異世界肉人 ~モンスターの肉、UMEEEE~

オフィス景

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25 想いを代弁する料理

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 マリアちゃんに言われて、改めてカレンさんのことを考えてみた。

 一言で言えば、恩人だ。

 ドラゴンからは救ったが、その後の日常生活では世話になりっぱなしだ。カレンさんがいなかったら、生きていられたかどうかもわからない。

 今こうして料理人として生計を立てていられるのもカレンさんのおかげだ。

 そして何よりも、これから先も共に歩いていきたいと思える相手。

 そんな相手に食べてもらいたいメニューと言えばーー

 確か材料は揃っているはずだ。

 よし、やるぞ!



 通常営業の傍ら、鍋をかけっぱなしにして、ひたすら煮込む。

「何作ってるの?」

 皆に訊かれた。

「ちょっとね、特別料理」

「特別料理はいいけど、なんだい、この匂い」

 この世界にはない香辛料をたくさん使っているせいで、単なる刺激臭にしか感じられないらしい。皆嫌そうな顔をしている。

 となると、店の中で煮続けるわけにもいかなくなる。外に鍋を出して、寂しく煮込み続ける。

 食べてもらえば大丈夫だと思うんだけど…何か手を考えといた方がいいのかな?

「これ、お店で出すの?」

 カレンさんの表情を見る限り、あまり肯定的ではないようだ。

「皆の反応次第だけど……ダメかな?」

「ちょっと味の想像がつかないかも……」

 困った顔をするカレンさん。

「でも、これもゲンさんの世界のお料理なんですよね」

「ああ。これを嫌いだって言う人はほとんどいなかったな」

「あのアスカさんって人も?」

「この前話した時は好きだって言ってたな」

 カレンさんの表情が微妙に険しくなった。

「そういうことなら楽しみにしてます」

「そうしてもらえると助かるかな。カレンさんにはぜひ食べてもらいたいと思ってるから」

「わたしに、ですか?」

「うん」

 そう言うと、カレンさんの表情がほころんだ。

「わかりました!」

 急に元気になった。

 それ以降のカレンさんは妙に上機嫌で、常連さんたちに何があったのかとつっこまれていた。

 通常営業を終え、鍋の様子を確認すると、大分いい具合になっていた。

 よし、後は味を調整して…最初だから、辛さは少し加減して、と。

「食事にするぞー」

 三人が食卓についたところで今日のメニューを並べる。

「これ、今日一日かけて作ってたやつ?」

「ああ。俺がもといた世界で確実に五本の指には入る人気料理ーーカレーだ」

「カレー?」

「うん。俺的にはカレーライスで食べたいんだけど、米がないみたいなんで、ナンを作ってみた。こないだマリアちゃんに言われたことへの答えも込めたつもりなんで、ぜひ食べてみてくれ」

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