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第11章~咎人~
第83話 回収――さあ、仕上げだ。
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レイたちが地球を離れてから100年、90年前にマナ生命体となったアリアはその姿を変えることなく、レイたちの帰りを待ち続けていた。
―――地球エクノルエ城玉座
90年という月日はアリアを王に変え、世界を大きく変貌させた。
「もう100年経ちました。主様の座も用意してあります。私は――世界は主様を求めているのです。ですから早く、再びのご光臨を――」
アリアの言う通り、エクノルエ神聖国は世界そのもの――統一思想による世界征服を果たした。それもすべてはアリアの神の如き力故。その力をもってアリアは自らに服従しない――主の教えを受け入れない国を、民を、民族を次々と滅ぼし、世界を恐怖のどん底に叩き込み、今や世界は一見平和に見えるものの、主の教え以外の思想を許さないディストピアと化していた。
そんな世界でアリアは待ち続ける。再びのレイの顕現を、すると、
「ただいま戻りました」
アリアの前にレイが顕現した。すると、アリアは涙を流し喜ぶ。
「あ、ああ、主様。アリアは待っておりました。主様と再び会えるこの時を」
「そうですね。僕もです」
そう言うレイの言葉はどこか暗く、それはアリアにも伝わった。
「主様どうなされたのです?お気分でも悪いのですか?」
「そんなことはありませんよ」
「では何故その様に暗い顔をなさるのです」
「アリア、わからないのですか?」
「何がです?」
「この世界の在り様ですよ。僕がいた頃は――100年前までは世界はもっと活気に満ちていました。だというのに今は――」
レイは今の世界の在り様を嘆く、しかし、アリアは、
「その代わりに恒久的な平和を得たのです。平和な世に比べれば多少の不自由など――」
「多少の不自由!?アリア、貴女は自由な考えを持てないことを多少の不自由と言って切り捨てるのですか!!では、アリア、僕は貴女の言う平和な世界は到底受け入れられません」
言ってレイは慈悲の剣を創り出し、アリアに向けて突きつける。
するとアリアは何やらブツブツと言いながら玉座から立ち上がる。
「主様は私の目標を肯定して下さりました。故にあなたは主様ではありません!!」
「アリア、僕は――」
「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!」
言ってアリアは自身の魔力を爆発させるように開放。開放された白色の魔力は、アリアの肩甲骨部分から放出され、その姿はまるで天使のようであった。
更にアリアは右手に銀槍ディーバを創り出し、ディーバを構えると同時、ケイオスと同じように魔力を肩甲骨部分から放出させ、推進力として使用し、高速の突進攻撃をレイめがけて放つ。しかし、その攻撃は既にレイは攻略済み、だというのにレイはアリアの攻撃を受ける。最初の一撃で空中に打ち上げられ、それから右手、左足、左肩とレイはその体を徐々に破壊されてゆく。
レイにとってアリアの一撃は何の意味も持たない。しかし、レイの心は、アリアの心もその一撃ごとに大きな傷を負ってゆく。
やがてレイの体は頭を残すのみとなり、アリアはそこで攻撃を止め、レイの頭を大切そうに胸に抱き、その唇に口づけを交わす。その口づけは永く静かに続けられ、いつの間にかレイの体は元に戻り、二人は涙していた。
「アリア、主たる僕が不甲斐ないばかりに申し訳ありません」
「いいえ主様、それは私も同じです」
「本当に僕たちは似た者同士ですね」
レイが涙ながらにアリアに微笑むと、アリアもレイに微笑み返す。
「主様、そろそろお別れいたしましょう」
「いいえアリア、貴女は死しても、その魂は永遠に僕と共にあります」
「――そうですか。それはとても喜ばしいことです」
言ってアリアは床に落ちていた慈悲の剣を拾い上げる。
「本当に美しい剣。思えばあの時、私がこの剣に惹かれた理由は、今この時を予見していたからなのかもしれません」
言ってアリアは慈悲の剣を自身の胸に突き刺した。
「本当に、痛みも苦しみも感じない」
「アリア……」
レイは涙を流し続ける。初めての眷属との別れを惜しんで。
アリアはそんなレイの涙を手で拭き、言う。
