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40 ラスボス襲来
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ふと悪寒を覚えたケントは顔を上げた。何かを感じ取ろうとするように虚空を見つめる。
「どうした?」
ケントの様子の変化に、ラリーが怪訝そうな顔を向ける。
「…いや、何だろう…とてつもなく嫌なモノが近づいて来てるような気が……」
「おいおい」
ラリーは苦笑した。
「そういうのって、口に出すと本当にそうなるぞ」
よく聞く話だが、ケント的には訊かれたことに答えただけである。それこそ苦笑を返すしかない。
「嫌なモノっていうと、またあの手紙が届くとかか?」
「それはそれでかなり嫌だが…何かそれどころじゃないような……」
「それ以上って、あとは本人が来るくらいしかねえような気が……」
少々ひきつり気味にラリーが言った時ーー
それまで穏やかに晴れていた空が、一転見る間に黒雲が立ち込め、遠雷まで聞こえ始めた。
「な、何だ……?」
急激過ぎる天候の変化に、嫌な予感が掻き立てられる。
戸惑っている内にも黒雲はその濃さを増し、ポツポツと雨が当たり始めた。
「うわ、降ってきた」
店内に戻ろうとした時、一台の馬車が近づいて来るのに気がついた。
真っ直ぐにこちらへ向かってきた馬車は、少し手前でスピードを落とし始め、二人の前で停車した。
「え!?」
「おい、これってーー」
馬車につけられた紋章を見て、二人は揃って言葉を失った。
その紋章はラスティーン王家のものだったのだ。
「まさかーー」
無意識の内にケントは後退った。
御者が降りてくるより早く、内側から勢いよく扉が開かれた。
そこから一人の少女が飛び出してくる。
「みぃーつけたぁー」
「うわっ!?」
飛び出してきたアルミナに抱きつかれて、ケントは危うくひっくり返りそうになった。
「アルミナ姫!?」
ラリーの声で、自分の目がおかしくなったわけではないとわかったケントだったが、現状の改善には繋がらない。
「やっと会えたね、ケント」
満面の笑みでケントに頬擦りするアルミナ。
「ずっと会いたかったんだよ。なかなか返事くれないから、こっちから会いに来たの」
「は、離せ」
できれば力ずくで振りほどきたいところなのだが、アルミナが妊婦であることが引っ掛かって、ケントは乱暴なことができずにいた。ラリーに助けを求めようにも、ケント以上に何もできない。
「寂しかったよ、ケント。でももう離さないから。元通りになって、ずっと一緒にいようね」
「やめろ。俺にその気はない」
誤解のないよう、ケントはきっぱり言い切った。
「え?」
抱擁を解いたアルミナは、心底不思議そうな顔でケントを見た。
「何言ってるの」
「俺たちはもう終わってるだろ」
「もう許してあげるって言ってるじゃない。拗ねてないで戻っておいでよ」
アルミナの言い分を聞いて、ケントは悲しい気持ちになった。あの手紙の通り、アルミナは自分を省みることができないようだ。
そこに、空気を凍りつかせるような声が響いた。
「ーー何してるの?」
「どうした?」
ケントの様子の変化に、ラリーが怪訝そうな顔を向ける。
「…いや、何だろう…とてつもなく嫌なモノが近づいて来てるような気が……」
「おいおい」
ラリーは苦笑した。
「そういうのって、口に出すと本当にそうなるぞ」
よく聞く話だが、ケント的には訊かれたことに答えただけである。それこそ苦笑を返すしかない。
「嫌なモノっていうと、またあの手紙が届くとかか?」
「それはそれでかなり嫌だが…何かそれどころじゃないような……」
「それ以上って、あとは本人が来るくらいしかねえような気が……」
少々ひきつり気味にラリーが言った時ーー
それまで穏やかに晴れていた空が、一転見る間に黒雲が立ち込め、遠雷まで聞こえ始めた。
「な、何だ……?」
急激過ぎる天候の変化に、嫌な予感が掻き立てられる。
戸惑っている内にも黒雲はその濃さを増し、ポツポツと雨が当たり始めた。
「うわ、降ってきた」
店内に戻ろうとした時、一台の馬車が近づいて来るのに気がついた。
真っ直ぐにこちらへ向かってきた馬車は、少し手前でスピードを落とし始め、二人の前で停車した。
「え!?」
「おい、これってーー」
馬車につけられた紋章を見て、二人は揃って言葉を失った。
その紋章はラスティーン王家のものだったのだ。
「まさかーー」
無意識の内にケントは後退った。
御者が降りてくるより早く、内側から勢いよく扉が開かれた。
そこから一人の少女が飛び出してくる。
「みぃーつけたぁー」
「うわっ!?」
飛び出してきたアルミナに抱きつかれて、ケントは危うくひっくり返りそうになった。
「アルミナ姫!?」
ラリーの声で、自分の目がおかしくなったわけではないとわかったケントだったが、現状の改善には繋がらない。
「やっと会えたね、ケント」
満面の笑みでケントに頬擦りするアルミナ。
「ずっと会いたかったんだよ。なかなか返事くれないから、こっちから会いに来たの」
「は、離せ」
できれば力ずくで振りほどきたいところなのだが、アルミナが妊婦であることが引っ掛かって、ケントは乱暴なことができずにいた。ラリーに助けを求めようにも、ケント以上に何もできない。
「寂しかったよ、ケント。でももう離さないから。元通りになって、ずっと一緒にいようね」
「やめろ。俺にその気はない」
誤解のないよう、ケントはきっぱり言い切った。
「え?」
抱擁を解いたアルミナは、心底不思議そうな顔でケントを見た。
「何言ってるの」
「俺たちはもう終わってるだろ」
「もう許してあげるって言ってるじゃない。拗ねてないで戻っておいでよ」
アルミナの言い分を聞いて、ケントは悲しい気持ちになった。あの手紙の通り、アルミナは自分を省みることができないようだ。
そこに、空気を凍りつかせるような声が響いた。
「ーー何してるの?」
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