「え、俺なんかしました?」無自覚チート《概念編集》で石ころを魔石に、なまくらを聖剣に書き換えて、国を追われた聖女様と世界を救う

黒崎隼人

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第二章「最強になった俺と聖女様、世界の真の黒幕を倒しに行きます。」

第62話「王都からの召喚状」

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 紺碧の塔での死闘から三日後。
 俺とルミナは砕氷船『シーサーペント号』に揺られ、港町ポート・フリーズへと帰還した。

「おう、若いの! 無事に帰ってきやがったか! しかもあの塔の輝きが心なしか穏やかになってやがる!」

 船長のヴァルガスは俺たちを英雄のように出迎えてくれた。
 塔の魔力フィールドが弱まったことで港の漁師たちも再び漁に出られるようになったらしい。
 町は俺たちが訪れた時とは打って変わって活気と笑顔に満ちていた。

 ギルドに報告を済ませ報酬を受け取った俺たちは、久しぶりに心からの休息を取ることにした。
 温かいシチューと焼きたてのパンを腹一杯に食べ、ふかふかのベッドで眠る。
 そんな当たり前のことが今は何よりも幸せに感じられた。

「……次はどこへ向かうべきかしら」

 宿屋の一室、暖炉の火を見つめながらルミナが地図を広げる。
 残る楔は三つ。
 クリスタル・ドレイクのビジョンによれば次は『巨大な竜の骨の下に眠る、地下都市』のはずだ。

「古文書と照らし合わせると……おそらく大陸南西部の『竜の墓場』と呼ばれる砂漠地帯ね。また砂漠の旅になるわ」

「今度はサンドスキフもないからな。準備は入念にしないと」

 俺たちが次の旅の計画を練っていた、その時だった。

 コンコン、と部屋のドアがノックされた。

 こんな夜更けに誰だろうか。
 俺が警戒しながらドアを開けると、そこに立っていたのは見慣れない、しかしどこかで見たことのある意匠の鎧をまとった一人の騎士だった。

 その鎧の胸にはアルストリア王国の紋章――獅子と剣の徽章が誇らしげに輝いていた。

「……あなたがカイ殿とルミナ様ですな?」

 騎士は堅い口調で、しかし礼儀正しく言った。

「アルストリア王国、王宮騎士団第一部隊隊長、ギルバート・フォン・アルベインと申します。国王陛下の名代としてお二人をお迎えに上がりました」

「国王陛下の……名代?」

 俺とルミナは顔を見合わせた。
 なぜ一国の王が俺たちのようなただの冒険者に?

「カイ殿、ルミナ様。あなた方の御活躍はエルフの里からの報告により我が国王陛下の耳にも届いております。世界を蝕む邪悪と戦う二人の英雄として」

 ギルバートと名乗った騎士は、俺たちの前で恭しく片膝をついた。

「つきましては一度王都まで御足労願い、陛下に直接事の次第をご報告いただきたい。そして今後の対策について我ら王国も全面的に協力させていただきたく存じます」

 それはあまりにも唐突な申し出だった。

 俺たちはこれまでどの国にも属さず自由に旅をしてきた。
 だが楔を巡る戦いはもはや俺たち二人だけで解決できるスケールを超え始めている。

 一国の支援を得られるというのは大きなアドバンテージになるかもしれない。

「……分かりました。お受けします」

 俺が答えるとギルバートは安堵の表情を浮かべた。

「感謝いたします。馬車はすでに手配済みです。明朝、出発の準備をお願いいたします」

 そう言い残し騎士は去っていった。

「……なんだかすごいことになってきたな」

 俺が呟くとルミナは少しだけ不安そうな顔をした。

「ええ……。王様の前でちゃんとお話できるかしら……」

「大丈夫だよ。俺がついてる」

 俺は彼女の肩を優しく抱き寄せた。

 俺たちの旅は新たな局面を迎えようとしていた。
 それはただの冒険者としてではなく、世界の命運を左右する大きな渦の中心へと俺たちが足を踏み入れることを意味していた。

 翌朝、俺たちは王都から派遣された豪華な紋章入りの馬車に乗り込み、アルストリア王国の心臓部、王都アヴァロンへと向かうことになったのだった。
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