トガビト_ワールドクリエイション

ウツロうつつ

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第10章~モンスターパレード~

第74話 百鬼行進4――マーチとパレードで迷ったけどマーチだと軍隊っぽいかなって(私的見解)

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「メルリリス!一体何を――」

「レー君は黙ってて」

 レイがメルリリスの行動を咎めようとすると、メルリリスは被せ気味にレイを黙らせる。そしてメルリリスは強い目で睨むようにアリアのことを見る。するとアリアはビクリと体を跳ねさせた。
 すると、メルリリスさ深く深呼吸し、

「戦士の心得!!」

 と大声で唱和し始める。

「一つ!!死に慣れよ、敵の死、味方の死、そして自身の死、それらは全て等しき死である。戦場において死とは常に隣に在るもの。強く意識した者から死に呑まれ死んでゆく。故に死に慣れ当然のものと考えよ。なれば自ずと死は隣に在るだけのモノとなる。」

 メルリリスはそこまで一気に言うと、

「これが戦士の心得一条の詳細ね。どうアリアちゃん貴女は今死をどう捉えていたのかな?デュオスの死は確かに悲しいよ。何せ肉親だものね。だけどね、ここは戦場なの。死がその辺りに転がっている場所なの。そんな場所で貴女は無防備に肉親の死に捕らわれて自身を危険にさらしてしまった……それに後一つ、私が絶対にするなって言ったこと、しちゃったよね」

 メルリリスは厳しく、優しさをもって、真剣にアリアに反省を促す。すると先程まで子供のように泣きじゃくっていたアリアの目に力が戻り、メルリリスの目を真っ直ぐと見つめ返していた。

