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第2章~盗賊~
第15話 待ち伏せ~定石だねー~
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ロディキウムの街を出発してから3日がたった。ガルシアさんの言によれば今のところ旅は順調にすすんでいるらしい。門兵さんの言っていた盗賊が現われる気配もなし、身体強化魔法をかけながらの歩きにもずいぶんと慣れてきた。しかし、そんな日々に私は退屈さを感じていた。
「盗賊の奴ら襲ってきませんねぇ」
私が隣を歩くガルシアさんに言う。
「なんだ、盗賊が襲ってきて欲しいような言いぐさだな」
「別にそこまでは言ってませんけど、退屈なのは確かですね」
「はは、最初の頃は歩き通しで疲れただの、野営はまだかだの文句ばかりたれていたいたのに、ずいぶんと成長したものだ」
「そりゃ丸3日も身体強化魔法をかけ続ければコツも掴めますって」
「お前は気付いていないから言うが、そのコツとやらを掴めるようになるまで何年もかかる奴だっているんだぞ」
「え、それってつまり――」
「それだけお前に魔法の才があるということさ」
なんと、私に魔法の才能があるとは、このままいくと私、将来は大魔導師か!?
私が将来の明るい展望にニヤニヤと妄想を膨らませていると、ガルシアさんが、
「何を想像しているのかは大体想像がつくが、その展望も日頃の努力無くしては成すこと等到底不可能だぞ」
と、ありがたい忠言をしてくれる。
「それはわかってますよ。千里の道も一歩から、雨垂れ石を穿つ、石の上にも三年、塵も積もれば山となる。そういう格言は多く遺されてますもんね」
「そういうことだ。――話は戻るが盗賊の件だがな、そろそろ出て来る頃合いかもしれんぞ」
「なぜそれがわかるのです」
「今私達がいる場所はな、最近最も盗賊被害の多い場所なんだ。なぜだかわかるか?」
言われて私は腕を組んで考える。うーんわからん!!
「わかりません!!」
「自信満々で言う言葉じゃないだろう。答えは簡単だここが人里から最も遠く離れた場所だからだ」
「なるほど救援や討伐隊が来るにしてもこれだけ離れていれば逃げるのも簡単ですもんね」
「そういうことだ」
「じゃああそこにいる団体さんは盗賊かもしれませんね」
「あそこ?すまん私には何も見えないが」
「今私身体強化魔法の割合を視力強化に多めにまわしているんですよ。だからガルシアさんも視力強化すれば見えると思いますよ」
「視力強化に多めって――ルナ、お前いつの間にそんな技術を覚えたんだ?」
「いや、ロディキウムの街での訓練の3日目にロバートさんが目の部分強化が出来るって言っていたんですよ、だからちょっとやってみようかなって思ってやってみたら――」
「できてしまったと――何というかお前はつくづく呆れたやつというかなんというか」
「それよりもガルシアさん、あそこの団体さんに注意を払わなくて良いのですか」
「ああ、そうだったな」
言われてガルシアさんは、身体魔法強化の魔法を発動させ私の指差す方を見る。
「かなりの人数がいるな」
「20人以上いるんじゃないですか、それに風貌も前に遇った盗賊たちとよく似ています」
「十中八九盗賊だろうな。やつら、やはりここで我々を襲うつもりだったか」
「どうします?迂回しますか?」
「いや、問題ないこのまま進むぞ」
「このままってロレーヌの安全はちゃんと守れるのですか?」
「我々をなんのための護衛隊だと思ってる。この程度の障害で姫の安全を脅かすことはない。お前は安心して姫と一緒に馬車の中にいればいい」
大した自信だこと、私を一姫と勘違いした時の狼狽えようとは全然違う。こんな人たちをあんなに狼狽えさせるとは、姉よ本当に何をしでかしたのだ。
「わかりました。それじゃあ私は馬車の中に入ってロレーヌにこのことを伝えておきますね」
「ああ、そうしてくれ」
言われて私は馬車の中に入る。するとロレーヌが不思議そうな顔をする。
「ルナ、次の街までまだずいぶんとありますがどうかしたのですか?」
「いや、ちょっと緊急事態でね」
「緊急事態、ですか」
「そう、また盗賊が襲ってきそうなんだ」
「盗賊が!?」
ロレーヌがその顔に不安の色を浮かべる。
「大丈夫、ガルシアさんが自信満々に問題ないって言ってたから」
「でも」
ロレーヌの手が震えている。それもそうだ、もしものことを考えれば誰だってそうなる。私はそんなロレーヌの手を優しく握る。
「大丈夫、いざって時は私が絶対に守ってあげるから」
私は努めて笑顔で明るく振舞う。私は見習いとはいえロレーヌの身辺警護員なのだ。ロレーヌの安全第一その中にはロレーヌの精神を安心させることも含まれる。
「ルナ……」
私たちがそうしていると馬車が停車する。どうやら盗賊たちの待ち伏せ場所に到着したみたいだ。私はこっそりと馬車の車窓から外の様子を窺う。やっぱり20人以上はいる。本当にガルシアさんたちだけでこれだけの数の盗賊を倒せるのか?しかし、今はガルシアさんたちを信じるしか他はない。そんな時だった。
「カズキ・フタバ出てこい!!」
盗賊たちが一姫の名前を呼ぶ。最初の日に私の顔を見ただけで一姫と勘違いして逃げ出した盗賊たちとは思えない発言だ。しかし、盗賊たちの次の発言に私は心臓を跳ねさせた。
「それともこう呼んだ方が良いか?双葉・二姫ってな!!」
「盗賊の奴ら襲ってきませんねぇ」
私が隣を歩くガルシアさんに言う。
「なんだ、盗賊が襲ってきて欲しいような言いぐさだな」
「別にそこまでは言ってませんけど、退屈なのは確かですね」
「はは、最初の頃は歩き通しで疲れただの、野営はまだかだの文句ばかりたれていたいたのに、ずいぶんと成長したものだ」
「そりゃ丸3日も身体強化魔法をかけ続ければコツも掴めますって」
「お前は気付いていないから言うが、そのコツとやらを掴めるようになるまで何年もかかる奴だっているんだぞ」
「え、それってつまり――」
「それだけお前に魔法の才があるということさ」
なんと、私に魔法の才能があるとは、このままいくと私、将来は大魔導師か!?
