異世界でカイゼン

soue kitakaze

文字の大きさ
236 / 336

第236話 識の魔法で聖騎士に!?

しおりを挟む
「ただいまー」
「おお、帰ったかユウ。あれ? なんか見知らぬ子が混じっておるようじゃが?」
「ああ、アマチャン。これはアシナというアイヅの子だ。ハルミに懐いてしまってくっついてきた。ハルミのコブみたいなものだ」

「だ、誰かがコブですか。あ、初めまして。アマチャンさん? ですか。私はアシナです。アイヅの剣士です。よろしくお願いします」
「ほう、アイヅの剣士とな。良く来たな。ゆっくりしてゆくが良い。それからユウ」

「ん?」
「もうひとり、増えているようじゃの」
「ああ、これはハタ坊だ。アイヅでダンジョン経営をしていたのだが、なぜか急に魔物がいなくなって暇になったそうだ。それで俺の眷属にした」

「暇だからって理由で眷属になったのか、ハタ坊とやら」
「わわわわ悪いか! おまおまおまえなんかにかんかんかん関係ないだろろろろ」

「ハタ坊はなんでビビりながらけんか腰だよ。こちらはただのアマチャンだぞ」
「アマチャンなんて人は、しらしら知らないが、この人なんか怖い」

「ワシはアメノミナカヌシノミコトじゃよ。お主、どこかで見たような気がするのじゃが?」
「はぁぁぁ!? アメノミナカヌシノミコト……様ぁぁぁ!?」
「そうじゃよ?」
「ユユユユユユウ?」

「だから俺はそんな長い名前じゃねぇよ」
「そんなことはいいから、ユウ。お前はこの方をなんと心得る!」
「アマチャンだと心得ているが? ハナホジ」

「いや、そうかもしれないけど! いや、そうじゃない。呼び名の問題じゃない!! ってか短縮するな。アメノミナカヌシノミコトといえば、この国の創造神様ではないか」
「確かにそうだけど、それがなにか? ハナホジ」

「お前は分かっているのか分かっていないのか、どっちだよ!」
「お前の話が一番わかんねぇよ!」

「お主の輝きは、オオクニと同種の光に見える。神の領域のものであろう? 名をなんという?」
「ハタ坊だじょー」

「やかましいわ!!! ち、ちが、違いますよ、アメノミナカヌシノミコト様。私はハタオリヒメ。ヤマトにいたときはコテヒメと名乗っていました」

「コテヒメ? ああ、夫婦ケンカで旦那を逆恨みして、権力者に『うちの旦那があんたの悪口を言ってたわよ』ってチクったら、そいつに夫を暗殺されちゃったという面白神話のコテヒメか?!」

「まったくもう!! いちいちそれを出さないと思い出せないのですか!」
「いちいちって言われても、ワシは初めて言ったのじゃが」

「そう、そうでしたね。はいはい。でもそれはもう忘れてください」
「しかしこの国で暗殺された歴代首長はスシュンひとりで」
「あぁあもう!! それも忘れて!!」
「注文の多い料理店なノだ」
「オウミもちゃかさない!」

「アマチャン。さっそくだがハルミの課題はクリアした。アイヅからの決算書は届いているよな?」
「ああ、来ておる。オオクニがさっそく口座を確認したようじゃ。さすがアイヅ。書類にあわせてきっちり入金もしたようじゃ。まずはめでたしめでたしじゃ」

「そのめでたいところで、まずはハルミの報酬を貰おうか」
「分かった。が、その前に」
「まだ、なにかあるのか?」

「行くときからふたり増えたことはいま聞いたが」
「ああ」
「ひとり減ったのはどうしてじゃ?」

「「「え?」」」

「減ってたっけ?」
「ユウコの姿が見えないようなノだ」

「「「あっ!!」」」

 しまった。すっかり忘れて置いてきちゃった。

 まあ、いいか?