「主様、アリアは主様のことをお慕い申し上げております」
「――僕もです」
レイがそう言うと、アリアは微笑み、光の粒子となってその魂だけを残して消え去った。
レイはアリアの最期を見届けると、管理者ウインドウを操作する。管理者ウインドウの画面を見ると、レイの位階が8まで上昇しており、位階上昇に伴って覚えた『魂融合』の権能を使用する。するとアリアの魂がレイの体に入っていき、レイ自身の魂と融合を果たした。
すると、レイの背後にいつの間にやらリンネの姿があるではないか。しかし、リンネはいつもの飄々とした様子ではなく、静かに、厳かに、レイに頭を垂れていた。
「何のつもりです」
レイがリンネに問う。
「何のつもりもなにも、ただ頭を垂れてレイ君にかしずいているだけだよ」
「何故頭を垂れているのかと訊いているのです」
「私はねレイ君、今の神が嫌いなんだ」
「知っています」
「だから君を完全な神にしようと考えた。そして君は新たな神への第一歩を踏み出した。だから私は頭を垂れているんだ」
「それは言っても良いことなのですか?」
「ファーストステージクリアの特典というヤツさ問題ない」
「そうですか、それでは何故貴女自身でなく見ず知らず僕を神にしようと考えたのです?」
「それはまだ言えない、いずれわかることだけどね」
「――わかりました。では、次のステージに進む前に残った仕事を済ませましょう」
レイはそう言うと、自身と輪廻の環を接続、即死の属性を付与した大量のマナを放出させる。
「やっぱり一気にやっちゃうんだね」
「その方が苦しみなく逝けますから――」
「一応人類と何種類かの生物は生き残らせるんだよね」
「はい、生き残らせる人物と動物の選定はガヘリスに任せましたし、方舟も出来上がって、今はもう一つの地球に向かっているはずです」
「――それじゃあこの星はもう」
「全ての命を亡くしますから当然です」
「そうだよね」
リンネが暗い顔をして伏し目がちに言う。
そんなリンネを見てレイが言う。
「リンネ」
「なんだいレイ君」
「貴女が罪の意識を感じる必要はありません。これは僕の、僕だけのための罪なのですから――」
「――わかった」
リンネがそう言うと、レイは魔力の放出をより強め、放出された魔力は大きな波濤となり星全体を覆い、やがて星に残された生命は全て息絶えた。
トガビト_ワールドクリエイション~私と君の異世界創世記~ 第4部~方舟編~了
―――地球エクノルエ城玉座
90年という月日はアリアを王に変え、世界を大きく変貌させた。
「もう100年経ちました。主様の座も用意してあります。私は――世界は主様を求めているのです。ですから早く、再びのご光臨を――」
アリアの言う通り、エクノルエ神聖国は世界そのもの――統一思想による世界征服を果たした。それもすべてはアリアの神の如き力故。その力をもってアリアは自らに服従しない――主の教えを受け入れない国を、民を、民族を次々と滅ぼし、世界を恐怖のどん底に叩き込み、今や世界は一見平和に見えるものの、主の教え以外の思想を許さないディストピアと化していた。
そんな世界でアリアは待ち続ける。再びのレイの顕現を、すると、
「ただいま戻りました」
アリアの前にレイが顕現した。すると、アリアは涙を流し喜ぶ。
「あ、ああ、主様。アリアは待っておりました。主様と再び会えるこの時を」
「そうですね。僕もです」
そう言うレイの言葉はどこか暗く、それはアリアにも伝わった。
「主様どうなされたのです?お気分でも悪いのですか?」
「そんなことはありませんよ」
「では何故その様に暗い顔をなさるのです」
「アリア、わからないのですか?」
「何がです?」
「この世界の在り様ですよ。僕がいた頃は――100年前までは世界はもっと活気に満ちていました。だというのに今は――」
レイは今の世界の在り様を嘆く、しかし、アリアは、
「その代わりに恒久的な平和を得たのです。平和な世に比べれば多少の不自由など――」
「多少の不自由!?アリア、貴女は自由な考えを持てないことを多少の不自由と言って切り捨てるのですか!!では、アリア、僕は貴女の言う平和な世界は到底受け入れられません」
言ってレイは慈悲の剣を創り出し、アリアに向けて突きつける。
するとアリアは何やらブツブツと言いながら玉座から立ち上がる。
「主様は私の目標を肯定して下さりました。故にあなたは主様ではありません!!」
「アリア、僕は――」
