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第15話 ハルミとミヨシ
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「鉄が錆びないだと! ウソをつけ!!」
「厳密には、錆びにくいってことだけどな。作りにもよるが、1年ぐらい水に浸かっていてもなんともない程度には錆びないぞ?」
マジかよ、ぼそぼそ。そんなことが、ぼそぼそ。そんなことができたら、ぼそぼそ。まさかね、ぼそ。でもそうしたら、ぼそ。
えーい! なんだよ、ぼそぼそって。もっと大声でしゃべりやがれ。なんか俺だけつまはじきされているようで、いつものことじゃねぇか。こんちくしお涙。
「ユウ。お前いま、ものすごいことを言ったんだが、気づいていないのか?」
「ものすごいこと? じじいの資金を使い切るってこと?」
そんな前の話じゃねぇ!! それよか使い切るんじゃねぇぇぇ。
じじいの魂の叫び。面白い。
「じゃあ、錆びない鉄の話?」
「そ、そうだ、それ。本当かそれ。そんなもの、卑怯だぞ」
なんだよ、卑怯って。前の世界には普通にあったぞ。
「ステンレスは錆びないし、硬度が高い。さらに焼き入れすることもできる。だから、包丁とか刃物に向いて……ちょっとハルミ、息が荒い! それと近い! どうした、落ち着け!!」
「そ、そ、それってのは、つまりあれか。私の剣もそういうふうにできるってことか? はぁはぁはぁ、どうなんだ、おい、答えろ、ユウ」
14才の女の子が目を血走らせて言うセリフか。お前は刀フェチか。剣オタクか。
「残念だが、ステンレスは刀には向かない。硬すぎてもろいんだよ。剣を合わせた瞬間に折れてしまうだろう」
……いや、そんながっかりした顔しないで。仕方ない。ここで俺の豆知識を披露しておこう。
「強い刀を作るなら、内側には炭素含有量が少なくて柔らかい鋼を使い、外側をステンレス綱のような硬い鋼で包み込むようにして作るんだ。そして、刃をまっすぐではなく、少し反った形状にするとなお切れ味は良くなる」
うん、これは日本刀そのままだけどな。
「うんうん、そうか分かった。じゃあそれで作ってくれ」
「無茶をいうな。俺は机上だっけ? の天才だろ? 作るのは得意分野じゃねぇよ」
「そ、そうか、すまん。でもそういうふうにすれば、強い刀ができるのか?」
「できる。世界一強い刀になるぞ」
多少のホラぐらいは良いであろう。でも、このセリフにおおおおっ、と反応したのはハルミだけだった。ここには、他に剣士はいないようだ。
「こ、今度、刀工を紹介するので、その作り方を教えてやってくれないか。お願い」
「ああ、そのぐらいならいつでも良いよ」
よっしゃーー!!! とどこかの野球監督のようなことを言いながらいきなり抱きついてきた。
待て、こら待て! お前は許嫁がいるんだろ! ソウが当惑してこっち見てるじゃねぇか! あぁ、ミヨシも睨んでるし。じじいまでこっち見んな。これ、俺のせいじゃないからな!!!
そしてようやくハルミを引き離したら、なんとお代わりがきた。今度はミヨシが俺の胸に飛び込んできたのだ。
「ねえユウ、いまの話って本当?」
「おぉっと、びっくりしたぁ。ミヨシもかよ。いまの話って、じじいの資金を使い切る話か」
「それは使い切って良いわよ。そうじゃなくて、ステンなんとかっての話」
使い切るんじゃないと言っておろうがぁぁ、とじじいが目で訴える。どうも孫娘には強くでられないらしい。
「ああ、ステンレスな、それがどうした?」
「良く切れる包丁になるんですって?」
この子はそっちか。目のきらめきがハルミと同じだ。やはりこいつらは姉妹だ。根本の部分で双子だ。
「ああ、包丁ならそのステンレスはとても向いている。炭素の少ない鋼を選んでクロムを合金にしてやれば、世界一良く切れる包丁ができるぞ」
またつまらぬ世界一を作ってしまった。一度ホラを吹くと引っ込みが付かないよな?