「ユウさん、酷い!!」
「すぐに引き取りに行くノだ」
「えぇ。たったいま、感動のお別れをしてきたところなのに」

「感動のニュアンスなんて、どこにありましたの?」

「それよりも、ハルミの件を先に片付けたいのだが」
「うんうん。ユウコさんも心配だけど、あの人はたぶん、大丈夫だと思う」
「俺もそう思う。たぶんいまごろあっちの銘酒をたらふく飲んで酔っ払ってると思う」

「すぐでなくても良いが、あとで迎えにいってやってくれ。こちらにもずいぶん長くいたが……割と平気だったような気がするな」
「だろ? そういうやつなんだよ」
「置いてけぼりキャラだもんね」

 そこまでいうとフラグが立ったみたいで、なんか心配になってくるが。

「なにはともあれ、ハルミに識の魔法の伝授を頼む」
「分かった。では、ハルミだけ奥の部屋に入れ。あとのものはここで待て」
「はい! お願いします」

 ハルミとアマチャンが別室に入って行く。俺たちはこっちで待機だ。密室でふたりきり? エロ小説ならそこでなにも起こらないわけはないが、この話ではなにも起こらないのである。

「つまらんノだ」
「やかましいよ!」

 そして式次第、完了である。

「早っノだ!?」
「なんかこう、儀式っぽい描写とかはないの?」
「眷属ども、やかましい。そういうのはこの話にはいらないんだよ」

「待たせたな、ユウ」
「無事に識の魔法は授かったか?」
「ああ、確かに受け取った。それでユウ」
「なんだ?」
「さっそく、これを試しに行きたいのだが」

「またダンジョンかよ?!」
「どこでもいい。魔物がたくさん出るところがいい」
「それより、クドウはどうした?」
「クドウからはまだ返事がない」

「まさか、ダメだったのか……」
「いや、ぐうぐう寝ている」
「寝ているんかいっ!! どうしてそれがお前に分かるんだ?」
「前からそうだったからな。クドウはだいたい昼間は寝ている。それは雰囲気で分かる」

 あらそう。仲が良いことで。まあ、元通りになったのならいいけど。あやうくクドウを消しちゃうところだったな。

「ハルミはワシの予想以上だった。ハルミの魂は、識の魔法の素質がたっぷりじゃ。遠からず聖騎士になれることであろう」
「あれ? まだなっていなかったのか?」

「まだに決まっておる。そう簡単になれたら、ニホン史史上10人なんて数なはずがないであろう」
「それもそうですね。そうなる条件とはなにがあるのですか?」

「まずはレベル20を目指せ。そしたら次の魔法をまた教えられる。そして次が50。そしてレベル100になれば聖騎士の仲間入りじゃ」
「あの?」
「ん?」

「私、もうレベル28なのですが」
「はぁ? どうして? どこでどうしてそうなった?」
「アブクマのダンジョンで、魔物を倒して、こうなった?」

「アブクマダンジョンには、いったいなにがいたのじゃ? そんなにいきなり上がるはずはなかろう?!」
「気がついたらそうなっていたもので」

(アメノミナカヌシノミコト様。あとで我が説明するノだ。ちょっと公にできない話なノだ)
(そうか、分かった)

「まあ、それはいい。それではレベル20の呪文を教えよう」
「はい! お願いします」

 そして、またあの部屋に入って行って、すぐに出てきた。

「次の魔法ってことは、すでになにか魔法を教わっていたのか?」
「ああ。これで私はふたつ、識の魔法が使えるぞ!」

「それはどんなやつだ?」
「最初のひとつは回復魔法だ。全ステータスを一度に回復させられる超絶便利な魔法だぞ」

「ふむ。それからもうひとつは?」
「レベル20のやつは、ものすごく強力な攻撃魔法だそうだ。それをこのミノオウハルに乗せて放てば、どんな属性を持つものだって斬れないものはないらしい」
「へぇぇ。それはよかったねー(棒)」

「なんでそんな気のない返事だよ!」
「俺の役に立たない魔法だからだよ!!」
「私は楽しいんだぞ!!!」
「知らねぇよ。勝手に楽しんでろ!!!!」

 おかしい。識の魔法は精霊を使う魔法だと聞いた。それなら災害のときにミノウやオウミがやったことを、タケウチの連中にさせられるのではないかと思ったのだ。

 それが攻撃魔法だと? そんなものがなんの役に立つんだよ。

 アチラでもウエモンでもいい。誰かが識の魔法を使えるようになれば、もう災害なんかに怯えなくて済む。土木工事や発電所の建設だって可能になるだろうと踏んだのだとらたぬ。

 だからこの取り引きを持ちかけたのだが、俺は失敗したのか? 最初にもっと良く確認するべきであったか。

 しかしそれを最初にバラしたら、教えないと言われかねないと思ったのだ。土木ができて発電所ができたら。このニホン。俺のものになるよな?

