スローなライフにしてくれ

soue kitakaze

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第2章 的ななんかそいう感じの章

第29話 約束を

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「ということで、本日の授業はここまで。それでマユミ、後ろで寝ているアホを起こしてくれ」
「はい。きゅっ」
「すやすやぴ……ぴ? ぴぴぴぴぃぃぃぎゅぐぐぐぐぐあぁぁ?!」

「先生、起きました」
「も、もう少し優しい起こし方があるだろ、絞め殺す気か!」
「よろしい。じゃあ、エルフ族からマユミとコウイチのふたり、それと人間族からカズ、お前らは飛び級試験に臨むように」
「あんたは冷静か! ……飛び級試験ってなに?」

「いいからこっち来い」
「分かった、行く、行くからいちいち首を絞めるなぐぇ!」
「今朝は私の胸をわしづかみしたくせに、首ぐらいなんだ」
「首のほうが大事だろうが!!」

 首を絞められたままぐえぐえ、連れて行かれたのは闘技場と呼ばれるところだった。ここで飛び級試験?
 待合室と書かれた部屋に入ると、そこには神官みたいな格好をした人間がいた。俺たちに言った。

「ここが飛び級試験会場です。ここでひとりずつ戦ってもらいます」
「戦う? 飛び級試験じゃないのか?」

「9級からは魔物退治という実技があるから、技能が劣るものを上げるわけにはいかんのだ。それで最低限の能力を試すためにこの試験がある。ってさっきの授業で言ってたのに聞いていなかったな」

 はい、全部睡眠時間に充てました。あっ。

「誰がアホだ!!!」
「「「??? (ハタと気づく皆) 気づくのが遅いわっ!!!」」」

(この話の1行目のことでござるな)

「くそ、なんか損した気分だ。で、あんたをいたぶればいいのか?」
「ばばばば、ばかこくでねぇだ、オラはオラのオラで戦闘には向かないオラなのだのだ」
「なんかいきなりオラつきだしたぞ、この人?」

「オラついた言うな。神官さんはただの案内係。戦闘力はほとんどないのだから、苛めちゃダメ、絶対」
「それにしたって訛る必要はないと思うのだが」
「コホン! えー、では最初の人だけ闘技場の中にお入りください」
「今度は取り繕っとるし」

「カズさん、順番はどうしますか?」
「俺には聞いてくれないのね」
「私はいつでもOKですよ、マユミさん。どうせ同じですからね」
「後のほうが戦いの様子が分かって有利じゃないのかな? 相手も条件は同じか」

「戦闘中は他者は一切立ち入り禁止です。様子をうかがうことはできませんよ」
「あっそ。それなら一緒だな。じゃ、面倒なことはちゃっちゃっと片づけたいから、俺から」

「じゃあ、私が最初に出る。カズさんはその後。最後にコウイチで」
「なんで俺の話は聞いてくれないんだよ! 別にいいけどっ!」
「よろしいですか。相手は上級生です。ある程度は手加減してくれますが、ケガくらいは覚悟してください。持ち込める武器は1つだけです。防具はどれだけあってもかまいません。魔法の使用も許可されています」

「質問!」
「はい、コウイチさん。なんですか?」
「眷属は武器に入りますか?」
「ああ、たまにいますね、そういう人。10級程度の人が持てる眷属なんてものの数に入りませんので、ご自由にどうぞ」
「了解した」

(ちょっとムッとしたモン)
(まあまあ、ネコウサ殿。これから楽しいバトルでござる)
(ワンコロ、ものすごくワクワクしてるモン)

 そして飛び級試験が始まった。

 マユ姉は自前の剣を持ち、3分ほどで帰って来た。合格したそうだ。

「えらく早いなおい。勝ったのか?」
「勝ってはいないだろうなぁ。軽くいなされた感じだった」
「それで合格なのか?」
「マユミさんの相手は6級の剣士でした。勝てなくて当然です。勝ち負けは判定には関わりません。基本ができていると判断されれば良いのです」

「なんだ、緩い試験だな。それは良かった」
「ヘタに逆らって瀕死の重傷を負った人もいますけどね」
「がくがくぶるぶる。あ、そういうことなら俺はどうしよう。なにか武器があったほうがいいか?」

「コウイチさんは職業は?」
「無職志望だが」
「そんな志望は認めません。じゃあ適正はなんですか?」
「さぁ?」
「さぁって言われても困るのですが。じゃ、とりあえず横の売店で適当な武器を買ってきて下さい。その間に、カズさん、試験を受けて下さい」
「了解した」

 売店があるんかい。とツッコみながら待合室を出るとすぐキオスクみたいな店を見つけた。

 あっ!!!

 俺は驚いた。あるじゃないか! 俺が待ち望んだものが、ここに。

「おいっ!! オツ!」
「ああ、びっくりした。どうしたいきなり」
「約束だったよな」
「どんな?」
「とぼけやがって。俺にひのきのぼうを買ってくれる、と約束しただろうが」

「第19話でそんな約束をしたような気がするな」
「約束を果たせ!」
「分かった分かった。おい、ワンコロ。ホオブクロからゴブリンの魔石を5つぐらい出してくれ」
「了解でござる。ほいっ」

「いや、それ。俺が稼いだやつじゃ」
「店主どの、これを買い取って欲しいでござる」
「わおっ、びっくりした。言葉が話せるワンちゃんですか。お嬢さん、良いものをお持ちで。はいはい、こちらでは買い取りもしてますから……ふぅむ、これはなかなか、良いものですな。1個3ドルで引き取りしましょう」

「それでそこにあるひのきのぼうを売ってもらいたいでござる」
「これは10ドルになります。では差額の5ドルとひのきのぼうを1本。まいどあり。またいらしてくださいね」

 買ってもらった感はまったくないが、ともかく俺はずっと欲しかったものを手に入れた。でへへへ、どうだカッコ良いだろう、ぶんぶんぶん。

「あ、うん、まあ、モン」
「ござるござる。早く戦うでござる」
「誰もそんなものに興味を持っていない件について」
「うるさいよ。俺が気に入ってるんだからいいだろ」

 待合室に戻るとすぐカズが帰って来た。えらくボロボロになっていた。

「ぼこぼこにやられた感があるな。弱いんか、お前は」
「なにを言うか! カズさんは我が同期で最強の魔法師だぞ」
「そ、そうなのか。それはすまんかった」
「いえ、かまいません。もう少し戦えるかと思ったのですが、魔力量の違いというのは凄まじいものですね」

「カズさんは強すぎたのですよ。相手は4級魔道士でした。その人を本気にさせてしまったのです。もちろん合格です」
「ありがとうございます。精進します」

 さて、いよいよ俺の番である。相手に本気を出させない程度にがんばって、このひのきのぼうでぼこぼこにしてやる。

「いや、言ってることが矛盾しているモン」
「我に任せるでござるよ、ぐるぐるぐるるるるる」

 そしてなんだか物騒な感じで次回に続くのである
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