「敵中に単身で乗り込みました」

「その通り、本当はここでお説教といきたいところだけど今はその時じゃない。当然デュオスの死を悼むこともね」

 言われてアリアはハッとし、メルリリスは優しく微笑みを浮かべた。

「準備はできた?」

「はい」

「死は」

「常に隣に在ります」

「よし!行ってこい、弟子一号!!」

「はい!!」

 言ってアリアはメルリリスとレイに深々と一礼し、その場を離れた。そして残されたレイはメルリリスに言う。

「すみませんメルリリス。僕ではアリアに何もしてあげられませんでした」

 そう言って自身の行動を反省する。

「ま、レー君は戦場のシロートだからね。ああいう時は慰めるより発破かけたほうが良いんだよ。それよりもレー君はこれからどうするつもり?」

 メルリリスが率直にエクノルエに手を貸すのか否か訊く。するとレイは何か吹っ切れたように言う

「開き直ろうかな、と」

「管理者としての在り方はどうするの?」

「これもまた在り方の一つでしょう?」

「わーるいんだ」

 メルリリスがニヤリと笑いながら言う


「メルリリスは反対ですか?」

「何?レー君は私に反対して欲しかったの?」

「いえ、別にそう言うわけではないのですが」

 レイの頭にガヘリスの顔がよぎる。するとメルリリスが、

「レー君ったらもうガッちゃんのこと気にし始めてる。開き直ったんじゃないの?」

「そうなのですが、性分ですかね」

 と苦笑いを浮かべるレイ。

「私は別にレー君の在り方とかそう言うのはぶっちゃけどうでも良いし。レー君は真面目だから思ったことを思ったようにしても問題ないと思うよ」

「そうですか」

「そ、ホッとした?」
 
 ニッと笑うメルリリス。

「正直に言うと少し」

 レイはそう言うと、深呼吸をして「よし!」と意気込む。

「ここは一つ派手にヤろうと思います」

「ヤル気全開テンアゲマックスってやつ?」

「ヤル気全開テンアゲマックスです」

 言ってレイはアリアの元まで飛んで行く。

「アリア!!」

 レイはアリアのことを呼ぶと呼ばれたアリアが「主様」と返事をする。

「アリア、僕、決めました。貴女に――エクノルエの人々に力を貸そうと思います。だから安心して下さい。モンスターたちと山喰らいは僕が――」

「待ってください!!」

 アリアが言う。

「主様、他のモンスターたちはかまいません。だけど……山喰らいだけは――デュオスお兄様の仇だけは私に倒させて下さい」

「勝算はあるのですか?」

「あります!!」

 レイはアリアの目を見る。力のある目だそこに嘘はないだろう。

「わかりました。それでは僕は他のモンスターを倒しますので、アリアは山喰らいに専念して下さい」

「はい!!」

 言って二人は二手に分かれる。レイはアリアが山喰らいに専念出来るよう露払いをするため、戦場の上空まで上昇、そして戦場全体を睥睨する。

 目標となるモンスターは残り369体。レイはそれらのモンスターに対し、一つの魔法を発動させた。
 すると戦場にいた山喰らいを除いたすべてのモンスターが塩の像となる。
 これはケイオスの使用した浸蝕魔法をレイなりにアレンジした魔法なのだが、浸蝕魔法の弱点の一つである浸蝕速度の遅さを完全に克服し、恐ろしいまでの速度で浸蝕する魔法となっていた。
 因みになぜ塩になるのかとレイに問えば、それっぽいからという意味不明な回答が返ってくるであろう。

「さ、流石です主様」

 アリアはあっという間に塩の像となったモンスターたちを見て、レイの魔法に感心。そして、自身の気を引き締める
 目標は山喰らい。助走に必要な距離は十分、体力の損耗は大きいがそこは気合いと根性とデュオスへの思いでカバーする。ヤル気全開テンアゲマックス。
 そしてアリアは、

「はあああああ!!」

 魔力を全身に充填、体を限界まで強化し、身体を低くし、右手にディーバを構え、左手は地面を掴む。
 これで炸薬の準備は完了。後は弾頭の準備だ。アリアはイメージする。先端の尖った鋭利な防壁を、そしてそのイメージに魔力を通すと魔法が発動し、アリアの前に弾頭の形をした半透明の防壁が出現。これで準備は全て完了した。

 アリアは今なお迫り来る山喰らいを見る。そして思う。山喰らいはただエサを求めて移動しているだけなのだろうと、デュオスを踏み潰したことなど心にも留めていないのだろうと、しかし、しかしだ。そこに悪意があろうとなかろうとアリアには関係無い。アリアは大切な肉親を、兄を、殺されたのだ。

 アリアのディーバを握る手に力がこもる。主様はこの復讐について何も語らなかった。ただ好きにしろと言外に語ったのみ。きっと復讐に正しいも悪いもないのであろう。だが今はこの復讐心を力に変えて山喰らいを倒す!!

 その刹那、アリアは音の先を走り抜けた。

 それはアリアが最も得意とする。槍による突貫突進。その一撃は岩をも砕き、巨岩すら貫通する。
 その必殺の突貫は、山喰らいの頭めがけて放たれ、そして山喰らい頭に命中。する直前に何かに阻まれる。
 それは山喰らいの創り出した魔力による防壁。これがある故に山喰らいは災害指定モンスターとなっていると言わしめるほどの防御力を誇るまさに最強の盾。
 アリアによる最強の矛の一撃と山喰らいによる最強の盾による防御。この矛盾の結末は……

 アリアの矛と山喰らいの盾が激突する。優劣は五分いや、激突の段階では多少山喰らいに分があった。それにはアリアも手応えで気付いてはいた。いつものような気持ち良さがない。むしろなにかが引っ掛かり気持ちが悪い。そんなことはつまらない。私に貫けないものなど無いのだから……

「はあああああああ!!」

 アリアがディーバにありったけの魔力を込める。その理由はディーバは付与された魔法強化の特性にあった。アリアがディーバに魔力を込めれば込める程アリアの使用している魔法が強化される。
 その特性によって強化された魔法が山喰らいの防壁を徐々に貫いてゆく。
 これならイける。アリアはそう思うと口の端に笑みがこぼれでた。

 次の瞬間アリアはいつも以上の解放感を得る。そして山喰らいの頭から尾まで一直線のトンネルが出来上がった。
 当然、脳を破壊された山喰らいはその場に崩れるように倒れ息絶えた。
 この日以降アリアにはある二つ名がつけられる。
 その名は山穿ち。山喰らいを倒した者に相応しい名であった。
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