最強賢者の転生譚~転生したら世界のルールが変わっていて村人に! それでも過去の己を倒すために最強を目指す~

凛音 麻利

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6:賢者、ジール村の過去を知る

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 ジ―ル村の村長、ファッドに永樹えいじゅのことについて聞いたところで村の過去を知ることになった。

 今現在いる村はジ―ル村と言われている。
 だが、転生前にいた時はヘジット村と言われていた。
 森の小屋から一番近い村という事で幾度か言ったことがあるので間違いない。


「具体的な数字までは定かではないのですが、数百年は前のことです」


 そういってファッドが語ってくれたのは戦争についてだった。

 かつて世界を巻き込んだ戦争があったそうだ。
 その影響で世界各地の都市は軒並み被害を受けた。

 そこから復興するに際し一から立て直したということで名前が一新されたんだとか。

 俺が転生した後の話だろう。
 そんな話聞いたこともない。

 寧ろそんな戦いがあれば俺がいの一番に飛び込むぞ。
 んでもって首謀者と力比べをする。

 だからこそ残念だ。

 そんなことがあったならもう少し転生の時間をずらせばよかった。


「この村のことについては分かった。それで永樹はいつからあるんだ?」

「う~むぅ。申し訳ないのですがそれに関しては分かりかねますなぁ。私が生まれた時には既にありました。無論今ほどの大きさではなかったですがね」

「失礼だが、あんたは今いくつだ?」

「今年で六十になります」


 少なくとも六十年以上前… 
 樹の成長度合いを考えれば百年は経っていそうだ。


「そもそもな話なんだが、何故この村… というか人間の住まう土地にこうも多く永樹が生えている? あれは元は魔族が住まう魔界産のもののはずだ」

「ホホホ。貴方は随分博識なようだ。私など役に立ちそうにないですな」


 言い方から察するに知らないと言う事だろうか。
 収穫は少なかったが、まったく無いわけじゃなかったことで良いとしよう。


「案内してくれたおっさんから聞いたが永樹は再生能力が高いそうだな。国から伐採出来る物を派遣してもらうなどはしないのか? それと作物に関してもだ。魔力の濃度を濃くする方法を何故とらない?」

「切れる人物がいないのです… 濃度に関しては高めても作物が育つまでの期間、継続できるだけのお金がないというのが理由です」

「待て、待て、待て。切れる人物がいない? どんな再生能力を持っているのか知らないが、剣神やその弟子共なら切れるだろう?」

「無理です。王都に生えているのを切るために試したそうですが結果は…」


 何てことだ。
 剣神が劣っているのか、再生能力が高すぎるのか…

 少なくとも俺のしる剣神ならば片手間、それも素手で切り捨てそうなものだが。

 実際に見てみないと分からんが、永樹とは随分厄介な存在だな。

 だが。

 おもしろい!

 誰にも切れないものを切る。
 その実績をもって俺は一歩過去の俺に近づこう。


「村長。永樹には迷惑しているという認識で間違いないか?」

「えぇ。出来るならば無ければいいと何度思ったことか… そうすれば村の皆も飢えることなく生きられるのです」

「ならば、確認だ。切ってしまっても問題ないのだな?」

「…」


 鳩が豆鉄砲でも食らったようなアホ面を晒す村長。


「私の聞き間違いでしょうか。申し訳ないのですが、今何と仰いました?」

「あの樹、永樹をこの俺が切ってしまっても構わないのだな、そう言ったんだ」

「…ほ、ほんとに出来るのですか?」

「やってみなければわからん」


 かなり訝しげな眼を向けてくる。
 それも無理ないことだな。

 剣神が切れなかったものだ。
 五歳児のチンチクリンが切れるとは思っていないのだろう。

 とは言え、正直な所は言った通りだ。
 この世界は随分と俺の知らないことだらけだ。
 故に出来ると断言できるだけの材料がない。


「挑戦するだけさせてもらおう。出来るか?」

「まぁ、失敗しても私たちに損は無いですから問題ないです。ちょうど明日永樹にどれだけ深い傷を付けられるか、そういった祭りがあります。それに参加してみては如何でしょうか?」

「わかった。それと悪いんだが、今日この村で厄介になりたいんだが、どこか泊めてもらえる場所ないか?」

「すいません。空き家がないもので、私の家で良ければ」

「感謝する」


 そうして今日俺は村長の家で泊めてもらえることになった。

 永樹がどれだけ凄いものだろうが俺が必ず切って見せようじゃないか。
 ククク。
 楽しみだ。
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