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5 健介の地雷
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「はぁ!?」
健介は素っ頓狂な声をあげた。
「コーチ? 俺が? 何で?」
「教えるの上手いから」
あっさり言ってから、あゆみはつぐみに向き直った。
「こう見えて健介にはコーチの才能があるんです。あたしたちが全中で優勝できたのって、八割方健介のおかげなんで」
「え? 全中で優勝?」
つぐみはきょとんとする。
「はい。あたしは一年生の時だけですけど、他の仲間は三連覇しましたね」
「ちょっと待って。それってーー」
つぐみのみならず部員全員の顔色が変わった。
「こいつ、聖女のレギュラーだったっす」
ぼそっとした健介の呟きに、つぐみは悲鳴をあげた。
「マジで!?」
「マジです。『聖女の特攻隊長』って言えば結構有名でしたけど」
「あたし、覚えてる。サイドとトップディフェンスやってたよね」
アツい口調で語り始めたのは、二年生でセンターを務める鳥羽恵梨香だった。
「うん」
「メチャクチャ早かったの覚えてる。弾丸みたいな飛び出しから誰も追いつけない速攻でゴールを奪うのーーすっごくカッコ良かった。同い年でこんなスゴい人がいるんだって憧れてたの」
「あ、ありがと」
思いがけないベタ褒めに、あゆみは頬を赤くした。アイドルとしての賛辞ではない、プレーヤーとしての賞賛は非常に新鮮だったのだ。
「うわあ、テンション上がってきた!」
恵梨香が満面の笑みを浮かべた。
「あの速攻を仕込んでくれたのが健介なのよ」
その一言で、部員たちの健介を見る目が一気に変わった。
「ぜひコーチに」
その言葉に、健介は首を横に振った。
「俺はもうハンドからは離れたから」
「何で?」
初耳だったあゆみがきょとんとする。
「チームスポーツはもうやらないって決めたんだ」
「だから何で?」
「言いたくない」
「それじゃあこっちだって納得できないよ」
「別に納得してもらわなくていい」
健介には取りつく島がなかった。
「人の気持ちにズカズカ踏み込んで来るな。迷惑だ」
「何よ、それ」
あゆみは憤慨したが、健介は不機嫌な顔で部室を出て行ってしまった。
あまり健介のそういう態度を見たことがなかったあゆみは、困惑するしかできなかった。
健介は素っ頓狂な声をあげた。
「コーチ? 俺が? 何で?」
「教えるの上手いから」
あっさり言ってから、あゆみはつぐみに向き直った。
「こう見えて健介にはコーチの才能があるんです。あたしたちが全中で優勝できたのって、八割方健介のおかげなんで」
「え? 全中で優勝?」
つぐみはきょとんとする。
「はい。あたしは一年生の時だけですけど、他の仲間は三連覇しましたね」
「ちょっと待って。それってーー」
つぐみのみならず部員全員の顔色が変わった。
「こいつ、聖女のレギュラーだったっす」
ぼそっとした健介の呟きに、つぐみは悲鳴をあげた。
「マジで!?」
「マジです。『聖女の特攻隊長』って言えば結構有名でしたけど」
「あたし、覚えてる。サイドとトップディフェンスやってたよね」
アツい口調で語り始めたのは、二年生でセンターを務める鳥羽恵梨香だった。
「うん」
「メチャクチャ早かったの覚えてる。弾丸みたいな飛び出しから誰も追いつけない速攻でゴールを奪うのーーすっごくカッコ良かった。同い年でこんなスゴい人がいるんだって憧れてたの」
「あ、ありがと」
思いがけないベタ褒めに、あゆみは頬を赤くした。アイドルとしての賛辞ではない、プレーヤーとしての賞賛は非常に新鮮だったのだ。
「うわあ、テンション上がってきた!」
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「あの速攻を仕込んでくれたのが健介なのよ」
その一言で、部員たちの健介を見る目が一気に変わった。
「ぜひコーチに」
その言葉に、健介は首を横に振った。
「俺はもうハンドからは離れたから」
「何で?」
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「チームスポーツはもうやらないって決めたんだ」
「だから何で?」
「言いたくない」
「それじゃあこっちだって納得できないよ」
「別に納得してもらわなくていい」
健介には取りつく島がなかった。
「人の気持ちにズカズカ踏み込んで来るな。迷惑だ」
「何よ、それ」
あゆみは憤慨したが、健介は不機嫌な顔で部室を出て行ってしまった。
あまり健介のそういう態度を見たことがなかったあゆみは、困惑するしかできなかった。
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