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103 御披露目

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 時間が経つにつれ緊張もほぐれ、料理の味を楽しむ余裕が生まれてきた。

 あれやこれやと食欲を満たしていると、ブライト王子がやって来た。

「楽しんでくれてるかな?」

「お招きいただき、ありがとうございます」

「そうかしこまらないでくれ。コータローはある意味今日の主役だからな」

「…やっぱりそうなのか?」

 何となくそうじゃないかな、とは思ってたので今更驚くことはないが、できればちゃんと話を通しておいてくれとは思う。

「ミネルヴァの結婚相手として紹介するから、頼むな」

「丸投げかよ。色々揉めそうでやだなあ」

 全員手放しで祝福してくれるってことにはならないだろうからな。本当のミネルヴァを見たら、求婚者が続出しても驚かねえよな。

 そう考えれば、こうして一発で周知徹底するのが一番面倒が少ねえか。

 となれば、やるしかない。シルヴィアとミネルヴァに降りかかる火の粉をあらかじめ排除できるなら、それにこしたことはない。

 皆が大分いい感じにできあがってきたあたりでブライト王子が再び演壇に立った。

「お楽しみいただいておりますでしょうか。ここで我が妹ミネルヴァを皆様に御披露目させていただきます」

 一旦言葉を切ったブライト王子は会場内をぐるりと見回した。皆、歓談を中断し、王子に注目している。

「ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、ミネルヴァは容姿について長い間苦しんできました。この度、それが呪いによるものであったことが判明し、その解呪に成功しました」

 おお、と軽いどよめきが起きた。

「本当のミネルヴァをご覧くださいーーミネルヴァ、こちらへ」

 ミネルヴァが登壇する。その卓抜した容姿を目の当たりにした列席者の間でどよめきが大きくなった。

「おお」

 俺まで声が出た。

 本気で着飾ると、ミネルヴァってここまで綺麗になるのか。

 壇上のミネルヴァは、まさに「お姫様」だった。まだ大人になりきらない、将来性を感じさせる美しさ。

 …何だろう、いけないことをしているような気になってきた……

 ミネルヴァの本当の顔を知っていた俺がこう思うのだから、今初めてミネルヴァを見た連中が受けたインパクトは相当だったのだろう。

「…あれがミネルヴァ姫……?」

「嘘だろう……」

 ほとんどの連中はあまりの落差の激しさに、情報を処理しきれないでいるようだ。

 だが、一部には早くもミネルヴァとお近づきになろうと目をギラつかせてるヤツもいる。

 ブライト王子に促されて、ミネルヴァは一歩前に出た。

「この顔に馴染みはないかと思いますが、ミネルヴァです。自分でもわかっていなかった呪いを解いていただいて自分を取り戻せたことが本当に嬉しいです」

 うっすら目に涙をにじませたミネルヴァがそう言うと、誰からともなく拍手が起こり、瞬く間に会場全体に伝播していった。

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