トガビト_ワールドクリエイション

ウツロうつつ

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第10章~モンスターパレード~

第76話 暗躍――久々の出番だよーい!!

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 黒衣の者たち――ドルヘル王国の工作部隊は、エクノルエ領に進行中のドルヘル王国進攻軍本隊へ合流するためひた進んでいた。それは報告のため、虎の子の作戦であった山喰らいを利用したエクノルエ領への進攻作戦が、まさか破られるとは思ってもおらず、

「一体何なんだいあの御使いたちは!!」

討伐不可能とされている山喰らいの単独討伐と、たった一度の魔法で300体以上のモンスターを倒した御使いの存在。その二人の御使いにより、ドルヘルの当初の予定であった。山喰らいによって甚大な被害を受けたエクノルエの奪取とそれ以降の聖王国王都への侵攻作戦が序盤も序盤のエクノルエで失敗。その上エクノルエ側には大した被害もなし。
 このままでは本隊が危険にさらされてしまう。そんなわけでドルヘルの工作員たちは作戦の失敗を侵攻軍に知らせるため、急いで侵攻軍との合流地点に向かっていた。が、

「ぐわ!」

 工作員の一人が突如飛来した矢により倒される。

「誰だい!!」

 工作員のリーダー格の者が誰何すいかする。すると、そこに姿を現したのはカルロスとその護衛たちであった。

「本隊へ報告されるのは少し困るからね、念のため網を張らせてもらっていたんだが、どうやら網を張って正解だったようだ」

「はん!!そんなに御使いの嬢ちゃんたちの情報を知られたくないみたいだね」

「知られたくないのはアリアよりも主のほうだがね」

「主だぁ!?そんなやつが本当にいるとでも思っているのかい?」

「口の聞き方に気を付けるのだな下郎、主は事実エクノルエに御降臨なされたのだ。それとも貴様、あの神の御業を見ていないのか?」

 言われてリーダー格の者が思い浮かべたのは、レイが浸蝕魔法を発動させ300体以上のモンスターを塩の像にした時のことだった。
 あれが本当に神の御業だとするのならば、主はエクノルエ側に立っているということになる。それならばこの戦争の勝ち目は薄い。なれば、

「何としてでも本隊に合流しないとだねぇ」

 言ってリーダー格の者は魔力を前身に充填させ臨戦態勢をとる。

「来るぞ!!」

 カルロスがそう言い臨戦態勢をとったその時であった。

『全員動くな』

 何処からともなくその声が聞こえ、その場にいた全員が
 すると、両者の間に見慣れた黒い球体が現れ、その球体はリンネの姿と形を変えた。

「いやー久しぶりに地球に降りると重力のせいか前身にくるものがあるね~」

 リンネはそう言いながら伸びをする。

「カルロスたちは突如現れたなぞの人物に驚き戸惑う」

「あれ?皆無反応?それとも無視?何てねしゃべっても良いよ『口を動かすことを許可する』」

 リンネのその言葉を切っ掛けにカルロスたちは口だけを動かせるようになる。すると、工作員のリーダー格の者が言う。

「あ、あんた何処から現れやがった。それに――くそ!体が動かせない」

 リーダー格の者の言葉を受けリンネはいつもの怪しい笑みを浮かべる。

「どこってそりゃあ勿論、管理者部屋さ、体に関してはもう少し我慢してもらえると助かるかな」

「管理者部屋?あんた、さっきから何を言ってるんだい?」

「まぁ、君たちは意味がわからないと思うけど――カルロス、君なら私の話しの意味がわかるはずだよ」

 言われたカルロスは一考の後、口を開いた。

「貴女が主の言われたことのあるリンネ様ですか?」

「様は要らないよ柄じゃない」

「ではリンネ殿と」

「殿も柄じゃないんだけどね、今は話しを進めたいからそれで手を打とう」

「それでリンネ殿は何用でこんなところまでこられたのですか?」

「う~ん、まぁ、ちょっと暗躍をしにね」

「暗躍、ですか?」

「そ、カルロス、今君がしようとしていることの手伝いにね」
 
 言われてカルロスは心臓を跳ねさせる。
 確かに今、自分は信頼出来る護衛を連れて居場所を他の者に告げずにドルヘルの工作員と相対している。それはアリアと主の存在をドルヘル王国に知られたくないがため、なのだが、

「貴女が何故その事を知っているのです」

「まーレイ君には内緒にしているんだけど私もレイ君と同じ便利な目を持っているからね。大体のことは文字通りお見通しっというわけさ」

「そうですか、それならば納得できますが……」

 カルロスは警戒を強くする。この先はまだ自分の頭の中だけの計画だ。もし、それを主に知られると面倒なことになりかねない。カルロスがそうしているとリンネが、

「大丈夫だよ、カルロス君は君の信じる道を歩めば良い。その道にレイ君はいない。その方が君にとって都合が良いだろう?」
 
と、まるでカルロスの思考を読んだような発言をする。

「わかりました。リンネ殿の言、今は信じましょう」

「今は、ね、流石レイ君を出し抜くつもりの人間だ用心深いったらありゃしない」

 リンネが楽しそうにそう言うと「さて」と前置いてドルヘルの工作員たちに目を移す。

「てなわけで君たちには死んでもらうよ。本当はカルロスたちと戦ってもらった方が良かったんだけどね。念には念を、今回は私が汚れ役を引き受けよう」

「あんたらさっきから好き放題何を言ってるんだい?それに私らは腐ってもドルヘルの特殊工作部隊。そう簡単に――」

『死ね』

 リンネがそう言った瞬間、ドルヘルの工作員たちは一人残らず息絶えた。するとカルロスが驚愕の表情をリンネに向けて言う。

「まさか言葉一つで死を与えようとは……もしや貴女こそ真の――」

「カルロス」

 言いかけてカルロスは次の言葉が出なくなる。そしてリンネの方を見るとリンネはひどく冷たい目でカルロスのことを見ていた。

「カルロス、その座はレイ君のモノだ。決して私なんかのモノじゃあない。君たちの主は誰であるのか、それだけは間違えてはいけないよ」

 リンネはそれだけ言うと、その場から立ち去り、いなくなる。残されたカルロスとその護衛たちはしばらくの間呆然とその場に立ち尽くしていた。
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