「それ、ウチの工房で作れる?」
そう言いながらミヨシは俺に豊かな胸を押しつけてくる。ぽんっがむぎゅって感じである。俺の肩にふたつの肉まんが当たる。あ、あそこがなんかおかしい。俺は12才だったはずだが精通してんかな。
「こ、こ、ここここにめっき以外のどんな設備があるのか、知らないから答えられん」
「じゃあ、後で案内するから見て。できたらウチの職人に作り方を教えて欲しいんだけど」
「わ、分かった。やるから。教えるからちょっと離れて、な」
と、ミヨシを手で押し返す。ちょうどその頃、俺に異変が起きた。
「ところで、ここひわ鉄を溶かせる焼成炉はあるのふぁぁぁ?」
あれ、おかしい、言語不明瞭だ。な、なんか妙に眠いぞ。
「どうしたユウ?」
「様子がおかしい……ああ、しまった。もうこんな時間か」
「ああ、ほんとだ。こいつがあまりにいろんなことに詳しいから、ついつい聞き込んでしまった、悪いことした。続きは明日にしよう」
「ふぁぁ?」
あれ、同じようなことが前にもあったような……もうだめ。寝むひ。
「子供はもうお休みの時間だ。ハルミとミヨシ。部屋まで運んでやってくれ。風呂は明日の朝にでも入れば良いだろ」
俺は子供じゃねぇよ……と心で反論しながら眠りに落ちた。まだ、やらないといけないことがふぁくはんありゃほほよへほ……。
「厳密には、錆びにくいってことだけどな。作りにもよるが、1年ぐらい水に浸かっていてもなんともない程度には錆びないぞ?」
マジかよ、ぼそぼそ。そんなことが、ぼそぼそ。そんなことができたら、ぼそぼそ。まさかね、ぼそ。でもそうしたら、ぼそ。
えーい! なんだよ、ぼそぼそって。もっと大声でしゃべりやがれ。なんか俺だけつまはじきされているようで、いつものことじゃねぇか。こんちくしお涙。
「ユウ。お前いま、ものすごいことを言ったんだが、気づいていないのか?」
「ものすごいこと? じじいの資金を使い切るってこと?」
そんな前の話じゃねぇ!! それよか使い切るんじゃねぇぇぇ。
じじいの魂の叫び。面白い。
「じゃあ、錆びない鉄の話?」
「そ、そうだ、それ。本当かそれ。そんなもの、卑怯だぞ」
なんだよ、卑怯って。前の世界には普通にあったぞ。
「ステンレスは錆びないし、硬度が高い。さらに焼き入れすることもできる。だから、包丁とか刃物に向いて……ちょっとハルミ、息が荒い! それと近い! どうした、落ち着け!!」
「そ、そ、それってのは、つまりあれか。私の剣もそういうふうにできるってことか? はぁはぁはぁ、どうなんだ、おい、答えろ、ユウ」
14才の女の子が目を血走らせて言うセリフか。お前は刀フェチか。剣オタクか。
「残念だが、ステンレスは刀には向かない。硬すぎてもろいんだよ。剣を合わせた瞬間に折れてしまうだろう」
……いや、そんながっかりした顔しないで。仕方ない。ここで俺の豆知識を披露しておこう。
「強い刀を作るなら、内側には炭素含有量が少なくて柔らかい鋼を使い、外側をステンレス綱のような硬い鋼で包み込むようにして作るんだ。そして、刃をまっすぐではなく、少し反った形状にするとなお切れ味は良くなる」
うん、これは日本刀そのままだけどな。
「うんうん、そうか分かった。じゃあそれで作ってくれ」
「無茶をいうな。俺は机上だっけ? の天才だろ? 作るのは得意分野じゃねぇよ」
「そ、そうか、すまん。でもそういうふうにすれば、強い刀ができるのか?」
「できる。世界一強い刀になるぞ」
多少のホラぐらいは良いであろう。でも、このセリフにおおおおっ、と反応したのはハルミだけだった。ここには、他に剣士はいないようだ。
「こ、今度、刀工を紹介するので、その作り方を教えてやってくれないか。お願い」
「ああ、そのぐらいならいつでも良いよ」
よっしゃーー!!! とどこかの野球監督のようなことを言いながらいきなり抱きついてきた。
待て、こら待て! お前は許嫁がいるんだろ! ソウが当惑してこっち見てるじゃねぇか! あぁ、ミヨシも睨んでるし。じじいまでこっち見んな。これ、俺のせいじゃないからな!!!
そしてようやくハルミを引き離したら、なんとお代わりがきた。今度はミヨシが俺の胸に飛び込んできたのだ。
「ねえユウ、いまの話って本当?」
「おぉっと、びっくりしたぁ。ミヨシもかよ。いまの話って、じじいの資金を使い切る話か」
「それは使い切って良いわよ。そうじゃなくて、ステンなんとかっての話」
使い切るんじゃないと言っておろうがぁぁ、とじじいが目で訴える。どうも孫娘には強くでられないらしい。
「ああ、ステンレスな、それがどうした?」
「良く切れる包丁になるんですって?」
この子はそっちか。目のきらめきがハルミと同じだ。やはりこいつらは姉妹だ。根本の部分で双子だ。
「ああ、包丁ならそのステンレスはとても向いている。炭素の少ない鋼を選んでクロムを合金にしてやれば、世界一良く切れる包丁ができるぞ」
またつまらぬ世界一を作ってしまった。一度ホラを吹くと引っ込みが付かないよな?
「それ、ウチの工房で作れる?」
そう言いながらミヨシは俺に豊かな胸を押しつけてくる。ぽんっがむぎゅって感じである。俺の肩にふたつの肉まんが当たる。あ、あそこがなんかおかしい。俺は12才だったはずだが精通してんかな。
「こ、こ、ここここにめっき以外のどんな設備があるのか、知らないから答えられん」
「じゃあ、後で案内するから見て。できたらウチの職人に作り方を教えて欲しいんだけど」
「わ、分かった。やるから。教えるからちょっと離れて、な」
と、ミヨシを手で押し返す。ちょうどその頃、俺に異変が起きた。
「ところで、ここひわ鉄を溶かせる焼成炉はあるのふぁぁぁ?」
あれ、おかしい、言語不明瞭だ。な、なんか妙に眠いぞ。
「どうしたユウ?」
「様子がおかしい……ああ、しまった。もうこんな時間か」
「ああ、ほんとだ。こいつがあまりにいろんなことに詳しいから、ついつい聞き込んでしまった、悪いことした。続きは明日にしよう」
「ふぁぁ?」
あれ、同じようなことが前にもあったような……もうだめ。寝むひ。
「子供はもうお休みの時間だ。ハルミとミヨシ。部屋まで運んでやってくれ。風呂は明日の朝にでも入れば良いだろ」
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