗達に引き取られた碧の生活は一変し、初めてのことだらけだった。
幼稚園にも行かず、まともに外に出たことすらほとんど記憶にない碧は小学校に行って初めて自分と同い年の子供がたくさんいることを知った。
通い始めてすぐは本当に大変だった。
何せ今まで、一度にこんなに声を覚えなければいけない機会もなかった。子供特有の高い声は少し覚えづらかったが記憶力はいい方だった事と、龍斗達と過ごしていくうちに段々と“わかる”ようになった事ですんなりと覚えられるようになった。
碧にとって、学校は本当に良い参考だった。
今までは何が良くて何が悪いのかはあの人が怒るまでは分からなかったが、今はこんなに目の前に沢山のお手本がいる。
怒られた子がいればそれをしないように心に留め、褒められてる子を見ればそれを真似した。
少しズレた時期の転校だったから珍しがられたが幸いに人見知りはあまりしない方だったのらしく友達はすぐに出来た。碧が小学校を卒業する頃にはたくさんの友達に囲まれ、大人達からはいい子だね、と褒められる子になっていた。
いつも笑顔でいよう。どんなに悲しくても腹が立っても、笑って許せる人になろう。
優しい人は、そう出来るのだから。周りもそれを良しとするのだから。
ーーきっと、それがいいことなのだ。
龍斗も奈那も碧を可愛がって大切にしてくれた。
龍斗は休みの日には必ず一緒に遊んでくれたし、奈那さんと一緒にご飯を龍斗に作ったりもした。
その時出した料理は所々焦げていたり野菜の形が歪だったけど、龍斗はそれはもう美味しそうに食べてくれて。こっちが照れてしまうほどたくさん褒めてくれた。
そんな生活が本当に楽しくて、幸せだと思った。
ただ、それと同じくらいに恐怖だった。
いい子で居なきゃきっともう一緒にはいられなくなる。
自分が笑うと嬉しそうに笑い返してくれる優しい人達。もし龍斗達に嫌われたらどうすればいい。嫌われないように、しなきゃ。
それは、男が碧に植え付けた呪いとも言えるモノだった。
中学で輝璃や雪と仲良くなってからその考えはさらに悪化した。
嫌われないために。少しでも長く、一緒に居られるように。
小鳥遊 碧は、“いい子”であろうとする。
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「ん……」
見覚えのない天井だ。起き上がりながら寝ぼける頭をなんとか回転させ、昨夜あったことを思い出す。
「…っ!!そうだ俺、確か刺されて……?」
だとしたら、何故まだ自分は生きているのだろう。
記憶が正しければ致命傷だったはずだ。確かに胸を刺された。背中から剣で貫かれたのだ。バッと服をめくり刺された部分を確認すると綺麗に塞がった傷跡だけが残っていた。
「あ、起きたっすか?」
理解が出来ず本当に塞がっているのか確かめるようにぺたぺたと傷を触っていると、ガチャリと音を立てて扉が開かれた。
部屋の中に入ってきたのは紅い瞳をもつ白銀の髪の青年だった。碧より少し歳上に見える青年はこちらをじっと観察するように見ていた。
「君、森の前に倒れてたんすよ。こいつがいなかったら危なかったっす」
そう言いながら少年が指をさした先にいたのはスヤスヤと寝息をたてる青年の髪と同じ白銀の色のオオカミだった。話の流れと状況から察するにどうやら目の前の青年とこの子が自分を助けてくれたらしい。
「そっか、後でお礼言わないとな…ところで、君達の名前を聞いてもいいかな?」
「その前にひとつ、確認したいことがあるんすけど。ーー君は帝国人っすか?」
青年の目が細められ雰囲気が冷たいものへと変わる。
それは、こちらを訝るような視線で。
「…昨日 帝国にはいた、けど帝国人ではないよ」
その瞳に見つめられて、碧は無意識に息を止めていたことに気づく。
気付かれないようゆっくりと深呼吸をして青年にここまで来た経緯を掻い摘んで説明した。胸の刺傷については話すかどうか少し迷ったが、青年の言葉通り“治した”のならもう見られてるということだ。隠しても仕方が無いし助けてくれた相手に隠し事をするのも気が引けた。
「…そうだったっんすか。大変だったのに、疑ってごめんっす…僕の名前はフィーっていって、そっちのオオカミは名前はないんで白狼とでも呼ぶといいっすよ」
驚いた様子を見せた後申し訳なさそうに謝り、柔らかい雰囲気に変わった青年に少しホッとしながら碧も自己紹介をする。
「俺は名前は碧。本当に助かったよ、ありがとう」
「いいってことっす。それでミドリくんはこれからどうするんすか?」
「どうするって?」
「怪我自体はもう治したから問題なく動けるっすよ。帝国に仕返しにでも行くっすか?」
