異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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19 懐剣の意味

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 はやる気持ちのままに走り続けたら、昼過ぎには王都に着いた。《飛脚》スキルのおかげか、往路よりもかなり早かった。それでいて疲労度も小さいのだから、スキルさまさまである。

 本当はシルヴィアのところへ直行したかったのだが、仕事を疎かにはできない。まずは冒険者ギルドへ向かう。

 この時間帯はさすがに人も少なく、閑散としていた。なので、入っていくとすぐにルミさんと目が合った。

「あ、コータローさん、おかえりなさい」

「やっと帰ってこれました」

「本当にお疲れ様でした」

 カードを提出し、ルミさんが手続きを終えると、俺の冒険者ランクはDになっていた。

「こちらが報酬になります。後、オランドさんから追加のボーナスが出てますね」

 それは助かる。ありがたいな。

「今日はもうお帰りですよね。姫様、首を長~くして待ってるんじゃないですか?   ちゃんとお土産買ってきました?」

「ああ、すっげえいい懐剣が手に入ったんだ」

「え?   懐剣!?」

 ルミさんが目を丸くした。

「あれ?   何かまずかった?」

 訊くと、ルミさんは首と手をぶんぶん振った。

「まずくないです。全然まずくないです。むしろ、引き留めちゃってごめんなさい。早く帰ってあげてください。それこそ、一秒でも早く。さあさあさあ」

 背中を押されてギルドから追い出された。その後できゃあきゃあ言う声が聞こえてきたが、一体なんなんだ?



 王宮に部屋を与えられていると言っても、俺の場合、正門から出入りしているわけではない。シルヴィアの部屋が離れにあり、そこ専用の門があるので、そこからの出入りになる。

 もちろんそこにも衛兵がいるので、挨拶をして中へ入る。

 すぐに侍女のイリスさんと行き合った。この人はとてもよくできた人で、以前からシルヴィアの数少ない味方だったらしい。

「コータロー様、おかえりなさいませ」

「ただいま戻りました。姫は部屋ですか?」

「はい。コータロー様のおかえりを今か今かとお待ちですよ」

「わかりました。すぐ行きます…っと、その前にひとつ訊いてもいいですか?」

「何でしょう?」

「姫へのプレゼントに懐剣ってまずかったですか?」

「!」

 イリスさんはルミさんと同じような顔になった。やっぱり何か特別な意味があるようだ。

「ありがとうございます、コータロー様。姫様きっと発狂するくらい喜びます。もしかしたら踊り出すかもしれません」

「踊り出す!?   懐剣にどんな意味があるんですか?」

 イリスさんは芝居がかった仕草で手を打った。

「コータロー様、由来を知らないのにこのタイムリーなチョイス。正に神の選択。それとも姫様との絆が為せる業でしょうか。いずれにいたしましても、このイリス、心の底から感服いたしました」

 ナンナンダヨ。ワケガワカンナイヨ……

 精神的な疲労を感じていると、イリスさんはお茶目な微笑みを見せた。

「すみません。悪ふざけが過ぎました、でも、このタイミングは本当に最高です」

「…最高なのは良かったけど、懐剣の意味は結局何なの?」

 イリスさんは、こほんとひとつ咳払いをした。

「男性が女性に懐剣を贈るのはーープロポーズです」

「はい?」

 …ナンデソウナルノ?
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