「違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!」
言ってアリアは自身の魔力を爆発させるように開放。開放された白色の魔力は、アリアの肩甲骨部分から放出され、その姿はまるで天使のようであった。
更にアリアは右手に銀槍ディーバを創り出し、ディーバを構えると同時、ケイオスと同じように魔力を肩甲骨部分から放出させ、推進力として使用し、高速の突進攻撃をレイめがけて放つ。しかし、その攻撃は既にレイは攻略済み、だというのにレイはアリアの攻撃を受ける。最初の一撃で空中に打ち上げられ、それから右手、左足、左肩とレイはその体を徐々に破壊されてゆく。
レイにとってアリアの一撃は何の意味も持たない。しかし、レイの心は、アリアの心もその一撃ごとに大きな傷を負ってゆく。
やがてレイの体は頭を残すのみとなり、アリアはそこで攻撃を止め、レイの頭を大切そうに胸に抱き、その唇に口づけを交わす。その口づけは永く静かに続けられ、いつの間にかレイの体は元に戻り、二人は涙していた。
「アリア、主たる僕が不甲斐ないばかりに申し訳ありません」
「いいえ主様、それは私も同じです」
「本当に僕たちは似た者同士ですね」
レイが涙ながらにアリアに微笑むと、アリアもレイに微笑み返す。
「主様、そろそろお別れいたしましょう」
「いいえアリア、貴女は死しても、その魂は永遠に僕と共にあります」
「――そうですか。それはとても喜ばしいことです」
言ってアリアは床に落ちていた慈悲の剣を拾い上げる。
「本当に美しい剣。思えばあの時、私がこの剣に惹かれた理由は、今この時を予見していたからなのかもしれません」
言ってアリアは慈悲の剣を自身の胸に突き刺した。
「本当に、痛みも苦しみも感じない」
「アリア……」
レイは涙を流し続ける。初めての眷属との別れを惜しんで。
アリアはそんなレイの涙を手で拭き、言う。
「主様、アリアは主様のことをお慕い申し上げております」
「――僕もです」
レイがそう言うと、アリアは微笑み、光の粒子となってその魂だけを残して消え去った。
レイはアリアの最期を見届けると、管理者ウインドウを操作する。管理者ウインドウの画面を見ると、レイの位階が8まで上昇しており、位階上昇に伴って覚えた『魂融合』の権能を使用する。するとアリアの魂がレイの体に入っていき、レイ自身の魂と融合を果たした。
すると、レイの背後にいつの間にやらリンネの姿があるではないか。しかし、リンネはいつもの飄々とした様子ではなく、静かに、厳かに、レイに頭を垂れていた。
「何のつもりです」
レイがリンネに問う。
「何のつもりもなにも、ただ頭を垂れてレイ君にかしずいているだけだよ」
「何故頭を垂れているのかと訊いているのです」
「私はねレイ君、今の神が嫌いなんだ」
「知っています」
「だから君を完全な神にしようと考えた。そして君は新たな神への第一歩を踏み出した。だから私は頭を垂れているんだ」
「それは言っても良いことなのですか?」
「ファーストステージクリアの特典というヤツさ問題ない」
「そうですか、それでは何故貴女自身でなく見ず知らず僕を神にしようと考えたのです?」
「それはまだ言えない、いずれわかることだけどね」
「――わかりました。では、次のステージに進む前に残った仕事を済ませましょう」
レイはそう言うと、自身と輪廻の環を接続、即死の属性を付与した大量のマナを放出させる。
「やっぱり一気にやっちゃうんだね」
「その方が苦しみなく逝けますから――」
「一応人類と何種類かの生物は生き残らせるんだよね」
「はい、生き残らせる人物と動物の選定はガヘリスに任せましたし、方舟も出来上がって、今はもう一つの地球に向かっているはずです」
「――それじゃあこの星はもう」
「全ての命を亡くしますから当然です」
「そうだよね」
リンネが暗い顔をして伏し目がちに言う。
そんなリンネを見てレイが言う。
「リンネ」
「なんだいレイ君」
「貴女が罪の意識を感じる必要はありません。これは僕の、僕だけのための罪なのですから――」
「――わかった」
リンネがそう言うと、レイは魔力の放出をより強め、放出された魔力は大きな波濤となり星全体を覆い、やがて星に残された生命は全て息絶えた。
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