私が将来の明るい展望にニヤニヤと妄想を膨らませていると、ガルシアさんが、
「何を想像しているのかは大体想像がつくが、その展望も日頃の努力無くしては成すこと等到底不可能だぞ」
と、ありがたい忠言をしてくれる。
「それはわかってますよ。千里の道も一歩から、雨垂れ石を穿つ、石の上にも三年、塵も積もれば山となる。そういう格言は多く遺されてますもんね」
「そういうことだ。――話は戻るが盗賊の件だがな、そろそろ出て来る頃合いかもしれんぞ」
「なぜそれがわかるのです」
「今私達がいる場所はな、最近最も盗賊被害の多い場所なんだ。なぜだかわかるか?」
言われて私は腕を組んで考える。うーんわからん!!
「わかりません!!」
「自信満々で言う言葉じゃないだろう。答えは簡単だここが人里から最も遠く離れた場所だからだ」
「なるほど救援や討伐隊が来るにしてもこれだけ離れていれば逃げるのも簡単ですもんね」
「そういうことだ」
「じゃああそこにいる団体さんは盗賊かもしれませんね」
「あそこ?すまん私には何も見えないが」
「今私身体強化魔法の割合を視力強化に多めにまわしているんですよ。だからガルシアさんも視力強化すれば見えると思いますよ」
「視力強化に多めって――ルナ、お前いつの間にそんな技術を覚えたんだ?」
「いや、ロディキウムの街での訓練の3日目にロバートさんが目の部分強化が出来るって言っていたんですよ、だからちょっとやってみようかなって思ってやってみたら――」
「できてしまったと――何というかお前はつくづく呆れたやつというかなんというか」
「それよりもガルシアさん、あそこの団体さんに注意を払わなくて良いのですか」
「ああ、そうだったな」
言われてガルシアさんは、身体魔法強化の魔法を発動させ私の指差す方を見る。
「かなりの人数がいるな」
「20人以上いるんじゃないですか、それに風貌も前に遇った盗賊たちとよく似ています」
「十中八九盗賊だろうな。やつら、やはりここで我々を襲うつもりだったか」
「どうします?迂回しますか?」
「いや、問題ないこのまま進むぞ」
「このままってロレーヌの安全はちゃんと守れるのですか?」
「我々をなんのための護衛隊だと思ってる。この程度の障害で姫の安全を脅かすことはない。お前は安心して姫と一緒に馬車の中にいればいい」
大した自信だこと、私を一姫と勘違いした時の狼狽えようとは全然違う。こんな人たちをあんなに狼狽えさせるとは、姉よ本当に何をしでかしたのだ。
「わかりました。それじゃあ私は馬車の中に入ってロレーヌにこのことを伝えておきますね」
「ああ、そうしてくれ」
言われて私は馬車の中に入る。するとロレーヌが不思議そうな顔をする。
「ルナ、次の街までまだずいぶんとありますがどうかしたのですか?」
「いや、ちょっと緊急事態でね」
「緊急事態、ですか」
「そう、また盗賊が襲ってきそうなんだ」
「盗賊が!?」
ロレーヌがその顔に不安の色を浮かべる。
「大丈夫、ガルシアさんが自信満々に問題ないって言ってたから」
「でも」
ロレーヌの手が震えている。それもそうだ、もしものことを考えれば誰だってそうなる。私はそんなロレーヌの手を優しく握る。
「大丈夫、いざって時は私が絶対に守ってあげるから」
私は努めて笑顔で明るく振舞う。私は見習いとはいえロレーヌの身辺警護員なのだ。ロレーヌの安全第一その中にはロレーヌの精神を安心させることも含まれる。
「ルナ……」
私たちがそうしていると馬車が停車する。どうやら盗賊たちの待ち伏せ場所に到着したみたいだ。私はこっそりと馬車の車窓から外の様子を窺う。やっぱり20人以上はいる。本当にガルシアさんたちだけでこれだけの数の盗賊を倒せるのか?しかし、今はガルシアさんたちを信じるしか他はない。そんな時だった。
「カズキ・フタバ出てこい!!」
盗賊たちが一姫の名前を呼ぶ。最初の日に私の顔を見ただけで一姫と勘違いして逃げ出した盗賊たちとは思えない発言だ。しかし、盗賊たちの次の発言に私は心臓を跳ねさせた。
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