 もちろん俺はそんな面倒なことをするつもりはない。だが、そう勘ぐられるのが嫌だったのだ。

「攻撃魔法にしたのはハルミが選んだからじゃよ。識の魔法はそれだけではない。物質構成を変えたり、元素そもものを改変したり、上級になれば核融合も可能じゃ」

「なんだそう……待て!!! 待て待て待て!! それはアカン。止めとけ。それは人類を滅ぼしかねない!!!」

 それ、発電所ってレベルじゃないから。人類を滅ぼす兵器だから。

「どうしてじゃ?」
「それはアカン。信じられないほどのエネルギーが出るやつだろ? この世界程度の技術で核融合が制御できるものか」
「エネルギーは確かに膨大じゃが、そんな大げさなものではないと思うがのう」

 核融合が大げさじゃないだと? どんだけのんきだよ。あの恐怖を知らないからそんなことが言えるんだ。

「植物の核を融合して、新しい植物の実を作るだけのことだぞ?」
「だから危険だと……はい? 植物?」

「ユウは毎日のように食べていたではないノか。ナツメは好きであったろう?」
「な、なななな、ナツメは好きだが、それがどうしたって?」

「あれは、ミノウが核融合させて作った植物なノだよ」
「はぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」

「ナツメか。なるほどな。柿とリンゴがあればできそうじゃの」
「はい?」
「ナツメ核融合のレシピは秘密らしいノだ。あれはミノウがやった核融合なノだ。しかも1年中実がなるというおまけ付きの核融合なノだ。すごいノだ」

 思てたんと違う。それは違う。全然違う。

 そんなものを核融合言うな!!

 久しぶりのダイアゴナル(斜め上)ワールドだな!! おい!

「それでは、ハルミの件はこれで終わりじゃ。あとは頑張ってレベル上げをすれば良い。それとユウ」
「なななななな?」

 だめだ、まだ頭が混乱している。

「例の約束を覚えておるな?」
「約束? なんだっけ?」
「こらこら。ミノウ紙での決算書の提出をしていない領地があと7つ。そこから徴収してくるという約束だ」

「ああ、そうだったな。その達成が、うちの社員全員に識の魔法を伝授してもらうという条件だったな」
「こらこらこら、増やすな! ユウコとミヨシぐらいでいいであろう」
「それにアチラ、スクナ、ウエモン、モナカ、ゼンシン、ベータ。それにここにいるアシナとハタ坊」
「えらく増やしたのぉ。お主はそうとうな欲張りじゃ。あれ、お主はいらんのか?」

「俺は魔法使いじゃないからな。しかしどちらにしてもいらない。俺は使えるアイテムがあればいいんだ。自分がそうなるつもりはない」
「お主らしいというか、身勝手というか」

「嫌なら止めるけど?」
「分かった分かった。その条件を飲もう。まったく、ワシを脅す人間などここ数百年現れたことなかったものを」
「よし、それじゃ。その7つの領地を教えてくれ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!

Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。 裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、 剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。 与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。 兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。 「ならば、この世界そのものを買い叩く」 漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。 冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力―― すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。 弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。 交渉は戦争、戦争は経営。 数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。 やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、 世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。 これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。 奪うのではない。支配するのでもない。 価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける―― 救済か、支配か。正義か、合理か。 その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。 異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。 「この世界には、村があり、町があり、国家がある。 ――全部まとめて、俺が買い叩く」

毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。 元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。 バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。 だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。 アイドル時代のファンかも知れない。 突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。 主人公の時田香澄は殺されてしまう。 気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。 自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。 ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。 魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。

鬼死回生~酒呑童子の異世界転生冒険記~

今田勝手
ファンタジー
平安時代の日本で魑魅魍魎を束ねた最強の鬼「酒呑童子」。 大江山で討伐されたその鬼は、死の間際「人に生まれ変わりたい」と願った。 目が覚めた彼が見たのは、平安京とは全く異なる世界で……。 これは、鬼が人間を目指す更生の物語である、のかもしれない。 ※本作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ネオページ」でも同時連載中です。

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

処理中です...