トガビト_ワールドクリエイション

ウツロうつつ

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第8章~アリア・エクノルエ~

第49話 御使い2――主の(本人未承認)

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 バロルの言葉を聞いたカルロスとメノアは顔を見合わせて喜ぶ。

「すごい!!すごいぞ!!我が家から御使いが生まれるなんて!!これこそ奇跡、いや、主の祝福だ!!」

 喜びのあまりアリアを抱き寄せ、グルグルとその場を回るカルロス。アリアもアリアで意味がわかっていないのにも関わらず、楽しそうにはキャッキャッとしゃいでいる。
 ひとしきり喜んだカルロスはアリアを床に下ろすと、メノアの方に向き直り口を開いた。

「早速宴の準備をしないとな!!何せ主の御使いが我が家に生まれたのだから。そうだ!!この良き日を領民も呼んで盛大に祝おうじゃないか!!バロル卿もご参加くださるのですよね?」

「私もご一緒してよろしいのですか?」

「聖王陛下に仕える高名な御使いであるバロル卿にご参加いただければ、娘にも箔がつくというもの。是が非でもお願いしたいところです」

「そこまで言っていただけるのなら、このバロル喜んで出席させてもらいます」

 カルロスの急な誘いにも笑顔で快諾するバロル。

「それはありがたい――こうしてはいられない。私は早速宴の準備に取りかかりますのでバロル卿は準備が出来るまでごゆるりとうちに滞在していてください」

 そう言ってカルロスは応接室から退席し、宴の準備にとりかかった。

―――管理者部屋

「レイ君、アリアたんの何がすごかったのか私わからなかったんだけど」

 リンネが話の流れがいまいち理解できずにレイに訊く。

「忘れたのですかリンネ。僕が昔マナ生命体たちにお願いしたこと。あとたんは止めてくださいと行ったはずです」

「それは覚えてるよ。あの頃は酷かったよねぇ、人類が何故かマナ生命体たちを精霊だと神だとか言ってあがめるようになっちゃって、調子に乗った『混沌カオス』の奴らが自称神を名乗りだしてさ、各地で自称神同士の人類を巻き込んだ戦いが始まっちゃったり、徒党を組んだり……それでレイ君がキレちゃってマナ生命体全員に人類への接触禁止令を出したんだよね」

 懐かしむようにリンネが言うと、レイが、

です。それに人類への接触を完全に禁止したわけではありません。だからあのバロルという人物のようにマナ生命体を対等な存在として見ている人間もいるのです。まあ、多くのマナ生命体たちのが人類から見つからないように隠れているのも事実ですが」

「だけとアリアたんはその隠れているマナ生命体が見えているみたいだったけど」

「それだけアリアのマナ感知能力が優れているということでしょう。さすが『検索』の権能に選ばれるだけの人材です。並みの人間とは違いますね」

 アリアの類稀たぐいまれな才能を自分のことのように喜ぶレイ。

「ああ、だから皆あんなに驚いたり、喜んだりしたんだね」

「まあ、そういうことです。御使い云々については僕は知らなかったですが」
 
 レイが苦笑いをしながらそう言うと

「主の御使い(主未承認)ってか」

 リンネが嘲るように嗤う。が、すぐに物憂げな表情に変わり「でもさ」と前置き、

「これでアリアたんは御使いとして国から保護かそれに近い扱いを受けることになるわけじゃん」

そう言う。

「まあ、そうなると思います」

「それってつまり、当たり前の幸せから遠ざけられることになるわけだ」

「それが不憫でならないと」

「そこまでは言わないけど……幸せの形が一つ失くなる
ことになるんじゃないかなって思ってさ」

「――それは僕の考え方とは違いますね」

「そう?」

「はい、僕にとって幸せとはリンネの言う、決まった状態や環境に自分がいることを指しているのではなく。自分のおかれた状態や環境の中に隠れている幸せを見つけるものだと思うのです」

「ふむふむ」

「人間というのは社会という群れを作る性質上、必ずしも己の願望通りの環境や状態でいられるものではありません。だからリンネの言うように幸せの形を決めてしまっては、場合によっては一生幸せを感じることなく人生を終えてしまうことになりかねません」

「確かにね」

「だからこそ人間は、自ら進んで自身にとっての幸せを探し、見つける必要があるのです。それこそアリアにとって御使いでいることが必ずしも幸せであると限らず、最悪不幸であると感じてしまうこともありえます。だから僕はアリアには今現在の立場で、何が幸せかを考えられる人間になって欲しいと思うのです。まあ、一番ベストな幸せはリンネの言うような、望んだ幸せを望んだ形で得ることなんですけどね」

 最後に元も子もないことを言い、苦笑いを浮かべるレイであったがリンネは、

「なるほどね。なんかレイ君らしい考え方だね」

 言ってレイに笑顔を見せる。レイは自身が思った以上に熱く語っていたことに気が付いたのか、うっすらと頬を赤く染めていた。
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