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3 ハンドボール部
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「ところで、この学校のハンドボール部って、どうなの?」
あゆみは一番訊きたかったことを口にした。
「……」
微妙な沈黙。
あゆみはその空気を正確に察した。
「ハンドやりたいなら聖女に行けばよかったじゃねえか」
やれやれと肩をすくめながら健介は言った。
健介の言う聖女とは、近くにあるお嬢様学校である聖桜女子学園のことである。お嬢様学校でありながらスポーツも盛んで、中でもハンドボール部は全国制覇の経験もある名門校なのだった。
「聖女がある以上、全国は望めねえからな。上を目指すヤツは違う競技を選ぶだろ」
「うわ。健介ってばいつからそんなに枯れちゃったのよ」
「は?」
「絶対王者を倒すところにスポーツの醍醐味があるんじゃない。挑む前から諦めるなんて…はあー……」
あゆみはわざとらしいため息をついた。
「何で俺が聖女に挑む話になってんだよ。俺は男だぞ」
「手伝ってくれるんでしょ」
自分の希望が叶うことをこれっぽっちも疑っていない口調に、健介は頭痛を覚えた。
「断る」
「何でよ?」
「おまえとは関わりたくないって言ってるだろ」
「ぶー」
頬を膨らませたあゆみだったが、健介の予想に反してそれ以上無理強いはしてこなかった。
代わりにーー
「ひとつ予言をしておくわ。健介、あなたは必ずハンド部に関わることになるわ」
何の根拠があるのか、あゆみは自信満々に言い放った。
「あのな、そんな言ったモン勝ちみたいなこと言っても響かねえぞ」
「そう言ってられるのも今のうちだけよ。後になってからあたしの先見の明に感心することになるから」
「言ってろ」
健介は肩をすくめて、生産性のない話を打ち切った。
しかし、席については変わることなく、あゆみは健介の隣を確保したのであった。
休み時間の度によそのクラスの生徒も含めた野次馬に質問攻めにされていたあゆみだったが、昼休みになると、健介に校内の案内を頼んできた。
「お弁当作る時間がなかったのよ。購買ってあるよね。案内して」
誰か他のヤツに頼んでくれと思った健介だったが、さすがにそれは言えず、連れ立って教室を出た。
すると、廊下の向こうからものすごい勢いで爆走してくる女子生徒が見えた。
「何だ?」
「いたあっ!」
思わず上履きの減り具合を心配しなければならなくなりそうな勢いで急停止した女子生徒は、あゆみの両肩をがっしりと掴んだ。
「森島あゆみさん、よね」
「は、はい」
さしものあゆみも目を白黒させている。
「あたし白石つぐみ、女子ハンド部のキャプテン。よろしくねっ!」
自己紹介を受けたあゆみの顔がパッと輝いた。
「こちらこそっ! よろしくお願いします!」
時ならぬ歓声に注目が集まる格好になり、健介は居心地の悪さを味わうことになった。
あゆみは一番訊きたかったことを口にした。
「……」
微妙な沈黙。
あゆみはその空気を正確に察した。
「ハンドやりたいなら聖女に行けばよかったじゃねえか」
やれやれと肩をすくめながら健介は言った。
健介の言う聖女とは、近くにあるお嬢様学校である聖桜女子学園のことである。お嬢様学校でありながらスポーツも盛んで、中でもハンドボール部は全国制覇の経験もある名門校なのだった。
「聖女がある以上、全国は望めねえからな。上を目指すヤツは違う競技を選ぶだろ」
「うわ。健介ってばいつからそんなに枯れちゃったのよ」
「は?」
「絶対王者を倒すところにスポーツの醍醐味があるんじゃない。挑む前から諦めるなんて…はあー……」
あゆみはわざとらしいため息をついた。
「何で俺が聖女に挑む話になってんだよ。俺は男だぞ」
「手伝ってくれるんでしょ」
自分の希望が叶うことをこれっぽっちも疑っていない口調に、健介は頭痛を覚えた。
「断る」
「何でよ?」
「おまえとは関わりたくないって言ってるだろ」
「ぶー」
頬を膨らませたあゆみだったが、健介の予想に反してそれ以上無理強いはしてこなかった。
代わりにーー
「ひとつ予言をしておくわ。健介、あなたは必ずハンド部に関わることになるわ」
何の根拠があるのか、あゆみは自信満々に言い放った。
「あのな、そんな言ったモン勝ちみたいなこと言っても響かねえぞ」
「そう言ってられるのも今のうちだけよ。後になってからあたしの先見の明に感心することになるから」
「言ってろ」
健介は肩をすくめて、生産性のない話を打ち切った。
しかし、席については変わることなく、あゆみは健介の隣を確保したのであった。
休み時間の度によそのクラスの生徒も含めた野次馬に質問攻めにされていたあゆみだったが、昼休みになると、健介に校内の案内を頼んできた。
「お弁当作る時間がなかったのよ。購買ってあるよね。案内して」
誰か他のヤツに頼んでくれと思った健介だったが、さすがにそれは言えず、連れ立って教室を出た。
すると、廊下の向こうからものすごい勢いで爆走してくる女子生徒が見えた。
「何だ?」
「いたあっ!」
思わず上履きの減り具合を心配しなければならなくなりそうな勢いで急停止した女子生徒は、あゆみの両肩をがっしりと掴んだ。
「森島あゆみさん、よね」
「は、はい」
さしものあゆみも目を白黒させている。
「あたし白石つぐみ、女子ハンド部のキャプテン。よろしくねっ!」
自己紹介を受けたあゆみの顔がパッと輝いた。
「こちらこそっ! よろしくお願いします!」
時ならぬ歓声に注目が集まる格好になり、健介は居心地の悪さを味わうことになった。
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