「え…いや、それはしない、かな」
「なんでっすか?殺されかけたんすよね?ムカついたりしないんすか?」
「それは、そうだけど…でもそれはいい事じゃないから」
「ーーーーー」
「なんすか?…それを伝えればいいんすね?ん、了解っす。白狼が“好きなように動けばいいと思う”だそうっすよ」
不意にフィーの視線がいつの間にか起きていたらしいオオカミの方に向く。オオカミは鳴き声もあげていないというのにフィーはまるで話しているかのようにうんうんと何度か頷くと、碧にそう告げた。
不思議な状況についていけずに目を白黒させていると白狼の頭を撫でながらフィーがニコリと笑う。
「僕、白狼の言葉わかるんすよ。白狼って少しだけっすけど心を視る不思議な目を持ってて…だからたぶんミドリくんの事を視て心配してるんだと思うんすよ」
そう言われ白狼の方を見ると、紅い瞳がじぃっと碧のことを見ていた。
「ーーーーー」
「“だってもう大丈夫でしょう?”だそうっす」
その言葉はストン、と胸に落ちた。
「…うん。そう、だね」
本当は、ずっと前から分かっていた。
龍斗と奈那が碧のことを実の子の様に可愛がってくれていることも。
輝璃や雪だって、碧がいい子だから友達になった訳じゃない。
あの2人がただ純粋に碧の事を好いてくれていることも。
全部全部、知っていた。ただ怖かったのだ。
もう要らないと、あの人のような声で言われたら思うと恐ろしかった。碧にとって初めてできた温かな居場所で。失いたくないと、少しでも長く居たいとただそれだけを願って。
そんな事をする人達じゃないと、他でもない碧自身が1番知っていたはずだったのに。
力が抜けてゆるゆると床に座り込む碧に、白狼が擦り寄ってくる。
そのまま抱きしめると温かくて、安心して。嬉しいはずなのになんだか涙が止まらなくて、子供みたいに泣く碧を フィーも白狼も何も言わずに泣き止むまで待っていてくれた。
「ーーーー」
「“もう落ち着いた?”って言ってるっす」
「…ん。も、だいじょうぶ」
「…ミドリくん、僕らとここに住んだらいいっすよ。ここには僕と白狼しか居ないっすし」
「や、それは」
「ーーーー」
白狼が いいから!と言うようにペシペシと碧の腕を叩いてくる。
「ほら。白狼もこう言ってるっす」
「…うん、ありがとう」
碧が頷くと、フィーは満足そうに笑う。
「はいっす!あ、でもこれから一緒に暮らすならちゃんと自己紹介しないとっすね。名前はさっき言ったっすけどフィーっす。…種族は白銀狼っす。白銀の髪に紅い瞳はフェンリルの証なんすよ」
「フェンリル??」
「はいっす。僕らこれでも最強種って言われてたんすよ?」
えっへん、と誇らしげに胸を張るフィーの言葉に碧は違和感を感じる。
「言われてたって…」
不意に、それまで大人しく座っていた白狼が碧から離れていき扉から外に出ていった。
それを申し訳なさそうに見届けてからフィーは眉を下げて力なく笑う。
「…帝国に裏切られて僕ら以外の家族はみんな殺されちゃったんすよ。フェンリルと帝国は元々協定関係にあったんす。僕らフェンリルは帝国にある災厄の森から出ようとする魔物を倒して帝国を守り、帝国は僕らが森に住むことを許可する。災厄の森は人に危害を与える魔物が時々湧き出してくる森なんす。フェンリルにとっては害にすらならない相手で、その協定はお互いにとって都合がいいからとずっと前の代の王の時代に結ばれたんすけど…。十何年か前に先代の王が崩御して、今の王になってからいきなり帝国が森に攻めて来たんす。『フェンリルが帝国に戦争を仕掛けようとしているからその前に殺せ』…攻め込んできたヤツらはそう言ってたっす。集落に住むフェンリルに対して、あいつら帝国人はたったの十数人で攻めてきたんすよ?」
「フェンリルは本当に、帝国に仕掛けようとしてたの?」
「それは絶対にないっす。長はそんなことを考える人じゃない。あいつらは攻め込めれば理由は別になんだって良かったんすよ。あいつらはただ僕らの力を奪い取りたかっただけなんすから」
碧の疑問に、フィーは少しも迷うことなく首を横に振り、有り得ないと断言した。
「最強種って言われるくらいだからフェンリルはすごく強いんでしょう?それなのに、帝国はどうやって?」
「それは、」
それからの話は、聞いてるだけでも胸が苦しくなるものだった。
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フィーと白狼はその日、朝ごはんを食べている時に長から“今日はお客人が来るから、その間にいつもの薬草を取りに行ってきてくれ。終わったら迎えに行く“と言われた。
長とは言っても、フェンリルは一定の年齢から外見はあまり変わらなくなるので見た目は若いままなのだが。
普段誰も足を踏み入れないこんな森にまで尋ねてきて、長が「友人」ではなく、「客人」と呼ぶのは帝国の人達だけだった。
前にそいつらが来た時は話が長いし難しくて、フェンリルの中ではまだ幼いフィーや白狼にとっては物凄くつまらないものだった。
長はそれに気づいていて、“お客人が来てる間外で遊んでおいで”と暗にそう言っているのだ。
フィーはその長の優しさに元気よく返事をして集落を出た。
薬草が植えてある場所につき、薬草を取っては白狼の咥えている籠に入れていく。そう言えばおばばの薬に使う薬草も無くなりそうだったことを思い出し、いつもより多めにとって帰ろう、と薬草をプチプチ引っこ抜きながら考える。
1箇所から採りすぎると今後の収穫に影響がでてくるので少しずつ移動しながら薬草を採っていく内に、気づけば時間が経って辺りはもう暗くなり始めていて、集落からもかなり離れたところまで来てしまっていた。
薬草取りに飽きて近くで遊んでいた白狼を呼び戻し、そろそろ帰ろうと声をかける。
2人で集落に向かいながら今日のご飯は何かと話したり、薬草いっぱい採ったからきっとみんな褒めてくれるかも、と笑いながら話していると、いつの間にかもうすぐ集落が見えてくる場所まで進んでいた。
ーーその時フィーは、あれ?と違和感を感じた。
…そういえば長は終わったら迎えに行くと、そう言ってたのにこなかった。今までにも何度か帝国の人たちが訪ねてきた事があったがこんなに時間がかかったことは無かったのに。
それにいつもなら暗くなって帰ってこないと心配して2人を迎えに来てくれるおばばも兄達も、迎えにこなかった。
なにか、様子がおかしいと思ったフィーは白狼に安全な場所で待つように言い聞かせて1人で集落に向かった。
「ーーーーえ?」
辿り着いた先は、狂ってしまいそうな程の血の匂いがしていた。
そこでフィーが見たものは目を抉り取られ、四肢を切り落とされ血の気の失せた仲間達の、家族の亡骸だった。
つい数時間前に、自分達に行ってらっしゃいと笑って送り出した家族が、捨て置かれるように積み上げられていた。
あまりにも凄惨な光景に、脳が理解する事を拒んでいるかのようだった。
「……な、んで」
いつもフィーと白狼の事を可愛がって笑顔を絶やした所を見たことがないマーシャも。料理上手でいつも皆から頼られて姐さん気質なサフィも。優柔不断で泣き虫で、でも場を和ませるのが上手いリヤンも。心配性で過保護なユミルも。力仕事が得意で細かい作業はからっきしなダンも。魔法が得意で狩の腕が1番だったヴァルも。いつも気づくと狩りをサボって木の上で寝て怒られてたカナンも。料理が驚く程に下手でいつもこっそり厨房に忍び込んでは爆発をおこしてサフィに説教をくらってたニーナも。面倒見が良くて、いつも自分達と遊んでくれていたエドも。
ーーみんなみんな、足りない。足りないのだ。あったはずのものが、なければいけないものがない。男には四肢が、女には手が、腕が。積み上げられる亡骸には瞳が。血が。足りない。足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りていない。
壊れた人形のように呆然と佇むフィーの耳に今にも消え入りそうな、小さな呻き声が聞こえた。
我に返り動き出し、たどり着いた場所に居たのは1番損傷の酷い血塗れになった長だった。
長だけはまだ息がある。まだ、間に合うかもしれない。真っ青になって急いで治癒魔法をかけようと駆け寄ったフィーの手を掴み長は何処か安堵した様な表情を浮かべて、“はくろうと、逃げろ…”と、それだけ言い残して、死んだ。フィーをおいて、逝ってしまった。
頭が真っ白になった。生きてさえいてくれれば、治せるのに。
しんでしまったら、もうなおせない。
ーーそこで狂えていたら、どれ程楽だっただろう。
もしも遺されたのがフィー1人だったら、何も考えずにこの激情に任せて動いていたかもしれない。でもフィーにはまだ白狼が居る。
言いつけを守りフィーが迎えに来るのを待っている、たった1人の妹をおいていけない。
「…白狼は、必ず。だから安心してーー父さん」
ずっと遠くの方から誰かがこちらに向かって近づいてくる気配がして、抱いていた長の身体をゆっくりと下ろした。
こちらに向かってくる“誰か”は目の前のこの惨状をつくりだした奴らな事は間違いない。
気づかれる前にこの場から離れようとして、立ち止まる。
こちらに向かう気配が辿り着くまではまだ距離があった。
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