6 / 12
アイドルの休日の過ごし方
しおりを挟む
「うわあああっ!」
自分の叫び声で修平は目を覚ました。
かつてない不快な目覚め。身体中びっしょりと寝汗をかいて、気持ち悪いことこの上ない。
「…なんちゅう夢だ……」
忌々しげに呟き、頭を振った瞬間、異様な痛みが修平の頭を貫いた。
「――」
あまりの痛みに声も出せない。
歯を食いしばって、痛みが消えるのを待つ。
ややあって痛みは落ち着いたが、少しでも動けばすぐにでもぶりかえしてくる。
衝撃を与えぬようそーっと寝っ転がり、修平は天井を見上げた。
飲み過ぎだよな、明らかに……
昨日はどれだけ飲んだのだろう。記憶はないが、散乱する瓶や缶の数を見れば、自分の限界を遥かに超えたことだけは確かなようである。
飲み過ぎの理由ははっきりしていた。幸織によって持ちこまれた、香織の結婚話である。
そんなつもりはなかったんだけど、どこかで期待してたんだな。もしかしたら戻れるかもしれないって。
でなければ、ここまでショックを受けることはないだろう。
女々しいよな、俺も……
自嘲する。
戻ることはない。関わることはないと言いながら、よりを戻せるかもしれないと期待していた。
まったくお笑い種である。
だが、考えようによってはこれでよかったのだろう。
もうこれで思い残すことはないもんな。
唯一残っていた自分と紫聖殿をつなぐ糸が切れた。もうこれで本当に紫聖殿と関わることはないだろう。
二十年近くを過ごした場所である。感傷がまったくないわけではない。
ただ、感傷よりも安堵の方が大きかった。
もうああなることはないんだ。後は普通に暮らしていけばいい。世の中を甘く見ているわけではないが、あの時の辛さを思えば、大概のことには耐えられるはずである。
その時、玄関のチャイムが鳴った。
誰とも会う気分でなく、起きるのも億劫だった修平はそのまま放っておいた。
「――お兄ちゃん、いますか?」
遠慮がちに声をかけながら現れたのは、幸織だった。だぼっとしたストリート系のファッションに、大きな買物袋を提げている。
「うわ」
部屋に充満するアルコールの臭いに、幸織は大仰に顔をしかめた。
「お酒くさーい!」
乱暴な足取りで部屋に踏み入った幸織は、カーテンと窓を開け放ち、新鮮な空気を部屋の中に取り入れた。
「もう、こんな中にいたらアル中になっちゃうよ」
「…幸織…頼むから、大きな声出さないでくれ……」
今にも死にそうな声で修平は言った。
実際、今の修平にとって幸織の声は凶器以外の何物でもなかった。
「きっと飲み過ぎてるだろうなって思えば、案の定だったわ。ほら、お水飲んでしゃきっとして!」
冷たい水を満たしたコップを渡され、修平はそれを一気に飲み干した。完全にとはいかないが、少しはすっきりした。
「サンキュ」
「何か食べれそう?」
「う――」
食べることを想像しただけで吐き気がこみ上げてくる。
修平の駄目っぷりに幸織は苦笑した。
「辛いかもしれないけど、何か食べなきゃ駄目よ。今二日酔いに効くスープ作ってあげるから、ちゃんと食べてね」
「い、いいよ、無理だよ」
「ダーメ。そんなお兄ちゃん見たくないもん」
「だったら放っといてくれ」
「そういうわけにいかないでしょ」
「天下のアイドルがこんなとこ見られたらえらいことするぞ」
「それでどうにかなっちゃうようなら、アイドルなんて辞めるわよ」
幸織はあっさり言った。
「何無茶苦茶言ってんだ」
「あたしは本気よ。お兄ちゃんの方がずっと大事だもん」
真剣な目で修平を見つめる。が、すぐに勝ち誇ったように笑う。
「って言うより、こんなダメダメなお兄ちゃん、滅多に見れないしね」
「う……」
「自分で言うのもなんだけど、アイドルに介抱してもらえるなんてもうないと思うよ。せっかくだから楽しめば」
「楽しめって言われてもなあ……」
我が身が情けない。だが、今の状態では逆らう気力もない。ということで、修平は幸織の好意を受けることにした。
エプロンをつけた幸織は、楽しそうに台所に立った。鼻歌など歌いながら作業を進める。じきに美味そうな匂いが修平のところまで届いてきた。
「今日は休みなのか?」
軽快に動き回る後ろ姿を見ながら、修平は訊いた。
「うん。半年ぶりの休み」
「いいのかよ、貴重な休みをこんなことに使っちまって」
「そう思ったら、次の休みの時に埋め合わせしてくれる?」
「埋め合わせって?」
「デートしよ」
「デートぉ!?」
修平は素っ頓狂な声をあげ、頭の痛みにのたうちまわった。
「この様子じゃどうせデートする相手もいないんでしょ。ボランティアしてあげるよ」
「余計なお世話だ」
憮然として答える。
「おまえだって似たようなもんだろうが」
「あたしは作らないだけだもん。その気になれば一人や二人の彼氏くらい」
「そりゃあたいしたもんだ。いいのができたら紹介してくれや」
「む」
幸織はぷっと頬をふくらませた。
「なによお。お兄ちゃんはあたしが恋人作ってもいいの?」
「何で俺が反対するって思うんだ?」
「普通は妹に彼氏ができるって聞いたら反対するでしょ」
「それは親父だよ。兄貴は反対はしないだろ。どっちかと言えば、応援するんじゃないか?」
修平は笑った。
「いいの! 反対して欲しいの!!」
「なんだ、そりゃ?」
「だって、反対されて駄目になったら責任取ってもらえるでしょ」
「俺にどんな責任とらせようって言うんだ?」
「責任って言ったら責任よ」
なぜか幸織は胸を張った。
「お嫁にもらってもらうに決まってるじゃない」
「バーカ。何くだらねえこと言ってんだ」
冷めきった口調で修平は言った。まともに取り合う気はないらしい。
「くだらなくないもん。あたし本気だよ」
「はいはい」
「むー!」
怒った幸織は修平の腕を掴んで揺さぶった。この振動は結構な拷問である。
「うわ、バカ、よせ、やめろってば」
悲鳴を上げる修平だが、頭に血が昇っている幸織は攻撃の手を緩めない。
「お嫁さんにしてくれるって言うまで許さない」
もう無茶苦茶である。
「わかった! わかったからやめろ!!」
動きを止めた幸織が修平を睨む。
「お嫁さんにしてくれる?」
「わかったよ」
ぐったりした修平は投げやりに答えた。
「じゃあ約束。ゆーびきーりげーんまーん、うーそついたらはーりせんぼんのーます。ゆーびきったっ」
されるがままの修平と強引に約束を交わす。
「はい、婚約成立」
にっこり微笑む。天使の微笑と言うにふさわしい笑顔だったが、修平にそれを観賞する余裕はなかった。
ぐったりしていた修平の鼻が、危険な臭いを捉えた。
「おい、なんか焦げ臭くねえか?」
「え?」
幸織が顔色を変える。
臭いの発生源は台所。コンロにかけた鍋であった。
「きゃああああーっ!」
けたたましい悲鳴を上げて、幸織がダッシュする。
その後ろ姿を見て、修平は苦笑する。
どこまで本気か知らんが、まだまだお子ちゃまだよな。
自分の叫び声で修平は目を覚ました。
かつてない不快な目覚め。身体中びっしょりと寝汗をかいて、気持ち悪いことこの上ない。
「…なんちゅう夢だ……」
忌々しげに呟き、頭を振った瞬間、異様な痛みが修平の頭を貫いた。
「――」
あまりの痛みに声も出せない。
歯を食いしばって、痛みが消えるのを待つ。
ややあって痛みは落ち着いたが、少しでも動けばすぐにでもぶりかえしてくる。
衝撃を与えぬようそーっと寝っ転がり、修平は天井を見上げた。
飲み過ぎだよな、明らかに……
昨日はどれだけ飲んだのだろう。記憶はないが、散乱する瓶や缶の数を見れば、自分の限界を遥かに超えたことだけは確かなようである。
飲み過ぎの理由ははっきりしていた。幸織によって持ちこまれた、香織の結婚話である。
そんなつもりはなかったんだけど、どこかで期待してたんだな。もしかしたら戻れるかもしれないって。
でなければ、ここまでショックを受けることはないだろう。
女々しいよな、俺も……
自嘲する。
戻ることはない。関わることはないと言いながら、よりを戻せるかもしれないと期待していた。
まったくお笑い種である。
だが、考えようによってはこれでよかったのだろう。
もうこれで思い残すことはないもんな。
唯一残っていた自分と紫聖殿をつなぐ糸が切れた。もうこれで本当に紫聖殿と関わることはないだろう。
二十年近くを過ごした場所である。感傷がまったくないわけではない。
ただ、感傷よりも安堵の方が大きかった。
もうああなることはないんだ。後は普通に暮らしていけばいい。世の中を甘く見ているわけではないが、あの時の辛さを思えば、大概のことには耐えられるはずである。
その時、玄関のチャイムが鳴った。
誰とも会う気分でなく、起きるのも億劫だった修平はそのまま放っておいた。
「――お兄ちゃん、いますか?」
遠慮がちに声をかけながら現れたのは、幸織だった。だぼっとしたストリート系のファッションに、大きな買物袋を提げている。
「うわ」
部屋に充満するアルコールの臭いに、幸織は大仰に顔をしかめた。
「お酒くさーい!」
乱暴な足取りで部屋に踏み入った幸織は、カーテンと窓を開け放ち、新鮮な空気を部屋の中に取り入れた。
「もう、こんな中にいたらアル中になっちゃうよ」
「…幸織…頼むから、大きな声出さないでくれ……」
