6 / 12
5 健介の地雷
しおりを挟む
「はぁ!?」
健介は素っ頓狂な声をあげた。
「コーチ? 俺が? 何で?」
「教えるの上手いから」
あっさり言ってから、あゆみはつぐみに向き直った。
「こう見えて健介にはコーチの才能があるんです。あたしたちが全中で優勝できたのって、八割方健介のおかげなんで」
「え? 全中で優勝?」
つぐみはきょとんとする。
「はい。あたしは一年生の時だけですけど、他の仲間は三連覇しましたね」
「ちょっと待って。それってーー」
つぐみのみならず部員全員の顔色が変わった。
「こいつ、聖女のレギュラーだったっす」
ぼそっとした健介の呟きに、つぐみは悲鳴をあげた。
「マジで!?」
「マジです。『聖女の特攻隊長』って言えば結構有名でしたけど」
「あたし、覚えてる。サイドとトップディフェンスやってたよね」
アツい口調で語り始めたのは、二年生でセンターを務める鳥羽恵梨香だった。
「うん」
「メチャクチャ早かったの覚えてる。弾丸みたいな飛び出しから誰も追いつけない速攻でゴールを奪うのーーすっごくカッコ良かった。同い年でこんなスゴい人がいるんだって憧れてたの」
「あ、ありがと」
思いがけないベタ褒めに、あゆみは頬を赤くした。アイドルとしての賛辞ではない、プレーヤーとしての賞賛は非常に新鮮だったのだ。
「うわあ、テンション上がってきた!」
恵梨香が満面の笑みを浮かべた。
「あの速攻を仕込んでくれたのが健介なのよ」
その一言で、部員たちの健介を見る目が一気に変わった。
「ぜひコーチに」
その言葉に、健介は首を横に振った。
「俺はもうハンドからは離れたから」
「何で?」
初耳だったあゆみがきょとんとする。
「チームスポーツはもうやらないって決めたんだ」
「だから何で?」
「言いたくない」
「それじゃあこっちだって納得できないよ」
「別に納得してもらわなくていい」
健介には取りつく島がなかった。
「人の気持ちにズカズカ踏み込んで来るな。迷惑だ」
「何よ、それ」
あゆみは憤慨したが、健介は不機嫌な顔で部室を出て行ってしまった。
あまり健介のそういう態度を見たことがなかったあゆみは、困惑するしかできなかった。
健介は素っ頓狂な声をあげた。
「コーチ? 俺が? 何で?」
「教えるの上手いから」
あっさり言ってから、あゆみはつぐみに向き直った。
「こう見えて健介にはコーチの才能があるんです。あたしたちが全中で優勝できたのって、八割方健介のおかげなんで」
「え? 全中で優勝?」
つぐみはきょとんとする。
「はい。あたしは一年生の時だけですけど、他の仲間は三連覇しましたね」
「ちょっと待って。それってーー」
つぐみのみならず部員全員の顔色が変わった。
「こいつ、聖女のレギュラーだったっす」
ぼそっとした健介の呟きに、つぐみは悲鳴をあげた。
「マジで!?」
「マジです。『聖女の特攻隊長』って言えば結構有名でしたけど」
「あたし、覚えてる。サイドとトップディフェンスやってたよね」
アツい口調で語り始めたのは、二年生でセンターを務める鳥羽恵梨香だった。
「うん」
「メチャクチャ早かったの覚えてる。弾丸みたいな飛び出しから誰も追いつけない速攻でゴールを奪うのーーすっごくカッコ良かった。同い年でこんなスゴい人がいるんだって憧れてたの」
「あ、ありがと」
思いがけないベタ褒めに、あゆみは頬を赤くした。アイドルとしての賛辞ではない、プレーヤーとしての賞賛は非常に新鮮だったのだ。
「うわあ、テンション上がってきた!」
恵梨香が満面の笑みを浮かべた。
「あの速攻を仕込んでくれたのが健介なのよ」
その一言で、部員たちの健介を見る目が一気に変わった。
「ぜひコーチに」
その言葉に、健介は首を横に振った。
「俺はもうハンドからは離れたから」
「何で?」
初耳だったあゆみがきょとんとする。
「チームスポーツはもうやらないって決めたんだ」
「だから何で?」
「言いたくない」
「それじゃあこっちだって納得できないよ」
「別に納得してもらわなくていい」
健介には取りつく島がなかった。
「人の気持ちにズカズカ踏み込んで来るな。迷惑だ」
「何よ、それ」
あゆみは憤慨したが、健介は不機嫌な顔で部室を出て行ってしまった。
あまり健介のそういう態度を見たことがなかったあゆみは、困惑するしかできなかった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【新作】1分で読める! SFショートショート
Grisly
ファンタジー
❤️⭐️感想お願いします。
1分で読める!読切超短編小説
新作短編小説は全てこちらに投稿。
⭐️忘れずに!コメントお待ちしております。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる