婚約破棄? 上等じゃない! 王妃教育が完璧だから恐れるものは何もないわ!

オフィス景

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6 チンピラ退治

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「今日こそはここを立ち退いてもらうぜ!」

 偉そうなチンピラに、イラッときた。事情はよくわからないけど、こんなに美味しい料理を作ってくれるおかみさんが悪い人のはずがない。独断と偏見だけど悪いのはチンピラだ。

「困ります。お客様もいらっしゃるんです」

「あぁ?   客だ?」

 チンピラの視線がこっちを向いた。

 目配り、身のこなし、どっちも大したことはない。瞬殺できる。

 イラッを通り越してムカッとなっていたので本当に瞬殺しようかと思ったのだが、まだかろうじて理性が働いた。ちなみに、もう一段階進んでブチッとなると問答は無用となる。

「へえ、なかなかいい女じゃねえか」

 下卑た笑みを醜い顔に貼りつかせた男が近づいてくる。

 あ、これ生理的にダメ。

 こちらの嫌悪感に気づく様子もなく、男は自分の世界に浸っている。

「へへっ、姉ちゃん、俺の言うこと聞いてりゃあいい思いさせてやるぜ」

 勝手なことを言って顔を近づけてきたところが限界だった。

 ブチッ!

 反射的に繰り出した手首のスナップを利かせた拳が男の顔面を撃ち抜いた。

 あ、会心の一撃。

 男は膝から崩れ落ちた。意識を失ったようで、土下座のような姿勢のままピクリとも動かない。

「雑魚ね」

 まあ登場の仕方からして雑魚臭を撒き散らしていたから、想像通りと言えばその通りなんだけど、そう思わなかった人もいたみたい。

 女将さんが目を丸くしてこっちを見ている。

「あー、気持ち悪かったんでつい殴っちゃいましたけどーーまずかったですか?」

「あ、それは全然いいです。あたしもスッキリしましたし」

「それなら良かったですけど、立ち退きがどうとか言ってませんでした?」

「それは……」

「もしかして、身に覚えのない借金でっち上げられて立ち退き迫られてません?」

「な、何でそれを?」

 やっぱりね。小悪党のやりそうなことだもんね。

「借金の証文は見せられました?」

「は、はい。亡くなった主人の名前になっていて……」

「こちら側の控えはありますか?」

「いいえ。そもそも借金なんてしてないんです。あの人だってするはずありません」

 女将さんの眼差しは力強いものだった。

「大丈夫。わかってますから」

 安心するように微笑みかける。

「この件、あたしに任せてもらえますか?」

「え?」

「一応この手の仕事をしてた経験もあるので、何とかできると思いますよ」

「ホントですか!?」

「はい。じゃあ任せてもらいますね」

「お願いします」

「ちょっと出かけてきます。すぐに戻りますから」

 こういうのは時間をかけてもしょうがない。さっさと終わらせるに限る。

 というわけで、悪人退治に向かうことにした。

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