今にも死にそうな声で修平は言った。
実際、今の修平にとって幸織の声は凶器以外の何物でもなかった。
「きっと飲み過ぎてるだろうなって思えば、案の定だったわ。ほら、お水飲んでしゃきっとして!」
冷たい水を満たしたコップを渡され、修平はそれを一気に飲み干した。完全にとはいかないが、少しはすっきりした。
「サンキュ」
「何か食べれそう?」
「う――」
食べることを想像しただけで吐き気がこみ上げてくる。
修平の駄目っぷりに幸織は苦笑した。
「辛いかもしれないけど、何か食べなきゃ駄目よ。今二日酔いに効くスープ作ってあげるから、ちゃんと食べてね」
「い、いいよ、無理だよ」
「ダーメ。そんなお兄ちゃん見たくないもん」
「だったら放っといてくれ」
「そういうわけにいかないでしょ」
「天下のアイドルがこんなとこ見られたらえらいことするぞ」
「それでどうにかなっちゃうようなら、アイドルなんて辞めるわよ」
幸織はあっさり言った。
「何無茶苦茶言ってんだ」
「あたしは本気よ。お兄ちゃんの方がずっと大事だもん」
真剣な目で修平を見つめる。が、すぐに勝ち誇ったように笑う。
「って言うより、こんなダメダメなお兄ちゃん、滅多に見れないしね」
「う……」
「自分で言うのもなんだけど、アイドルに介抱してもらえるなんてもうないと思うよ。せっかくだから楽しめば」
「楽しめって言われてもなあ……」
我が身が情けない。だが、今の状態では逆らう気力もない。ということで、修平は幸織の好意を受けることにした。
エプロンをつけた幸織は、楽しそうに台所に立った。鼻歌など歌いながら作業を進める。じきに美味そうな匂いが修平のところまで届いてきた。
「今日は休みなのか?」
軽快に動き回る後ろ姿を見ながら、修平は訊いた。
「うん。半年ぶりの休み」
「いいのかよ、貴重な休みをこんなことに使っちまって」
「そう思ったら、次の休みの時に埋め合わせしてくれる?」
「埋め合わせって?」
「デートしよ」
「デートぉ!?」
修平は素っ頓狂な声をあげ、頭の痛みにのたうちまわった。
「この様子じゃどうせデートする相手もいないんでしょ。ボランティアしてあげるよ」
「余計なお世話だ」
憮然として答える。
「おまえだって似たようなもんだろうが」
「あたしは作らないだけだもん。その気になれば一人や二人の彼氏くらい」
「そりゃあたいしたもんだ。いいのができたら紹介してくれや」
「む」
幸織はぷっと頬をふくらませた。
「なによお。お兄ちゃんはあたしが恋人作ってもいいの?」
「何で俺が反対するって思うんだ?」
「普通は妹に彼氏ができるって聞いたら反対するでしょ」
「それは親父だよ。兄貴は反対はしないだろ。どっちかと言えば、応援するんじゃないか?」
修平は笑った。
「いいの! 反対して欲しいの!!」
「なんだ、そりゃ?」
「だって、反対されて駄目になったら責任取ってもらえるでしょ」
「俺にどんな責任とらせようって言うんだ?」
「責任って言ったら責任よ」
なぜか幸織は胸を張った。
「お嫁にもらってもらうに決まってるじゃない」
「バーカ。何くだらねえこと言ってんだ」
冷めきった口調で修平は言った。まともに取り合う気はないらしい。
「くだらなくないもん。あたし本気だよ」
「はいはい」
「むー!」
怒った幸織は修平の腕を掴んで揺さぶった。この振動は結構な拷問である。
「うわ、バカ、よせ、やめろってば」
悲鳴を上げる修平だが、頭に血が昇っている幸織は攻撃の手を緩めない。
「お嫁さんにしてくれるって言うまで許さない」
もう無茶苦茶である。
「わかった! わかったからやめろ!!」
動きを止めた幸織が修平を睨む。
「お嫁さんにしてくれる?」
「わかったよ」
ぐったりした修平は投げやりに答えた。
「じゃあ約束。ゆーびきーりげーんまーん、うーそついたらはーりせんぼんのーます。ゆーびきったっ」
されるがままの修平と強引に約束を交わす。
「はい、婚約成立」
にっこり微笑む。天使の微笑と言うにふさわしい笑顔だったが、修平にそれを観賞する余裕はなかった。
ぐったりしていた修平の鼻が、危険な臭いを捉えた。
「おい、なんか焦げ臭くねえか?」
「え?」
幸織が顔色を変える。
臭いの発生源は台所。コンロにかけた鍋であった。
「きゃああああーっ!」
けたたましい悲鳴を上げて、幸織がダッシュする。
その後ろ姿を見て、修平は苦笑する。
どこまで本気か知らんが、まだまだお子ちゃまだよな。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる